観覧車は二人を乗せてぐんぐん上がっていく。
なぜか真正面ではなく隣に腰掛け、さらに脱走防止かこの状況でパニックになって暴れないためか
まだ握ったままの手のひらの熱に恥ずかしくて死にそうだった。

窓辺に反射する日の赤にも負けない程真っ赤な顔で固まっていると
彼は表情の読めない顔でのぞき込んだ。

「今日はどうだった?」

「えっと……凄く楽しかったと、思います」

真っ赤な顔で俯くと、隣でクスッと笑うのが分かった。

「……良かった。――また面倒だけど今日みたいなデートならしてもいいね」

え、デート?思わずビックリして見上げると彼は不思議そうな顔を浮かべた。

「それはどういう意味ですか?」

困惑したまま真っ赤な顔で告げると、彼はため息をついた。

「どういう意味……って、君はなんだと思ったの?」

小さく舌打ちして、少し拗ねたような彼に視線を泳がせながら答える。

「えっえっと、ただ暇つぶしに付き合ってくれたのかなーって」

だって私とですよ?とむしろ気を遣わせてすいませんと自嘲気味に笑うと
そうか、とため息をついた彼が座席のスプリングをきしませて、こちらに身を乗り出した。
彼の方が大きいため、なかば多い被さるように横に手をおいてのぞきこむ少年に慌てる。