桜ノ色ハ血ノ色(アスラン)【全38P完結】
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「あ~あ、あんな所まで」
上を向きながら呟く少女の緑の黒髪が風に煽られ、靡いている。背中しか見えないが、女の子らしいピンクのフリルのワンピースがゆるゆると揺れる姿は、まるで一枚のポートレートを見ているようで。
幻想的な光景が、アスランの目に映る。あまりの美しさに、アスランはしばし動くことも出来ぬまま見惚れていた。
しかしその光景を長く見続けることはできない。何故なら、サラサラと音が聞こえてきそうに艶やかな髪を、少女はいきなりがっしりと掴むと、ポケットからゴムを取り出し後ろで一つにまとめたのだ。
無造作だが無駄のない動きは、どう考えてもこの光景には似つかわしくない。
更に何と、少女は目の前の木に走り寄り、勢いを付けて登り始めた。
「……っ!?」
勢いよく体を起こし、呆気にとられながらその姿を見ていたアスランだったが、パキリと聞こえてきた音でハッとし、慌てて走り出した。
目指すは少女の登った木の下。
「きゃぁっ!」
「うわっ!!」
どさっ!
滑り込んだアスランの腕の中に見事に少女の体が収まる。
「っつ……」
「い……ったぁい!」
桜のクッションはあったものの、それなりの衝撃を受けてしまった二人が呻く。
アスランは、受け止めたときの腕の痛みに。
少女は、受け止められたときの腰の痛みに。
「やぁっぱ未だ本調子じゃないなぁ」
腰をさすりながら、まず言葉を発したのは少女だった。少しくらくらする頭を振り、目を瞬かせてハッとする。
「っと、ごめんなさい。大じょ……」
その先の言葉は続かなかった。今自分を受け止めてくれた人と、目が合ってしまったから。
「あ……」
「そ……んな……」
言葉を紡ぎたいのに、思いつかない。
信じられないけれど、目の前に突きつけられた現実が二人の心をかき乱す。
「嘘……」
一瞬で痛みなど吹き飛んでしまった。口をぱくぱくさせながら、アスランは少女の腕を掴む。まるで少女がそこにいることを、確認するかのように。
「まさか君、は……」
「さ、桜の精っ!!」
思わず少女が叫ぶ。面食らったように目を丸くしたアスランは、硬直したまま少女の腕を掴んでいた。
「あ、あの……もしもし?」
硬直したまま、瞬きもせず自分を見つめてくるアスランに、少女が戸惑いの表情を見せる。
「聞こえてますか~?」
手を振ったり、つついてみたり。何を言っても硬直したまま動かない。
そんなアスランに、少女は意を決して言った。
「……アスラン!」
それは、一体どれだけの空白の時間を隔てて紡がれた名前だろう。
過ぎてしまえばあっという間だったけれど。もう聞くことなど無いと思っていた自分を呼ぶ声に、アスラン自身の思考も追いつかないほどの速さで体は反応した。
「サラっ!!」
腕の中にいるのは、愛しい人。
本当は諦めていたはずなのに。今この瞬間……この時のために自分は生きていたのだと錯覚する。それほどにはっきりした感覚が、喜びとなってアスランの全身を駆けめぐった。
「サラっ! サラ……サラ……っ!」
何度も何度も名前を呼ぶ。
「サラ……本当にサラ……?」
「そうだよ、アスラン」
「あの時……死んでしまったと思ってた……もう会えないと思ってた、サラ……!」
「へへ、結構しぶといみたい、私。……ごめんね」
「サラ……」
強く強く抱きしめる。心も体も、全てを感じられるように。心の中にあった大きな空白を、一度に埋めてしまえるように。
「サラ……良かった、本当に……」
「アスラン……」
サラもまた、優しく抱き返す。自分を求めてくれているアスランの想いを受け止めるために。ずっと待ち望んでいたこの瞬間を、体全体で感じられるように。
「まさかここで会えるとは思わなかった……本調子になったら、会いに行こうと思ってたんだけど……」
「本調子? どこか悪いのか? まさかヘリオポリスで……」
「ん……ちょっと、ね。でも大丈夫よ。もう少しリハビリを続ければ、また昔のように走り回れるわ」
「そうか」
そっと、サラを腕の中から解放する。気持ちを落ち着かせたアスランは、久しぶりにサラの顔をじっくりと見ることができた。
最後に見た時よりも少し痩せてはいたが、とりあえずは健康そうではある。女の子らしさが増したサラは、更に美しく成長を遂げていた。
「サラ」
アスランの手が、優しくサラの頬を覆った。
最後に触れられたのは、確かクリスマスの日。あの時よりも少し骨張った手は、男の子から男性へと変化を始めている証拠。大きくて温かい手の感触に、サラは幸せそうに目を閉じる。
甘い吐息を感じた時にはもう、二人はお互いの存在を今まで以上に近くに感じていた。
「サラ……」
名残惜しそうに離れた唇が紡いだのは、愛しい人の名前。
「アスラン……」
少し頬を染めながら、でも嬉しそうに応えるサラが可愛い。
今までの悲しみと今の喜びが一気に溢れ出し、アスランが再びサラに口付ける。
何度も何度も触れた唇は、もう互いの熱を覚えてしまったかもしれない。お互いを求めるキスは、、サラに呼吸する事を忘れさせてしまうほどに情熱的な物だった。
上を向きながら呟く少女の緑の黒髪が風に煽られ、靡いている。背中しか見えないが、女の子らしいピンクのフリルのワンピースがゆるゆると揺れる姿は、まるで一枚のポートレートを見ているようで。
幻想的な光景が、アスランの目に映る。あまりの美しさに、アスランはしばし動くことも出来ぬまま見惚れていた。
しかしその光景を長く見続けることはできない。何故なら、サラサラと音が聞こえてきそうに艶やかな髪を、少女はいきなりがっしりと掴むと、ポケットからゴムを取り出し後ろで一つにまとめたのだ。
無造作だが無駄のない動きは、どう考えてもこの光景には似つかわしくない。
更に何と、少女は目の前の木に走り寄り、勢いを付けて登り始めた。
「……っ!?」
勢いよく体を起こし、呆気にとられながらその姿を見ていたアスランだったが、パキリと聞こえてきた音でハッとし、慌てて走り出した。
目指すは少女の登った木の下。
「きゃぁっ!」
「うわっ!!」
どさっ!
