私の知ってるわらしべじゃない!
早朝というには早く、星がまだ輝いている時間に一隻の船が漁にでる。掛け声をあげるなか一人場違いでは?とも言える女がそこにはいた。馴れない人ならば立ってるのも難しいであろう中仁王立ちで腕を組み目の前を見据える。紫鳶の髪に潮風がばちばちと容赦なく打ち付けるなか彼女は叫ぶ
「ちよちゃん!!新鮮な鮪届けてあげるからね!!!」
待ってて~!!ウオオオオと女にしては野太い雄叫びは周りのおじさん達の声にかきけされた。
※
この間プチわらしべを体験してひょんなとこからマイキーの連絡先を貰った陽は携帯を片手に佇んでいた。かけようかかけまいか、でも伝えなければいけないことがある…う~ん、と悩みに悩んだ挙げ句ぽちりとボタンを押す。
プルr
「陽ちゃん?どうしたの?」
「はっっっや」
え、早くない?という私の呟きはスルーされ何かあったの~と楽しげな声が聞こえる。今は集会後なのか後ろからはまだ総長~と呼ぶ声がちらほら聞こえる。
「あのですね」
「うん?」
「三途春千夜くんって東卍だよね?電話変われたりする?」
「は?」
あまりに低い声で返されてちょっぴり涙がでたが用件を伝えなければと震える唇を開く
「待って待って待って?マイキーくんお願いだから落ち着いて?違うの私の友人からの伝言なの」
ヒンヒンと半泣きの声が伝わったのか先程より幾分か優しげな声で返される
「へぇ、まあいいよ」
携帯を一度離しさんず~こっちこいと言う声が聞こえマイキーが用件を伝えると戸惑いながらも出てくれた
「…もしもし三途です」
「あっ三途くんかな?マイキーくんの友達の陽です、あのさっそく本題なんですけど亜紀ちゃ「カヒュッ…ゴホッ」えっ大丈夫!?なんか噎せたような声聞こえたけど!!?」
電話の向こう側が途端に騒がしくなり誰か水!!死ぬな!!と声が響く。待って?亜紀ちゃん何したの?え?まさかの事態に陽も動揺しわたわたと手を動かす。
暫くして落ち着いたのかと思ったが変わりに出たのはマイキーくんだった。
「ごめん陽ちゃん、三途取り乱して出れなさそう」
「いやいいの、こっちこそ何かごめん。多分というか確実に私の友達のせいだと思う」
出れないからスピーカーにしてもいい?と問われ了承し続きを話し始める
「えっと…私の友人の亜紀ちゃんが三途くんに伝言で…ちよちゃん!!待ってて~!今回は鮪だからね~!!!とのことです。本当に!!私の友人がごめんなさい!!!」
目の前にいないにも関わらず姿勢を但し頭を下げる。通行人が何事かと見てくるがそれどころではなかった。友人の名前だけで人一人殺しかけるとは思っても見なかったのだ。向こう側では生きろ三途!!息をしろ!!と声が聞こえる。罪悪感が募り詳しいことはあの公園で話すねと一方的に切り溜め息を吐き頭を抱える。どうしてこうなったのだとちょっぴり陽は泣いた。
公園につきベンチに座っていると向こうからなんともまあ柄の悪い男の子達がきた。まあ私の用がある人なんだけどと一人で渇いた笑いがでる。
「よっ」
「こんにちはマイキーくん、たい焼き食べる?」
食べる~!と流れるように横に座るマイキーには馴れたのか他に来ていた人達にも買ってきたたい焼きと飲み物を渡しその内の一人に声をかける
「あ、ドラケンくんもこんにちは。肩大丈夫だった?」
「大丈夫です、はい」
心なしか遠い目をしているドラケンくんにこちらも思わず目が死んでしまうのは仕方なかった。
この間マイキーくんからやばい女の人いてさ~!と笑いながら電話がきたとき陽は心当たりがあり確認を取ったところ友人だったのだ。怖かったが友人基、バーサーカー奈津を連れて集会をしているという神社まで行き謝りにいった。周りが青醒めながら後退りをしているのをみて何をしたのか聞くと笑いながらアイスをぶちまけられたからさ~殺った!と言われ思わず頭を叩き謝らせたのはいい思い出だ。え~といいながらもゴメンナサイと謝った時より一層ざわついた。ほんとに何したの??あの時誰かが私のことを猛獣使いと言ったのは忘れないからな。
