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「焼きリンゴを作りたい、ですか?」
尋ねると、フランソワは少しだけ目を丸くして私に向き直った。
「簡単な作り方を教えて! 石神村ではリンゴを焼くなんて発想なかったから……」
「構いませんよ。簡単な方法を教えます」
「いいの? でも、僕……」
「心配はいりません。この私がそばにおります」
ぺこり、と頭を下げたフランソワに、僕は安心感を覚えた。
「まずはリンゴを薄く切ります」
「こう……?」
「お上手です、メノウ様」
「そして、バターをフライパン全体に行き渡らせます」
「お、おもしろいね……!」
「その調子です。では次に、リンゴを並べて……」
「焼けてきましたね。では、裏返して砂糖とシナモンをかけます」
「シナモン?」
「香辛料の一種ですね。辛味はないので、メノウ様でも安心してお食べになられるかと」
ワンステップごとに教えてくれるので、混乱せずに済んだ。フランソワの指示に従っていけば、何でもできそうな気がしてくる。
ふふ、なんて笑いながら空を見つめる。こんなことまでできるなんて、昔は思わなかった。
「メノウ様!」
切迫した声にフライパンを見ると、リンゴが焦げ茶色になってしまっていた。
「あ……! ど、どうすれば!」
「お皿に移しましょう」
言われた通りにしながら、焦げた香りが鼻をかすめることに罪悪感を覚える。
「ごめん、フランソワ……僕、料理の才能ないかもしれない……」
「いえ、そんなことはありませんよ」
ナイフとフォークを用意しながら、フランソワが言う。
「今回は、調理の時間が少し長かっただけ。こうやって、失敗して覚えていけばよいのです。……それに」
「それに?」
「焦げた料理も、場所を選べば案外おいしいものです。ほら、ここですとか」
フランソワが切り分けてくれた一欠片を、食べてみる。
確かに焦げた味がする。でも、砂糖が形を変えたのか、表面の砂糖はバリバリと噛み砕けて楽しいし、リンゴはよく加熱されていてそのまま食べるのとは違う甘みが出ている。
「お、おいしい……かも?」
「ふふ。喜んでくれたならなによりです」
フランソワも一口食べて、「おいしいですよ」と微笑む。
「またお付き合いしますよ。次は、なにを作りましょうか」
「えっと……なにがあるの? 全然知らなくて……」
「おや、確かにそこからですね。あのころはあんな料理がありましたね……」
料理の話をするときのフランソワは楽しそうで、僕は生まれるよりずっと前の時代に思いをはせた。
尋ねると、フランソワは少しだけ目を丸くして私に向き直った。
「簡単な作り方を教えて! 石神村ではリンゴを焼くなんて発想なかったから……」
「構いませんよ。簡単な方法を教えます」
「いいの? でも、僕……」
「心配はいりません。この私がそばにおります」
ぺこり、と頭を下げたフランソワに、僕は安心感を覚えた。
「まずはリンゴを薄く切ります」
「こう……?」
「お上手です、メノウ様」
「そして、バターをフライパン全体に行き渡らせます」
「お、おもしろいね……!」
「その調子です。では次に、リンゴを並べて……」
「焼けてきましたね。では、裏返して砂糖とシナモンをかけます」
「シナモン?」
「香辛料の一種ですね。辛味はないので、メノウ様でも安心してお食べになられるかと」
ワンステップごとに教えてくれるので、混乱せずに済んだ。フランソワの指示に従っていけば、何でもできそうな気がしてくる。
ふふ、なんて笑いながら空を見つめる。こんなことまでできるなんて、昔は思わなかった。
「メノウ様!」
切迫した声にフライパンを見ると、リンゴが焦げ茶色になってしまっていた。
「あ……! ど、どうすれば!」
「お皿に移しましょう」
言われた通りにしながら、焦げた香りが鼻をかすめることに罪悪感を覚える。
「ごめん、フランソワ……僕、料理の才能ないかもしれない……」
「いえ、そんなことはありませんよ」
ナイフとフォークを用意しながら、フランソワが言う。
「今回は、調理の時間が少し長かっただけ。こうやって、失敗して覚えていけばよいのです。……それに」
「それに?」
「焦げた料理も、場所を選べば案外おいしいものです。ほら、ここですとか」
フランソワが切り分けてくれた一欠片を、食べてみる。
確かに焦げた味がする。でも、砂糖が形を変えたのか、表面の砂糖はバリバリと噛み砕けて楽しいし、リンゴはよく加熱されていてそのまま食べるのとは違う甘みが出ている。
「お、おいしい……かも?」
「ふふ。喜んでくれたならなによりです」
フランソワも一口食べて、「おいしいですよ」と微笑む。
「またお付き合いしますよ。次は、なにを作りましょうか」
「えっと……なにがあるの? 全然知らなくて……」
「おや、確かにそこからですね。あのころはあんな料理がありましたね……」
料理の話をするときのフランソワは楽しそうで、僕は生まれるよりずっと前の時代に思いをはせた。