仮面の告白(ラウ)
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「いつまでそんな生き方を続ける気なの?」
ソファーに座り、雑誌をパラパラとめくりながらサラは言った。
そのすぐ後ろでは、ラウがテーブルから薬を取り出している。苦しそうな息づかいが聞こえてはいたが、サラが振り返ることはない。
「そんな物、一時的な解決策でしかないじゃない」
ペラペラと紙をめくる音から察するに、サラの目はあまり雑誌の内容など追ってはいないのだろう。やがてパシッと小気味良い音がしたかと思うと、雑誌はテーブルの上に投げ出されていた。
「いい加減この薬を調合するのも飽き飽きしてるんだけど」
サラの手にいつの間にか握られていた小さなケース。
「こんな物……」
開くと中には、たった今ラウが口に含んだ薬と同じカプセルがぎっしりと詰まっていた。
その中の一つを取り出し、そっとカプセルを開ける。支えを失ったいくらかの粉が、サラの膝の上にぽろぽろと落ちた。
「君には感謝しているよ」
薬が効き始めたのか、まだ少し息は上がっている物のはっきりとした口調で言ったのはラウ。ガチャガチャと聞こえるのは、薬を取り出す際に引っかき回した引き出しの中を片付けている音だろう。几帳面なこの男の引き出しが乱れているところを、サラが見たことは一度もない。
「君がいてくれるから、私はこうして今の地位にいられるのだからね」
「ふん、心にも無いこと言うなってのよ」
持っていたカプセルの粉を、手の中に落とす。サラサラと流れ出る粉は、誰が見ても普通の粉薬。だがそれは、一般の人間には決して手に入れることの出来ない成分がぎっしりと詰まっていた。
「今の薬じゃそろそろ体にも耐性が出来て、長保ちしなくなってるだろうからね。少し効果を上げておいた。一応人体実験はしてるけど、いつも通り保証はないからね」
「分かった。感謝する」
ゆっくりと後ろから近付く気配。やがてソファ越しに延ばされた手が、薬で一杯に満たされたケースに触れた。
目の前を通り過ぎ、視界から消えていくケースを目で追いながらサラが考えていたのは、この男の行く末。
「こんな物に頼って、今の地位に縋って……あんたは一体何をしたいのよ」
「別に地位に縋っているわけではないよ。ただ、今自分が出来ることをするためには都合が良いのでね」
「嘘つきもここまで行くと立派なもんだわ」
「君はずいぶん疑り深いようだな」
「私は簡単に騙されるほど鈍くはないんでね。でもまぁ好きにすれば良いわ。あんたの人生なんだから」
心とは裏腹に、きつい言葉ばかりが口をついて出てしまう。
ザフトで出会った時から、サラとラウの関係はずっとこの調子だった。
ソファーに座り、雑誌をパラパラとめくりながらサラは言った。
そのすぐ後ろでは、ラウがテーブルから薬を取り出している。苦しそうな息づかいが聞こえてはいたが、サラが振り返ることはない。
「そんな物、一時的な解決策でしかないじゃない」
ペラペラと紙をめくる音から察するに、サラの目はあまり雑誌の内容など追ってはいないのだろう。やがてパシッと小気味良い音がしたかと思うと、雑誌はテーブルの上に投げ出されていた。
「いい加減この薬を調合するのも飽き飽きしてるんだけど」
サラの手にいつの間にか握られていた小さなケース。
「こんな物……」
開くと中には、たった今ラウが口に含んだ薬と同じカプセルがぎっしりと詰まっていた。
その中の一つを取り出し、そっとカプセルを開ける。支えを失ったいくらかの粉が、サラの膝の上にぽろぽろと落ちた。
「君には感謝しているよ」
薬が効き始めたのか、まだ少し息は上がっている物のはっきりとした口調で言ったのはラウ。ガチャガチャと聞こえるのは、薬を取り出す際に引っかき回した引き出しの中を片付けている音だろう。几帳面なこの男の引き出しが乱れているところを、サラが見たことは一度もない。
「君がいてくれるから、私はこうして今の地位にいられるのだからね」
「ふん、心にも無いこと言うなってのよ」
持っていたカプセルの粉を、手の中に落とす。サラサラと流れ出る粉は、誰が見ても普通の粉薬。だがそれは、一般の人間には決して手に入れることの出来ない成分がぎっしりと詰まっていた。
「今の薬じゃそろそろ体にも耐性が出来て、長保ちしなくなってるだろうからね。少し効果を上げておいた。一応人体実験はしてるけど、いつも通り保証はないからね」
「分かった。感謝する」
ゆっくりと後ろから近付く気配。やがてソファ越しに延ばされた手が、薬で一杯に満たされたケースに触れた。
目の前を通り過ぎ、視界から消えていくケースを目で追いながらサラが考えていたのは、この男の行く末。
「こんな物に頼って、今の地位に縋って……あんたは一体何をしたいのよ」
「別に地位に縋っているわけではないよ。ただ、今自分が出来ることをするためには都合が良いのでね」
「嘘つきもここまで行くと立派なもんだわ」
「君はずいぶん疑り深いようだな」
「私は簡単に騙されるほど鈍くはないんでね。でもまぁ好きにすれば良いわ。あんたの人生なんだから」
心とは裏腹に、きつい言葉ばかりが口をついて出てしまう。
ザフトで出会った時から、サラとラウの関係はずっとこの調子だった。
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