この想いは罪ですか?(キラ)
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それから数日は戦闘が続き、キラはおろかミリアリアとも顔を合わせる事ができなかった。
昼夜を問わず攻撃を受け続け、戦ってもいない私達ですら疲労困憊していた。多分前線の軍人達はもっと辛い思いをしているだろう。
「キラ……大丈夫かなぁ?」
部屋の中からは外の様子が全く見えないため、戦況がどのような物なのかは分からない。ただひたすら心配し続けることしかできない自分が歯痒かった。
「会いたいなぁ……」
着弾する度に揺れる艦の中、そんな事を考えてしまう自分に驚いた。いつ命を落とすかもしれないこの状況で、考えているのはまだ出会って間もない少年の事。信じられないが……認めざるを得ない。
私は、キラに惹かれている。
「想いは時間じゃないんだな~」
こんなに危険な状況なのに、不思議と怖さは感じない。
――キラが戦ってくれている
そう思うと妙に安心出来た。
と同時に冷静な判断力も戻ってくる。今までは戦闘中、ただ震えているだけだったけれど、今は……。
「守られてばかりじゃいけないわよね。何もしないよりは何かをした方が前進できるはず。私に出来る事をやってみなきゃ!」
自分に言い聞かせてみると、漲ってくる勇気。キラも、ミリアリアも、その友達も皆頑張っている。私も……!!
戦闘が一段落したかと思われる頃、私は意を決して部屋を飛び出し、ミリアリア達のいる場所へと走り出した。
恋は女を強くする、と言うけれど、まさか自分に当てはまってしまうとは。口元に浮かぶ笑みを隠しきれず走っている私は、端から見ればさぞかし怪しかっただろう。それ程に私は幸せを感じていたのだった。
ひょっとしたらこれをきっかけに、コーディネーターとしての私の存在を否定してきた過去を捨て、自分自身を認められるかもしれない。まだ何が出来るかなんて事は分からないけれど、とにかくやってみたい。
心が逸った。
そろそろ軍人専用ブロックに辿り着こうかと言う時。争っているような声が聞こえて足を止めた。
角を曲がってみると、そこには二人の少女が向かい合っていた。一人は物凄い剣幕で怒鳴り散らしている。もう一人はミリアリアで、少し困ったような顔をしながらも大人しく目の前の少女の怒りを受け止めていた。
「ミリ……」
声をかけようとした時、耳にしてしまった言葉。
「コーディネーターなんて、皆殺してしまわなきゃ! そうよ、キラが私を守ってくれる。キラが敵を皆殺してくれるんだもの。キラは殺さなきゃいけないのよ!!」
背筋が凍った。
――この子は何を言ってるの?
――何でキラが貴女を守るの?
――何でキラが殺さなきゃいけないの?
頭の中が真っ白になった。
何も考えられない。怒りも悲しみもなかった。そこにあるのは、ただ一つの願い。
「消さなきゃ……」
私はゆっくりとその少女の元へと歩いた。
「サラ!? こんな所までどうしたの?今は戦闘中だから一般人は各自部屋に……サラ?」
ミリアリアの声が聞こえた。でも、答えようという意識すら生まれてこない。
「消さなきゃ……こんな事、あっちゃいけないもの」
「な、何よあんたは!」
「サラ!? フレイに何を……!?」
つい、と私の手が少女の頭に触れた。ミリアリアにフレイと呼ばれた少女の頭を数回撫でる。
「消しなさい。そんな思いは。いらない物だから」
「ちょ……何を……」
フレイが動揺しているのが分かる。でも、消さなきゃ。
「消しなさい」
「サラっ!!」
パシーンッ!
激しい痛みと音に、我に返る。
驚いて目を瞬かせると、そこにはキラが立っていた。
この痛みは……キラに叩かれた?鈍い痛みが少しずつはっきりとしてくると、同時に流れ出す涙。
「駄目だよ、サラ」
「キラ……」
キラが、怒っている。
キラが目の前にいる。
私の能力のせいで力が抜け、へたり込んでしまったフレイ。
フレイを介抱しながらも、私を気遣ってくれているミリアリア。
彼女たちの存在を認識していながらも、私は我慢できなくなってキラに飛びついた。
「サラ!?」
「キラ……キラ……っ!」
「サラ、どうしたんだよ? サラ?」
「キラ……貴方は守るだけで良い。殺さなくて良いんだからね。貴方は人殺しじゃないんだから。殺さなくて良いんだよ」
「サラ……?」
「何で……どうしてキラが……コーディネーターもナチュラルも人間には変わりないのに。それなのに……っ!」
嗚咽が止まらない。
キラが戸惑いながらも私を慰めようとしてくれているのが分かった。でも、涙は止めどなく流れ続ける。
「ごめんね。私はここでは貴方の力にはなれない……ごめんね、無力で……」
「そんな……気にすること無いよ。君は戦わなくて良いんだから」
「ううん……ううん、私は逃げてるの。私も戦わなきゃいけないのに。他人に任せて、私は逃げてるの」
「サラ……」
「ごめんね、キラ。ごめんね、ミリアリア」
キラを抱きしめながら、私はひたすら泣き続けた。戦闘配備の警報が流れ、キラが呼び出しを受ける瞬間まで。
昼夜を問わず攻撃を受け続け、戦ってもいない私達ですら疲労困憊していた。多分前線の軍人達はもっと辛い思いをしているだろう。
「キラ……大丈夫かなぁ?」
部屋の中からは外の様子が全く見えないため、戦況がどのような物なのかは分からない。ただひたすら心配し続けることしかできない自分が歯痒かった。
「会いたいなぁ……」
着弾する度に揺れる艦の中、そんな事を考えてしまう自分に驚いた。いつ命を落とすかもしれないこの状況で、考えているのはまだ出会って間もない少年の事。信じられないが……認めざるを得ない。
私は、キラに惹かれている。
「想いは時間じゃないんだな~」
こんなに危険な状況なのに、不思議と怖さは感じない。
――キラが戦ってくれている
そう思うと妙に安心出来た。
と同時に冷静な判断力も戻ってくる。今までは戦闘中、ただ震えているだけだったけれど、今は……。
「守られてばかりじゃいけないわよね。何もしないよりは何かをした方が前進できるはず。私に出来る事をやってみなきゃ!」
自分に言い聞かせてみると、漲ってくる勇気。キラも、ミリアリアも、その友達も皆頑張っている。私も……!!
