夏休み
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ヒグラシの声が聞こえる、七月の終わり。一学期、最後の日。
帰宅する私の隣にはいとこがいる。一緒に帰るのはちょっと子供っぽいのかなぁなんて思っているけど、どの雄英生より家が近いから結局このスタイルが一番安心かもしれない。最近犯罪も増えてるみたいだし。
「うちに、遊びに来ないか」
他愛もない話をしていたら突如投げかけられた誘い。いとこの家、という言葉で、ふとよぎるあの人の顔に、私は一瞬固まる。それから、そういえば四月に会えたときにもそんなことを言っていたなと思い出す。
「で、でも……炎司さんはだめって言うんじゃないかな……」
父親の名前を出すと、焦凍は少しの間考え、口を開く。
「親父の許可は取ってない。俺が、家に来てほしいと思っている。それだけじゃ足りないか?」
いとこは「俺が」の部分を強調して言った。私の口から少し緊張がほどける。
「冬姉にも会えるし、夏兄だって……もしかしたら、来てくれるかもしれない」
冬美さんの顔が浮かぶ。ビデオ通話は続けているが、液晶越しと実際に会うとでは全然違う。私も冬美さんに会いたい。夏雄さんとはもう何年も会っていないけど、できることなら挨拶ぐらいはしたいと思っている。
「だめか?」
いつもより落ちたトーンで聞かれる。焦凍は本当に、純粋に、私を家に呼びたいんだ。はっきりとしたまっすぐな思いを受け止めても、払拭できない恐怖の感情。私は焦凍の目を見れないまま返事をする。
「……わかった」
「もちろん、無理にとは言わない。もしも嫌だったら教えてくれ。他の方法を考える」
「そう、だね」
無理に口調を上げて肯定すると、焦凍は「水火」と私の名前を呼ぶ。顔を見ると、不安そうに私を見つめていた。
「……やっぱり、難しいか?」
「ううん! 大丈夫。頑張って、みる……」
あはは、と誤魔化すように笑ってみせると、彼は「そうか」と無表情で私を見つめる。なにか言いたそうに唇が一度薄く開き、何事もなかったかのように閉じられる。
轟家に行くということ、それは、あの日の記憶を思い出してしまうということ。冬美さんや夏雄さんと会えるかもしれない、という希望がある一方で、私の心の中には不安が巣食っていた。
焦凍が来てほしいって言ってるんだもん、きっと大丈夫だよね。
消えそうにないそれに見ないふりをして、目の前のいとこを見つめる。視線に気づくと、不思議そうに首を傾げられる。今は、その気持ちに応えることだけを考えよう。
帰宅する私の隣にはいとこがいる。一緒に帰るのはちょっと子供っぽいのかなぁなんて思っているけど、どの雄英生より家が近いから結局このスタイルが一番安心かもしれない。最近犯罪も増えてるみたいだし。
「うちに、遊びに来ないか」
他愛もない話をしていたら突如投げかけられた誘い。いとこの家、という言葉で、ふとよぎるあの人の顔に、私は一瞬固まる。それから、そういえば四月に会えたときにもそんなことを言っていたなと思い出す。
「で、でも……炎司さんはだめって言うんじゃないかな……」
父親の名前を出すと、焦凍は少しの間考え、口を開く。
「親父の許可は取ってない。俺が、家に来てほしいと思っている。それだけじゃ足りないか?」
いとこは「俺が」の部分を強調して言った。私の口から少し緊張がほどける。
「冬姉にも会えるし、夏兄だって……もしかしたら、来てくれるかもしれない」
冬美さんの顔が浮かぶ。ビデオ通話は続けているが、液晶越しと実際に会うとでは全然違う。私も冬美さんに会いたい。夏雄さんとはもう何年も会っていないけど、できることなら挨拶ぐらいはしたいと思っている。
「だめか?」
いつもより落ちたトーンで聞かれる。焦凍は本当に、純粋に、私を家に呼びたいんだ。はっきりとしたまっすぐな思いを受け止めても、払拭できない恐怖の感情。私は焦凍の目を見れないまま返事をする。
「……わかった」
「もちろん、無理にとは言わない。もしも嫌だったら教えてくれ。他の方法を考える」
「そう、だね」
無理に口調を上げて肯定すると、焦凍は「水火」と私の名前を呼ぶ。顔を見ると、不安そうに私を見つめていた。
「……やっぱり、難しいか?」
「ううん! 大丈夫。頑張って、みる……」
あはは、と誤魔化すように笑ってみせると、彼は「そうか」と無表情で私を見つめる。なにか言いたそうに唇が一度薄く開き、何事もなかったかのように閉じられる。
轟家に行くということ、それは、あの日の記憶を思い出してしまうということ。冬美さんや夏雄さんと会えるかもしれない、という希望がある一方で、私の心の中には不安が巣食っていた。
焦凍が来てほしいって言ってるんだもん、きっと大丈夫だよね。
消えそうにないそれに見ないふりをして、目の前のいとこを見つめる。視線に気づくと、不思議そうに首を傾げられる。今は、その気持ちに応えることだけを考えよう。