ハオランのお話
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幸せをおすそ分け
「あ!あれ、この間の豪勇武術会で優勝したハオランさんじゃない…!?」
「えーうそー!きゃー本当だー!かっこいい〜!あ、こっち見てくれたよ!手振っちゃおー!」
力こそ正義と言われていたこの華遊。それが絶対という風潮は薄らいできたものの、やはり強い漢はモテるわけで。
「あはは…どうも」
無視する訳にもいかないと思ったハオランは、軽く会釈してその場をやり過ごし、黄色い声を背後に聞きながら、シュンリンとの待ち合わせへと急ぐ。
「お、あの子、この間の豪勇武術会の優勝者のところに飛び出して行った子じゃないか?」
「あー!お団子ツインテの可愛い子だよな!あれで道士なんだよなーすげーよなー」
「(え!?)」
そしてシュンリンはシュンリンで、ハオラン優勝の場に飛び出したことにより、その顔は華遊中に知れ渡っていた。
「(確かに…すごいことしちゃったなとは思うけど…)」
あの時は、頭で考える前に身体が勝手にハオランの元へ向かってしまっていたのだ。
広い舞台で両手を広げたハオランは戸惑うことなく「おいで、シュンリン!!」と呼んでくれて……。
「あの時はすっごく嬉しかったなぁ…ふふふ」
「ごめんっシュンリン!お待たせっ!」
「ハオラン!」
思いを馳せていると、現実の愛しい人の声に呼び戻される。
「大丈夫だよ、今来たところだったし」
「でも、遅刻は遅刻だから…ごめんね。何もなかった?話しかけられたりとか」
「うーんと…」
何となく周りからの声を聞いていたことを正直に報告しておく。お兄さんではなくなったけど、ハオランは相変わらず心配性なのだ。
「そっか…おれと同じ感じだね」
「同じ感じ?」
「うん。途中で声掛けられたり視線を感じたり。実は、それでちょっと来るのが遅くなっちゃって…言い訳になっちゃうんだけど」
「ハオランは豪勇武術会の優勝者だもん!みんなが気になるのも分かるし、私もハオランのことすごく誇りに思ってる!」
「ありがとう。うーん…でもこのままだと、せっかくの休みにあまりゆっくりできないかなって思ってて…。もしシュンリンが良ければ、今日はおれの部屋でゆっくり過ごすのはどう?途中でお茶菓子とか買って」
「賛成!」
「良かった。じゃあ行こうか」
ごく自然に出されたハオランの手を、これまた自然に取る。
幼馴染みの時には何も感じなかったこの行為が、恋人になった瞬間に特別感が増すのは何故なのだろう。
「ねえシュンリン、今日はちょっと試してみたいんだけど」
「試すって何を?」
「これ、知ってる?」
繋いでいた手を一度離して。
「指をこうして絡めて…」
「!!」
優しく、でもしっかりと握られた繋ぎ方は、いわゆる「恋人繋ぎ」というもの。
「ハ、ハオラン…」
「あはは、いざやってみると、なんだかちょっと照れくさいね」
手の感触を確かめるように絡めた指に力を込めるハオラン。その度にシュンリンの心臓が体の中で大きな音を立てる。とどめは。
「…シュンリンは、手も可愛いなぁ」
「ぐふっ!」
心臓のバクバクを必死に堪えていたが、ついに口から変な声が出る。
少しだけ恨みがましく見上げると、頬を染めたハオランとバッチリ目が合う。
恋人になったハオランは、なんだか前にも増して、男らしくて、優しくて、そして無性に可愛いのだ。
「ハオランの手も、すごいんだよ!」
「ふふ、手がすごいって、なにが?」
「私の手をこうして包み込んでくれて、温かくて、優しくて安心させてくれる手なの。それが、私はすっごく好き!」
「っ…!」
今度はハオランが激しく動揺したようだ。
「これからも、ずっと繋いでてね!」
「ああ、もちろん。ずっと一緒だ」
こうして二人の世界を目の当たりにした周囲の人々は、もう声をかけることも噂話をするでもなく、微笑ましく二人を見守っていた。