さて話は戻り三途くんを探すと直ぐに見つかった。どんよりとした表情で顔を覆ってる。その際ブロンドの髪がさらさらと滑り落ちるのをみて女子力高いな~お姫様みたいと場違いなことを思ってしまったのは内緒だ。
「やです」
「…ごめん」
「無理ですお願いします。あの人言葉通じないんです」
宇宙人ですか??とこちらに来てしゃがみこみ問いかけてきたのに思わず頷きそうになるが彼女は断じて人間である、今のところは。
一つ目のたい焼きを食べ終えたマイキーくんが陽ちゃんたい焼きちょーだい、と口を此方に開けながらも聞いてくる
「その三途が怯えてる亜紀ちゃんって何したの?」
あーんと言うマイキーくんの口へ半分に割ったたい焼きを押し込みながらも残りを食べる
「いやお気に入りの子への貢ぎ癖が凄くて、三途くんカジキ貰った?」
「…貰った、しかも獲れたて」
「しかも捌かれてもなくて持ってきていきなり目の前で解体ショー始めるでしょ」
「…です」
私と三途くんの哀愁漂う会話を聞いたマイキーくんが真剣な顔で
「陽ちゃんの周りやばい人しかいなくね?」
と言い、いやお前もなとは口が裂けてもいえなかった。
たい焼きを食べ終え三途くんはどうやって出会ったのか聞いたら不良に絡まれてたところを助けたことかららしい。亜紀ちゃんの好きな展開である。彼女はそういうのに弱いからまあときめいたのだろう。少女漫画みたいな流れだねって言うとすかさずマイキーくんが俺達もじゃね?って肩を組んでくるが無視をする。
「んぐぇ」
「俺達もだよね?ん?」
「うぇぇ」
「マイキーやめてやれよ」
頬を片手で摘ままれにこやかに問いかけられるの両手でタップしても離してくれず苦戦していると後ろからドラケンくんが優しく離してくれた。ひりひりとする頬を押さえながらもお礼をいう
「ところで亜紀ちゃんはいつ「ちよちゃ~~~~~~んんん!!!」…きたね」
うわきたと三途くんが呟いた。言いたくなる気持ちも分かる。乱れた髪を整えることもせず息は上がり、頬を紅潮させ瞳をランランと輝かせながら両手に箱を抱えて走ってくる女、彼女こそが亜紀ちゃんである。端から見たら不審者一歩手前だし何ならマイキーくん達皆私の後ろに隠れたレベルだ。おい、私を盾にするんじゃない。
「ハッッッァン!!!今日も可愛いねッッちよちゃん!!元気だった??私??私は元気よ!髪の毛今日もサラツヤだね~~へへ…そのキューティクルな睫毛から覗く瞳…アァ長く見つめてたら心臓が止まっちゃう!!!」
「そのまま止まれ」
「そんなとこも好きッッ!!!」
「ねえほんとに友達で大丈夫?」
「ウン…ダイジョウブ」
マイキーくん達が考え直した方がいいと肩を叩いていると三途くんとお話?していた亜紀がこちらにぐりんと顔を向ける。余りの勢いに横でマイキーくん達が服を握りしめてきたのを優しく撫でる
「陽ちゃん!!!お久しぶり!!!今日も可愛いね!!!お金あげる!!そうそう、みて!?今日はこんな立派な鮪を獲ってきたの!!余りに大きくて獲るのは大変だったけど最後は銛で仕留めたのよ!!!ちよちゃんへの愛の大きさよね!!!」
「昨日ぶりだよね、金をチップみたいに捩じ込むのはやめようね~返す。ワ~凄い大きいね!とりあえず髪の毛整えようね。あと三途くんも生で持ってこられると大変だから別のやつあげた方が喜ぶからそうしようか」
突撃する勢いできた亜紀を宥め、お金を返しつつ髪の毛を直してあげると大分落ち着いたのか言葉が通じるようになった。
「猛獣使い…」
ぼそりと三途くんが呟いたのを聞きあの時言ったのはお前かと思わず言ったのは悪くない。
場所は変わって何故か高校の調理室、鮪を解体するに当たって場所がなかったので急遽うちの学校に行くことになった。ドラケンくんは用があるらしく帰ったともいうし逃げたともいう。マイキーくんも帰るのかと思わず見ると
「陽ちゃんと三途置いてくわけないじゃん」
と言われ思わず二人でマイキーくんに
抱きついた
パァン
「はいっでは今から解体します!」
「寿司◯んまいポーズやめて」
「じわじわくる」
私とマイキー君がぎゃいぎゃい言う中三途くんは慣れたのか皿を取り出し醤油を取り出し始める、以外にも君が一番順応してないか??
