私の知ってるわらしべじゃない!
路地裏でスカジャンに学校のスカートを履いた女が佇んでいる。足元には不良あろう男達が身体を痙攣させながら倒れており
遠くの方からは救急車のサイレンが近づいてくる。連絡を入れた女は青醒めた顔を隠すこともなく携帯を握りしめる
「おかしいな…成功したと思ったんだけど」
まあ死んでないしセーフだよね、と思いっきりアウトな言葉がぽつりと呟かれた。
※
あの鮪事件から数日たち陽は学校の机で頭を抱えていた
「どうしよう」
マイキーくんとキスしちゃった、しかも年下の男の子、、突然のことに返事もできず気づいたら家の玄関に立っていた。この事を相談したいけど奈津と亜紀が頼れる訳もない。あいつらは猪突猛進だから知ったら絶対処すと言う。うぅ~~と唸りつつべしょべしょと半泣きでいると周りのクラスメイトがどした~元気だせ~とわらわらと集まり背中やら頭を撫でお供え物のごとく飴やらお菓子をおいていく。さながら動物園の触れ合いコーナーのような物である。日頃から貢がれる陽は慣れた手つきでお菓子をあけ食べ始める。そんな中山鳩色の髪をフイッシュボーンにし、制服の上からスカジャンを羽織った女が近づいてき、陽の頭をゆっくりと撫でる。
「陽ちゃんどうしたの?」
「ふ、ふゆちゃ~~ん!!」
あのやばい(ネジが飛んでる)友人二人とは違いまだまともな友人ふゆが居た。
鼻をすんすんとさせながらも指を絡めたりほどいたりしながらふゆに鮪の時のことを話し始めた
「実はね…」
お礼は何がいい?と聞いたらキスをされて…と言い返事がないので前を見ると能面のような顔をした友人がおり思わずヒョッと変な声がでる。
「処す??」
「やめて?」
「えっでも処した方が早くない?」
「何が早いのか分かんないし物理で解決しようとしないで??」
何で私の周りはこう、拳というか物理で終わらせようとする人が多いのだろうか。相談できる人が誰もいないのはどうして??思わず顔を覆ってしまったのは悪くないといいたい。お分かりだろうが彼女、ふゆもやばいやつである。最近不良達が軒並み救急車送りになっていると話題があがっているのだがその救急車送りをしているのが彼女である。そのことを知らない陽はそういえばと口を開く
「ふゆちゃん新しいバイク買ったんでしょ?」
「そうなの!運転は大分慣れてきて先生からもいいって言われたんだけど、ドリフトが中々…あっでも今は大分いいんだよ?帰りに乗ってく?」
ちょっと、いやかなり不穏な言葉が聞こえたが乗せてもらえるのは嬉しく素直に乗る~!と楽しそうに言う陽を微笑ましそうに見つめるふゆ
「(乗せるついでにそのマイキーとやらを処そ)」
知らぬところでデスレースが開催された瞬間である。
「くしゅっ」
「あ?マイキー風邪か?」
「ん~いや、違うと思う」
こう、何かくる気がすると神妙な顔で呟くマイキーにふと陽とその友人達が頭をよぎったが違うであろうと頭を振り、まあ気をつけろよと頭を叩くがドラケンの思っていたことは大正解であり自分も巻き込まれることになるのはまだ知らない。
放課後になりふゆのバイクに乗せてもらうべくスキップをしながら校舎の裏にいく。
「うわ~!凄い!!」
そこにあったのはCB750だった。最近知り合った真一郎のバイク屋に何回か行き始めてからほんのちょびっと興味はあったのだ。
思わずキラキラとした目でみつめてしまいくるくると周りながら見ているとどや顔でふゆが立っていた
「我が子、可愛かろう??」
「かわ??格好いいとは思うけど」
