ポップコーン片手に大迫力の大画面と高音質なスピーカーから流れるBGM!!
そこまで思いを巡らして、ハッとある事実に気づき青ざめる。
これ二枚だし、さっき雲雀さんはガン無視だったけど私と一緒に呼び止めてたってことは……。

意識しだすと、カーッと熱が顔に集中して頭を振る。――多分二人で行ってこいって意味だよね。
熱を放出するように、熱いため息をついた。人前だけど頭をあーっとかきむしりたくなる。
雲雀さんって人混みとか大きな音とか苦手そうだな～。

多分、これせっかくだけど使わないかもと思いながら歩いていると雲雀さんにやっと追いついた。
相変わらずストローク長いな、いいなその長い足羨ましい。
悔しげに少し恨めしそうに優雅かつ颯爽とした足取りを見るていると急に視界が暗くなった。
その後に衝撃がやってきて、どうやら前を歩いていた雲雀とぶつかったと理解する。
小さく誰を責めるでもない悪態をついて、急に立ち止まって振り返った少年に何事かとぎゅっとつぶっていた瞼を開けた。

チビの私の目線はちょうど雲雀さんの胸あたりで、思わず体勢を崩しかけた私を少年が慌てて抱き留める。

「ワオ、大丈夫?」
鼻がヒリヒリするが、とりあえず大丈夫ですと涙目で告げる。
もう、勝手にとまるせいだ!と喉まで出かかったが、慌てて飲み込んで困ったように眉を下げた。
彼は長い睫を瞬かせて、少しばつが悪そうにそのままの体勢で私にのぞき込んだ。

端正な顔立ちが近づく。じっと黒曜石のような瞳に見つめられて、私は呼吸を忘れたように思わず息をのんでいた。
いつかのように、漆黒の瞳に映る私は緊張で固まって滑稽な姿をさらしている。
顔にぶわっと熱が集まり、慌てて迷惑だから退こうと一歩下がろうとすると彼は口を開いた。