一人では捌けないだろうと思っていると助っ人で何人か呼んでいたらしくガタイのいいお兄さん達がぞろぞろ入ってくる。あ、と言うマイキーくんにどうしたの?と聞くよりも前にお兄さん達の方から声がかかる
「あれ?真一郎の弟じゃん」
「えっ知り合い?」
「兄貴の所の元チームメイト」
「アッソッカ」
最近不良との出会いが多すぎでは?と頭を悩ませるが彼女の周りは大抵不良しかいないので安心してほしい。そんな内に捌き始めていたのか盛りにされた鮪を三人でちまちま食べる
「美味しい」
とぱくぱく食べる三途くんを見つつ亜紀を見ると愛おしそうな顔で三途くんを見ており、あっいっぱい食べる君が好きじゃんともう一度視線を向けるとマイキーくんも同じことを思ったのかにっこりと笑っていた。なんだかんだ言って嫌ではないのだろう、多分。
まあ注意はしたし一時は治まるだろうと私も刺身に手を伸ばし舌鼓をうった。
夜の帳が落ち始めた頃マイキーくんと二人歩く。三途くんは亜紀ちゃんを送ってくれるらしく先程別れた。
「美味しかった~」
「今日はほんとにありがとね」
助かったよ~と言うと美味しいの食べれたし全然いいと返ってくる。
この間助けて貰ってから何もお礼をできてないと思い前を歩くマイキーくんに声をかける
「お礼何がいい?」
「お礼?何の?」
「この間、助けてくれたのと今日の分」
「え~別に俺が好きでやったからいいのに」
と頭の後ろで腕を組みながら歩くがふと立ち止まり此方を向く。
「?どうし」
たの、と最後まで声は紡げなかった。深く吸い込まれそうな瞳が目の前にあり頬に髪がかかる、何秒だったのか、はたまた何分だったのかは分からなかった
「お礼はこれでいいよ」
と吐息が唇にかかる。あ、とかえ、とかしか言えない私に笑うともう一度軽く触れ離れていく。送っていくよ、というマイキーくんに返事もできず只熱い唇を触ることしかできなかった。
「ちよちゃん!!新鮮な鮪届けてあげるからね!!!」
待ってて~!!ウオオオオと女にしては野太い雄叫びは周りのおじさん達の声にかきけされた。
※
この間プチわらしべを体験してひょんなとこからマイキーの連絡先を貰った陽は携帯を片手に佇んでいた。かけようかかけまいか、でも伝えなければいけないことがある…う~ん、と悩みに悩んだ挙げ句ぽちりとボタンを押す。
プルr
「陽ちゃん?どうしたの?」
「はっっっや」
え、早くない?という私の呟きはスルーされ何かあったの~と楽しげな声が聞こえる。今は集会後なのか後ろからはまだ総長~と呼ぶ声がちらほら聞こえる。
「あのですね」
「うん?」
「三途春千夜くんって東卍だよね?電話変われたりする?」
「は?」
あまりに低い声で返されてちょっぴり涙がでたが用件を伝えなければと震える唇を開く
「待って待って待って?マイキーくんお願いだから落ち着いて?違うの私の友人からの伝言なの」
ヒンヒンと半泣きの声が伝わったのか先程より幾分か優しげな声で返される
「へぇ、まあいいよ」
携帯を一度離しさんず~こっちこいと言う声が聞こえマイキーが用件を伝えると戸惑いながらも出てくれた
「…もしもし三途です」
「あっ三途くんかな?マイキーくんの友達の陽です、あのさっそく本題なんですけど亜紀ちゃ「カヒュッ…ゴホッ」えっ大丈夫!?なんか噎せたような声聞こえたけど!!?」
電話の向こう側が途端に騒がしくなり誰か水!!死ぬな!!と声が響く。待って?亜紀ちゃん何したの?え?まさかの事態に陽も動揺しわたわたと手を動かす。
暫くして落ち着いたのかと思ったが変わりに出たのはマイキーくんだった。
「ごめん陽ちゃん、三途取り乱して出れなさそう」
「いやいいの、こっちこそ何かごめん。多分というか確実に私の友達のせいだと思う」
出れないからスピーカーにしてもいい?と問われ了承し続きを話し始める
