悪いことをしたら謝りましょう
その日春瀬奈津はご機嫌だった。月に一回のバイトの給料日、毎月のご褒美にちょっとお高めのアイスを買って食べながら帰るのが彼女の楽しみだった。
ふんふんと鼻歌を歌いながら今日の気分のアイスを手に取りレジへ向かう。外へでると生温い風が頬を撫で一瞬顔を歪めるもいそいそとアイスを袋から取り出す。
「は~自分よ、今月もお疲れ様~!!ではいただきま~「おら!どけよ!!」…す?」
べしゃり
横から男がぶつかってきて飛んでいくアイス、スローモーションに見えながらも伸ばした手はかすりもせず愛しのアイスは無情にもすり抜けていく。
「…あ」
落ちたアイスを見つめる奈津を横目に当たってきた柄の悪い、所詮不良な彼らはけらけらと笑いながら謝ってくる。
「ごめんごめん悪いことしちゃったね~」
「お詫びと言ってはあれだけどさ俺らと遊ぼうよ」
ね?と言う男達に奈津は怒りのゲージが破壊された。ちなみに彼女は短気である。
震える彼女を喜んでいると勘違いし覗き込んだ瞬間男は飛んだ。文字通りに。
カツン
奈津の5cmヒールの音が不気味に反響する
周りにいた不良は一瞬静かになりその後ゆっくりと後退りを始める。
「え?」
カツン
「…ス…たのに…」
「な、何言ってるんだよ?」
カツン
「今日給料日で月1の高級なアイスを食べれることを楽しみにしていたのにぶつかって落とした挙げ句お詫びが遊ぶだって??ふざけてんのか!!!!?ア゛???お前らその顔面でよくもまあ私に声をかけてきたなあおい。」
「ヒッッ」
ガツンッ
「覚悟はできてんな?」
そこにいたのは阿修羅だった。美人の怒った顔は余計に怖い。何よりヒールの音がカツカツカツカツ頭から離れない。男達はだんだんと恐怖が勝ち逃げ始めるがそれを逃す奈津ではなかった。今の彼女はアイスをとられ癇癪を起こした立派なバーサーカーだ。彼女を止められるとしたらこの間リアルわらしべ長者をした友ぐらいであろう。
「逃げろ!!」
「待てや!!!ヒールで殺ってやるからとまれ!!」
「ナニを!?」
「聞かなくても分かってるだろうが~~~~!!!!!」
い゛や゛ぁ゛あ゛あ゛
男達の可愛くない悲鳴とドスの効いた声が辺りに響く。通行人は何事かと振り向くが触らぬ神に祟りなしで見て見ぬふりをした。
男の内の一人が長内さんのところに逃げようと言い出し皆青ざめた顔で頷き目的地へ走る。確か今日は抗争とか言っていたが後ろのヒールを履いてるのにスピードがおかしい阿修羅をどうにかしてほしい一心だったのだ。
一方倉庫の方では長内こと愛美愛主と無敵のマイキー率いる東京卍會が一戦を交える手前まできていた。ピリピリとした空間の中外がざわつき始め皆そちらに視線をむける。
「お、長内さん助けてくださいぃ」
泣きながら入ってきたのは愛美愛主の一員だった。泣くことすらない男達が泣きながらしかも怯えてどんどん倉庫の中に逃げてきているのに一時抗争を中断し扉の方へ拳を構える。龍宮寺ことドラケンはマイキーを守るために前に出る。
何かを引き摺る音とそれに交じったノックのような…これはヒール?の音か?と考えていると後ろから一層酷い叫び声が響く
「ああああ!!!?無理だごめんなさい!!!俺達が悪かったんだ!!!」
許してくれ、ごめんなさいと謝る輩に一体どんなゴツイ男がと思っているとそこに現れたのは真逆の存在だった。
金色のショートカットの女の子が自分より倍背丈のある男を引きずってきた。小さい、と誰かが呟くのに思わず頷く。
見間違いかと目を擦るがどうやら現実のようだ。マイキーを見ると同じように目を擦っていた。そんなドラケン達を他所に奈津は引きずってきた男を投げ捨て声を張る。
カツン
「長内くんって誰」
カツン
「俺だが?可愛い嬢ちゃんが何のようだ?」
俺らに遊んで貰いにでもきたか?という下衆な笑い声が響く。
カツン
下を向きながらも歩いてきた奈津をニヤニヤと見つめる長内に慌ててドラケンが庇おうと前にでると後ろから華奢な手で肩を握られる。
「痛ってえ!!!?」
ミシミシと音を立てる肩に思わず声があがる
思わず振り向くとそこには阿修羅がいた。滅多に恐怖を抱かないドラケンでさえ思わずヒュと身がすくむ
「どいて」
「ウッス」
ドラケンが直ぐ様退いた事に東卍側に激震が走る。あのドラケンがどいた…?え、やばくない?ドラケンの横にマイキーがのそりときてどうしたと問いてくるが曖昧な返事しかできない。
「ケンチンどうしたの?」
