『いつか』より『今』を(ムウ)
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「最初はね、単なる仲間の一人だと思ってた。でも何度も声をかけられている内に、気がついたら目で追ってて、視界の中にいないと不安になってたの」
「……」
「仲間を失う度に、いつかムウも……って考えてしまって怖くなった。戦場で死んだら、もう二度とムウに会えなくなるんだと思って苦しくなった」
「ああ」
「ここにきてようやく、それがムウにだけの特別な気持ちだったことに気付いたの。でも伝えるにはなかなか勇気が出なくて、こうして遠回しな方法を選んだんだけど……」
「それでも俺は、サラの口からちゃんと聞きたい」
「うん……私、ムウが好き……だよ」
求められ、精一杯の勇気で想いを伝える。それに応えるように指でサラの唇をもう一度なぞった。
「やっ〜と聞かせてくれたな。ここまでほんっと長かったよ」
「ごめんなさい……ムウはずっと想いを伝えてくれてたのに……」
「ああ、謝るなって。お前は何も悪いことなんかしてないだろ? 自分の気持ちに気付いて言葉にしてくれたんだ。俺は嬉しかったぜ。ありがとな」
「ムウ……」
感謝の言葉を受けてホッとしたのだろう。腕の中でガチガチになっていたサラの緊張が緩む。それに気付いたムウがすかさず唇を重ねると、サラが「んっ……」と鼻にかかった甘い吐息を漏らした。
「良い反応してくれるねぇ。……ますます好きになっちまう」
そう囁くムウの顔に浮かんでいるのは、いかにサラを想っているかが分かる、幸せな微笑みだった。
一方サラはというと、ムウとの初めてのキスがマフィンの味だったこともあり、幸せの中にも小さな笑いがこみ上げていた。そのお陰で心に余裕ができたのか、ムウのキスに酔いしれながらもあの言葉を思い出す。
【存在の不確かな『いつか』より、確かな『今』を】
ーーそう考えるようになったのは、ムウへの想いに気付いて、いつかこの気持ちを伝えたいと思うようになったからだっけ。でも先延ばしにしていたら、ムウにも新しい想い人が出来てしまうかもしれないって不安だったんだよね。だから……。
「今、伝えられて良かった」
あの時の答えが明確になった今、ムウの腕に抱きしめられたサラの心は晴れやかだった。
〜了〜
「……」
「仲間を失う度に、いつかムウも……って考えてしまって怖くなった。戦場で死んだら、もう二度とムウに会えなくなるんだと思って苦しくなった」
「ああ」
「ここにきてようやく、それがムウにだけの特別な気持ちだったことに気付いたの。でも伝えるにはなかなか勇気が出なくて、こうして遠回しな方法を選んだんだけど……」
「それでも俺は、サラの口からちゃんと聞きたい」
「うん……私、ムウが好き……だよ」
求められ、精一杯の勇気で想いを伝える。それに応えるように指でサラの唇をもう一度なぞった。
「やっ〜と聞かせてくれたな。ここまでほんっと長かったよ」
「ごめんなさい……ムウはずっと想いを伝えてくれてたのに……」
「ああ、謝るなって。お前は何も悪いことなんかしてないだろ? 自分の気持ちに気付いて言葉にしてくれたんだ。俺は嬉しかったぜ。ありがとな」
「ムウ……」
感謝の言葉を受けてホッとしたのだろう。腕の中でガチガチになっていたサラの緊張が緩む。それに気付いたムウがすかさず唇を重ねると、サラが「んっ……」と鼻にかかった甘い吐息を漏らした。
「良い反応してくれるねぇ。……ますます好きになっちまう」
そう囁くムウの顔に浮かんでいるのは、いかにサラを想っているかが分かる、幸せな微笑みだった。
一方サラはというと、ムウとの初めてのキスがマフィンの味だったこともあり、幸せの中にも小さな笑いがこみ上げていた。そのお陰で心に余裕ができたのか、ムウのキスに酔いしれながらもあの言葉を思い出す。
【存在の不確かな『いつか』より、確かな『今』を】
ーーそう考えるようになったのは、ムウへの想いに気付いて、いつかこの気持ちを伝えたいと思うようになったからだっけ。でも先延ばしにしていたら、ムウにも新しい想い人が出来てしまうかもしれないって不安だったんだよね。だから……。
「今、伝えられて良かった」
あの時の答えが明確になった今、ムウの腕に抱きしめられたサラの心は晴れやかだった。
〜了〜
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