体育祭
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先を進むと、ロボットの大群がいた。ロボットはとても大きく、私たちの何倍もある。
「なに、あれ……!」
信じられない大きさに、私はつい走るスピードを落としてしまう。怖いのだ。
凍って倒れてるのもいるし、壊されて止まっているのもいる。
立ちすくむ生徒、頑張って戦う生徒、飛び越える生徒。みんな自分の個性を駆使して、どうにか乗り越えようとしている。
私の個性で、なにができる……?
炎の方は、それを纏うことしかできない。水の方は、水のボールが出せるだけ。ボールをぶつけたところで、ロボットはびくともしないだろう。
「どうしたら……!」
私の足は完全に止まる。
瞬間、ロボットのうち一体が私に視線を向ける。こちらに向かって歩み出した!
「ひっ……!」
重そうな鋼鉄の右腕が私を襲う——!
「フラッシュ!」
女の子の声。瞬間、光がロボットの目の前で瞬いた! ロボットの動きが一瞬だけ止まる。
「逃げるよ!」
ぐいっと誰かに手を引っ張られて、私はロボットの前から逃げ出す。数秒後、動き出したロボットはぐらりとバランスを崩して自重で倒れた! 衝撃が離れていても伝わってきた。
「大丈夫?」
女子生徒に声をかけられて、私は「ありがとう……」と状況が飲み込めていない状態で返事をした。
「さっき、助けてくれたでしょ? 氷、溶かしてくれたじゃん」
彼女はにこっと微笑む。そういえば、この子の氷も溶かしたな、と思い出す。
「だから、私も助けようと思って」
「俺も……助けてもらったから。駆け抜けるには相性のいい個性だと思う」
背の高い男子生徒がこちらに近寄る。
「僕も! あの、何かお力になれればと思いまして……!」
敬語の男子生徒がおずおずと手を挙げる。
「みんな……!」
「そいじゃ、作戦会議しよ!」
時間にして約十秒。たったそれだけの時間で、お互いを知らない私たちは即興の作戦を生み出した。
「目、閉じてて。最大火力で行くから……!」
女子生徒の言葉に従う。
「フラァァァッシュ!」
瞼の裏で、先ほどよりもずっとずっと強い光が私たちを包み込んでいるのがわかる。
目を開けると、巨大ロボットたちは動きを止め、ガクガクと痙攣していた。
「よし、俺も行くぜ! スピード強化!」
男子生徒が私たちの体に一瞬触れる。なんだか、足が軽い。これなら、どこまでも走っていけそうだ。
「走るぞ!」
四人で一緒に走る! ロボットの死骸を乗り越え、飛び越え、駆け抜けて!
いつもの駆け足よりずっとずっと早い! こんな感覚は初めてだ。こんな個性があったら体育は楽勝だろうな、なんて羨ましく思ったりもした。
光の効果が切れたのか、ロボットたちが私たちを追いかけてくる! その目は確実に私たちを捉えている!
「うわあ、どうしよ……!」
「僕に任せてください! 行け、向かい風!」
ひゅるり、風が後方に吹いていく! しかし、ロボットはそんな弱い風なんかにはビクともしない。
「おい、効いてないじゃねぇか!」
「す、すみません!」
敬語の子は背の高い生徒に叱責されて苦笑いした。
「あはは!」
光の子が笑っている。つられて私も笑ってしまう。
しばらく走ったところで、速度をゆるめていく。ロボットはもう追いかけてこない。
「みんな、ありがとう。助かったよ……!」
「いいえー!」
「助けてくれたからお互い様だ!」
「次のギミックも、乗り越えていきましょうね……!」
三人に優しく言われて、私は泣きそうになる。こんな役立たずの私でも、誰かの役に立てることができるんだ……。
じわり、涙が滲む。
「また、どこかで……!」
「じゃあね!」
「頑張ろうな!」
「失礼します!」
私たちは別れて、その先へとそれぞれ走り出した。
「なに、あれ……!」
信じられない大きさに、私はつい走るスピードを落としてしまう。怖いのだ。
凍って倒れてるのもいるし、壊されて止まっているのもいる。
立ちすくむ生徒、頑張って戦う生徒、飛び越える生徒。みんな自分の個性を駆使して、どうにか乗り越えようとしている。
私の個性で、なにができる……?