まあ乗りなと後ろに陽を乗せお腹に手を巻き付かせる。ドキドキするなと思いながらもきゅっと控えめに握ると前から唸り声が聞こえ思わず大丈夫?と聞くと険しい顔をしたふゆが此方をみる。
「それ絶対私以外にしないで」
「??うん」
何も分かってない陽である。
「さて」
エンジンをかけブレーキを外す。軽くギアを回し始めたと思った瞬間ふゆの顔つきが変わる。あれ、ちょっと待って?と陽が思った時にはもう始まっていた
ドゥルルン
「行くぜ行くぜ行くぜ!!!!マイキーって金髪の野郎を処しに!!!」
「え」
「は~~~~ッッッ真知子ォ暖まってきたな??オーケーィ!!!いいドリフト相手が見つかったぜ!!!しっかり掴まってな!!飛ぶぞ!!!」
「真知子??ちょっまっ」
ヒョアアアアと変な声がその場に置き去りにされた。
所変わって六本木、此処は彼らの庭であった。あったのだが最近自分達の知らぬところで不良が伸され病院送りにされているという噂が絶えなかった。
「兄ちゃん聞いたか?」
「聞いてる、最近俺らのシマ荒らしてるやつだろ?」
気だるそうな雰囲気を隠しもせず黒のコートを纏う二人の男。片方は金髪をオールバックにしもう一人は三つ編みにしている六本木のカリスマ灰谷蘭と竜胆である。バイクに乗りながら目的の物を求めてぶらぶらしているがこの二人自分達の庭を荒らされて単純に怒っていたのだ。よく出没する場所を聞き出しそれを頼りに人気の少ない道を進む。
「ここら辺って言ってたな~」
「確か特徴が黒のCB750に乗ってスカジャン着た女だったか?」
「そうそうそれこそ前からきてる…」
やつ…と言い思わず口を閉じる。前方から特徴と一致したバイクはきているのだが表情は能面でアクセル全開でむしろ、、スピードあげてないか?え?突っ込んできてない?まって?後ろに乗ってるもう一人の女の子が必死に避けてぇえ!!と叫んでるのを聞き反射でバイクを横に倒し壁に張り付いたと同時に目の前をバイクが掠めていく。
「竜胆、俺鼻ついてる?」
「…ついてる」
ドッドッと言う心臓を落ち着かせながら思わず手を取り合ってバイクの方を見るとドリフトを決めこちらを向いていた
ドゥルルン
「失敗したか…で?金髪の野郎…マイキーはどっちかな~?どっちでもいっか~、あはっ練習台み~~つけた」
ドゥルルン
「「は」」
「処す」
ドゥルルン
「「え」」
「ふゆちゃんやめて!!この人達違うから!!」
今マイキーって言わなかったかこの女。無敵のマイキーはあんなやばいやつと知り合いなの?顔は決して逸らさずバイクに乗りブレーキを外す。緊張が走るなか最初に動き出したのはふゆだった。アクセルペダルを踏み締め突撃してくる。
「おらおらおらぁ!!真知子ォ!!かっ飛ばせぇえ!!」
「逃げろ竜胆!!!」
「ああぁあ!!!助けてマイキーくんんんんんん」
陽の叫び声が六本木の街に響いた
「あれ、陽ちゃん電話にでない」
「あ?しつこくかけすぎたんじゃねえのか?」
そんなにかけてないよ、とむすりと頬を膨らませながらも無意識に指でふにふにと唇を押す。
ふと後ろの方が騒がしくなり始め愛車のバブを走らせながら振り向いて直ぐ様また前を見る
「何あれケンチン??」
「やめろ、俺達は何も見ていない」
「え?見間違い??」
「そうだ「見間違いじゃねえよ!!!」」
ブォオン!!と後ろから盛大な音と共に六本木の灰谷兄弟が横に並ぶ。何故こいつらがここにいるのか聞きたいが後ろのやつを撒くのに徹する。
「あれ!!お前らの客!!」
「「違います」」
「そうだから!?俺と兄ちゃん関係ないから!?」
ぎゃいぎゃいと言い争っていると後ろからCB750が華麗なドリフトを決めながら突っ込み灰谷兄弟がその衝撃で前方に飛んだ。
