その後
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あれから治は途遥からの連絡を遮断した。知らないフリをして今まで通り過ごすか、問い詰めてキッパリ別れるか。その結論が出せないまま会えないと判断した。
どちらが正解なのか、頭では分かっている。だが、このまま騙されていることに目を瞑ってもいいと思う自分もいた。途遥は治が直接現場を見るまで悟らせなかったのだ。治さえ気にしなければ表面上は恋人でいられる。
結局どうしたいのか、ちっとも定まらなかった。
治はここまできても途遥のことが好きでいるのだ。
治の急な拒絶を途遥は放置したから拗ねてしまったと考えたらしく、次の休みは家に来た。それを疲れてるからと突っぱねると、途遥は多少食い下がったが、強固な治に最終的には眉を下げて大人しく帰って行った。
体を気遣う内容の連絡が送られてきて、ますます迷った。
浮気相手がいるなら、恋人の扱いが雑になりそうなものを、途遥は変わることなく治を恋人として最大限丁寧に扱っている。
文面を読み返して、治はまた落ち込んだ。
悩んだまま、3週間経った。依然として治は途遥を避けている。さすがに様子がおかしい事に気づいた途遥に捕まりかけたが、強く拒絶してからはアクションがない。
選択肢を誤った気がした。自然消滅してしまえば、途遥は完全にあの女の所に行くのだろうか。
今からでも虫の居所が悪かったと縋りに行こうか。それとも、きっちり別れを告げに行くか。いや、このまま何もかも塞いで忘れるか。
どれにしろ自分には最悪の結末が待っている。
途遥と撮った写真を見返しては感傷に浸った。こんなに取り乱したのは人生で初めてだった。
気分はどん底でも、店は営業しなくてはならない。暗い感情に蓋をして、今日も賑わう客に愛想良くおにぎりを握る。
昼のピークが過ぎ、客入りが疎らになった。あと10分で昼営業が終わる。店内の客はテーブルに座る3人のみ。追加で頼まれたおかかを握っていると、引き戸が開いた。
「いらっしゃ……っ」
顔を上げた先、あの女が立っていた。喉まで出かけた驚きの声を反射で押し殺した。
「あの、限定まだありますか?」
可愛らしい外見にピッタリの声はおずおずと聞いてきた。
たとえ恋人の浮気相手でも、こちらは仕事中で相手は客だ。我慢しなければ。
「……あぁ、ありますよ!」
「そうですか! よかったな、まだあるて!」
女と手を繋いで店内に入ってきたのは、太眉の冴えない男だった。爽やかなミントグリーンの服は全く似合っていない。
治はギョッとした。
こいつ、まさか二股してたんか!?
異性の友達にしては距離が近い。キープというやつだろうか。垢抜けない凡夫の方を本命にするはずがない。
そんな卑怯な女に、自分の途遥は取られたのか。
ふつふつと湧いてくる怒りを噛み砕いて、代わりに笑顔を振りまいた。
女はカウンターに座った。男はその隣の椅子に黒いショルダーバッグをかけて女に短く言った。
「トイレ行ってくる」
そのまま治の前を通り抜けた。視界に入り込む鮮やかなミントグリーンに目がつられた。男の後ろ姿に、治は雷に打たれたような衝撃を感じた。
どちらが正解なのか、頭では分かっている。だが、このまま騙されていることに目を瞑ってもいいと思う自分もいた。途遥は治が直接現場を見るまで悟らせなかったのだ。治さえ気にしなければ表面上は恋人でいられる。
結局どうしたいのか、ちっとも定まらなかった。
治はここまできても途遥のことが好きでいるのだ。
治の急な拒絶を途遥は放置したから拗ねてしまったと考えたらしく、次の休みは家に来た。それを疲れてるからと突っぱねると、途遥は多少食い下がったが、強固な治に最終的には眉を下げて大人しく帰って行った。
体を気遣う内容の連絡が送られてきて、ますます迷った。
浮気相手がいるなら、恋人の扱いが雑になりそうなものを、途遥は変わることなく治を恋人として最大限丁寧に扱っている。
文面を読み返して、治はまた落ち込んだ。
悩んだまま、3週間経った。依然として治は途遥を避けている。さすがに様子がおかしい事に気づいた途遥に捕まりかけたが、強く拒絶してからはアクションがない。
選択肢を誤った気がした。自然消滅してしまえば、途遥は完全にあの女の所に行くのだろうか。
今からでも虫の居所が悪かったと縋りに行こうか。それとも、きっちり別れを告げに行くか。いや、このまま何もかも塞いで忘れるか。
どれにしろ自分には最悪の結末が待っている。
途遥と撮った写真を見返しては感傷に浸った。こんなに取り乱したのは人生で初めてだった。
気分はどん底でも、店は営業しなくてはならない。暗い感情に蓋をして、今日も賑わう客に愛想良くおにぎりを握る。
昼のピークが過ぎ、客入りが疎らになった。あと10分で昼営業が終わる。店内の客はテーブルに座る3人のみ。追加で頼まれたおかかを握っていると、引き戸が開いた。
「いらっしゃ……っ」
顔を上げた先、あの女が立っていた。喉まで出かけた驚きの声を反射で押し殺した。
「あの、限定まだありますか?」
可愛らしい外見にピッタリの声はおずおずと聞いてきた。
たとえ恋人の浮気相手でも、こちらは仕事中で相手は客だ。我慢しなければ。
「……あぁ、ありますよ!」
「そうですか! よかったな、まだあるて!」
女と手を繋いで店内に入ってきたのは、太眉の冴えない男だった。爽やかなミントグリーンの服は全く似合っていない。
治はギョッとした。
こいつ、まさか二股してたんか!?
異性の友達にしては距離が近い。キープというやつだろうか。垢抜けない凡夫の方を本命にするはずがない。
そんな卑怯な女に、自分の途遥は取られたのか。
ふつふつと湧いてくる怒りを噛み砕いて、代わりに笑顔を振りまいた。
女はカウンターに座った。男はその隣の椅子に黒いショルダーバッグをかけて女に短く言った。
「トイレ行ってくる」
そのまま治の前を通り抜けた。視界に入り込む鮮やかなミントグリーンに目がつられた。男の後ろ姿に、治は雷に打たれたような衝撃を感じた。