戦闘が一段落したかと思われる頃、私は意を決して部屋を飛び出し、ミリアリア達のいる場所へと走り出した。
恋は女を強くする、と言うけれど、まさか自分に当てはまってしまうとは。口元に浮かぶ笑みを隠しきれず走っている私は、端から見ればさぞかし怪しかっただろう。それ程に私は幸せを感じていたのだった。
ひょっとしたらこれをきっかけに、コーディネーターとしての私の存在を否定してきた過去を捨て、自分自身を認められるかもしれない。まだ何が出来るかなんて事は分からないけれど、とにかくやってみたい。
心が逸った。
そろそろ軍人専用ブロックに辿り着こうかと言う時。争っているような声が聞こえて足を止めた。
角を曲がってみると、そこには二人の少女が向かい合っていた。一人は物凄い剣幕で怒鳴り散らしている。もう一人はミリアリアで、少し困ったような顔をしながらも大人しく目の前の少女の怒りを受け止めていた。
「ミリ……」
声をかけようとした時、耳にしてしまった言葉。
「コーディネーターなんて、皆殺してしまわなきゃ! そうよ、キラが私を守ってくれる。キラが敵を皆殺してくれるんだもの。キラは殺さなきゃいけないのよ!!」
背筋が凍った。
――この子は何を言ってるの?
――何でキラが貴女を守るの?
――何でキラが殺さなきゃいけないの?
頭の中が真っ白になった。
何も考えられない。怒りも悲しみもなかった。そこにあるのは、ただ一つの願い。
「消さなきゃ……」
私はゆっくりとその少女の元へと歩いた。
「サラ!? こんな所までどうしたの?今は戦闘中だから一般人は各自部屋に……サラ?」
ミリアリアの声が聞こえた。でも、答えようという意識すら生まれてこない。
「消さなきゃ……こんな事、あっちゃいけないもの」
「な、何よあんたは!」
「サラ!? フレイに何を……!?」
つい、と私の手が少女の頭に触れた。ミリアリアにフレイと呼ばれた少女の頭を数回撫でる。
「消しなさい。そんな思いは。いらない物だから」
「ちょ……何を……」
フレイが動揺しているのが分かる。でも、消さなきゃ。
「消しなさい」
「サラっ!!」
パシーンッ!
激しい痛みと音に、我に返る。
驚いて目を瞬かせると、そこにはキラが立っていた。
この痛みは……キラに叩かれた?鈍い痛みが少しずつはっきりとしてくると、同時に流れ出す涙。
「駄目だよ、サラ」
「キラ……」
キラが、怒っている。
キラが目の前にいる。
私の能力のせいで力が抜け、へたり込んでしまったフレイ。
フレイを介抱しながらも、私を気遣ってくれているミリアリア。
彼女たちの存在を認識していながらも、私は我慢できなくなってキラに飛びついた。
「サラ!?」
「キラ……キラ……っ!」
「サラ、どうしたんだよ? サラ?」
「キラ……貴方は守るだけで良い。殺さなくて良いんだからね。貴方は人殺しじゃないんだから。殺さなくて良いんだよ」
「サラ……?」
「何で……どうしてキラが……コーディネーターもナチュラルも人間には変わりないのに。それなのに……っ!」
嗚咽が止まらない。
キラが戸惑いながらも私を慰めようとしてくれているのが分かった。でも、涙は止めどなく流れ続ける。
「ごめんね。私はここでは貴方の力にはなれない……ごめんね、無力で……」
「そんな……気にすること無いよ。君は戦わなくて良いんだから」
「ううん……ううん、私は逃げてるの。私も戦わなきゃいけないのに。他人に任せて、私は逃げてるの」
「サラ……」
「ごめんね、キラ。ごめんね、ミリアリア」
キラを抱きしめながら、私はひたすら泣き続けた。戦闘配備の警報が流れ、キラが呼び出しを受ける瞬間まで。