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「出久くん、この前かっこよかったです……」
「出久くんが笑ったところを見れたんです!」
「はー、出久くんに会いたいです……」
 バーのカウンターに肘をついて、頬杖をつく、私の好きなヒト。
「そんなに好きなら告白しちゃえばいいじゃん」
「そういうワケにはいかないんです! 私はただ……見てるだけで嬉しいというか……」
「……出久って人に出会ってから、ヒミコちゃん幸せそうだね」
「そりゃそうですよ!」
 空中に浮いていた視線が、やっとこちらを向いてくれた。フフ、と微笑む口元には、チャームポイントの八重歯が覗いている。
「好きなヒトがいるってこと、それだけで毎日幸せなんです!」
 に、と笑うその笑顔に、胸が締めつけられる。
 好きなヒトがいるのに、私は苦しいよ。ヒミコちゃんとは反対だ。
 伝えられるはずもない。私はヒミコちゃんの友達だから。好きな人の恋路を応援せずしてなにが友達だ。彼女が幸せになることが一番の幸せじゃないか。
 この恋は、諦めなくちゃいけない。ヒミコちゃんの幸せのために。
 でも。
 その隣に立てたら、私はどれだけ幸せだろうか。
 出久という人のことを思い浮かべてにこにこと頭を揺らす彼女を見ながら、そんなアナタも好きだよ、なんて言葉は胸の奥にしまって。
「応援してるよ」
 精一杯笑ってみせると、好きなヒトは「頑張りますっ!」と笑顔で返してくれた。
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