「いや、あれは触れてはいけない」
「え?」
どういうこと?と続きを促した瞬間前から鈍い音が響く。
「ウッッ」
見えないスピードで鳩尾に蹴りが繰り出され思わず膝をつく。
カツン
「あのさ~おたくらの教育どうなってるの?何で謝ることすらできないの?馬鹿なの?馬鹿なんだよね?どう責任とる?君が一番上なんだよね?あっそっか~!分かった分かった。いいの、答えなくても大丈夫」
一人で喋り始め一人で結論を出しにっこりと笑う奈津に長内が青褪める
「ヒールでお前のナニを殺るわ」
「「待て待て待て」」
思わずドラケンとマイキーの二人がかりで抑えるが何処にそんな力があるのか足は一歩一歩確実に長内に向かう。
長内は完全に怯え蹲っている
怯える愛美愛主の総長と止める東卍の総長と副総長と怒れるバーサーカー。カオスだった。怒れるバーサーカーに触れたくもないし自分もナニとは言わないが男の尊厳は守りたい。そんな中一人果敢に奈津に刃向かう男がいた。周りが止めるが振り切りあろうことかバットを振り抜く。マイキー達が止めようと動くより前に奈津は二人の拘束を抜け男に向かう、バットが叩きつけられるのを軽々とよけヒールで抑えつけ頭を蹴りそのまま下からもういっちょっとあう勢いで振り抜いた。瞬殺だった。
ドサリと言葉なく倒れる男に皆もう一歩下がる。
「で?長内?殺っていい?」
「せめて理由を…」
慈悲をと周りの男達に言われ溜め息を吐き前髪をかきあげる
「私の月1の楽しみのアイスをこいつらに落とされた挙げ句お礼が遊んであげるという事に殺意を抱いたからだけど??文句ある???それともあんたらが変わりになってくれるの???」
無表情かつ早口に言う阿修羅に
「「「「あ、どうぞ」」」」
と長内を生け贄で捧げる。こちらに向かって助けてという声が聞こえるが皆手を合わせ無言で目を瞑る。逆らえる男達はいる訳もなく美人が怒ると怖いなと思った日であった。
おまけ
「聞いてよ陽!!たいして顔もよくないやつらが私の月一の楽しみのアイスを駄目にしてさ!!腹立ったからヒール音鳴らしながら追いかけ回して締めたんだけどその時周りにいた黒と白の特服着た人達が化け物を見るような目で見てきてウッッッ奈津こんなにか弱いのにぃ!!」
「情報量多すぎて聞きたいこと沢山あるけど柔道女子一位がか弱いとは??」
ふんふんと鼻歌を歌いながら今日の気分のアイスを手に取りレジへ向かう。外へでると生温い風が頬を撫で一瞬顔を歪めるもいそいそとアイスを袋から取り出す。
「は~自分よ、今月もお疲れ様~!!ではいただきま~「おら!どけよ!!」…す?」
べしゃり
横から男がぶつかってきて飛んでいくアイス、スローモーションに見えながらも伸ばした手はかすりもせず愛しのアイスは無情にもすり抜けていく。
「…あ」
落ちたアイスを見つめる奈津を横目に当たってきた柄の悪い、所詮不良な彼らはけらけらと笑いながら謝ってくる。
「ごめんごめん悪いことしちゃったね~」
「お詫びと言ってはあれだけどさ俺らと遊ぼうよ」
ね?と言う男達に奈津は怒りのゲージが破壊された。ちなみに彼女は短気である。
震える彼女を喜んでいると勘違いし覗き込んだ瞬間男は飛んだ。文字通りに。
カツン
奈津の5cmヒールの音が不気味に反響する
周りにいた不良は一瞬静かになりその後ゆっくりと後退りを始める。
「え?」
カツン
「…ス…たのに…」
「な、何言ってるんだよ?」
カツン
「今日給料日で月1の高級なアイスを食べれることを楽しみにしていたのにぶつかって落とした挙げ句お詫びが遊ぶだって??ふざけてんのか!!!!?ア゛???お前らその顔面でよくもまあ私に声をかけてきたなあおい。」
「ヒッッ」
ガツンッ
「覚悟はできてんな?」
そこにいたのは阿修羅だった。美人の怒った顔は余計に怖い。何よりヒールの音がカツカツカツカツ頭から離れない。男達はだんだんと恐怖が勝ち逃げ始めるがそれを逃す奈津ではなかった。今の彼女はアイスをとられ癇癪を起こした立派なバーサーカーだ。彼女を止められるとしたらこの間リアルわらしべ長者をした友ぐらいであろう。
「逃げろ!!」
「待てや!!!ヒールで殺ってやるからとまれ!!」
「ナニを!?」
「聞かなくても分かってるだろうが~~~~!!!!!」
い゛や゛ぁ゛あ゛あ゛
男達の可愛くない悲鳴とドスの効いた声が辺りに響く。通行人は何事かと振り向くが触らぬ神に祟りなしで見て見ぬふりをした。
