きらきらのおくりもの
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「メノウ! 連れてきたんだよ!」
村の人たちの波が少し引いてきたころ、スイカの声がした。顔を上げると、彼女の隣には彼がいた。
「スイカに言われて来てみれば、これは……!」
金狼は、とんぼ玉を見つめて目を輝かせている。
「ついにできたんだ! うまく作れるようになるまで、すごく時間がかかっちゃったよ」
「よくやったじゃないか、メノウ!
これが完成形か、素晴らしい出来だな。村人たちが騒ぐのも無理はない」
金狼は微笑みを僕に向けたかと思うと、再びとんぼ玉に視線を落とす。初めて見るきらきら光るものが、気になって仕方ないようだ。
「あのね、金狼」
声をかけると、視線が合った。少し体が緊張するのを感じながら、言葉を紡いでいく。
「あの夜、金狼が励ましてくれたから、完成させることができたんだ。本当に、ありがとう」
本音を伝えると、金狼は少し目を開いた。僕の手元のとんぼ玉を見つめ、また僕の顔を見る。そして、照れくさそうに頭をかいた。
「俺の言葉で元気になったのなら、俺も嬉しい。
またつらくなったら、いや、つらくなくても頼ってくれ。いつでも励まそう」
そう言って、金狼はにこやかに僕を見つめる。
ふと、見つめ合っている状態になっていることに気づいて、僕の頬はほのかな熱を持つ。
「じゃあ、スイカはおいとまするんだよ」
挨拶をすると、スイカは僕に耳打ちした。
「応援、してるんだよ」
「んっ……!」
顔が赤くなるのを感じながら、こうもバレているものなのかと恥ずかしくなる。スイカはにこっと笑うと村の方へ歩いていった。
とんぼ玉の予想以上の人気で忘れていたことを、彼が来たことで思い出した。
千空に色付きガラスのことを聞いたときに、すでにバレていた計画。それを僕が作っていないわけがない。
二人きりの今が、渡すときだ。
「ねぇ、金狼。金狼もこういうのほしい?」
「アクセサリーか?」
「そう! じ、実はねっ」
ここに出していないアクセサリーが、一つだけある。彼のために、似合いそうなパーツを選んで作ったのだ。
保管してあるところへ行こうと腰を上げたところで、彼の声が降ってきた。
「俺はいい」
のどの奥から、ひゅうっという音がした。
「見張りの仕事の邪魔になる。それより、もっと他の人たちのために作ってくれ」
邪魔になる。そう言われて、確かにそうだと納得した。
僕、なにやってるんだろう。相手のことも考えないで、勝手に一人で突っ走って。
「……わかった」
椅子に腰を下ろしてうつむくと、極彩色のとんぼ玉たちが僕を見つめていた。僕の作った、きらきらの宝物たち。
その一つを、長い指がつまみ上げた。
顔を上げると、しゃがんだ金狼と目が合った。選んだとんぼ玉の模様を、手首を回しながら見つめている。
「なぁ、このピンクの花のやつ、取り置きってできるか?」
「取り置き? うん、できるよ」
「そうか……!」
彼は僕の沈んだ気持ちと反対に、嬉しそうだ。
紫をベースに、ピンクの花弁を散らしたそのとんぼ玉は、ルビィたちが僕に似合っていると言っていたものだった。
わざわざそれを取り置きする理由を、ネガティブな頭は勝手に考える。彼にとって仕事の邪魔になるのに、どうしてだろう。
もしかして、と嫌な考えが一瞬だけ頭に浮かんだ。
「ありがとう、メノウ。あとでまた来る!」
とんぼ玉をそっと作業机に置いて、金狼は立ち上がりラボへ向かっていった。千空になにか聞くのだろう。
ううん、悪い方向に想像するのはやめよう。頭を振って、悩む気持ちに喝を入れる。
今やることは、村人たちからリクエストされた柄のとんぼ玉を作ること。それと、千空から頼まれたものもある。作業に集中すれば、そのうち忘れるはず。
「カセキじいちゃん! 作るものない?」
師匠の元へ駆け寄る。明るい声で、振る舞ってみせた。
村の人たちの波が少し引いてきたころ、スイカの声がした。顔を上げると、彼女の隣には彼がいた。
「スイカに言われて来てみれば、これは……!」
金狼は、とんぼ玉を見つめて目を輝かせている。
「ついにできたんだ! うまく作れるようになるまで、すごく時間がかかっちゃったよ」
「よくやったじゃないか、メノウ!
