きらきらのおくりもの
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あれから数日後、僕の作業机の上には色とりどりのガラスの玉が並んでいた。
指でつまめるぐらいの小ささで、ころんとかわいらしい。あのフラスコと同じ素材で、その美しさだけを抽出したようなものだ。
シンプルな一色のものから、花や水玉、縞模様など装飾がついているのもある。そのガラス玉にはひもを通せるように穴が開いている。
僕は早起きして、それを磨いた石や骨とせっせとつないでいた。
「おお、メノウ。早起きしてえらいのう」
「カセキじいちゃん!」
起きてきた師匠が、座っている僕の隣に歩いてくる。作業机の上を見たカセキじいちゃんは、「ついにできたんじゃな!?」と興奮した様子を見せた。
「これをつなげて、首飾りやブレスレットにしたらかわいいかなって思って……!」
「オホー! おもしろいこと考えるんじゃないの!」
「首飾り?」
「ブレスレットだって?」
「見に行きましょ!」
さっきまであくびをしていたキラキラ三姉妹が、目の色を変えて僕に近づく。その勢いはすさまじいものだった。
「わ、わわ……!」
突然のお客さんの登場に、僕はたじろぐ。三人のくりくりとした大きな目が、僕の発明を見つめている。
気に入ってもらえるかな、と不安な心に反して、三人の反応はとても前向きなものだった。
「なにこれ! すごくきれい……!」
「触ってもいい?」
「ど、どうぞ……」
姉妹たちはガラス玉を手に取って、きれい、かわいい、と言いあっている。
「あの、よかったらこれ、あげるよ」
三人に、それぞれに合った色のブレスレットやネックレスを渡す。ガーネットには黄色、ルビィには黒、サファイアには青のガラス玉に、白やグレーの磨いた石を並べてある。
本当は赤いガラスも作ってみたかったのだが、材料が大変だから今度な、と千空に言われていた。
「いいの?」
「うん。使ってくれた方が、僕も嬉しいよ」
「ありがとう、メノウちゃん!」
それぞれのアクセサリーを身につけて、三姉妹は嬉しそうだ。お互いのアクセサリーを褒め合っている。僕は安堵のため息をついた。
横から、カセキじいちゃんの年季の入った指がガラス玉をつまみ上げる。手の上で転がして、やさしい目がその模様を追いかけている。
「メノウも素晴らしい発明をしたのう! ほれ、千空にも見せに……」
「それは『とんぼ玉』だな、カセキのじいさん」
「オホー、もう発明されてたんかい!」
「ああー! 残念!」
二人して落ち込んでいるところを、いつの間にか近くに来ていた千空は「まぁまぁ」と励ます。
「騒ぎを聞いて来てみれば……やるじゃねぇか」
千空は僕の発明品、もといとんぼ玉を見ている。
「すっかり職人だな……一人でここまでやるのは相当だぞ、メノウ」
「あ、ありがとう……!」
さっすが職人様だな、と笑って、千空はまたラボに戻っていく。
にぎわっているのを聞きつけた村人たちが、僕の周りに集まってきた。スイカが僕の作ったものを指差しながら首を傾ける。
「これ、なんなんだよ?」
「これはね、とんぼ玉って言うんだって! スイカには、これが似合うかな」
覚めるような青地にくゆりとした黄色のラインを乗せた、大人っぽいデザイン。それをシンプルに一つだけ、皮紐に通したもの。
どんな人でもつけられるように、サイズ調整もできるような結び方にしてある。
ブレスレットを渡すと、スイカはさっそく細い手首にそれをつけて、嬉しそうに眺めている。
「わあ~! すてきなんだよ!」
「気に入ってもらえて嬉しいよ!」
スイカは喜んだかと思うと、はっと気づいた顔をして、「あの人を連れてくるんだよ~!」とどこかへ行ってしまった。
「あの人……?」
「ねぇ、メノウちゃん」
首を傾げていると、ルビィに話しかけられた。
「メノウちゃんも、アクセサリーつけたらいいじゃん!」
「そうだよ! 絶対似合うと思う!」
「うんうん!」
きらきらした眼差しを向けてくれる三人を前にして、とんぼ玉たちに視線を落とす。色を付けられて増した輝きは、僕の目を捉えて離さない。
それでも、僕にはその資格がないと思ってしまう。
「……僕は、おしゃれなのは似合わないから。作ることが楽しいから、それでいいの」
「えー、そうなのー?」
「遠慮しなくていいんだよ!」
「このピンクと紫のとか、似合うんじゃない? お花の模様がかわいいよ!」
「い、いいの。大丈夫。ありがとう」
