本編
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景色が瞬きの間に変わった。移動した先は見たことない家の玄関で、体感した現象に数秒呆けてしまった。掴まれていた右手が離される感覚で意識が戻れば、目の前の廊下のドアから女性がでてきた。
「おかえりなさいくーちゃん。あらっ、お友達?」
変わらないにこやかな笑顔が懐かしい。
「お久しぶりです。久留美おばさま」
「……あひゅう〜〜〜」
久留美おばさまから泣きながら抱きつかれた。
「春沙ちゃんよね! あらまぁ、こんなに大きくなって……」
「ふふ、連絡できなくてごめんなさい。急に帰ってくることが決まっちゃって、後からお母さんも挨拶にきます」
わさわさと頭を撫でられる。くすぐったい。
「あら、おかえりなさい。思ってたより早かったわね、もう来てるわよ」
居るとは思わなかったお母さんの声が聞こえた。
「えっ! お母さん! なんでここにいるの」
ドアから出てきたのは紛れもなくお母さんで、学校を出ていく前に見た格好よりも小洒落た姿だった。
「久留美に連絡したら、思ったより近くに住んでたから早めにお邪魔してたのよ。楠雄くんも久しぶりね。うちの人が作ったコーヒーゼリー持ってきたから、食べてちょうだい」
「夏明さんのコーヒーゼリーとっても美味しかったわよ」
それを聞いたくーちゃんは一目散に私の横を通り抜けていった。
「春沙ちゃんも上がって。今お茶用意するから」
「はい。お邪魔します」
くーちゃんの後に続いて玄関を上がった。
テーブルを4人で囲むのは小学校以来だった。小さかった頃はこうやってどっちかの家で集まって、お母さん達は世間話、私達は2人で遊んでいるのが常だった。
――モニュモニュモニュモニュ。
「くーちゃん美味しい?」
くーちゃんは満面の笑みでお父さんのコーヒーゼリーを頬張っている。
(素晴らしい。コーヒーの風味と生クリームの甘さが絶妙だ。そして、なにより量が多い。このクオリティをこれだけの大容量で味わえるのはとても悪くない。夏明さんに後でお礼を言いにいく)
「プリンもケーキもたくさん頂いちゃった。良かったわね、くーちゃん」
「あの人、お店と同じ要領でやるから作りすぎちゃってね。ごめんなさいね、こんなに。食べきれるかしら」
(問題ない。僕が食べる)
「そう、喜んでもらえてよかったわ」
入れてもらったお茶を飲みながら私もコーヒーゼリーを頬張る。……うん、いつものお父さんの味がする。昨日張り切って作ってるのは私も見ていた。
「そういえば、春沙ちゃんもくーちゃんと同じPK学園なのね」
久留美おばさまは私の制服を見た。
「そうなんです。学校に行ったらくーちゃんに会って、同じだなんて知らなかったからびっくりしちゃいました」
「ほんと、久留美達とは何かと縁があるのね。新しく買った家が久留美の家と近かったなんて。前もそんなことあったわよね。引っ越したのに、斜め向かいに居た時は笑っちゃったわ」
「懐かしい〜! そんなこともあったわね。やっぱり私達運命を感じるわ」
「國春くんみたいなこと言うのね。そういえば、國春くんは? まだ同じところに勤めてるの?」
「ううん、今は出版社で編集者をやってるの」
「すごいじゃない! どんな雑誌?」
「えっとね…………」
お母さん同士の話に花が咲きに咲きまくっている。おっとり気質な久留美おばさまとしっかり者気質なお母さんは真逆の性格だからか妙に馬が合う。母親学級で知り合って、家が近かったからそのまま仲が良くなったって言ってたけれど、単なるママ友の域を超えて仲がいい。積もる話は山ほどあるだろうから、邪魔はしたくない。大人しくコーヒーゼリーを食べ進める。
くーちゃんが席を立った。そのまま皿を洗い場へ持っていくと部屋から出ていくようだった。
『くーちゃん部屋戻っちゃうの?』
(会話の邪魔はしたくないからな)
『私も入っていい?』
(……好きにしろ)
最後の一口を食べて、お皿を片付けた。
「久留美おばさま、お母さん、私くーちゃんの部屋にいるね。帰る時は呼んで」
