足りない言葉(アスラン悲恋)
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その日の任務は、敵地に乗り込んでの白兵戦だった。
アスランやイザークを始めとするクルーゼ隊を先頭に、最初は問題なく敵を撃破して行けてはいたが、敵も然る者。最後の砦で苦戦を強いられていた。
激しい撃ち合いが続いていたが、このままでは埒があかない。瓦礫の山に身を潜めながら、どう攻めるべきかとアスラン達が相談していると、そこに数人の兵士達がやってきた。
「我々が突破口を開きます。」
兵士は皆緑を着ている。
先頭に立ってやって来た青年がザフトでもなかなか評価の高い人物と言うことで、アスラン達もそれを許す事にした。
「分かった。だが十分気を付けて行けよ。無駄死にだけはするな!」
「分かってます!」
力強く答えた青年は、すぐに仲間に指示を出し、突入を開始する。
彼らの姿を見送ろうとしたアスランだったが……ふとその中の一人を目にして、唖然とした。
「な……っ!」
そこには、決しているはずのない人。
こんな場所になど、いてはいけない人物。
「サラっ!?」
思わず叫んだアスランの声に反応し、兵士の一人が振り向く。だがすぐに踵を返すと、弾の飛び交う激戦区へと走り出した。
「サラ――っ!」
もう、アスランの声も届かない。
瓦礫と弾を器用に避けながら走り去るサラは、あっという間にアスランの視界から消えていった。
「何で……何でサラがこんな場所にいるんだっ!」
ガクリと膝を付く。あまりの驚きに放心状態になったアスランを、ニコルが気遣って声をかけたが、アスランの頭は完全にサラの事で埋め尽くされていた。
「サラ……どうして? 彼女がザフトに入っているなんて話、聞いてな……」
呟いてはっとする。
そう、アスランは聞いていなかったのだ。
サラの話を。
何も。
休暇の度に顔を合わせ、日々の他愛ない話をした。
幼かった頃の話もした。
でも――。
現在の話をしていない。
お互いの想いも、気持ちも。
何も、聞いていない。
「俺は、サラと……」
――その時。
ドウンッと耳を劈くような大音響が辺りを包み、同時に火柱が上がった。振り仰いだ先にあるのは、たった今サラ達が駆け込んでいった敵地。舞い上がる砂塵と吹き飛ばされそうな程に強い風が、爆発の物凄さを感じさせる。
「――っ!!」
瞬時に反応し、地に伏せてやり過ごした爆風が砂塵を吹き飛ばした後に残っていたのは、見るも無惨な残骸。新たに生まれた瓦礫の山は、生命の息吹を全く感じさせない無機質な物。
「サラッ!!」
誰が見ても分かる。
そこにはもう、生きた存在はない。
「そ……んな、サラ……」
動くことすら出来なかった。
アスランの瞳にも瓦礫の山は映っているが、それを正しく認識できない。あまりにもショックが大きすぎて。
「サラ……」
アスランやイザークを始めとするクルーゼ隊を先頭に、最初は問題なく敵を撃破して行けてはいたが、敵も然る者。最後の砦で苦戦を強いられていた。
激しい撃ち合いが続いていたが、このままでは埒があかない。瓦礫の山に身を潜めながら、どう攻めるべきかとアスラン達が相談していると、そこに数人の兵士達がやってきた。
「我々が突破口を開きます。」
兵士は皆緑を着ている。
先頭に立ってやって来た青年がザフトでもなかなか評価の高い人物と言うことで、アスラン達もそれを許す事にした。
「分かった。だが十分気を付けて行けよ。無駄死にだけはするな!」
「分かってます!」
力強く答えた青年は、すぐに仲間に指示を出し、突入を開始する。
彼らの姿を見送ろうとしたアスランだったが……ふとその中の一人を目にして、唖然とした。
「な……っ!」
そこには、決しているはずのない人。
こんな場所になど、いてはいけない人物。
「サラっ!?」
思わず叫んだアスランの声に反応し、兵士の一人が振り向く。だがすぐに踵を返すと、弾の飛び交う激戦区へと走り出した。
「サラ――っ!」
もう、アスランの声も届かない。
瓦礫と弾を器用に避けながら走り去るサラは、あっという間にアスランの視界から消えていった。
「何で……何でサラがこんな場所にいるんだっ!」
ガクリと膝を付く。あまりの驚きに放心状態になったアスランを、ニコルが気遣って声をかけたが、アスランの頭は完全にサラの事で埋め尽くされていた。
「サラ……どうして? 彼女がザフトに入っているなんて話、聞いてな……」
呟いてはっとする。
そう、アスランは聞いていなかったのだ。
サラの話を。
何も。
休暇の度に顔を合わせ、日々の他愛ない話をした。
幼かった頃の話もした。
でも――。
現在の話をしていない。
お互いの想いも、気持ちも。
何も、聞いていない。
「俺は、サラと……」
――その時。
ドウンッと耳を劈くような大音響が辺りを包み、同時に火柱が上がった。振り仰いだ先にあるのは、たった今サラ達が駆け込んでいった敵地。舞い上がる砂塵と吹き飛ばされそうな程に強い風が、爆発の物凄さを感じさせる。
「――っ!!」
瞬時に反応し、地に伏せてやり過ごした爆風が砂塵を吹き飛ばした後に残っていたのは、見るも無惨な残骸。新たに生まれた瓦礫の山は、生命の息吹を全く感じさせない無機質な物。
「サラッ!!」
誰が見ても分かる。
そこにはもう、生きた存在はない。
「そ……んな、サラ……」
動くことすら出来なかった。
アスランの瞳にも瓦礫の山は映っているが、それを正しく認識できない。あまりにもショックが大きすぎて。
「サラ……」