足りない言葉(アスラン悲恋)
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それから数日間の記憶が、アスランには無い。
覚えているのは、ザフトで行われた合同葬で、遺影の中にサラの姿を見つけた辺りから。
葬儀に参列したアスランの手には、直前に渡されたサラの遺品があった。
「ごめん、サラ……ごめ……」
頬を伝う涙が、ぽたりと手の中のカードに落ちる。
軍人の証であるIDカードには、少し寂しそうなサラの写真が印刷されていた。
そのカードに重なって、アスランの手の中にあるのは1通の手紙。そこに書かれていた内容は、アスランに大きな衝撃を与えた。
アスランへ
貴方にこの手紙が渡される頃には、私はこの世にいないんだろうね。
出来ることならこんな手紙、一緒に笑い話の種にしてしまいたかったけど。
多分無理なんだろうな。
あのね、アスラン。
私も半年前からザフトに入隊してたんだよ。
とは言っても、後方支援部隊だから、あまり人目に触れてはいなかったけど。
全然気付かなかったでしょ?
一応これでも運動神経だけは良い方だから、あっさり入隊できちゃったんだ。さすがに赤は着られなかったけど、なかなかのものでしょ?
血のバレンタインをきっかけに、私たちの生きる世界も、二人の関係も変わってしまった。それがずっと悲しかったの。
でもそんな風に感じてしまったのはきっと、私が悪いからだと思ってた。軍人として、コーディネーターを守ろうと戦っている貴方の苦しみ、悲しみを理解できていない私がいけないんだって。それなら少しでもアスランに近付いて、誰よりも近い目線で生きていきたいって思ったの。戦闘で人の命を奪うたびに辛そうな顔をしていたアスランの気持ちに、どんな事をしてでも近付きたかったの。
ごめんね、アスラン。
貴方が自分の中にある苦しみを私に見せないようにしてくれるのは、私を大切に思ってくれてくれてるからだって言うことには気付いてた。
それでも私は欲しかったの。
アスランの本音が。
分かち合いたかったの。
悲しみを。
だから今回私は、前線に志願します。
危険な任務だって言うことは聞かされました。でもこの任務にはアスランが関わっているって聞いたから。本当の意味で同じ場所に立てば、貴方ももう少し心を見せてくれるかな? なんて甘い考えを抱いてます。
任務を無事遂行できたら、今度こそ聞かせて欲しい。現在の貴方の心の内を。
もし本当に無事に帰れたら、この手紙は捨ててしまって、私の言葉で伝えるつもり。
でもそれが叶わなかったなら……。
いつか忘れてしまっても良いから。
少しの間だけ、貴方を想っていた人間がいたということを覚えておいて欲しい。
ごめんね、我が儘で。
それだけ貴方が大切だって言うことだけは分かってくれると嬉しい。
もっと早く伝えておけば良かったのかな。
貴方の言葉を待つだけじゃなくて、自分から。ほんと、私の言葉が足りなかったよね。
お互いの気持ちに気付いたあの時から、私の気持ちは全く変わっていません。
ずっとずっと、大好きだよ。
サラ・フユツキ
涙が止まらない。
良かれと思ってやってきた事が、サラを傷つけていた。その事実に胸が痛む。
「サラ……ごめん……ごめ……っ」
ぼろぼろと流れる涙が、IDカードだけでなくサラの手紙にもシミを作る。それすら構うことなく、アスランは泣き続けた。
「俺も変わってない……好きだったんだ……誰よりも君が大切だったんだ……ッ!」
まるで足りなかった言葉を補うかのように。
「サラ……っ!!」
悲痛な叫びがこだまする。
涙の泉は、未だ暫く涸れることは無い――。
~end~
覚えているのは、ザフトで行われた合同葬で、遺影の中にサラの姿を見つけた辺りから。
葬儀に参列したアスランの手には、直前に渡されたサラの遺品があった。
「ごめん、サラ……ごめ……」
頬を伝う涙が、ぽたりと手の中のカードに落ちる。
軍人の証であるIDカードには、少し寂しそうなサラの写真が印刷されていた。
そのカードに重なって、アスランの手の中にあるのは1通の手紙。そこに書かれていた内容は、アスランに大きな衝撃を与えた。
アスランへ
貴方にこの手紙が渡される頃には、私はこの世にいないんだろうね。
出来ることならこんな手紙、一緒に笑い話の種にしてしまいたかったけど。
多分無理なんだろうな。
あのね、アスラン。
私も半年前からザフトに入隊してたんだよ。
とは言っても、後方支援部隊だから、あまり人目に触れてはいなかったけど。
全然気付かなかったでしょ?
一応これでも運動神経だけは良い方だから、あっさり入隊できちゃったんだ。さすがに赤は着られなかったけど、なかなかのものでしょ?
血のバレンタインをきっかけに、私たちの生きる世界も、二人の関係も変わってしまった。それがずっと悲しかったの。
でもそんな風に感じてしまったのはきっと、私が悪いからだと思ってた。軍人として、コーディネーターを守ろうと戦っている貴方の苦しみ、悲しみを理解できていない私がいけないんだって。それなら少しでもアスランに近付いて、誰よりも近い目線で生きていきたいって思ったの。戦闘で人の命を奪うたびに辛そうな顔をしていたアスランの気持ちに、どんな事をしてでも近付きたかったの。
ごめんね、アスラン。
貴方が自分の中にある苦しみを私に見せないようにしてくれるのは、私を大切に思ってくれてくれてるからだって言うことには気付いてた。
それでも私は欲しかったの。
アスランの本音が。
分かち合いたかったの。
悲しみを。
だから今回私は、前線に志願します。
危険な任務だって言うことは聞かされました。でもこの任務にはアスランが関わっているって聞いたから。本当の意味で同じ場所に立てば、貴方ももう少し心を見せてくれるかな? なんて甘い考えを抱いてます。
任務を無事遂行できたら、今度こそ聞かせて欲しい。現在の貴方の心の内を。
もし本当に無事に帰れたら、この手紙は捨ててしまって、私の言葉で伝えるつもり。
でもそれが叶わなかったなら……。
いつか忘れてしまっても良いから。
少しの間だけ、貴方を想っていた人間がいたということを覚えておいて欲しい。
ごめんね、我が儘で。
それだけ貴方が大切だって言うことだけは分かってくれると嬉しい。
もっと早く伝えておけば良かったのかな。
貴方の言葉を待つだけじゃなくて、自分から。ほんと、私の言葉が足りなかったよね。
お互いの気持ちに気付いたあの時から、私の気持ちは全く変わっていません。
ずっとずっと、大好きだよ。
サラ・フユツキ
涙が止まらない。
良かれと思ってやってきた事が、サラを傷つけていた。その事実に胸が痛む。
「サラ……ごめん……ごめ……っ」
ぼろぼろと流れる涙が、IDカードだけでなくサラの手紙にもシミを作る。それすら構うことなく、アスランは泣き続けた。
「俺も変わってない……好きだったんだ……誰よりも君が大切だったんだ……ッ!」
まるで足りなかった言葉を補うかのように。
「サラ……っ!!」
悲痛な叫びがこだまする。
涙の泉は、未だ暫く涸れることは無い――。
~end~
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