想いを伝えて(イザーク)
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呼吸の仕方を忘れたイザークの目の前には、少し拗ねた顔のサラ。
「イザークは呆れてるけど、私は真剣だもん。ため息なんかついて欲しくない」
そう言いながら、側に置いていた鞄をごそごそと探って本を取り出す。
「はい、お誕生日おめでとう!」
その本で軽くイザークの頭を叩く。瞬間、思いだしたように呼吸をし始めたイザークは、パニック状態で。
「い、いいい今、キ……!」
「イザークが欲しいって言ってた本だよ。それとももう買っちゃってる?」
「いや、それは、未だだが……」
「良かった。受け取ってね、イザーク」
イザークが何に動揺しているのかを全く理解していないのか、先ほど触れたサラの唇が紡ぐのは、いつも通りの無邪気な言葉。勢いに押されてとりあえず本を受け取ったものの、素直に喜べる状態ではない。
するとその反応に不満を覚えたのだろう。サラが言った。
「ひょっとして、嬉しくない?」
「いや……決してそういうことでは……」
「じゃぁ、嬉しかったんだよね?」
確認するように覗き込みながら顔を近付けるサラ。
「ね? イザーク」
自然と視線が惹きつけられてしまうサラの唇がイザークの名を紡ぐ。その瞬間、理性がガラガラと崩れ落ちた。
「……っ、サラ!!」
「え……? きゃっ!」
強く腕を掴まれ、腕の中に引き寄せられる。イザークの手がサラの顎を固定すれば、視線の先には真剣な眼差しがあった。
「……イザーク?」
「お前というやつは……今年どころか、俺の人生で一番インパクトのあるプレゼントだったぞ」
「ほんと!?」
「ああ、本当だ」
イザークの顔が、ゆっくりとサラに近付く。
「初めてキスを交わしたのが俺の誕生日。しかもきっかけはサラから。こんなにも大胆でインパクトのあるプレゼントなど、一度たりとも無かったからな」
「え……と、あれ? プレゼントはそっちじゃなくて、本──」
二度目のキスは、イザークから。息をする事を許されないほどに情熱的なキスが、サラに与えられた。
「ん……っ、イザ……っ」
紡ぎきれなかった名前はそのままイザークの中へと吸い込まれ、熱く蕩ける。やがてサラの瞳までも蕩けた頃、イザークが言った。
「だが足りないな」
「……え? 何が……?」
「本来ならキスより先に言うべきプレゼントがあるだろうが」
「言うべき……?」
言葉の意味を確認しようとイザークを見上げれば、期待の眼差し。
そこでようやく気付く。
誰よりも自分のプレゼントを印象に残したくて。どさくさに紛れてキスまでしていながら、今まで一度も口にできていなかった言葉。それをサラが口にするのを、今この瞬間、イザークが待っている。
「……イザーク」
促されたのだから、覚悟なんていらない。柔らかな微笑みを浮かべ、サラは言った。
「お誕生日おめでとう……大好き」
照れの混ざった語尾は小さくなってしまったけれど。その言葉ははっきりとイザークに届き、優しい笑みを浮かばせた。
〜FIN〜
「イザークは呆れてるけど、私は真剣だもん。ため息なんかついて欲しくない」
そう言いながら、側に置いていた鞄をごそごそと探って本を取り出す。
「はい、お誕生日おめでとう!」
その本で軽くイザークの頭を叩く。瞬間、思いだしたように呼吸をし始めたイザークは、パニック状態で。
「い、いいい今、キ……!」
「イザークが欲しいって言ってた本だよ。それとももう買っちゃってる?」
「いや、それは、未だだが……」
「良かった。受け取ってね、イザーク」
イザークが何に動揺しているのかを全く理解していないのか、先ほど触れたサラの唇が紡ぐのは、いつも通りの無邪気な言葉。勢いに押されてとりあえず本を受け取ったものの、素直に喜べる状態ではない。
するとその反応に不満を覚えたのだろう。サラが言った。
「ひょっとして、嬉しくない?」
「いや……決してそういうことでは……」
「じゃぁ、嬉しかったんだよね?」
確認するように覗き込みながら顔を近付けるサラ。
「ね? イザーク」
自然と視線が惹きつけられてしまうサラの唇がイザークの名を紡ぐ。その瞬間、理性がガラガラと崩れ落ちた。
「……っ、サラ!!」
「え……? きゃっ!」
強く腕を掴まれ、腕の中に引き寄せられる。イザークの手がサラの顎を固定すれば、視線の先には真剣な眼差しがあった。
「……イザーク?」
「お前というやつは……今年どころか、俺の人生で一番インパクトのあるプレゼントだったぞ」
「ほんと!?」
「ああ、本当だ」
イザークの顔が、ゆっくりとサラに近付く。
「初めてキスを交わしたのが俺の誕生日。しかもきっかけはサラから。こんなにも大胆でインパクトのあるプレゼントなど、一度たりとも無かったからな」
「え……と、あれ? プレゼントはそっちじゃなくて、本──」
二度目のキスは、イザークから。息をする事を許されないほどに情熱的なキスが、サラに与えられた。
「ん……っ、イザ……っ」
紡ぎきれなかった名前はそのままイザークの中へと吸い込まれ、熱く蕩ける。やがてサラの瞳までも蕩けた頃、イザークが言った。
「だが足りないな」
「……え? 何が……?」
「本来ならキスより先に言うべきプレゼントがあるだろうが」
「言うべき……?」
言葉の意味を確認しようとイザークを見上げれば、期待の眼差し。
そこでようやく気付く。
誰よりも自分のプレゼントを印象に残したくて。どさくさに紛れてキスまでしていながら、今まで一度も口にできていなかった言葉。それをサラが口にするのを、今この瞬間、イザークが待っている。
「……イザーク」
促されたのだから、覚悟なんていらない。柔らかな微笑みを浮かべ、サラは言った。
「お誕生日おめでとう……大好き」
照れの混ざった語尾は小さくなってしまったけれど。その言葉ははっきりとイザークに届き、優しい笑みを浮かばせた。
〜FIN〜
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