きらきらのおくりもの
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食事が終わり、片付けをしたあと。
僕たち二人はまだ、さっきの場所に座っていた。火の小さくなった焚き火を前に、どちらから話すこともなく、距離を保っていた。
不意に、ある計画が頭の中に浮かぶ。
「ねぇ、金狼」
「どうした?」
金狼は僕がなにをしようとしているのか、まったくわからないらしい。不思議そうに僕の顔を眺めている。
次の瞬間、僕は彼のすぐ隣に動き、肩を寄せた。
相手の体が一瞬ぴくりと動いたのがわかった。彼の体温がゆっくりと、肩に、腕に、伝わってくる。
「しばらく、こうしていてもいい?」
こてん、と首を傾げて見上げると、動揺している翡翠の瞳と目が合った。
次の瞬間、彼は僕から視線を外した。眼鏡をかけなおし、目を瞑って眉を寄せ、腕を組む。「むう……」と悩む声。彼の中のルールと照らし合わせているらしい。
少しののち、腕組みをやめ、また目を合わせてくれる。
「構わん。俺でよければ、好きなだけそうしてくれ」
「……ありがとう」
ふぅ、と前を向いて息を吐くと、右の手の甲に温かい感触。
大きな左手が、僕の右手の上にそっと置かれていた。わずかな震えから、相手の緊張が伝わる。
「俺も、こうしていてもいいか?」
声が揺れている。
僕は肯定の返事をする代わりに、手をするりと抜いた。
相手の手を、手の平が上になるように手前からくるんと回転させる。その五本の長い指の間を埋めるように、こちらの指を絡めていく。
突然の行動に、相手の指はカチカチに強ばっていた。
「こっちがいい」
わずかに口を尖らせる。様子をうかがうと、金狼の顔は沸騰していた。
「こ、こういうのは、もっと仲を深めてからだな……!」
「……イヤなの?」
「断じて違う! ただ、そのっ……」
声が一瞬裏返ったのち、金狼はごにょごにょと言い淀む。落ち着いた彼が普段見せない焦った様子がおかしくて、つい失笑してしまう。
「なぁに?」
尋ねると、ごほんと咳払いをした。
「俺はあまり、こういうことに詳しくない。それに、好んでするような性格でもない」
一呼吸おいて、僕の顔を見る。
「だが、メノウとなら、してもいいと思っている。これから先も、一緒に」
眼鏡の奥の瞳から、それが冗談ではなく本気であることが、ひしひしと伝わってきた。
喉の奥がきゅううっと締めつけられる感覚を覚えた。自分から始めたことなのに、顔が熱いのはどうしてだろう。
絡んだ大きな手の力が、少し強くなる。伝わる熱を感じて、心臓の鼓動が速くなっているのを今更自覚する。
「大好きだ、メノウ」
金狼は笑みを浮かべた。おくってくれた紫のかんざしの中の、桃色の花がぱっと咲いたような、やさしい笑顔。
僕は負けを認めて、渋々うなずいた。
僕たち二人はまだ、さっきの場所に座っていた。火の小さくなった焚き火を前に、どちらから話すこともなく、距離を保っていた。
不意に、ある計画が頭の中に浮かぶ。
「ねぇ、金狼」
「どうした?」
金狼は僕がなにをしようとしているのか、まったくわからないらしい。不思議そうに僕の顔を眺めている。
次の瞬間、僕は彼のすぐ隣に動き、肩を寄せた。
相手の体が一瞬ぴくりと動いたのがわかった。彼の体温がゆっくりと、肩に、腕に、伝わってくる。
「しばらく、こうしていてもいい?」
こてん、と首を傾げて見上げると、動揺している翡翠の瞳と目が合った。
次の瞬間、彼は僕から視線を外した。眼鏡をかけなおし、目を瞑って眉を寄せ、腕を組む。「むう……」と悩む声。彼の中のルールと照らし合わせているらしい。
少しののち、腕組みをやめ、また目を合わせてくれる。
「構わん。俺でよければ、好きなだけそうしてくれ」
「……ありがとう」
ふぅ、と前を向いて息を吐くと、右の手の甲に温かい感触。
大きな左手が、僕の右手の上にそっと置かれていた。わずかな震えから、相手の緊張が伝わる。
「俺も、こうしていてもいいか?」
声が揺れている。
僕は肯定の返事をする代わりに、手をするりと抜いた。
相手の手を、手の平が上になるように手前からくるんと回転させる。その五本の長い指の間を埋めるように、こちらの指を絡めていく。
突然の行動に、相手の指はカチカチに強ばっていた。
「こっちがいい」
わずかに口を尖らせる。様子をうかがうと、金狼の顔は沸騰していた。
「こ、こういうのは、もっと仲を深めてからだな……!」
「……イヤなの?」
「断じて違う! ただ、そのっ……」
声が一瞬裏返ったのち、金狼はごにょごにょと言い淀む。落ち着いた彼が普段見せない焦った様子がおかしくて、つい失笑してしまう。
「なぁに?」
尋ねると、ごほんと咳払いをした。
「俺はあまり、こういうことに詳しくない。それに、好んでするような性格でもない」
一呼吸おいて、僕の顔を見る。
「だが、メノウとなら、してもいいと思っている。これから先も、一緒に」
眼鏡の奥の瞳から、それが冗談ではなく本気であることが、ひしひしと伝わってきた。
喉の奥がきゅううっと締めつけられる感覚を覚えた。自分から始めたことなのに、顔が熱いのはどうしてだろう。
絡んだ大きな手の力が、少し強くなる。伝わる熱を感じて、心臓の鼓動が速くなっているのを今更自覚する。
「大好きだ、メノウ」
金狼は笑みを浮かべた。おくってくれた紫のかんざしの中の、桃色の花がぱっと咲いたような、やさしい笑顔。
僕は負けを認めて、渋々うなずいた。
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