本編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
僕の名前は斉木楠雄。超能力である。
そして、忙しなく僕の部屋を見て回っているのは16年来の友人である風生春沙だ。
「くーちゃんの部屋広いね。私の部屋は荷物置いたら思ってたより狭くなっちゃって。荷解きもあんまり進んでないんだ」
本棚を見ながら春沙は続けた。
「くーちゃん、ごめんね。何も言わずに急に帰ってきちゃって。お父さんがいきなり日本に帰るって話し出して、そのままあっという間に話が進んじゃったから手紙を書く暇もなかったの」
僕は何も言わずに帰ってきたことに対してなにか思っている訳では無い。テレパシーで春沙の名前を聞いた時はまさに寝耳に水というやつで、驚いていただけだ。
(別に僕は怒っているわけじゃない。ただ、春沙の声 が聞こえたのは予想外だった)
「そう? よかったぁ。あれだけ手紙送ってたのに、帰ってくるのに一言も言わなかったから悪いことしちゃったなって思ってたの」
春沙の言う手紙。それは不定期に春沙が送っていた普通の近況報告だ。幼い頃、1番近い隣人であった春沙は超能力に振り回される僕を何かと気にかけていた。普通ではない力を持つ僕を、彼女なりに気づかっていたのだ。絶望を感じることの多かった幼少期、春沙の存在に助けられたことは多い。離れてからも僕に手紙を書き続けていたのも、ずっと気にしてくれていたからだろう。そういうとこは昔から嫌いじゃないんだ。
まぁ、それは置いておいて。
(帰ってくるのはもう数年先の予定じゃなかったのか)
「そうそう、本当は私が大学生になるくらいに帰ってくる予定だったんだけどね。お父さんが大師匠に、もう教えることは無いから日本に帰っていいって言われちゃって。いきなり過ぎるからもう少し待って欲しいって頼んだみたいなんだけだけど、お前は腕が良すぎるからこれ以上ここにいられたら店を乗っ取られるって詰め寄られて。強制的に戻ってくることになっちゃったの」
……やはりな。夏明さんの修行期間が繰り上がったのは、間違いなく僕のせいだろう。僕は忍舞の噴火を抑えきれとず何回か1年を巻き戻しているが、記憶自体はそのまま残っている。同じ年を繰り返すことに違和感を抱くことは無いが、その分の経験がなかったことになる訳では無い。本来ならあと数年はかかるはずの修行が終わったのはその影響によるものだろう。
「帰れって言われても前の家はもう売っちゃてたし、家をどうしようかって師匠に相談したら今のところに口を聞いてくれたんだって。師匠も大師匠が本当に追い出すとは思ってなかったから、びっくりしたって言ってたよ」
(だが、ここは夏明さんのいた師匠の店とは全く違う場所だぞ)
僕にはその答えがもう分かっているが、あえて聞けばその質問を待ってました、と言わんばかりに満面の笑みを浮かべた。
「よく覚えてるね! ふっふっふ……実はね、お父さんね、ついに自分の店を持ったんだよ!」
(それはおめでとう)
「今はまだ準備中なんだけど、もうすぐプレオープンするから、始まったらお知らせするね」
まだ改装中だけど、店の写真もあるんだよ。
携帯を探して制服のポケット全てひっくり返しているが、そこにはない。
「あ、携帯置いてきちゃった」
とってくる、と出ていった春沙を追って下に降りるとちょうど冬子さんが廊下にでていた。
「あれお母さん」
「春沙、今呼ぼうとしてたのよ。お夕飯の時間だから帰りましょ」
「あ、もう?」
下の母さんたちが話し終わっていたのは聞いていた。
まだ話したそうだが、そろそろ父の声 が聞こえてくる時間だ。ここで感動の再会Part2をやられると食後のデザートが延びてしまう。