「「あ」」
「真知子ォ今日は綺麗に決まったね!」
とにっこり笑うふゆにいやお前の頭もキマってるわとその場の全員の顔がひきつる。
「…死んでないよな」
「…多分」
そこまで重症ではなかったのかゆっくりと起き上がる灰谷兄弟を眺めているといつの間にか女が後ろに立っていて肩に手を置いていた
「どっちがマイキー?」
すっとお互いを指差しあい自分はマイキーではないと主張する。だってあのドリフト食らいたくない。
「うぅふゆちゃん~」
めちゃくちゃ聞きなれた声にドラケンと思わずアイコンタクトをする。え、嘘だろ?嘘だと言って欲しい。前回と前々回の猛獣でお腹一杯ですと思いつつも凝視しているとCB750の後ろからへっぴり腰で降りてきたのは陽であった。
「陽さんの周りやべえやつしかいねえ」
ドラケンの呟きにマイキーも同意せざる終えなかった
※
「「「「白バイ隊員になりたくてドリフトの練習???」」」」
灰谷兄弟も起き理由を聞くために草臥れた公園に集まり各々座る。陽はちょこんと座っているがそれ以外は所詮ヤンキー座りで端からみたら不良に集られている女子高生の図である。ふゆはパンツ見えるよと注意されたが減るもんでもないと直すきはなかった。ふゆの奇行とも言えるドリフトをやっていたのはアニメで見た犯人を追い詰める際にやっていたのを真似したとのこと、だが中々上手くいかずいつも止まれずそのままピンボールのように撥ね飛ばし救急車送りにしていたという。
話を聞けば聞くほどやべえやつである。まず生きてる人を練習台にするのやめよ??なんでコーンとかでしないの??私そんなやばい人の後ろに乗ってたの??冷や汗と共に涙も出始め震える陽をマイキーとドラケンが優しくなでる。やめてそんな同情した目でみないで。
はぁとため息を吐いた蘭が立ち上がりふゆの方へ向かう。叩くのかと焦り思わず立ち上がるが伸ばされた手は頭をわしゃわしゃと撫で始める。
「理由は分かりたくもないがまあ分かった」
「なら蘭ちゃん達が一緒に練習してやるよ~」
「え、いいの?」
しょうがないな~と言いながらも付き合ってくれるのは何かが彼らの面白センサーに引っ掛かったのだろう。灰谷兄弟は神か何かか??思わず手を会わせて拝む。
じゃあ練習相手できたから帰るね~!あ、どっちがマイキーか知らないけど陽ちゃんをちゃんと送れよ、じゃないと真知子で飛ばすから、と言い残し灰谷兄弟と帰っていった。嵐がさった瞬間である。
「陽ちゃん、もうちょっとちゃんとした友達選んだ方がいいよ」
ぐうの音もでなかった
腰が半分抜けた陽はバイクの後ろに乗せてもらいマイキーがゆっくり押して歩く。
ドラケンはマイキーくんの妹のエマちゃん?を迎えに行くらしくゼファーに乗って去っていった。皆愛車に名前をつけるのが流行ってるのだろうか、だとしてもふゆちゃんの真知子は何か違う。
ふとバイクを押していたマイキーが路地裏の方に寄り歩みを止める、どうかしたのかと聞こうと身を屈めると此方を覗き込むように囁かれる
「…この間の」
「え?」
「嫌じゃなかった?」
キスと口パクで言われ顔が一瞬で赤くなる
答えれず口をぱくぱくしているとふと目尻を下げ此方に顔を寄せる。
ぺちん
「ふぁんへ」
「…恥ずかしい」
顔を伏せながら蚊の泣くような声で言うと笑い声と共に口を押さえていた腕をゆっくり外され瞬きの内に唇に吐息がかかる
「ふ~ん、嫌ではないんだ」
ならもう一回頂戴
と唇を親指で緩く撫でられ、奪われた。その後満足気なマイキーにたい焼き食べにいこうと言われ放心状態の陽は乗せられていくだけだった。
