「愛してますよ」
夕食が終わって、各々が自分の部屋に帰った頃。
もちろん103号室には、先輩と俺しかいない。
そんな中で俺は先輩に俗に言う愛の言葉とやらを言った。
突然の俺の言葉に先輩は細い目を少し見開き、こちらをじっと見てきた。
視線と視線が絡み合って、お互いが無言になった。
いつものポーカーフェイスはどこにやったのか、先輩は歪んだ曖昧な笑顔を見せた後
「…ありがとう」
と、だけ呟いた。
なんでも器用にこなすくせに、こうゆう時は不器用だよな、とぼんやり思う。
そうする事によって、自分のことを傷つけているのに。
自分の感情に関しては、本当に不器用な人。
そんな彼が俺は愛おしい。