この想いは罪ですか?(キラ)
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それから数日が過ぎ。
ミリアリアとは廊下で何度かすれ違った物の、キラとは全く顔を合わせる機会がなかった。
どうやらモビルスーツのメンテナンスか何かで忙しいらしい。時折時間をずらして食堂に行ったりもしてみたのだが、肩すかしを食らい続けている。
たった一度顔を合わせただけの少年に、こんなに心を動かされている自分が不思議だった。
自分と同じコーディネーターだから? ううん、そうじゃない。
だったら何?……分からない。
「あ~~っもう! 私ってば何やってんだか!!」
どすどすと足を踏みならしながら休憩室へと向かう。
艦の中には、いくつかの休憩室が設けられていた。時と場合によっては救護室にもなるこの部屋。今は傷病者もなく、艦の人間の憩いの場となっている。
軍人以外の者は自分の部屋か、この休憩室のみ自由に行動を許されていた。
がちがちに制限された中での自由。檻に入れられたような気分ではあったが、この状況では仕方ないと諦め、最近では休憩室で友達を作り、時間を潰すことを覚えた。
ミリアリアはそんな時知り合った友達である。
「このもやもやを、誰かにマシンガントークでぶつけてやる~~!」
今日もまた、休憩室で友達に迷惑をかけつつ時間を潰してやる! と勢いよく部屋に入った瞬間目にしたのは……。
「キラ……君!?」
「サラさん」
もやもやの原因となっているキラが一人、くつろいでいる姿だった。
「キラ君、どうしてこのブロックの休憩室にいるの?」
動揺しつつも、せっかくのチャンスを逃がしてなるものか! と声をかける。
実際の所、こんな所でキラと出会うとは思いもしなかった。このブロックの休憩室には、めったに軍人が来ることはない。なぜなら司令室や軍事施設のあるブロックから最も遠く、不便だから。
ミリアリアとここで会ったのは、ミリアリアに懐いている子供がこのブロックにいるため、時折わざわざ足を運んでいたから。よっぽどの事がない限り、こんな所まで足を運ぶ軍人はいない。
「こんな所で会うなんて思ってもみなかったよ」
「サラさんに会いたかったんだ」
「え……?」
いきなりの爆弾発言に、度肝を抜かれた。不覚にもドキドキしてしまう。多分今の私の顔は真っ赤になっている事だろう。
「ちょ……キラ君ってば、からかわないでよ~」
「からかってなんかいませんよ。僕と同じ状況のコーディネーターに会えたのが嬉しくて……」
「あ、なるほど」
ちょっとがっかり。
そうだよね。彼がまだ会ったばかりの私を意識してくれるはずなんてないものね。
あからさまに肩を落とす私に、キラが首を傾げる。
「……僕、何か変な事言いました?」
「ううん、違うの。勝手に一人で暴走しちゃっただけ」
「はぁ?」
「あぁ、気にしないで。それより確かにコーディネーターとこんな所で会う事になるとは思ってなかったわね。私も嬉しいよ」
「サラさんは、どうしてへリオポリスにいたんですか?」
「サラでいいよ。私は戦争が嫌で、一度はプラントに行ってたんだけど戻って来たの」
「じゃぁサラ……は、第一世代? 僕と同じだ」
「キラ君もなの? ふふ。ますます親近感覚えちゃう」
普通に生活をしてはいても、めったにコーディネーターとお目にかかれないへリオポリスでは、どうしても孤独感が募る。その気持ちは、どんなに仲の良い友達が出来ても分かってはもらえない。基本は同じでも、やはり『ナチュラル』と『コーディネーター』は違うから。
だからこそ、こうして本当の仲間を見つけた喜びは大きかった。
その喜びが、自然に話を弾ませる。気が付けば小一時間が過ぎようとしていた。
「いけない。そろそろ戻らなきゃまた少尉に怒られるよ」
「あの人いっつも怒ってるみたいね」
「そうなんだよな~。考えてみたら、まだ笑顔って見たことないかも」
「そりゃ筋金入りだわね」
同じ顔を思い浮かべながら、笑顔を交わす。短い時間で交わされた言葉が、私達の心を近づけてくれた気がして幸せだった。胸の中一杯に広がる暖かさが心地良い。
「それじゃ、僕は行きますね」
「うん、楽しかったよ。ありがとう。……あのね、キラ君」
「何ですか?」
「また……こうして二人でおしゃべりできるかな?」
我ながら大胆だとは思いながらも、言ってみる。内心断られる恐怖でドキドキしていたけれど。
「もちろん。でも今度は僕のこともキラって呼んで下さいね」
「……うんっ!」
恐怖は一瞬で拭い去られ、嬉しさで一杯になる。まさかこんな返事が返ってくるだなんて。
しかも『キラ』と呼んでもいい、と。
思わず緩んでしまいそうになる頬を必死に引き締めながら、私はキラを見送った。
「じゃあまた、サラ」
「うん、またね、キラ」
別れは嫌いだけど、次の約束のある別れは嫌いじゃない。