男の内の一人が長内さんのところに逃げようと言い出し皆青ざめた顔で頷き目的地へ走る。確か今日は抗争とか言っていたが後ろのヒールを履いてるのにスピードがおかしい阿修羅をどうにかしてほしい一心だったのだ。
一方倉庫の方では長内こと愛美愛主と無敵のマイキー率いる東京卍會が一戦を交える手前まできていた。ピリピリとした空間の中外がざわつき始め皆そちらに視線をむける。
「お、長内さん助けてくださいぃ」
泣きながら入ってきたのは愛美愛主の一員だった。泣くことすらない男達が泣きながらしかも怯えてどんどん倉庫の中に逃げてきているのに一時抗争を中断し扉の方へ拳を構える。龍宮寺ことドラケンはマイキーを守るために前に出る。
何かを引き摺る音とそれに交じったノックのような…これはヒール?の音か?と考えていると後ろから一層酷い叫び声が響く
「ああああ!!!?無理だごめんなさい!!!俺達が悪かったんだ!!!」
許してくれ、ごめんなさいと謝る輩に一体どんなゴツイ男がと思っているとそこに現れたのは真逆の存在だった。
金色のショートカットの女の子が自分より倍背丈のある男を引きずってきた。小さい、と誰かが呟くのに思わず頷く。
見間違いかと目を擦るがどうやら現実のようだ。マイキーを見ると同じように目を擦っていた。そんなドラケン達を他所に奈津は引きずってきた男を投げ捨て声を張る。
カツン
「長内くんって誰」
カツン
「俺だが?可愛い嬢ちゃんが何のようだ?」
俺らに遊んで貰いにでもきたか?という下衆な笑い声が響く。
カツン
下を向きながらも歩いてきた奈津をニヤニヤと見つめる長内に慌ててドラケンが庇おうと前にでると後ろから華奢な手で肩を握られる。
「痛ってえ!!!?」
ミシミシと音を立てる肩に思わず声があがる
思わず振り向くとそこには阿修羅がいた。滅多に恐怖を抱かないドラケンでさえ思わずヒュと身がすくむ
「どいて」
「ウッス」
ドラケンが直ぐ様退いた事に東卍側に激震が走る。あのドラケンがどいた…?え、やばくない?ドラケンの横にマイキーがのそりときてどうしたと問いてくるが曖昧な返事しかできない。
「ケンチンどうしたの?」
「いや、あれは触れてはいけない」
「え?」
どういうこと?と続きを促した瞬間前から鈍い音が響く。
「ウッッ」
見えないスピードで鳩尾に蹴りが繰り出され思わず膝をつく。
カツン
「あのさ~おたくらの教育どうなってるの?何で謝ることすらできないの?馬鹿なの?馬鹿なんだよね?どう責任とる?君が一番上なんだよね?あっそっか~!分かった分かった。いいの、答えなくても大丈夫」
一人で喋り始め一人で結論を出しにっこりと笑う奈津に長内が青褪める
「ヒールでお前のナニを殺るわ」
「「待て待て待て」」
思わずドラケンとマイキーの二人がかりで抑えるが何処にそんな力があるのか足は一歩一歩確実に長内に向かう。
長内は完全に怯え蹲っている
怯える愛美愛主の総長と止める東卍の総長と副総長と怒れるバーサーカー。カオスだった。怒れるバーサーカーに触れたくもないし自分もナニとは言わないが男の尊厳は守りたい。そんな中一人果敢に奈津に刃向かう男がいた。周りが止めるが振り切りあろうことかバットを振り抜く。マイキー達が止めようと動くより前に奈津は二人の拘束を抜け男に向かう、バットが叩きつけられるのを軽々とよけヒールで抑えつけ頭を蹴りそのまま下からもういっちょっとあう勢いで振り抜いた。瞬殺だった。
ドサリと言葉なく倒れる男に皆もう一歩下がる。
「で?長内?殺っていい?」
「せめて理由を…」
慈悲をと周りの男達に言われ溜め息を吐き前髪をかきあげる
「私の月1の楽しみのアイスをこいつらに落とされた挙げ句お礼が遊んであげるという事に殺意を抱いたからだけど??文句ある???それともあんたらが変わりになってくれるの???」
無表情かつ早口に言う阿修羅に
「「「「あ、どうぞ」」」」
と長内を生け贄で捧げる。こちらに向かって助けてという声が聞こえるが皆手を合わせ無言で目を瞑る。逆らえる男達はいる訳もなく美人が怒ると怖いなと思った日であった。
おまけ
「聞いてよ陽!!たいして顔もよくないやつらが私の月一の楽しみのアイスを駄目にしてさ!!腹立ったからヒール音鳴らしながら追いかけ回して締めたんだけどその時周りにいた黒と白の特服着た人達が化け物を見るような目で見てきてウッッッ奈津こんなにか弱いのにぃ!!」
「情報量多すぎて聞きたいこと沢山あるけど柔道女子一位がか弱いとは??」