「あっマイキーくんにイザナくんと知り合い?って聞くの忘れてた」
遠くの方からは救急車のサイレンが近づいてくる。連絡を入れた女は青醒めた顔を隠すこともなく携帯を握りしめる
「おかしいな…成功したと思ったんだけど」
まあ死んでないしセーフだよね、と思いっきりアウトな言葉がぽつりと呟かれた。
※
あの鮪事件から数日たち陽は学校の机で頭を抱えていた
「どうしよう」
マイキーくんとキスしちゃった、しかも年下の男の子、、突然のことに返事もできず気づいたら家の玄関に立っていた。この事を相談したいけど奈津と亜紀が頼れる訳もない。あいつらは猪突猛進だから知ったら絶対処すと言う。うぅ~~と唸りつつべしょべしょと半泣きでいると周りのクラスメイトがどした~元気だせ~とわらわらと集まり背中やら頭を撫でお供え物のごとく飴やらお菓子をおいていく。さながら動物園の触れ合いコーナーのような物である。日頃から貢がれる陽は慣れた手つきでお菓子をあけ食べ始める。そんな中山鳩色の髪をフイッシュボーンにし、制服の上からスカジャンを羽織った女が近づいてき、陽の頭をゆっくりと撫でる。
「陽ちゃんどうしたの?」
「ふ、ふゆちゃ~~ん!!」
あのやばい(ネジが飛んでる)友人二人とは違いまだまともな友人ふゆが居た。
鼻をすんすんとさせながらも指を絡めたりほどいたりしながらふゆに鮪の時のことを話し始めた
「実はね…」
お礼は何がいい?と聞いたらキスをされて…と言い返事がないので前を見ると能面のような顔をした友人がおり思わずヒョッと変な声がでる。
「処す??」
「やめて?」
「えっでも処した方が早くない?」
「何が早いのか分かんないし物理で解決しようとしないで??」
何で私の周りはこう、拳というか物理で終わらせようとする人が多いのだろうか。相談できる人が誰もいないのはどうして??思わず顔を覆ってしまったのは悪くないといいたい。お分かりだろうが彼女、ふゆもやばいやつである。最近不良達が軒並み救急車送りになっていると話題があがっているのだがその救急車送りをしているのが彼女である。そのことを知らない陽はそういえばと口を開く
「ふゆちゃん新しいバイク買ったんでしょ?」
「そうなの!運転は大分慣れてきて先生からもいいって言われたんだけど、ドリフトが中々…あっでも今は大分いいんだよ?帰りに乗ってく?」
ちょっと、いやかなり不穏な言葉が聞こえたが乗せてもらえるのは嬉しく素直に乗る~!と楽しそうに言う陽を微笑ましそうに見つめるふゆ
「(乗せるついでにそのマイキーとやらを処そ)」
知らぬところでデスレースが開催された瞬間である。
「くしゅっ」
「あ?マイキー風邪か?」
「ん~いや、違うと思う」
こう、何かくる気がすると神妙な顔で呟くマイキーにふと陽とその友人達が頭をよぎったが違うであろうと頭を振り、まあ気をつけろよと頭を叩くがドラケンの思っていたことは大正解であり自分も巻き込まれることになるのはまだ知らない。
放課後になりふゆのバイクに乗せてもらうべくスキップをしながら校舎の裏にいく。
「うわ~!凄い!!」
そこにあったのはCB750だった。最近知り合った真一郎のバイク屋に何回か行き始めてからほんのちょびっと興味はあったのだ。
思わずキラキラとした目でみつめてしまいくるくると周りながら見ているとどや顔でふゆが立っていた
「我が子、可愛かろう??」
「かわ??格好いいとは思うけど」
まあ乗りなと後ろに陽を乗せお腹に手を巻き付かせる。ドキドキするなと思いながらもきゅっと控えめに握ると前から唸り声が聞こえ思わず大丈夫?と聞くと険しい顔をしたふゆが此方をみる。
