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ミントがプレゼントしたワンピースを着てくれない。
彼女にそれを贈ったのは少し前のこと。なんとなく通りがかった服屋で、店の前のマネキンが着ていたものがミントに似合うはずだと雷が落ちたのだ。ミントの普段の服のサイズも詳しくわからないまま、衝動買いしてしまった。
意気揚々と帰宅したものの、しばらくすると後悔がのしかかってきた。悪魔との戦いによるストレスもあるのだろうか。
可愛らしいショッパーを目の前に悩む俺に、デンジは「ミントさんにあげるんすよね? エッチなやつですか?」だの、パワーはパワーで「そうじゃのう、確かにミントはワシくらいスタイルがよいからのう……」なんてなぜか嬉しそうにしているし。お前らにあげるプレゼントじゃねぇんだよ。
でも確かに、いつものミントの服よりは露出があるかもしれない。こんなのあげてしまったら、引かれるのではないのだろうか。
数日後、家に寄ってくれたミントにそれを渡した。
「ありがとうございます」
ミントはショッパーの中身を覗かずにそう言い、帰っていった。
それから、ミントがそのワンピースを着てくれるか期待しては違うとわかる日々が続いた。仕事にはもちろん着てこないのだが、何日かあったデートの日にも着てこない。
もしかして、怒らせてしまっただろうか。悩んでみても答えは出ない。しかし、口にすることも勇気がいる。そのまま時間は過ぎていった。
今日は映画デートの日だ。
映画館の前で待ち、暇つぶしに周りの人の観察をしていると、視線が一定の方向に向いていることに気づく。一人だけじゃない、二人、三人、なにかに目を奪われている。
なんだろう、と視線をその先に向けると、黒い服を身にまとった一人の女性がこちらに歩いていた。
オフショルダーの襟元からは白い肩が覗いていて、Vネックの胸元からは、ちらりとだが確かに豊かな谷間が存在感を顕にしている。足を出す度に左右に揺れる腰からは布がストンと下に落ちており、ひらひらと揺蕩うその切れ目からは健康的な脚が見える。
紛れもない、俺がプレゼントしたワンピースだ。
「アキさん、お待たせしました」
ふふ、と微笑むミントはいつものミントで、どこにこんな破壊力があるのだろうかと冷静な自分と、これをプレゼントしたのは俺なのだと恥ずかしさで顔が真っ赤になっている自分がいる。逃げ出したい。
「……アキ、さん?」
上目遣いで見上げてくるものだから胸元がよく見えて、それからなんとか視線を逸らす。まだ昼間だぞ。
「……似合ってる」
もちろん本当の気持ちを伝えられるはずもなく、当たり障りのない感想を口にする。
「ありがとうございます」
ミントの声はいつも通りで、温度感のギャップに高ぶっていた俺の気持ちも少しずつ落ち着いていく。
「サイズ、大丈夫だったか」
「ぴったりでしたよ」
「色、黒でよかったか」
「黒は好きですよ」
「その……着てくれてありがとう」
顔の熱が引いてきて、やっとミントの顔を見ると、相手は少し照れていた。
「アキさんのプレゼントだから、着るんですよ」
恥ずかしかったのは、相手も同じだったみたいだ。
思わず抱きしめたくなる衝動を抑えつつ、人前だからと我慢する。その手をとって、「行こうか」と声をかけると、彼女はにこりと笑ってくれた。
彼女にそれを贈ったのは少し前のこと。なんとなく通りがかった服屋で、店の前のマネキンが着ていたものがミントに似合うはずだと雷が落ちたのだ。ミントの普段の服のサイズも詳しくわからないまま、衝動買いしてしまった。
意気揚々と帰宅したものの、しばらくすると後悔がのしかかってきた。悪魔との戦いによるストレスもあるのだろうか。
可愛らしいショッパーを目の前に悩む俺に、デンジは「ミントさんにあげるんすよね? エッチなやつですか?」だの、パワーはパワーで「そうじゃのう、確かにミントはワシくらいスタイルがよいからのう……」なんてなぜか嬉しそうにしているし。お前らにあげるプレゼントじゃねぇんだよ。
でも確かに、いつものミントの服よりは露出があるかもしれない。こんなのあげてしまったら、引かれるのではないのだろうか。
数日後、家に寄ってくれたミントにそれを渡した。
「ありがとうございます」
ミントはショッパーの中身を覗かずにそう言い、帰っていった。
それから、ミントがそのワンピースを着てくれるか期待しては違うとわかる日々が続いた。仕事にはもちろん着てこないのだが、何日かあったデートの日にも着てこない。
もしかして、怒らせてしまっただろうか。悩んでみても答えは出ない。しかし、口にすることも勇気がいる。そのまま時間は過ぎていった。
今日は映画デートの日だ。
映画館の前で待ち、暇つぶしに周りの人の観察をしていると、視線が一定の方向に向いていることに気づく。一人だけじゃない、二人、三人、なにかに目を奪われている。
なんだろう、と視線をその先に向けると、黒い服を身にまとった一人の女性がこちらに歩いていた。
オフショルダーの襟元からは白い肩が覗いていて、Vネックの胸元からは、ちらりとだが確かに豊かな谷間が存在感を顕にしている。足を出す度に左右に揺れる腰からは布がストンと下に落ちており、ひらひらと揺蕩うその切れ目からは健康的な脚が見える。
紛れもない、俺がプレゼントしたワンピースだ。
「アキさん、お待たせしました」
ふふ、と微笑むミントはいつものミントで、どこにこんな破壊力があるのだろうかと冷静な自分と、これをプレゼントしたのは俺なのだと恥ずかしさで顔が真っ赤になっている自分がいる。逃げ出したい。
「……アキ、さん?」
上目遣いで見上げてくるものだから胸元がよく見えて、それからなんとか視線を逸らす。まだ昼間だぞ。
「……似合ってる」
もちろん本当の気持ちを伝えられるはずもなく、当たり障りのない感想を口にする。
「ありがとうございます」
ミントの声はいつも通りで、温度感のギャップに高ぶっていた俺の気持ちも少しずつ落ち着いていく。
「サイズ、大丈夫だったか」
「ぴったりでしたよ」
「色、黒でよかったか」
「黒は好きですよ」
「その……着てくれてありがとう」
顔の熱が引いてきて、やっとミントの顔を見ると、相手は少し照れていた。
「アキさんのプレゼントだから、着るんですよ」
恥ずかしかったのは、相手も同じだったみたいだ。
思わず抱きしめたくなる衝動を抑えつつ、人前だからと我慢する。その手をとって、「行こうか」と声をかけると、彼女はにこりと笑ってくれた。
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