これが完成形か、素晴らしい出来だな。村人たちが騒ぐのも無理はない」
金狼は微笑みを僕に向けたかと思うと、再びとんぼ玉に視線を落とす。初めて見るきらきら光るものが、気になって仕方ないようだ。
「あのね、金狼」
声をかけると、視線が合った。少し体が緊張するのを感じながら、言葉を紡いでいく。
「あの夜、金狼が励ましてくれたから、完成させることができたんだ。本当に、ありがとう」
本音を伝えると、金狼は少し目を開いた。僕の手元のとんぼ玉を見つめ、また僕の顔を見る。そして、照れくさそうに頭をかいた。
「俺の言葉で元気になったのなら、俺も嬉しい。
またつらくなったら、いや、つらくなくても頼ってくれ。いつでも励まそう」
そう言って、金狼はにこやかに僕を見つめる。
ふと、見つめ合っている状態になっていることに気づいて、僕の頬はほのかな熱を持つ。
「じゃあ、スイカはおいとまするんだよ」
挨拶をすると、スイカは僕に耳打ちした。
「応援、してるんだよ」
「んっ……!」
顔が赤くなるのを感じながら、こうもバレているものなのかと恥ずかしくなる。スイカはにこっと笑うと村の方へ歩いていった。
とんぼ玉の予想以上の人気で忘れていたことを、彼が来たことで思い出した。
千空に色付きガラスのことを聞いたときに、すでにバレていた計画。それを僕が作っていないわけがない。
二人きりの今が、渡すときだ。
「ねぇ、金狼。金狼もこういうのほしい?」
「アクセサリーか?」
「そう! じ、実はねっ」
ここに出していないアクセサリーが、一つだけある。彼のために、似合いそうなパーツを選んで作ったのだ。
保管してあるところへ行こうと腰を上げたところで、彼の声が降ってきた。
「俺はいい」
のどの奥から、ひゅうっという音がした。
「見張りの仕事の邪魔になる。それより、もっと他の人たちのために作ってくれ」
邪魔になる。そう言われて、確かにそうだと納得した。
僕、なにやってるんだろう。相手のことも考えないで、勝手に一人で突っ走って。
「……わかった」
椅子に腰を下ろしてうつむくと、極彩色のとんぼ玉たちが僕を見つめていた。僕の作った、きらきらの宝物たち。
その一つを、長い指がつまみ上げた。
顔を上げると、しゃがんだ金狼と目が合った。選んだとんぼ玉の模様を、手首を回しながら見つめている。
「なぁ、このピンクの花のやつ、取り置きってできるか?」
「取り置き? うん、できるよ」
「そうか……!」
彼は僕の沈んだ気持ちと反対に、嬉しそうだ。
紫をベースに、ピンクの花弁を散らしたそのとんぼ玉は、ルビィたちが僕に似合っていると言っていたものだった。
わざわざそれを取り置きする理由を、ネガティブな頭は勝手に考える。彼にとって仕事の邪魔になるのに、どうしてだろう。
もしかして、と嫌な考えが一瞬だけ頭に浮かんだ。
「ありがとう、メノウ。あとでまた来る!」
とんぼ玉をそっと作業机に置いて、金狼は立ち上がりラボへ向かっていった。千空になにか聞くのだろう。
ううん、悪い方向に想像するのはやめよう。頭を振って、悩む気持ちに喝を入れる。
今やることは、村人たちからリクエストされた柄のとんぼ玉を作ること。それと、千空から頼まれたものもある。作業に集中すれば、そのうち忘れるはず。
「カセキじいちゃん! 作るものない?」
師匠の元へ駆け寄る。明るい声で、振る舞ってみせた。