全ての敵を殲滅してAAに帰艦した早々、サラが駆け込んだのは食堂だった。

「おばちゃん、出来てる！？」

　パイロットスーツすら脱がず厨房に入ると、そこにはいつもの笑顔でサラを迎えてくれる食堂のおばさん。

「大丈夫だよ、ばっちりさ」

　満面の笑顔で親指を立てるおばさんに、サラもやったね！　と嬉しそうな笑顔を見せる。その厨房の中は、とても美味しそうな匂いで一杯になっていた。

「ごめんね。戦闘が無かったら、ちゃんと焼き加減の確認まで自分でしてたんだけど……」
「バカ言いなさんな。焼きはあたしでも見られるけど、戦いはあんたしかできないんだ。命を張ってあたしたちを守ってくれてるんだし、このくらいさせとくれよ」
「おばちゃ〜ん」

　大げさに感動を表現するサラに、おばさんはホレホレとそれを差し出す。

「あったかいうちに持っていっておあげ。頑張りなよ」
「うん！　ありがとっ！！」

　少し頬を赤らめつつ、それでも満面の笑顔で受け取ったサラは、厨房から走り出た。
　目指すは一路、あの人の部屋。
　戦闘中ですらありえない特別な緊張を感じながら、サラは目的地へと一心不乱に走った。