『また』という言葉にときめきを覚えながら、キラの姿が見えなくなるまで、私は廊下で手を振り続けた。
ミリアリアとは廊下で何度かすれ違った物の、キラとは全く顔を合わせる機会がなかった。
どうやらモビルスーツのメンテナンスか何かで忙しいらしい。時折時間をずらして食堂に行ったりもしてみたのだが、肩すかしを食らい続けている。
たった一度顔を合わせただけの少年に、こんなに心を動かされている自分が不思議だった。
自分と同じコーディネーターだから? ううん、そうじゃない。
だったら何?……分からない。
「あ~~っもう! 私ってば何やってんだか!!」
どすどすと足を踏みならしながら休憩室へと向かう。
艦の中には、いくつかの休憩室が設けられていた。時と場合によっては救護室にもなるこの部屋。今は傷病者もなく、艦の人間の憩いの場となっている。
軍人以外の者は自分の部屋か、この休憩室のみ自由に行動を許されていた。
がちがちに制限された中での自由。檻に入れられたような気分ではあったが、この状況では仕方ないと諦め、最近では休憩室で友達を作り、時間を潰すことを覚えた。
ミリアリアはそんな時知り合った友達である。
「このもやもやを、誰かにマシンガントークでぶつけてやる~~!」
今日もまた、休憩室で友達に迷惑をかけつつ時間を潰してやる! と勢いよく部屋に入った瞬間目にしたのは……。
「キラ……君!?」
「サラさん」
もやもやの原因となっているキラが一人、くつろいでいる姿だった。
「キラ君、どうしてこのブロックの休憩室にいるの?」
動揺しつつも、せっかくのチャンスを逃がしてなるものか! と声をかける。
実際の所、こんな所でキラと出会うとは思いもしなかった。このブロックの休憩室には、めったに軍人が来ることはない。なぜなら司令室や軍事施設のあるブロックから最も遠く、不便だから。
ミリアリアとここで会ったのは、ミリアリアに懐いている子供がこのブロックにいるため、時折わざわざ足を運んでいたから。よっぽどの事がない限り、こんな所まで足を運ぶ軍人はいない。
「こんな所で会うなんて思ってもみなかったよ」
「サラさんに会いたかったんだ」
「え……?」
いきなりの爆弾発言に、度肝を抜かれた。不覚にもドキドキしてしまう。多分今の私の顔は真っ赤になっている事だろう。
「ちょ……キラ君ってば、からかわないでよ~」
「からかってなんかいませんよ。僕と同じ状況のコーディネーターに会えたのが嬉しくて……」
「あ、なるほど」
ちょっとがっかり。
そうだよね。彼がまだ会ったばかりの私を意識してくれるはずなんてないものね。
あからさまに肩を落とす私に、キラが首を傾げる。
「……僕、何か変な事言いました?」
「ううん、違うの。勝手に一人で暴走しちゃっただけ」
「はぁ?」
「あぁ、気にしないで。それより確かにコーディネーターとこんな所で会う事になるとは思ってなかったわね。私も嬉しいよ」
「サラさんは、どうしてへリオポリスにいたんですか?」
「サラでいいよ。私は戦争が嫌で、一度はプラントに行ってたんだけど戻って来たの」
「じゃぁサラ……は、第一世代? 僕と同じだ」
「キラ君もなの? ふふ。ますます親近感覚えちゃう」
普通に生活をしてはいても、めったにコーディネーターとお目にかかれないへリオポリスでは、どうしても孤独感が募る。その気持ちは、どんなに仲の良い友達が出来ても分かってはもらえない。基本は同じでも、やはり『ナチュラル』と『コーディネーター』は違うから。
だからこそ、こうして本当の仲間を見つけた喜びは大きかった。
その喜びが、自然に話を弾ませる。気が付けば小一時間が過ぎようとしていた。
「いけない。そろそろ戻らなきゃまた少尉に怒られるよ」
「あの人いっつも怒ってるみたいね」
「そうなんだよな~。考えてみたら、まだ笑顔って見たことないかも」
「そりゃ筋金入りだわね」
同じ顔を思い浮かべながら、笑顔を交わす。短い時間で交わされた言葉が、私達の心を近づけてくれた気がして幸せだった。胸の中一杯に広がる暖かさが心地良い。
「それじゃ、僕は行きますね」
「うん、楽しかったよ。ありがとう。……あのね、キラ君」
「何ですか?」
「また……こうして二人でおしゃべりできるかな?」
我ながら大胆だとは思いながらも、言ってみる。内心断られる恐怖でドキドキしていたけれど。
「もちろん。でも今度は僕のこともキラって呼んで下さいね」
「……うんっ!」
恐怖は一瞬で拭い去られ、嬉しさで一杯になる。まさかこんな返事が返ってくるだなんて。
しかも『キラ』と呼んでもいい、と。
思わず緩んでしまいそうになる頬を必死に引き締めながら、私はキラを見送った。
「じゃあまた、サラ」
「うん、またね、キラ」
別れは嫌いだけど、次の約束のある別れは嫌いじゃない。
『また』という言葉にときめきを覚えながら、キラの姿が見えなくなるまで、私は廊下で手を振り続けた。