夏休み
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夏休みが始まってから数日経ったころ。カバンの中には疑問点を書き込んだノートと、付箋をつけた教科書が入っている。質問もたくさん持ってきた。まずは数Ⅲを聞いて、それから物理を聞いて。雄英の門の前に行こうとして、一つ違うところに私は眉をひそめる。
人が、いる。かっちりと決めたスーツ姿。その肩に大きなカメラを持っていたり、手にマイクを握っていたり。そんな大人たちが何十人も門の前で寄ってたかって群がっている。明らかに報道の関係者だった。
「えっ……」
思わず出てしまった驚きの声に反応して、彼らが振り返る。どの大人も、ぎらぎらと飢えた獣のような瞳をしていた。
「雄英生だ!」
誰かが言う。
「インタビューしろ!」
革靴とパンプスの黒い足が、一斉にこちらに向く。
「ひっ……」
圧倒的な人数差に怖くて足が動かず、気づけば私をぐるりと取り囲むように報道陣が立っていた。四方八方から注がれる好奇の視線に、私はどうしようと目を左右に泳がせた。
「何年生ですか!」
女性記者がマイクを向ける。
「一年ヒーロー科の合宿にて敵 の襲撃があったようですが、何か聞いていませんか!」
メモを持った記者が強い口調で尋ねる。
「あ……」
ヒーロー科。
「え……」
敵 。
「えっと……」
自然と浮かぶのは彼の顔。
動揺の表情を見せた私にマイクがずいと差し出され、カメラのレンズが私を捉える。
襲撃なんて、私はなにも知らない。四月にもそういったことがあったと聞いているし、きっとなにかあったのだろう。しかし、報道のために、仕事のために、お金のために、私たちの暮らしに土足で踏み入る大人たちに、嫌気が差した。
この視線は、私にまっすぐ向けられたものではない。歪んでいる。先生方が向けてくださるものとはまったく違うものだ。
「ごめんなさい、知りません!」
少し大きめの声を上げて、私は取り囲んでいた大人たちを押しのけ、その輪から出ようとする。
「なんでもいいんです!」
「教えてくれませんか!」
「やめてください!」
蠢く記者たちの波から走って逃れ、私は駅の方向へ向かう。
焦凍、大丈夫かな。
不安は私の足を速く動かし、安全な家へと導かせる。
人が、いる。かっちりと決めたスーツ姿。その肩に大きなカメラを持っていたり、手にマイクを握っていたり。そんな大人たちが何十人も門の前で寄ってたかって群がっている。明らかに報道の関係者だった。
「えっ……」
思わず出てしまった驚きの声に反応して、彼らが振り返る。どの大人も、ぎらぎらと飢えた獣のような瞳をしていた。
「雄英生だ!」
誰かが言う。
「インタビューしろ!」
革靴とパンプスの黒い足が、一斉にこちらに向く。
「ひっ……」
圧倒的な人数差に怖くて足が動かず、気づけば私をぐるりと取り囲むように報道陣が立っていた。四方八方から注がれる好奇の視線に、私はどうしようと目を左右に泳がせた。
「何年生ですか!」
女性記者がマイクを向ける。
「一年ヒーロー科の合宿にて
メモを持った記者が強い口調で尋ねる。
「あ……」
ヒーロー科。
「え……」
「えっと……」
自然と浮かぶのは彼の顔。
動揺の表情を見せた私にマイクがずいと差し出され、カメラのレンズが私を捉える。
襲撃なんて、私はなにも知らない。四月にもそういったことがあったと聞いているし、きっとなにかあったのだろう。しかし、報道のために、仕事のために、お金のために、私たちの暮らしに土足で踏み入る大人たちに、嫌気が差した。
この視線は、私にまっすぐ向けられたものではない。歪んでいる。先生方が向けてくださるものとはまったく違うものだ。
「ごめんなさい、知りません!」
少し大きめの声を上げて、私は取り囲んでいた大人たちを押しのけ、その輪から出ようとする。
「なんでもいいんです!」
「教えてくれませんか!」
「やめてください!」
蠢く記者たちの波から走って逃れ、私は駅の方向へ向かう。
焦凍、大丈夫かな。
不安は私の足を速く動かし、安全な家へと導かせる。