先生と同じだから

「先生、私はもうすぐ死ぬんだから良いの。
でもね、先生は生きていかなきゃでしょ?」

湿っぽくならないように明るい声色を保ちながら
ほらとこっそりとナースを指さして囁いた。

「恩田さんでしたっけ?――可愛い彼女もいるんですから」

「っ……それをどこで――」

目元をトントンと呼び指して笑った。

「私、幻視が使えるから」

にこっと悪戯っぽくはにかむ少女に
はぁと疲れたようにため息をつくと、小さく彼は弱音をはいた。

「私達は、何のためにあるんでしょうね」

私達?それは先生と私だろうか?
いつもちょっと強引で横暴っぽい?(まぁよく言えばサッパリ)してる宮田の弱音が
心底珍しくて、面食らいつつもどこかドキッとした問いをはぐらかすように明るい声を作った。

「えっ……先生センチメンタルにひたってどうしちゃったの?」

「はぁ。――[#dn=1#]さんは怖くないんですか?」

「怖い……かぁ。多分"死"ということに関してだろうけど。
まぁ、怖くないと思えば嘘になるかなぁ。
でもね、先生と同じだから怖くない気もしてくるんだよね」

「同じ……?」
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