炎の方は、それを纏うことしかできない。水の方は、水のボールが出せるだけ。ボールをぶつけたところで、ロボットはびくともしないだろう。
「どうしたら……!」
私の足は完全に止まる。
瞬間、ロボットのうち一体が私に視線を向ける。こちらに向かって歩み出した!
「ひっ……!」
重そうな鋼鉄の右腕が私を襲う——!
「フラッシュ!」
女の子の声。瞬間、光がロボットの目の前で瞬いた! ロボットの動きが一瞬だけ止まる。
「逃げるよ!」
ぐいっと誰かに手を引っ張られて、私はロボットの前から逃げ出す。数秒後、動き出したロボットはぐらりとバランスを崩して自重で倒れた! 衝撃が離れていても伝わってきた。
「大丈夫?」
女子生徒に声をかけられて、私は「ありがとう……」と状況が飲み込めていない状態で返事をした。
「さっき、助けてくれたでしょ? 氷、溶かしてくれたじゃん」
彼女はにこっと微笑む。そういえば、この子の氷も溶かしたな、と思い出す。
「だから、私も助けようと思って」
「俺も……助けてもらったから。駆け抜けるには相性のいい個性だと思う」
背の高い男子生徒がこちらに近寄る。
「僕も! あの、何かお力になれればと思いまして……!」
敬語の男子生徒がおずおずと手を挙げる。
「みんな……!」
「そいじゃ、作戦会議しよ!」
時間にして約十秒。たったそれだけの時間で、お互いを知らない私たちは即興の作戦を生み出した。
「目、閉じてて。最大火力で行くから……!」
女子生徒の言葉に従う。
「フラァァァッシュ!」
瞼の裏で、先ほどよりもずっとずっと強い光が私たちを包み込んでいるのがわかる。
目を開けると、巨大ロボットたちは動きを止め、ガクガクと痙攣していた。
「よし、俺も行くぜ! スピード強化!」
男子生徒が私たちの体に一瞬触れる。なんだか、足が軽い。これなら、どこまでも走っていけそうだ。
「走るぞ!」
四人で一緒に走る! ロボットの死骸を乗り越え、飛び越え、駆け抜けて!
いつもの駆け足よりずっとずっと早い! こんな感覚は初めてだ。こんな個性があったら体育は楽勝だろうな、なんて羨ましく思ったりもした。
光の効果が切れたのか、ロボットたちが私たちを追いかけてくる! その目は確実に私たちを捉えている!
「うわあ、どうしよ……!」
「僕に任せてください! 行け、向かい風!」
ひゅるり、風が後方に吹いていく! しかし、ロボットはそんな弱い風なんかにはビクともしない。
「おい、効いてないじゃねぇか!」
「す、すみません!」
敬語の子は背の高い生徒に叱責されて苦笑いした。
「あはは!」
光の子が笑っている。つられて私も笑ってしまう。
しばらく走ったところで、速度をゆるめていく。ロボットはもう追いかけてこない。
「みんな、ありがとう。助かったよ……!」
「いいえー!」
「助けてくれたからお互い様だ!」
「次のギミックも、乗り越えていきましょうね……!」
三人に優しく言われて、私は泣きそうになる。こんな役立たずの私でも、誰かの役に立てることができるんだ……。
じわり、涙が滲む。
「また、どこかで……!」
「じゃあね!」
「頑張ろうな!」
「失礼します!」
私たちは別れて、その先へとそれぞれ走り出した。