桜ノ色ハ血ノ色(アスラン)【全38P完結】
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そして、運命の日がやってくる。
その日は快晴。予めサラが連合のレーダーの死角となる場所を作っておいたため、アスラン達の宇宙からの潜入は簡単だった。警戒をさせないためにと唯一残しておいたレーダーも、直前に解除できるほどのもの。解除後も、気付かれた気配はなかった。
予め見せられていた工場区内の地図は、全員の頭の中に完全な形でたたき込まれている。すぐさま工場に入り込んだ彼らは、各々に割り当てられた工場の主要箇所に小さなボックスを設置するという、第一段階の任務を数分で完了させた。
アスラン達が工場区内を見渡せる丘にたどり着いた頃には、予定通りヘリオポリスに姿を見せたヴェサリウスとガモフが、モルゲンレーテを震撼させている。
「やっぱり間抜けなもんだ。ナチュラルなんて」
冷たく言い放つイザーク達の視線の先にあるのは、ザフト軍の出現に驚き、蜂の巣をつついた状態になっている工場区。そして初めて彼らの前に姿を現した、MS。
「ほんっと何もかも予定通り過ぎて恐いくらいだぜ」
「な?」とラスティが、少し緊張気味のニコルの背中を叩きながら言う。「ええ……」と頷きながらニコルが自分を見ているのに気付き、アスランはふっと笑みを見せた。
「大丈夫だ」
「はい。でも……未だサラさんにお会いできていませんよね」
緊張していながらも、気にしているのはサラの事。それはアスランも同じ事だったけれど。
「彼女なら大丈夫だろう。俺達の動きは全て把握しているはずだから、必ず接触の機会はあるはずだ。連絡が取れれば、一番近くにいた者がサラを拾えばいい」
「そうですね。サラさん……安全な場所で待っていてくれたら良いんですけど」
「時間だ」
ニコルの言葉を遮るように、イザークの言葉が被さる。同時に工場内のあちこちから爆発音が聞こえた。火柱が上がり、悲鳴が上がる。ひっきりなしに続く爆発は、確実に工場を破壊し始めた。
「行くぞ!」
混乱に乗じて、アスラン達は爆発の続く工場区へと走り込んでいく。
目指すは地球連合軍の開発したMS。訓練されたザフト兵達は、確実に敵の人数を減らしながらMSのある場所への道を開いていった。
「時間ね」
時計を見たのと爆発の衝撃を感じたのは同時だった。揺れる地面を蹴飛ばしながら、サラはひたすらに走る。向かう先は、工場区中心にあるメインコンピュータールーム。そこには地球連合軍の情報の全てが集められていた。
今回クルーゼから与えられた命令に対しては、もう十二分に働いている。では何故――?
答えは一つだった。
「お膳立ては全て整ってる。あとはお願いね、アスラン」
すぐ側にいるのは分かっていても、直接伝えることが出来ない事がもどかしかった。
命令通り動いていれば、今すぐにでもアスランに会える。手を取り合って一緒に戻ることは可能なのだ。だが今のサラにそれはできない。
「全てをはっきりさせてから、貴方に会いたいの。全てが終われば、貴方の前でも素直になれるから……」
爆発で歪んだ扉を蹴り飛ばし、部屋へと入る。爆風に巻き込まれて死んだ者を除いては、もうここに人間はいない。サラはすぐさまコンピューターへと近付いた。
「ちっ」
爆発の影響で、あちこちがショートしている。横に長く伸びた部屋の中を、未だ生きている機械はないかと走り、ようやく端の方にいくつか残っている機械を見つけた。
「強引に行くわよ」
次々とパスワードを解除し、ハッキングをしていく。ヘリオポリス内に置かれた重要機密はもちろんのこと、回線を通して地球連合軍、果てはブルーコスモスのメインコンピューターにまで入り込んでいけば、次第に明るみに出てくる連合軍の計画。
そして、戦争の裏側。
「な……によこれ……」
それは戦争の歴史だった。ジョージ・グレンが誕生するきっかけとなった頃から今までの。
「クルーゼ隊長の言った通りだったんだね、父さん……」
読み進めてみれば、そこには血のバレンタインを引き起こすきっかけとなった父の発言や、計画が実行されるまでの経緯までもが明確に記されていた。
読めば読むほど湧き上がる怒りと悲しみ。最後に載せられていた母の資料が、更にサラの心を昂らせる。
「母さんと結婚したのは、母さんを愛していたからじゃなかったのね……!」
母であるシルフィアは、凍結していたジョージ・グレンの精子を使って生み出された、唯一の成功例である。最先端技術を駆使し、コーディネイターよりも更に優れたコーディネイターを生み出そうという試み。その結果がシルフィアだった。
それを知ったからこそ遺伝子研究の専門家である父は、母に近付いたのだ。
自分の知識を更に高めるために。
敵であるコーディネイターを、もっと深く知るために。
今思えば、母は知っていたのかもしれない。普段は明るい母が時折見せる寂しそうな瞳の先には、いつも父の姿があったような気がする。
「くっ……そぉっ!」
思い切りコンピューターを殴りつける。ガンッという音と共に、モニターがショートした。はじける火花と共に、流れていた文字が消えてしまう。一瞬見覚えのある人物の名が見えたような気がしたが、今のサラにはもうどうでも良いことだった。
「母さんも私も、父さんにとっては単なる実験材料でしかなかったのね! コーディネイターを根絶やしにするために、コーディネイターである母さんの生態を調べて。どちらの血も受け継いだ私も調べて。今回のザフトの作戦ですら、父さんのシナリオの内……」