滑り込んだアスランの腕の中に見事に少女の体が収まる。
「っつ……」
「い……ったぁい!」
桜のクッションはあったものの、それなりの衝撃を受けてしまった二人が呻く。
アスランは、受け止めたときの腕の痛みに。
少女は、受け止められたときの腰の痛みに。
「やぁっぱ未だ本調子じゃないなぁ」
腰をさすりながら、まず言葉を発したのは少女だった。少しくらくらする頭を振り、目を瞬かせてハッとする。
「っと、ごめんなさい。大じょ……」
その先の言葉は続かなかった。今自分を受け止めてくれた人と、目が合ってしまったから。
「あ……」
「そ……んな……」
言葉を紡ぎたいのに、思いつかない。
信じられないけれど、目の前に突きつけられた現実が二人の心をかき乱す。
「嘘……」
一瞬で痛みなど吹き飛んでしまった。口をぱくぱくさせながら、アスランは少女の腕を掴む。まるで少女がそこにいることを、確認するかのように。
「まさか君、は……」
「さ、桜の精っ!!」
思わず少女が叫ぶ。面食らったように目を丸くしたアスランは、硬直したまま少女の腕を掴んでいた。
「あ、あの……もしもし?」
硬直したまま、瞬きもせず自分を見つめてくるアスランに、少女が戸惑いの表情を見せる。
「聞こえてますか~?」
手を振ったり、つついてみたり。何を言っても硬直したまま動かない。
そんなアスランに、少女は意を決して言った。
「……アスラン!」
それは、一体どれだけの空白の時間を隔てて紡がれた名前だろう。
過ぎてしまえばあっという間だったけれど。もう聞くことなど無いと思っていた自分を呼ぶ声に、アスラン自身の思考も追いつかないほどの速さで体は反応した。
「サラっ!!」
腕の中にいるのは、愛しい人。
本当は諦めていたはずなのに。今この瞬間……この時のために自分は生きていたのだと錯覚する。それほどにはっきりした感覚が、喜びとなってアスランの全身を駆けめぐった。
「サラっ! サラ……サラ……っ!」
何度も何度も名前を呼ぶ。
「サラ……本当にサラ……?」
「そうだよ、アスラン」
「あの時……死んでしまったと思ってた……もう会えないと思ってた、サラ……!」
「へへ、結構しぶといみたい、私。……ごめんね」
「サラ……」
強く強く抱きしめる。心も体も、全てを感じられるように。心の中にあった大きな空白を、一度に埋めてしまえるように。
「サラ……良かった、本当に……」
「アスラン……」
サラもまた、優しく抱き返す。自分を求めてくれているアスランの想いを受け止めるために。ずっと待ち望んでいたこの瞬間を、体全体で感じられるように。
「まさかここで会えるとは思わなかった……本調子になったら、会いに行こうと思ってたんだけど……」
「本調子? どこか悪いのか? まさかヘリオポリスで……」
「ん……ちょっと、ね。でも大丈夫よ。もう少しリハビリを続ければ、また昔のように走り回れるわ」
「そうか」
そっと、サラを腕の中から解放する。気持ちを落ち着かせたアスランは、久しぶりにサラの顔をじっくりと見ることができた。
最後に見た時よりも少し痩せてはいたが、とりあえずは健康そうではある。女の子らしさが増したサラは、更に美しく成長を遂げていた。
「サラ」
アスランの手が、優しくサラの頬を覆った。
最後に触れられたのは、確かクリスマスの日。あの時よりも少し骨張った手は、男の子から男性へと変化を始めている証拠。大きくて温かい手の感触に、サラは幸せそうに目を閉じる。
甘い吐息を感じた時にはもう、二人はお互いの存在を今まで以上に近くに感じていた。
「サラ……」
名残惜しそうに離れた唇が紡いだのは、愛しい人の名前。
「アスラン……」
少し頬を染めながら、でも嬉しそうに応えるサラが可愛い。
今までの悲しみと今の喜びが一気に溢れ出し、アスランが再びサラに口付ける。
何度も何度も触れた唇は、もう互いの熱を覚えてしまったかもしれない。お互いを求めるキスは、、サラに呼吸する事を忘れさせてしまうほどに情熱的な物だった。
