リボンをかけて(イザーク)
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「はぁ……こんなにお父さんが壊れたのは久しぶりだ……やっぱこの姿で来るんじゃなかったかな~」
いつものようにガシガシと頭をかこうとして、手に触れたリボンではっとする。いけないいけない。
『今日の私は、もう一人の素直な私』
親友からもらった呪文を、改めて自分にかける。
「ごめんね、イザーク。あんなお父さんを見るのは初めてでしょ? 驚いた?」
愛されちゃってるからね~、と苦笑する私を、イザークは間の抜けた顔で見つめている。
そんなに驚いたのかな?
それともおかしな親子だと呆れてる?
いつもなら私を見かけると、何で民間人がここにいる! と怒鳴りつけてくる彼に、今日はまだ一度も怒声を浴びせられていない。
怒鳴られたいわけではないが、こう何も言ってもらえないと不安が募ってーー。
「イザーク……?」
私は、おずおずとイザークの顔の前に手を伸ばした。あまりの驚きで放心状態なら、目の前で手を振れば正気に戻ってくれるかな? なんて思ったから。
でも手を振る前に、伸ばした私の手はイザークに掴まれていた。
「サラ……本当にサラなんだな?」
「そう……だよ……?」
私以外の何者でもないんだけど。
変な質問をしてくるなぁと思いつつ、イザークの瞳が真剣だったので、笑い飛ばすこともできなかった。
「あの……私、何かおかしい?」
ひょっとして、普段しない格好をしている私を見て、あまりにも不格好だと思っているのかもしれない。そんな不安まで生まれてくる。
ところが、返ってきたのは私の全く予想していなかったモノで。
「……馬子にも衣装」
「な……っ!何よそれ!……ん?」
馬子にも衣装。
どんな人でも美しく着飾れば、立派な人間に見える……って事はひょっとして。
「似合って……る?」
「俺に聞くな!」
やっと怒鳴られた。
やっとというのもおかしな話だが、いつもと同じイザークの声。ただ一つ違ったのはーー。
「イザーク? 顔赤いよ?」
頬を真っ赤に染めて、そっぽを向いているイザーク。
普段から怒りっぽいイザークは、怒鳴るたびに顔を真っ赤にしていた。でも、それとは違うような気がする。
「イザーク……ひょっとして照れてる?」
「ばっ……!!そんな事あ……あるわけ……」
イザークがどもってる。あのイザークが……照れてる!?
「うっそ……」
「うるさいぞサラ! ったく……なんでこんな奴に……」
怒りながらぶつぶつと呟いているイザーク。
何だかいつもと勝手が違って、凄くおかしかった。
「こんな奴に、何?」
「うるさい五月蠅い煩い!!」
「何よ~! そこまで強く連呼する必要ないじゃない!」
「黙れ! あまりにも見慣れない姿に驚いただけだ。」
「じゃぁ似合ってないって事?」
「当たり前だ!!」
強く肯定されて、ズキリと胸が痛む。
似合ってない……か。やっぱりどんな呪文をかけてみたって、私は私。変わる事なんて出来ないんだな。
女らしさの欠片もない……イザークに異性として全く見てもらえない、がさつな人間。そこから抜け出す事なんて出来ない。
イザークが顔を赤らめてるのは、照れてるのかと思ったけど、私の自惚れでしかなかったようで。それに気付くと、さすがに私もいたたまれなくなってきた。
いつものようにガシガシと頭をかこうとして、手に触れたリボンではっとする。いけないいけない。
『今日の私は、もう一人の素直な私』
親友からもらった呪文を、改めて自分にかける。
「ごめんね、イザーク。あんなお父さんを見るのは初めてでしょ? 驚いた?」
愛されちゃってるからね~、と苦笑する私を、イザークは間の抜けた顔で見つめている。
そんなに驚いたのかな?
それともおかしな親子だと呆れてる?
いつもなら私を見かけると、何で民間人がここにいる! と怒鳴りつけてくる彼に、今日はまだ一度も怒声を浴びせられていない。
怒鳴られたいわけではないが、こう何も言ってもらえないと不安が募ってーー。
「イザーク……?」
私は、おずおずとイザークの顔の前に手を伸ばした。あまりの驚きで放心状態なら、目の前で手を振れば正気に戻ってくれるかな? なんて思ったから。
でも手を振る前に、伸ばした私の手はイザークに掴まれていた。
「サラ……本当にサラなんだな?」
「そう……だよ……?」
私以外の何者でもないんだけど。
変な質問をしてくるなぁと思いつつ、イザークの瞳が真剣だったので、笑い飛ばすこともできなかった。
「あの……私、何かおかしい?」
ひょっとして、普段しない格好をしている私を見て、あまりにも不格好だと思っているのかもしれない。そんな不安まで生まれてくる。
ところが、返ってきたのは私の全く予想していなかったモノで。
「……馬子にも衣装」
「な……っ!何よそれ!……ん?」
馬子にも衣装。
どんな人でも美しく着飾れば、立派な人間に見える……って事はひょっとして。
「似合って……る?」
「俺に聞くな!」
やっと怒鳴られた。
やっとというのもおかしな話だが、いつもと同じイザークの声。ただ一つ違ったのはーー。
「イザーク? 顔赤いよ?」
頬を真っ赤に染めて、そっぽを向いているイザーク。
普段から怒りっぽいイザークは、怒鳴るたびに顔を真っ赤にしていた。でも、それとは違うような気がする。
「イザーク……ひょっとして照れてる?」
「ばっ……!!そんな事あ……あるわけ……」
イザークがどもってる。あのイザークが……照れてる!?
「うっそ……」
「うるさいぞサラ! ったく……なんでこんな奴に……」
怒りながらぶつぶつと呟いているイザーク。
何だかいつもと勝手が違って、凄くおかしかった。
「こんな奴に、何?」
「うるさい五月蠅い煩い!!」
「何よ~! そこまで強く連呼する必要ないじゃない!」
「黙れ! あまりにも見慣れない姿に驚いただけだ。」
「じゃぁ似合ってないって事?」
「当たり前だ!!」
強く肯定されて、ズキリと胸が痛む。
似合ってない……か。やっぱりどんな呪文をかけてみたって、私は私。変わる事なんて出来ないんだな。
女らしさの欠片もない……イザークに異性として全く見てもらえない、がさつな人間。そこから抜け出す事なんて出来ない。
イザークが顔を赤らめてるのは、照れてるのかと思ったけど、私の自惚れでしかなかったようで。それに気付くと、さすがに私もいたたまれなくなってきた。