「そう言うことだ」
「……っ!!」
背後の気配に気付いたときにはもう、銃口が突きつけられていた。
その日は快晴。予めサラが連合のレーダーの死角となる場所を作っておいたため、アスラン達の宇宙からの潜入は簡単だった。警戒をさせないためにと唯一残しておいたレーダーも、直前に解除できるほどのもの。解除後も、気付かれた気配はなかった。
予め見せられていた工場区内の地図は、全員の頭の中に完全な形でたたき込まれている。すぐさま工場に入り込んだ彼らは、各々に割り当てられた工場の主要箇所に小さなボックスを設置するという、第一段階の任務を数分で完了させた。
アスラン達が工場区内を見渡せる丘にたどり着いた頃には、予定通りヘリオポリスに姿を見せたヴェサリウスとガモフが、モルゲンレーテを震撼させている。
「やっぱり間抜けなもんだ。ナチュラルなんて」
冷たく言い放つイザーク達の視線の先にあるのは、ザフト軍の出現に驚き、蜂の巣をつついた状態になっている工場区。そして初めて彼らの前に姿を現した、MS。
「ほんっと何もかも予定通り過ぎて恐いくらいだぜ」
「な?」とラスティが、少し緊張気味のニコルの背中を叩きながら言う。「ええ……」と頷きながらニコルが自分を見ているのに気付き、アスランはふっと笑みを見せた。
「大丈夫だ」
「はい。でも……未だサラさんにお会いできていませんよね」
緊張していながらも、気にしているのはサラの事。それはアスランも同じ事だったけれど。
「彼女なら大丈夫だろう。俺達の動きは全て把握しているはずだから、必ず接触の機会はあるはずだ。連絡が取れれば、一番近くにいた者がサラを拾えばいい」
「そうですね。サラさん……安全な場所で待っていてくれたら良いんですけど」
「時間だ」
ニコルの言葉を遮るように、イザークの言葉が被さる。同時に工場内のあちこちから爆発音が聞こえた。火柱が上がり、悲鳴が上がる。ひっきりなしに続く爆発は、確実に工場を破壊し始めた。
「行くぞ!」
混乱に乗じて、アスラン達は爆発の続く工場区へと走り込んでいく。
目指すは地球連合軍の開発したMS。訓練されたザフト兵達は、確実に敵の人数を減らしながらMSのある場所への道を開いていった。
「時間ね」
時計を見たのと爆発の衝撃を感じたのは同時だった。揺れる地面を蹴飛ばしながら、サラはひたすらに走る。向かう先は、工場区中心にあるメインコンピュータールーム。そこには地球連合軍の情報の全てが集められていた。
今回クルーゼから与えられた命令に対しては、もう十二分に働いている。では何故――?
答えは一つだった。
「お膳立ては全て整ってる。あとはお願いね、アスラン」
すぐ側にいるのは分かっていても、直接伝えることが出来ない事がもどかしかった。
命令通り動いていれば、今すぐにでもアスランに会える。手を取り合って一緒に戻ることは可能なのだ。だが今のサラにそれはできない。
「全てをはっきりさせてから、貴方に会いたいの。全てが終われば、貴方の前でも素直になれるから……」
爆発で歪んだ扉を蹴り飛ばし、部屋へと入る。爆風に巻き込まれて死んだ者を除いては、もうここに人間はいない。サラはすぐさまコンピューターへと近付いた。
「ちっ」
爆発の影響で、あちこちがショートしている。横に長く伸びた部屋の中を、未だ生きている機械はないかと走り、ようやく端の方にいくつか残っている機械を見つけた。
「強引に行くわよ」
次々とパスワードを解除し、ハッキングをしていく。ヘリオポリス内に置かれた重要機密はもちろんのこと、回線を通して地球連合軍、果てはブルーコスモスのメインコンピューターにまで入り込んでいけば、次第に明るみに出てくる連合軍の計画。
そして、戦争の裏側。
「な……によこれ……」
それは戦争の歴史だった。ジョージ・グレンが誕生するきっかけとなった頃から今までの。
「クルーゼ隊長の言った通りだったんだね、父さん……」
読み進めてみれば、そこには血のバレンタインを引き起こすきっかけとなった父の発言や、計画が実行されるまでの経緯までもが明確に記されていた。
読めば読むほど湧き上がる怒りと悲しみ。最後に載せられていた母の資料が、更にサラの心を昂らせる。
「母さんと結婚したのは、母さんを愛していたからじゃなかったのね……!」
母であるシルフィアは、凍結していたジョージ・グレンの精子を使って生み出された、唯一の成功例である。最先端技術を駆使し、コーディネイターよりも更に優れたコーディネイターを生み出そうという試み。その結果がシルフィアだった。
それを知ったからこそ遺伝子研究の専門家である父は、母に近付いたのだ。
自分の知識を更に高めるために。
敵であるコーディネイターを、もっと深く知るために。
今思えば、母は知っていたのかもしれない。普段は明るい母が時折見せる寂しそうな瞳の先には、いつも父の姿があったような気がする。
「くっ……そぉっ!」
思い切りコンピューターを殴りつける。ガンッという音と共に、モニターがショートした。はじける火花と共に、流れていた文字が消えてしまう。一瞬見覚えのある人物の名が見えたような気がしたが、今のサラにはもうどうでも良いことだった。
「母さんも私も、父さんにとっては単なる実験材料でしかなかったのね! コーディネイターを根絶やしにするために、コーディネイターである母さんの生態を調べて。どちらの血も受け継いだ私も調べて。今回のザフトの作戦ですら、父さんのシナリオの内……」
「そう言うことだ」
「……っ!!」
背後の気配に気付いたときにはもう、銃口が突きつけられていた。
