千景受け
全てを失ってでも、復讐をしてやると考えていた。
しかし、それは自分の思い込みでしか過ぎなくてカンパニーの人たちには迷惑を沢山かけたと思う。
多大な迷惑をかけたのに、ここの人間達は自分に残ってほしいと祈願してきた。
甘い人間の集まりだ、と思った。
それが、心地よく感じたのも事実だ。
返済をするために今度は自分がこのカンパニーを守っていこうと決意をした。
昔は、死なんていつも隣合わせでなんともおもっていなかったのに。
いまでは、このカンパニーの人達が1人でも消えることがとても恐ろしく思ってしまった。
俺も感化されたかな、と自嘲気味に笑った。
目の前には、もう息の途絶えた肉の塊がごろっと転がっている。
周りを染める鮮血はきっとあの人間のものだろう。
ふと、見上げてみると真っ赤な満月がこちらを照らしていた。
何故だか、妙に居心地が悪くなって後処理をしたら、満月に隠れるように細い路地に入っていった。
それから、まっすぐアジトへと向かった。
内蔵がぐるぐると回転をするように動いている錯覚をして、吐き気がこみ上げてくる。
それに気付かないふりをして、アジトへと向かった。
丁度明日は休日だから、寮に帰らなくても大丈夫だろうと、ベッドの上へ倒れ込むようにして寝転がった。
ベッドからは安物のギシッという、スプリングの音がした。
何もかもに気付かないふりをして、瞼を閉じて夢の中に入っていった。
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