「えっと…私の友人の亜紀ちゃんが三途くんに伝言で…ちよちゃん!!待ってて~!今回は鮪だからね~!!!とのことです。本当に!!私の友人がごめんなさい!!!」
目の前にいないにも関わらず姿勢を但し頭を下げる。通行人が何事かと見てくるがそれどころではなかった。友人の名前だけで人一人殺しかけるとは思っても見なかったのだ。向こう側では生きろ三途!!息をしろ!!と声が聞こえる。罪悪感が募り詳しいことはあの公園で話すねと一方的に切り溜め息を吐き頭を抱える。どうしてこうなったのだとちょっぴり陽は泣いた。
公園につきベンチに座っていると向こうからなんともまあ柄の悪い男の子達がきた。まあ私の用がある人なんだけどと一人で渇いた笑いがでる。
「よっ」
「こんにちはマイキーくん、たい焼き食べる?」
食べる~!と流れるように横に座るマイキーには馴れたのか他に来ていた人達にも買ってきたたい焼きと飲み物を渡しその内の一人に声をかける
「あ、ドラケンくんもこんにちは。肩大丈夫だった?」
「大丈夫です、はい」
心なしか遠い目をしているドラケンくんにこちらも思わず目が死んでしまうのは仕方なかった。
この間マイキーくんからやばい女の人いてさ~!と笑いながら電話がきたとき陽は心当たりがあり確認を取ったところ友人だったのだ。怖かったが友人基、バーサーカー奈津を連れて集会をしているという神社まで行き謝りにいった。周りが青醒めながら後退りをしているのをみて何をしたのか聞くと笑いながらアイスをぶちまけられたからさ~殺った!と言われ思わず頭を叩き謝らせたのはいい思い出だ。え~といいながらもゴメンナサイと謝った時より一層ざわついた。ほんとに何したの??あの時誰かが私のことを猛獣使いと言ったのは忘れないからな。
さて話は戻り三途くんを探すと直ぐに見つかった。どんよりとした表情で顔を覆ってる。その際ブロンドの髪がさらさらと滑り落ちるのをみて女子力高いな~お姫様みたいと場違いなことを思ってしまったのは内緒だ。
「やです」
「…ごめん」
「無理ですお願いします。あの人言葉通じないんです」
宇宙人ですか??とこちらに来てしゃがみこみ問いかけてきたのに思わず頷きそうになるが彼女は断じて人間である、今のところは。
一つ目のたい焼きを食べ終えたマイキーくんが陽ちゃんたい焼きちょーだい、と口を此方に開けながらも聞いてくる
「その三途が怯えてる亜紀ちゃんって何したの?」
あーんと言うマイキーくんの口へ半分に割ったたい焼きを押し込みながらも残りを食べる
「いやお気に入りの子への貢ぎ癖が凄くて、三途くんカジキ貰った?」
「…貰った、しかも獲れたて」
「しかも捌かれてもなくて持ってきていきなり目の前で解体ショー始めるでしょ」
「…です」
私と三途くんの哀愁漂う会話を聞いたマイキーくんが真剣な顔で
「陽ちゃんの周りやばい人しかいなくね?」
と言い、いやお前もなとは口が裂けてもいえなかった。
たい焼きを食べ終え三途くんはどうやって出会ったのか聞いたら不良に絡まれてたところを助けたことかららしい。亜紀ちゃんの好きな展開である。彼女はそういうのに弱いからまあときめいたのだろう。少女漫画みたいな流れだねって言うとすかさずマイキーくんが俺達もじゃね?って肩を組んでくるが無視をする。
「んぐぇ」
「俺達もだよね?ん?」
「うぇぇ」
「マイキーやめてやれよ」
頬を片手で摘ままれにこやかに問いかけられるの両手でタップしても離してくれず苦戦していると後ろからドラケンくんが優しく離してくれた。ひりひりとする頬を押さえながらもお礼をいう
「ところで亜紀ちゃんはいつ「ちよちゃ~~~~~~んんん!!!」…きたね」
うわきたと三途くんが呟いた。言いたくなる気持ちも分かる。乱れた髪を整えることもせず息は上がり、頬を紅潮させ瞳をランランと輝かせながら両手に箱を抱えて走ってくる女、彼女こそが亜紀ちゃんである。端から見たら不審者一歩手前だし何ならマイキーくん達皆私の後ろに隠れたレベルだ。おい、私を盾にするんじゃない。