「それ絶対私以外にしないで」
「??うん」
何も分かってない陽である。
「さて」
エンジンをかけブレーキを外す。軽くギアを回し始めたと思った瞬間ふゆの顔つきが変わる。あれ、ちょっと待って?と陽が思った時にはもう始まっていた
ドゥルルン
「行くぜ行くぜ行くぜ!!!!マイキーって金髪の野郎を処しに!!!」
「え」
「は~~~~ッッッ真知子ォ暖まってきたな??オーケーィ!!!いいドリフト相手が見つかったぜ!!!しっかり掴まってな!!飛ぶぞ!!!」
「真知子??ちょっまっ」
ヒョアアアアと変な声がその場に置き去りにされた。
所変わって六本木、此処は彼らの庭であった。あったのだが最近自分達の知らぬところで不良が伸され病院送りにされているという噂が絶えなかった。
「兄ちゃん聞いたか?」
「聞いてる、最近俺らのシマ荒らしてるやつだろ?」
気だるそうな雰囲気を隠しもせず黒のコートを纏う二人の男。片方は金髪をオールバックにしもう一人は三つ編みにしている六本木のカリスマ灰谷蘭と竜胆である。バイクに乗りながら目的の物を求めてぶらぶらしているがこの二人自分達の庭を荒らされて単純に怒っていたのだ。よく出没する場所を聞き出しそれを頼りに人気の少ない道を進む。
「ここら辺って言ってたな~」
「確か特徴が黒のCB750に乗ってスカジャン着た女だったか?」
「そうそうそれこそ前からきてる…」
やつ…と言い思わず口を閉じる。前方から特徴と一致したバイクはきているのだが表情は能面でアクセル全開でむしろ、、スピードあげてないか?え?突っ込んできてない?まって?後ろに乗ってるもう一人の女の子が必死に避けてぇえ!!と叫んでるのを聞き反射でバイクを横に倒し壁に張り付いたと同時に目の前をバイクが掠めていく。
「竜胆、俺鼻ついてる?」
「…ついてる」
ドッドッと言う心臓を落ち着かせながら思わず手を取り合ってバイクの方を見るとドリフトを決めこちらを向いていた
ドゥルルン
「失敗したか…で?金髪の野郎…マイキーはどっちかな~?どっちでもいっか~、あはっ練習台み~~つけた」
ドゥルルン
「「は」」
「処す」
ドゥルルン
「「え」」
「ふゆちゃんやめて!!この人達違うから!!」
今マイキーって言わなかったかこの女。無敵のマイキーはあんなやばいやつと知り合いなの?顔は決して逸らさずバイクに乗りブレーキを外す。緊張が走るなか最初に動き出したのはふゆだった。アクセルペダルを踏み締め突撃してくる。
「おらおらおらぁ!!真知子ォ!!かっ飛ばせぇえ!!」
「逃げろ竜胆!!!」
「ああぁあ!!!助けてマイキーくんんんんんん」
陽の叫び声が六本木の街に響いた
「あれ、陽ちゃん電話にでない」
「あ?しつこくかけすぎたんじゃねえのか?」
そんなにかけてないよ、とむすりと頬を膨らませながらも無意識に指でふにふにと唇を押す。
ふと後ろの方が騒がしくなり始め愛車のバブを走らせながら振り向いて直ぐ様また前を見る
「何あれケンチン??」
「やめろ、俺達は何も見ていない」
「え?見間違い??」
「そうだ「見間違いじゃねえよ!!!」」
ブォオン!!と後ろから盛大な音と共に六本木の灰谷兄弟が横に並ぶ。何故こいつらがここにいるのか聞きたいが後ろのやつを撒くのに徹する。
「あれ!!お前らの客!!」
「「違います」」
「そうだから!?俺と兄ちゃん関係ないから!?」
ぎゃいぎゃいと言い争っていると後ろからCB750が華麗なドリフトを決めながら突っ込み灰谷兄弟がその衝撃で前方に飛んだ。
「「あ」」
「真知子ォ今日は綺麗に決まったね!」
