体育祭
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
息を切らしながらたどり着いた先には、次のギミックが待ち受けていた。
「え……!」
私はそのステージに驚きの声を出してしまう。足が止まる。
地面はなく、そこには闇が待ち受けている。ぽつんぽつんと孤島が浮いており、それらは綱で繋がっている。
これを乗り越えろってこと……?
近くまで歩く。
地面が真っ黒な口を開けて、私を飲み込もうと待っている。足を滑らせるそのときを、落ちてしまうそのときを、今か今かと静かに待っている。
「ひぃ……!」
私は怯えて後ずさりした。
周りは、と見てみるとやはり立ち止まっている生徒がいた。しかし、その中でジャンプして飛び越える生徒、地道に綱渡りする生徒などがおり、みんなそれぞれ個性を使ったり使わなかったりしながら頑張っていた。
今の私なら何が最適解なのか? 個性を、今の弱々しい個性を使って何ができる?
考えろ……!
ふと前を見ると、ロープを使って次の島につなげ、それをつかみそのままぐいーんと重力に任せて進んでいく生徒の姿が見えた。ロープを出せるのが、彼の個性か。
もしかして、あれ、できないかな?
途中でちぎれたらどうする?
いや、やってみよう。もしかしたら……!
手のひらサイズのウォーターボールを二つ生み出す。それらを手に取り、繋げてみる。それらは化学で習った酸素分子の模型みたいにぷるんと繋がった。
よし、この調子……!
私はボールを生み出してはくっつけ、を繰り返して三メートルほどの水のロープを作り出した。
「これで……!」
さっき先を行った生徒みたいにそのロープを投げてみる。それは次の孤島の端にくっついた!
そのまま走り、穴の手前でジャンプ! 視界がぐんと動く。胃のあたりが宙に浮いたような、不思議な感覚だ。ふと下を見ると、黒々とした闇がそこにある。
もしこの手を離したら、落ちてしまったら……!
「うわあああああ!!!」
恐怖で私は叫んでしまう。
振り子のように私は再び浮上し、近くの島に飛び乗った。
「はぁ、はぁ……!」
これを繰り替えすの!? あそこまで!?
ステージの終わりを見て、私は一瞬絶望した。
でも、きっとみんなここを乗り越えてきたんだよね。だったら、私も……!
ロープを投げる。駆ける。飛ぶ!
「いやあああああ!!!」
「あああああ!!!!」
会場に私の情けない絶叫が響き渡る。
「何やってんだアイツ……」
観客席からぼそりと声が聞こえた。
「はいはい、すみませんね……!」
こっそり愚痴る。対岸になんとかたどり着き、息を整えながら。
最後のところは地雷が埋まっていたらしいが、すでに上位陣が通ったあとだったから難なく通れた。
最後の一本道を走り抜ける。私は足が遅いから、少し周りの人に抜かされてしまった。
ゲートをくぐる。その先には数十人の生徒が私よりも早く到着していた。
「はーい、お疲れー!」
ミッドナイト先生がゴールした生徒たちに声をかけている。
肩で大きく息をしながら、私は画面を見る。
どうにかゴールまで辿り着けたけど……。
予選敗退。
四文字の事実は虚しく突きつけられる。
悔しい……! 頑張ったのに!
でも、仕方ないよね。私、ヒーローになりたいわけじゃないもん。
ヒーロー科がメインの体育祭。私は普通科だから、別にこれでいいんだ。一位になれなくたって、注目されなくたって、別に……。
悔しい気持ちを冷静な諦めの感情で上書きしながら、私は順位発表を待った。
「え……!」
私はそのステージに驚きの声を出してしまう。足が止まる。
地面はなく、そこには闇が待ち受けている。ぽつんぽつんと孤島が浮いており、それらは綱で繋がっている。
これを乗り越えろってこと……?
近くまで歩く。
地面が真っ黒な口を開けて、私を飲み込もうと待っている。足を滑らせるそのときを、落ちてしまうそのときを、今か今かと静かに待っている。
「ひぃ……!」
私は怯えて後ずさりした。
周りは、と見てみるとやはり立ち止まっている生徒がいた。しかし、その中でジャンプして飛び越える生徒、地道に綱渡りする生徒などがおり、みんなそれぞれ個性を使ったり使わなかったりしながら頑張っていた。
今の私なら何が最適解なのか? 個性を、今の弱々しい個性を使って何ができる?
考えろ……!
ふと前を見ると、ロープを使って次の島につなげ、それをつかみそのままぐいーんと重力に任せて進んでいく生徒の姿が見えた。ロープを出せるのが、彼の個性か。
もしかして、あれ、できないかな?
途中でちぎれたらどうする?
いや、やってみよう。もしかしたら……!
手のひらサイズのウォーターボールを二つ生み出す。それらを手に取り、繋げてみる。それらは化学で習った酸素分子の模型みたいにぷるんと繋がった。
よし、この調子……!
私はボールを生み出してはくっつけ、を繰り返して三メートルほどの水のロープを作り出した。
「これで……!」
さっき先を行った生徒みたいにそのロープを投げてみる。それは次の孤島の端にくっついた!
そのまま走り、穴の手前でジャンプ! 視界がぐんと動く。胃のあたりが宙に浮いたような、不思議な感覚だ。ふと下を見ると、黒々とした闇がそこにある。
もしこの手を離したら、落ちてしまったら……!
「うわあああああ!!!」
恐怖で私は叫んでしまう。
振り子のように私は再び浮上し、近くの島に飛び乗った。
「はぁ、はぁ……!」
これを繰り替えすの!? あそこまで!?
ステージの終わりを見て、私は一瞬絶望した。
でも、きっとみんなここを乗り越えてきたんだよね。だったら、私も……!
ロープを投げる。駆ける。飛ぶ!
「いやあああああ!!!」
「あああああ!!!!」
会場に私の情けない絶叫が響き渡る。
「何やってんだアイツ……」
観客席からぼそりと声が聞こえた。
「はいはい、すみませんね……!」
こっそり愚痴る。対岸になんとかたどり着き、息を整えながら。
最後のところは地雷が埋まっていたらしいが、すでに上位陣が通ったあとだったから難なく通れた。
最後の一本道を走り抜ける。私は足が遅いから、少し周りの人に抜かされてしまった。
ゲートをくぐる。その先には数十人の生徒が私よりも早く到着していた。
「はーい、お疲れー!」
ミッドナイト先生がゴールした生徒たちに声をかけている。
肩で大きく息をしながら、私は画面を見る。
どうにかゴールまで辿り着けたけど……。
予選敗退。
四文字の事実は虚しく突きつけられる。
悔しい……! 頑張ったのに!
でも、仕方ないよね。私、ヒーローになりたいわけじゃないもん。
ヒーロー科がメインの体育祭。私は普通科だから、別にこれでいいんだ。一位になれなくたって、注目されなくたって、別に……。
悔しい気持ちを冷静な諦めの感情で上書きしながら、私は順位発表を待った。