「ハッッッァン!!!今日も可愛いねッッちよちゃん!!元気だった??私??私は元気よ!髪の毛今日もサラツヤだね~~へへ…そのキューティクルな睫毛から覗く瞳…アァ長く見つめてたら心臓が止まっちゃう!!!」
「そのまま止まれ」
「そんなとこも好きッッ!!!」
「ねえほんとに友達で大丈夫?」
「ウン…ダイジョウブ」
マイキーくん達が考え直した方がいいと肩を叩いていると三途くんとお話?していた亜紀がこちらにぐりんと顔を向ける。余りの勢いに横でマイキーくん達が服を握りしめてきたのを優しく撫でる
「陽ちゃん!!!お久しぶり!!!今日も可愛いね!!!お金あげる!!そうそう、みて!?今日はこんな立派な鮪を獲ってきたの!!余りに大きくて獲るのは大変だったけど最後は銛で仕留めたのよ!!!ちよちゃんへの愛の大きさよね!!!」
「昨日ぶりだよね、金をチップみたいに捩じ込むのはやめようね~返す。ワ~凄い大きいね!とりあえず髪の毛整えようね。あと三途くんも生で持ってこられると大変だから別のやつあげた方が喜ぶからそうしようか」
突撃する勢いできた亜紀を宥め、お金を返しつつ髪の毛を直してあげると大分落ち着いたのか言葉が通じるようになった。
「猛獣使い…」
ぼそりと三途くんが呟いたのを聞きあの時言ったのはお前かと思わず言ったのは悪くない。
場所は変わって何故か高校の調理室、鮪を解体するに当たって場所がなかったので急遽うちの学校に行くことになった。ドラケンくんは用があるらしく帰ったともいうし逃げたともいう。マイキーくんも帰るのかと思わず見ると
「陽ちゃんと三途置いてくわけないじゃん」
と言われ思わず二人でマイキーくんに
抱きついた
パァン
「はいっでは今から解体します!」
「寿司◯んまいポーズやめて」
「じわじわくる」
私とマイキー君がぎゃいぎゃい言う中三途くんは慣れたのか皿を取り出し醤油を取り出し始める、以外にも君が一番順応してないか??
一人では捌けないだろうと思っていると助っ人で何人か呼んでいたらしくガタイのいいお兄さん達がぞろぞろ入ってくる。あ、と言うマイキーくんにどうしたの?と聞くよりも前にお兄さん達の方から声がかかる
「あれ?真一郎の弟じゃん」
「えっ知り合い?」
「兄貴の所の元チームメイト」
「アッソッカ」
最近不良との出会いが多すぎでは?と頭を悩ませるが彼女の周りは大抵不良しかいないので安心してほしい。そんな内に捌き始めていたのか盛りにされた鮪を三人でちまちま食べる
「美味しい」
とぱくぱく食べる三途くんを見つつ亜紀を見ると愛おしそうな顔で三途くんを見ており、あっいっぱい食べる君が好きじゃんともう一度視線を向けるとマイキーくんも同じことを思ったのかにっこりと笑っていた。なんだかんだ言って嫌ではないのだろう、多分。
まあ注意はしたし一時は治まるだろうと私も刺身に手を伸ばし舌鼓をうった。
夜の帳が落ち始めた頃マイキーくんと二人歩く。三途くんは亜紀ちゃんを送ってくれるらしく先程別れた。
「美味しかった~」
「今日はほんとにありがとね」
助かったよ~と言うと美味しいの食べれたし全然いいと返ってくる。
この間助けて貰ってから何もお礼をできてないと思い前を歩くマイキーくんに声をかける
「お礼何がいい?」
「お礼?何の?」
「この間、助けてくれたのと今日の分」
「え~別に俺が好きでやったからいいのに」
と頭の後ろで腕を組みながら歩くがふと立ち止まり此方を向く。
「?どうし」
たの、と最後まで声は紡げなかった。深く吸い込まれそうな瞳が目の前にあり頬に髪がかかる、何秒だったのか、はたまた何分だったのかは分からなかった
「お礼はこれでいいよ」
と吐息が唇にかかる。あ、とかえ、とかしか言えない私に笑うともう一度軽く触れ離れていく。送っていくよ、というマイキーくんに返事もできず只熱い唇を触ることしかできなかった。