想いを伝えて(イザーク)
名前変換はこちら
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ザフトにはバースデー休暇というものが存在している。
戦場で命をかけて戦う者達の心が少しでも安らぐよう、記念日には自由な時間が与えられていた。その日は誰もが家族や恋人と顔を合わせ、祝われ、殺伐とした中で生きている毎日をほんの少し忘れるのだ。
そしてもちろんイザークもその例外ではない。
バースデー当日の朝、イザークは帰宅した。
「ただいま帰りました。母上」
「お帰りなさい。イザーク。今日はゆっくりしていきなさいね」
「はい、ありがとうございます」
ここのところ任務に追われ、家に帰ってきたのは一ヶ月ぶりのイザーク。だが久しぶりに戻った自室は、自分が出かけたとき以上に綺麗に片付けられている。毎日欠かさず掃除されていたため、塵一つ落ちてはいなかった。
「さて……と」
荷物を所定の位置に置くと、早速ベッドの上に視線を向ける。山積みになったプレゼントは、今にもベッドから落ちそうになっていた。
いくつになっても、プレゼントというのは嬉しいモノだ。
普段は誰にも見せない年相応の笑みを浮かべ、イザークは一つ一つプレゼントを開けていく。
「ほう、これはニコルからか。さすがに良い趣味をしているな」
「なんだこれは?……やっぱりアスランか……あいつのセンスは未だに全く分からん」
「……ディアッカ、覚えてろよ!」
一つ一つのプレゼントに一喜一憂、時には文句を付けながらも、笑顔が消えることはない。それはイザークにとって至福のひと時だった。
だが──
「イザーク、食事にしましょう」
お昼時。
エザリアに呼ばれて食堂に来たイザークは、何故か少し寂しそうな表情をしていた。
その表情に、イザークを溺愛しているエザリアが反応しないはずがない。
「どうしたのです? そんな顔をして……何かあったのですか?」
「いえ、何も……」
「何もないならどうしてそんなに寂しそうな顔をしているのです? せっかくのお誕生日だというのに。何か悩みがあるのなら言ってご覧なさい」
まっすぐにイザークを見つめ、問いかける母に隠し事など出来ない。少しためらいながらも、イザークは言った。
「サラから、何か連絡はありましたでしょうか?」
「サラちゃん? いいえ、何もないけれど。サラちゃんがどうかしたのですか?」
「いえ、何でもありません」
ご心配おかけしましたと付け加えたイザークの表情は、すぐにいつも通りとなる。それが無理に作られているものだと分かってはいたが、エザリアもそれ以上突っ込んで聞こうとはしない。
「では食事にしましょう。三時からは貴方のバースデーパーティーを開きますから、食べ終わったらすぐに準備をなさいね。スーツはクローゼットに用意しておきました」
「はい。分かりました。母上」
何事もなかったように始まった昼食は、食器の当たる音ばかりが耳に響いていた。
戦場で命をかけて戦う者達の心が少しでも安らぐよう、記念日には自由な時間が与えられていた。その日は誰もが家族や恋人と顔を合わせ、祝われ、殺伐とした中で生きている毎日をほんの少し忘れるのだ。
そしてもちろんイザークもその例外ではない。
バースデー当日の朝、イザークは帰宅した。
「ただいま帰りました。母上」
「お帰りなさい。イザーク。今日はゆっくりしていきなさいね」
「はい、ありがとうございます」
ここのところ任務に追われ、家に帰ってきたのは一ヶ月ぶりのイザーク。だが久しぶりに戻った自室は、自分が出かけたとき以上に綺麗に片付けられている。毎日欠かさず掃除されていたため、塵一つ落ちてはいなかった。
「さて……と」
荷物を所定の位置に置くと、早速ベッドの上に視線を向ける。山積みになったプレゼントは、今にもベッドから落ちそうになっていた。
いくつになっても、プレゼントというのは嬉しいモノだ。
普段は誰にも見せない年相応の笑みを浮かべ、イザークは一つ一つプレゼントを開けていく。
「ほう、これはニコルからか。さすがに良い趣味をしているな」
「なんだこれは?……やっぱりアスランか……あいつのセンスは未だに全く分からん」
「……ディアッカ、覚えてろよ!」
一つ一つのプレゼントに一喜一憂、時には文句を付けながらも、笑顔が消えることはない。それはイザークにとって至福のひと時だった。
だが──
「イザーク、食事にしましょう」
お昼時。
エザリアに呼ばれて食堂に来たイザークは、何故か少し寂しそうな表情をしていた。
その表情に、イザークを溺愛しているエザリアが反応しないはずがない。
「どうしたのです? そんな顔をして……何かあったのですか?」
「いえ、何も……」
「何もないならどうしてそんなに寂しそうな顔をしているのです? せっかくのお誕生日だというのに。何か悩みがあるのなら言ってご覧なさい」
まっすぐにイザークを見つめ、問いかける母に隠し事など出来ない。少しためらいながらも、イザークは言った。
「サラから、何か連絡はありましたでしょうか?」
「サラちゃん? いいえ、何もないけれど。サラちゃんがどうかしたのですか?」
「いえ、何でもありません」
ご心配おかけしましたと付け加えたイザークの表情は、すぐにいつも通りとなる。それが無理に作られているものだと分かってはいたが、エザリアもそれ以上突っ込んで聞こうとはしない。
「では食事にしましょう。三時からは貴方のバースデーパーティーを開きますから、食べ終わったらすぐに準備をなさいね。スーツはクローゼットに用意しておきました」
「はい。分かりました。母上」
何事もなかったように始まった昼食は、食器の当たる音ばかりが耳に響いていた。