本編
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立ち止まったところでぶるりと体が震える。厨房の熱はとうに肌寒い夜気に吸い取られてしまった。
寒くなってから分かれ道での解散が早い。手を振って去っている後姿が毎回名残惜しい。
今日も治をかき乱して、じゃあねとあっさり帰るのかと思っていた。
「治がやりたいって言ってたゲーム、弟が持ってたから借りてきたんだ。明日僕ん家でやる?」
「ぁ、え?」
ゲーム? あぁ、そんな話したわ。やりたいんやけど本体持ってないから買うか迷ってるって。覚えてくてれてたん? 感激や。
「急な話でごめんね。本当は貸せたらいいんだけど、さすがに僕のじゃないから又貸しはできなくて。治がよければの話だから無理しなくてもいいよ。いつでもいいし」
現実逃避で惚けていたらお断りととられそうになった。
「いや、行きたい! 明日は空いて……」
空いてない。言葉に詰まった。
明日は祖母が野菜を届けに来る。祖父母が遊びに来ると毎回美味しいところに連れていってくれるのだ。明日のお昼はきっと店に食べに行くだろう。いつもなら喜んでいるところだが、今回は間が悪い。飯か途遥か、究極の選択。別日にするという考えははなからない。
はよ帰りたいって言うても、やったら自分で食えって置いてかれそうやし。でも店行って帰ってきたら3時とかになってまう。それから途遥くん家行っても遅いもんなぁ。そういえばどれくらい居られるんやろ。
「どのくらい家にいてもええ?」
「何時でもいいよ。僕しかいないから遅くなっても平気」
だったら、おねだりしても許してくれるだろうか。これが最初で最後かもしれないし、これからもチャンスがあるかもしれない。
「……やったら、泊まってもええ?」
明日、遅くなってしまうけれどどうしても遊びたい。一人暮らしの途遥くんの部屋に泊まってみたい。ダメやったらまた後で遊びに行くから。
好奇心と期待と少しの下心を混ぜたお願いはたった一言で快諾されてしまった。
「いいよ」
そんな簡単に言わんでや、爆発してまうやろ。
寒くなってから分かれ道での解散が早い。手を振って去っている後姿が毎回名残惜しい。
今日も治をかき乱して、じゃあねとあっさり帰るのかと思っていた。
「治がやりたいって言ってたゲーム、弟が持ってたから借りてきたんだ。明日僕ん家でやる?」
「ぁ、え?」
ゲーム? あぁ、そんな話したわ。やりたいんやけど本体持ってないから買うか迷ってるって。覚えてくてれてたん? 感激や。
「急な話でごめんね。本当は貸せたらいいんだけど、さすがに僕のじゃないから又貸しはできなくて。治がよければの話だから無理しなくてもいいよ。いつでもいいし」
現実逃避で惚けていたらお断りととられそうになった。
「いや、行きたい! 明日は空いて……」
空いてない。言葉に詰まった。
明日は祖母が野菜を届けに来る。祖父母が遊びに来ると毎回美味しいところに連れていってくれるのだ。明日のお昼はきっと店に食べに行くだろう。いつもなら喜んでいるところだが、今回は間が悪い。飯か途遥か、究極の選択。別日にするという考えははなからない。
はよ帰りたいって言うても、やったら自分で食えって置いてかれそうやし。でも店行って帰ってきたら3時とかになってまう。それから途遥くん家行っても遅いもんなぁ。そういえばどれくらい居られるんやろ。
「どのくらい家にいてもええ?」
「何時でもいいよ。僕しかいないから遅くなっても平気」
だったら、おねだりしても許してくれるだろうか。これが最初で最後かもしれないし、これからもチャンスがあるかもしれない。
「……やったら、泊まってもええ?」
明日、遅くなってしまうけれどどうしても遊びたい。一人暮らしの途遥くんの部屋に泊まってみたい。ダメやったらまた後で遊びに行くから。
好奇心と期待と少しの下心を混ぜたお願いはたった一言で快諾されてしまった。
「いいよ」
そんな簡単に言わんでや、爆発してまうやろ。