「あ!あれ、この間の豪勇武術会で優勝したハオランさんじゃない…!?」
「えーうそー!きゃー本当だー!かっこいい〜!あ、こっち見てくれたよ!手振っちゃおー!」
力こそ正義と言われていたこの華遊。それが絶対という風潮は薄らいできたものの、やはり強い漢はモテるわけで。
「あはは…どうも」
無視する訳にもいかないと思ったハオランは、軽く会釈してその場をやり過ごし、黄色い声を背後に聞きながら、シュンリンとの待ち合わせへと急ぐ。
「お、あの子、この間の豪勇武術会の優勝者のところに飛び出して行った子じゃないか?」
「あー!お団子ツインテの可愛い子だよな!あれで道士なんだよなーすげーよなー」
「(え!?)」
そしてシュンリンはシュンリンで、ハオラン優勝の場に飛び出したことにより、その顔は華遊中に知れ渡っていた。
「(確かに…すごいことしちゃったなとは思うけど…)」
あの時は、頭で考える前に身体が勝手にハオランの元へ向かってしまっていたのだ。
広い舞台で両手を広げたハオランは戸惑うことなく「おいで、シュンリン!!」と呼んでくれて……。
「あの時はすっごく嬉しかったなぁ…ふふふ」
「ごめんっシュンリン!お待たせっ!」
「ハオラン!」
思いを馳せていると、現実の愛しい人の声に呼び戻される。
「大丈夫だよ、今来たところだったし」
「でも、遅刻は遅刻だから…ごめんね。何もなかった?話しかけられたりとか」
「うーんと…」
何となく周りからの声を聞いていたことを正直に報告しておく。お兄さんではなくなったけど、ハオランは相変わらず心配性なのだ。
「そっか…おれと同じ感じだね」
「同じ感じ?」
「うん。途中で声掛けられたり視線を感じたり。実は、それでちょっと来るのが遅くなっちゃって…言い訳になっちゃうんだけど」
「ハオランは豪勇武術会の優勝者だもん!みんなが気になるのも分かるし、私もハオランのことすごく誇りに思ってる!」
「ありがとう。うーん…でもこのままだと、せっかくの休みにあまりゆっくりできないかなって思ってて…。もしシュンリンが良ければ、今日はおれの部屋でゆっくり過ごすのはどう?途中でお茶菓子とか買って」
「賛成!」
「良かった。じゃあ行こうか」
ごく自然に出されたハオランの手を、これまた自然に取る。
幼馴染みの時には何も感じなかったこの行為が、恋人になった瞬間に特別感が増すのは何故なのだろう。
「ねえシュンリン、今日はちょっと試してみたいんだけど」
「試すって何を?」
「これ、知ってる?」
繋いでいた手を一度離して。
「指をこうして絡めて…」
「!!」
優しく、でもしっかりと握られた繋ぎ方は、いわゆる「恋人繋ぎ」というもの。
「ハ、ハオラン…」
「あはは、いざやってみると、なんだかちょっと照れくさいね」
手の感触を確かめるように絡めた指に力を込めるハオラン。その度にシュンリンの心臓が体の中で大きな音を立てる。とどめは。
「…シュンリンは、手も可愛いなぁ」
「ぐふっ!」
心臓のバクバクを必死に堪えていたが、ついに口から変な声が出る。
少しだけ恨みがましく見上げると、頬を染めたハオランとバッチリ目が合う。
恋人になったハオランは、なんだか前にも増して、男らしくて、優しくて、そして無性に可愛いのだ。
「ハオランの手も、すごいんだよ!」
「ふふ、手がすごいって、なにが?」
「私の手をこうして包み込んでくれて、温かくて、優しくて安心させてくれる手なの。それが、私はすっごく好き!」
「っ…!」
今度はハオランが激しく動揺したようだ。
「これからも、ずっと繋いでてね!」
「ああ、もちろん。ずっと一緒だ」
こうして二人の世界を目の当たりにした周囲の人々は、もう声をかけることも噂話をするでもなく、微笑ましく二人を見守っていた。
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