「じゃあ話の続きは次回だね」
また明日、学校でね。手を振って帰っていく春沙はどこまでも呑気だった。
――やれやれ、明日から悩みの種が増えたな。
そして、忙しなく僕の部屋を見て回っているのは16年来の友人である風生春沙だ。
「くーちゃんの部屋広いね。私の部屋は荷物置いたら思ってたより狭くなっちゃって。荷解きもあんまり進んでないんだ」
本棚を見ながら春沙は続けた。
「くーちゃん、ごめんね。何も言わずに急に帰ってきちゃって。お父さんがいきなり日本に帰るって話し出して、そのままあっという間に話が進んじゃったから手紙を書く暇もなかったの」
僕は何も言わずに帰ってきたことに対してなにか思っている訳では無い。テレパシーで春沙の名前を聞いた時はまさに寝耳に水というやつで、驚いていただけだ。
(別に僕は怒っているわけじゃない。ただ、春沙の
「そう? よかったぁ。あれだけ手紙送ってたのに、帰ってくるのに一言も言わなかったから悪いことしちゃったなって思ってたの」
春沙の言う手紙。それは不定期に春沙が送っていた普通の近況報告だ。幼い頃、1番近い隣人であった春沙は超能力に振り回される僕を何かと気にかけていた。普通ではない力を持つ僕を、彼女なりに気づかっていたのだ。絶望を感じることの多かった幼少期、春沙の存在に助けられたことは多い。離れてからも僕に手紙を書き続けていたのも、ずっと気にしてくれていたからだろう。そういうとこは昔から嫌いじゃないんだ。
まぁ、それは置いておいて。
(帰ってくるのはもう数年先の予定じゃなかったのか)
「そうそう、本当は私が大学生になるくらいに帰ってくる予定だったんだけどね。お父さんが大師匠に、もう教えることは無いから日本に帰っていいって言われちゃって。いきなり過ぎるからもう少し待って欲しいって頼んだみたいなんだけだけど、お前は腕が良すぎるからこれ以上ここにいられたら店を乗っ取られるって詰め寄られて。強制的に戻ってくることになっちゃったの」
……やはりな。夏明さんの修行期間が繰り上がったのは、間違いなく僕のせいだろう。僕は忍舞の噴火を抑えきれとず何回か1年を巻き戻しているが、記憶自体はそのまま残っている。同じ年を繰り返すことに違和感を抱くことは無いが、その分の経験がなかったことになる訳では無い。本来ならあと数年はかかるはずの修行が終わったのはその影響によるものだろう。
「帰れって言われても前の家はもう売っちゃてたし、家をどうしようかって師匠に相談したら今のところに口を聞いてくれたんだって。師匠も大師匠が本当に追い出すとは思ってなかったから、びっくりしたって言ってたよ」
(だが、ここは夏明さんのいた師匠の店とは全く違う場所だぞ)
僕にはその答えがもう分かっているが、あえて聞けばその質問を待ってました、と言わんばかりに満面の笑みを浮かべた。
「よく覚えてるね! ふっふっふ……実はね、お父さんね、ついに自分の店を持ったんだよ!」
(それはおめでとう)
「今はまだ準備中なんだけど、もうすぐプレオープンするから、始まったらお知らせするね」
まだ改装中だけど、店の写真もあるんだよ。
携帯を探して制服のポケット全てひっくり返しているが、そこにはない。
「あ、携帯置いてきちゃった」
とってくる、と出ていった春沙を追って下に降りるとちょうど冬子さんが廊下にでていた。
「あれお母さん」
「春沙、今呼ぼうとしてたのよ。お夕飯の時間だから帰りましょ」
「あ、もう?」
下の母さんたちが話し終わっていたのは聞いていた。
まだ話したそうだが、そろそろ父の
「じゃあ話の続きは次回だね」
また明日、学校でね。手を振って帰っていく春沙はどこまでも呑気だった。
――やれやれ、明日から悩みの種が増えたな。
6/6ページ