とにっこり笑うふゆにいやお前の頭もキマってるわとその場の全員の顔がひきつる。
「…死んでないよな」
「…多分」
そこまで重症ではなかったのかゆっくりと起き上がる灰谷兄弟を眺めているといつの間にか女が後ろに立っていて肩に手を置いていた
「どっちがマイキー?」
すっとお互いを指差しあい自分はマイキーではないと主張する。だってあのドリフト食らいたくない。
「うぅふゆちゃん~」
めちゃくちゃ聞きなれた声にドラケンと思わずアイコンタクトをする。え、嘘だろ?嘘だと言って欲しい。前回と前々回の猛獣でお腹一杯ですと思いつつも凝視しているとCB750の後ろからへっぴり腰で降りてきたのは陽であった。
「陽さんの周りやべえやつしかいねえ」
ドラケンの呟きにマイキーも同意せざる終えなかった
※
「「「「白バイ隊員になりたくてドリフトの練習???」」」」
灰谷兄弟も起き理由を聞くために草臥れた公園に集まり各々座る。陽はちょこんと座っているがそれ以外は所詮ヤンキー座りで端からみたら不良に集られている女子高生の図である。ふゆはパンツ見えるよと注意されたが減るもんでもないと直すきはなかった。ふゆの奇行とも言えるドリフトをやっていたのはアニメで見た犯人を追い詰める際にやっていたのを真似したとのこと、だが中々上手くいかずいつも止まれずそのままピンボールのように撥ね飛ばし救急車送りにしていたという。
話を聞けば聞くほどやべえやつである。まず生きてる人を練習台にするのやめよ??なんでコーンとかでしないの??私そんなやばい人の後ろに乗ってたの??冷や汗と共に涙も出始め震える陽をマイキーとドラケンが優しくなでる。やめてそんな同情した目でみないで。
はぁとため息を吐いた蘭が立ち上がりふゆの方へ向かう。叩くのかと焦り思わず立ち上がるが伸ばされた手は頭をわしゃわしゃと撫で始める。
「理由は分かりたくもないがまあ分かった」
「なら蘭ちゃん達が一緒に練習してやるよ~」
「え、いいの?」
しょうがないな~と言いながらも付き合ってくれるのは何かが彼らの面白センサーに引っ掛かったのだろう。灰谷兄弟は神か何かか??思わず手を会わせて拝む。
じゃあ練習相手できたから帰るね~!あ、どっちがマイキーか知らないけど陽ちゃんをちゃんと送れよ、じゃないと真知子で飛ばすから、と言い残し灰谷兄弟と帰っていった。嵐がさった瞬間である。
「陽ちゃん、もうちょっとちゃんとした友達選んだ方がいいよ」
ぐうの音もでなかった
腰が半分抜けた陽はバイクの後ろに乗せてもらいマイキーがゆっくり押して歩く。
ドラケンはマイキーくんの妹のエマちゃん?を迎えに行くらしくゼファーに乗って去っていった。皆愛車に名前をつけるのが流行ってるのだろうか、だとしてもふゆちゃんの真知子は何か違う。
ふとバイクを押していたマイキーが路地裏の方に寄り歩みを止める、どうかしたのかと聞こうと身を屈めると此方を覗き込むように囁かれる
「…この間の」
「え?」
「嫌じゃなかった?」
キスと口パクで言われ顔が一瞬で赤くなる
答えれず口をぱくぱくしているとふと目尻を下げ此方に顔を寄せる。
ぺちん
「ふぁんへ」
「…恥ずかしい」
顔を伏せながら蚊の泣くような声で言うと笑い声と共に口を押さえていた腕をゆっくり外され瞬きの内に唇に吐息がかかる
「ふ~ん、嫌ではないんだ」
ならもう一回頂戴
と唇を親指で緩く撫でられ、奪われた。その後満足気なマイキーにたい焼き食べにいこうと言われ放心状態の陽は乗せられていくだけだった。
「あっマイキーくんにイザナくんと知り合い?って聞くの忘れてた」