リビングを出ればくーちゃんはまだ動かずに待っていてくれていた。
「おかえりなさいくーちゃん。あらっ、お友達?」
変わらないにこやかな笑顔が懐かしい。
「お久しぶりです。久留美おばさま」
「……あひゅう〜〜〜」
久留美おばさまから泣きながら抱きつかれた。
「春沙ちゃんよね! あらまぁ、こんなに大きくなって……」
「ふふ、連絡できなくてごめんなさい。急に帰ってくることが決まっちゃって、後からお母さんも挨拶にきます」
わさわさと頭を撫でられる。くすぐったい。
「あら、おかえりなさい。思ってたより早かったわね、もう来てるわよ」
居るとは思わなかったお母さんの声が聞こえた。
「えっ! お母さん! なんでここにいるの」
ドアから出てきたのは紛れもなくお母さんで、学校を出ていく前に見た格好よりも小洒落た姿だった。
「久留美に連絡したら、思ったより近くに住んでたから早めにお邪魔してたのよ。楠雄くんも久しぶりね。うちの人が作ったコーヒーゼリー持ってきたから、食べてちょうだい」
「夏明さんのコーヒーゼリーとっても美味しかったわよ」
それを聞いたくーちゃんは一目散に私の横を通り抜けていった。
「春沙ちゃんも上がって。今お茶用意するから」
「はい。お邪魔します」
くーちゃんの後に続いて玄関を上がった。
テーブルを4人で囲むのは小学校以来だった。小さかった頃はこうやってどっちかの家で集まって、お母さん達は世間話、私達は2人で遊んでいるのが常だった。
――モニュモニュモニュモニュ。
「くーちゃん美味しい?」
くーちゃんは満面の笑みでお父さんのコーヒーゼリーを頬張っている。
(素晴らしい。コーヒーの風味と生クリームの甘さが絶妙だ。そして、なにより量が多い。このクオリティをこれだけの大容量で味わえるのはとても悪くない。夏明さんに後でお礼を言いにいく)
「プリンもケーキもたくさん頂いちゃった。良かったわね、くーちゃん」
「あの人、お店と同じ要領でやるから作りすぎちゃってね。ごめんなさいね、こんなに。食べきれるかしら」
(問題ない。僕が食べる)
「そう、喜んでもらえてよかったわ」
入れてもらったお茶を飲みながら私もコーヒーゼリーを頬張る。……うん、いつものお父さんの味がする。昨日張り切って作ってるのは私も見ていた。
「そういえば、春沙ちゃんもくーちゃんと同じPK学園なのね」
久留美おばさまは私の制服を見た。
「そうなんです。学校に行ったらくーちゃんに会って、同じだなんて知らなかったからびっくりしちゃいました」
「ほんと、久留美達とは何かと縁があるのね。新しく買った家が久留美の家と近かったなんて。前もそんなことあったわよね。引っ越したのに、斜め向かいに居た時は笑っちゃったわ」
「懐かしい〜! そんなこともあったわね。やっぱり私達運命を感じるわ」
「國春くんみたいなこと言うのね。そういえば、國春くんは? まだ同じところに勤めてるの?」
「ううん、今は出版社で編集者をやってるの」
「すごいじゃない! どんな雑誌?」
「えっとね…………」
お母さん同士の話に花が咲きに咲きまくっている。おっとり気質な久留美おばさまとしっかり者気質なお母さんは真逆の性格だからか妙に馬が合う。母親学級で知り合って、家が近かったからそのまま仲が良くなったって言ってたけれど、単なるママ友の域を超えて仲がいい。積もる話は山ほどあるだろうから、邪魔はしたくない。大人しくコーヒーゼリーを食べ進める。
くーちゃんが席を立った。そのまま皿を洗い場へ持っていくと部屋から出ていくようだった。
『くーちゃん部屋戻っちゃうの?』
(会話の邪魔はしたくないからな)
『私も入っていい?』
(……好きにしろ)
最後の一口を食べて、お皿を片付けた。
「久留美おばさま、お母さん、私くーちゃんの部屋にいるね。帰る時は呼んで」
リビングを出ればくーちゃんはまだ動かずに待っていてくれていた。
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