笑顔を作って伝えると、三姉妹は「またかわいいのできたら教えてね!」と上機嫌な様子で僕のもとから去っていった。
指でつまめるぐらいの小ささで、ころんとかわいらしい。あのフラスコと同じ素材で、その美しさだけを抽出したようなものだ。
シンプルな一色のものから、花や水玉、縞模様など装飾がついているのもある。そのガラス玉にはひもを通せるように穴が開いている。
僕は早起きして、それを磨いた石や骨とせっせとつないでいた。
「おお、メノウ。早起きしてえらいのう」
「カセキじいちゃん!」
起きてきた師匠が、座っている僕の隣に歩いてくる。作業机の上を見たカセキじいちゃんは、「ついにできたんじゃな!?」と興奮した様子を見せた。
「これをつなげて、首飾りやブレスレットにしたらかわいいかなって思って……!」
「オホー! おもしろいこと考えるんじゃないの!」
「首飾り?」
「ブレスレットだって?」
「見に行きましょ!」
さっきまであくびをしていたキラキラ三姉妹が、目の色を変えて僕に近づく。その勢いはすさまじいものだった。
「わ、わわ……!」
突然のお客さんの登場に、僕はたじろぐ。三人のくりくりとした大きな目が、僕の発明を見つめている。
気に入ってもらえるかな、と不安な心に反して、三人の反応はとても前向きなものだった。
「なにこれ! すごくきれい……!」
「触ってもいい?」
「ど、どうぞ……」
姉妹たちはガラス玉を手に取って、きれい、かわいい、と言いあっている。
「あの、よかったらこれ、あげるよ」
三人に、それぞれに合った色のブレスレットやネックレスを渡す。ガーネットには黄色、ルビィには黒、サファイアには青のガラス玉に、白やグレーの磨いた石を並べてある。
本当は赤いガラスも作ってみたかったのだが、材料が大変だから今度な、と千空に言われていた。
「いいの?」
「うん。使ってくれた方が、僕も嬉しいよ」
「ありがとう、メノウちゃん!」
それぞれのアクセサリーを身につけて、三姉妹は嬉しそうだ。お互いのアクセサリーを褒め合っている。僕は安堵のため息をついた。
横から、カセキじいちゃんの年季の入った指がガラス玉をつまみ上げる。手の上で転がして、やさしい目がその模様を追いかけている。
「メノウも素晴らしい発明をしたのう! ほれ、千空にも見せに……」
「それは『とんぼ玉』だな、カセキのじいさん」
「オホー、もう発明されてたんかい!」
「ああー! 残念!」
二人して落ち込んでいるところを、いつの間にか近くに来ていた千空は「まぁまぁ」と励ます。
「騒ぎを聞いて来てみれば……やるじゃねぇか」
千空は僕の発明品、もといとんぼ玉を見ている。
「すっかり職人だな……一人でここまでやるのは相当だぞ、メノウ」
「あ、ありがとう……!」
さっすが職人様だな、と笑って、千空はまたラボに戻っていく。
にぎわっているのを聞きつけた村人たちが、僕の周りに集まってきた。スイカが僕の作ったものを指差しながら首を傾ける。
「これ、なんなんだよ?」
「これはね、とんぼ玉って言うんだって! スイカには、これが似合うかな」
覚めるような青地にくゆりとした黄色のラインを乗せた、大人っぽいデザイン。それをシンプルに一つだけ、皮紐に通したもの。
どんな人でもつけられるように、サイズ調整もできるような結び方にしてある。
ブレスレットを渡すと、スイカはさっそく細い手首にそれをつけて、嬉しそうに眺めている。
「わあ~! すてきなんだよ!」
「気に入ってもらえて嬉しいよ!」
スイカは喜んだかと思うと、はっと気づいた顔をして、「あの人を連れてくるんだよ~!」とどこかへ行ってしまった。
「あの人……?」
「ねぇ、メノウちゃん」
首を傾げていると、ルビィに話しかけられた。
「メノウちゃんも、アクセサリーつけたらいいじゃん!」
「そうだよ! 絶対似合うと思う!」
「うんうん!」
きらきらした眼差しを向けてくれる三人を前にして、とんぼ玉たちに視線を落とす。色を付けられて増した輝きは、僕の目を捉えて離さない。
それでも、僕にはその資格がないと思ってしまう。
「……僕は、おしゃれなのは似合わないから。作ることが楽しいから、それでいいの」
「えー、そうなのー?」
「遠慮しなくていいんだよ!」
「このピンクと紫のとか、似合うんじゃない? お花の模様がかわいいよ!」
「い、いいの。大丈夫。ありがとう」
笑顔を作って伝えると、三姉妹は「またかわいいのできたら教えてね!」と上機嫌な様子で僕のもとから去っていった。