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月が綺麗な夜だから(復活)
「やっばい、少し酔ったかも……」
月明かりのテラスにもたれながら、暑い息をはいた。
うちわのようにアルコールで火照る顔を煽ってみるけれど
あまり涼しくもないし、急に人目が気になって止めた。
誰も見てないと思うけれどと頭の中で言い訳してみるも
ふと目の端に入ったドレスの光沢に目がくらみ
何となくこのドレスに恥じないような淑女たらしく居ねばと
しゃんと背筋を正してみる。
そりゃあ、まぁ直前に言われたルッスーリアの
せっかく良いドレスを着てるのにという言葉が
よぎったからなのもあるが……。
「お嬢さん、ご一緒しても?」
背中越しに聞こえた男の声に
こんなタイミングで声をかけるのは
経験上ろくでもないなと思いつつも
愛想笑いで振り返る。
もちろん、笑った笑みの下に警戒はかかさない。
背に回した手に指輪に仕込んだ針を
いざという時に出せるように構えながら
相手の顔を見上げれば少子抜けた。
「なぁんだ、シャマルさんか」
少女の声に高そうな赤いワインが入ったグラスを持った男が
そりゃあないとばかりに肩をすくめた。
「ビックリさせたなら悪かった」
「ほんとですよ。ボスにも背後に立った男には
警戒するように言われてますし」
緊張したと止めてた呼吸に気づいて息をはいた。
「確かに、男は全員オオカミだぜお嬢ちゃん♪
だが、少なくとも俺はこんなトコでは乱暴する気はねぇから
物騒なもんしまいな」
意識的に後ろ手で構えていた武器に気づかれ
ハッと息をのんだが、すぐに恥ずかしくなってしおれるように縮こまり
赤い顔でしまいこんだ。
「流石 トライデント・シャマル」
普段はチャラチャラした女好きのイタリア人だと油断しがちだが
長年殺し屋をしてきた男の腕は本物だった。
細めた目は私が武器をしまうまで注意深く警戒した色を含んでいた。
「こんなところにお嬢ちゃん一人か?
――他の男はどうした?」
こんなカワイ子ちゃんを放っておきやがってと
慣れた手つきで肩を抱き寄せ、囁く甘い言葉に
いつまでも照れていた少女はもういない。
流石にまだ涼しい顔で平然と言ってのける甘い言葉には
照れくさい気持ちもあるが、この数年で踏んだ場数も伊達じゃない。
こんな風にナンパな男のやり過ごし方ですら嫌でも身についている。
特に男社会のマフィアにおいては、女というだけである程度の
自衛のスキルは必要とされる。――それは会話においてもそう。
いちいち相手の言葉を鵜のみにし、恥ずかしがったり弱みを見せてはいけない。
私がこの世界に入った頃はまだ少女というより子供に近かったが
それでも、愛に翻弄される大人をたくさん見てきた。
騙し、騙され、裏切り、裏切られ……それは毎夜どこかで起こる惨事。
決して愛の罠に引っかからないように、トラップをかいくぐるスパイのように
今まで愛想笑いで警戒してきた。
肩に回った男の手をとり、月夜を背に無邪気な子供のふりで微笑んで見せる。
童顔でチビなのはこういう時、有利だなと思いながら
どうせあの子は何も知らないと嘲る大人を手玉にとる。
「ちょっと、酔い過ぎちゃって……あ、見て下さい!!
今日の月はとっても大きくて綺麗ですよ!!
よければシャマルさんもご一緒しませんか?」
まだ何も知らない少女のような笑みを浮かべて微笑めば
根は優しい男が困ったような仕方がないといった顔で頭をかいた。
「まぁ、俺は君を独り占めできるんだから良いけどよ」
シャマルの言葉にそれ、皆に言ってるでしょうと
茶化して笑えば、今夜は君にしか言ってないと慣れたように言われ
もうっと赤い顔を隠すように不貞腐れる。
しばらく月夜の下で談笑していたが、不意に真面目な顔でシャマルが
世界の守護者というのもあるがと苦言を呈した。
「それ以上にカワイ子ちゃんがこんな所に一人だと
俺みたいなオオカミからしちゃ恰好の餌食だぜ」
真面目な顔でガオーっと脅すその声に肩を揺らし笑う。
「シャマルさんはオオカミじゃないですよ。少なくとも今夜はね」
後ろから近づこうとした何人目かの男がシャマルの無言のけん制に
後ずさっていくのをチラッと横目で確認して向かい合う。
「私を守ってくれるカヴァリエーレ(騎士) ……じゃないですか」
自分で言ってて恥ずかしくなり少しはにかむと
男は思ってもみなかった言葉なのかキョトンとしたのち
一本とられたとばかりに豪快に笑った。
「ベッドの中でも騎士でいられるか自信はないが試してみるか?」
他の男だとセクハラになりそうだが、彼だとどうも小粋な愛のジョークに聞こえる。
それにこの手のセクハラにはルッスーリアが心配するよりも慣れている。
思い返せば本当に何も知らないうちが花だったなぁと思いつつも
今まで摘んだ花の一つになるならば遠慮すると笑った。
「シャマルさんが私のベッドも守ってくれるなら
私だって今夜から安心して寝れそうですけど
そうなると他の女性を守っちゃダメなんですよ?耐えられますか?
「……君を見つめている時以外は?」
それでもダメ?とおどけて肩をすくめる男に、月夜を背に
ダメと思いっきり笑って見せた。
「――綺麗だ」
ポツリとこぼれた男の言葉に、えっと素に帰りながら
ああと後ろの満月を振り返り、綺麗ですねと囁いた。
「ソースケ ナツメの好きな言葉だ」
ジャッポーネの言葉で合ってたよなと言われて
慌てて振り向く。
真剣な男の顔に、息をとめた。
ハッと思い出したように息をついて、確かにと頷けば
男は続けて流暢な日本語で月が綺麗ですねと切なそうに笑った。
こういう仕草にダメんずと分かりながらも落ちる女が後を絶たないんだろうなと
火照る頬とは裏腹にどこか冷めた頭の隅で思う。
「私も……シャマルさんと綺麗な月が見れて嬉しいです。
でも、私一つ気づいたことがあるんですよ。
きっと、シャマルさんも気づいていると思いますが……」
月は手が届かないから綺麗なんですと眉を下げて微笑めば
やられたとばかりに男も肩をすくめた。
「それでも俺は信じてるぜ、あの月に手が届く日がくることをな」
互いにこれ以上どうしようもない現実に笑った後
シャマルさんって思っていたよりもロマンチストなんですねと茶化せば
そっちこそいつまでも子供だと思ってたらそんな返しを
どこで身に着けたんだと聞いてきたので
秘密だと今日一番無邪気な顔で笑った。
----------------------
月が綺麗ですねがI love youの和訳という話は知っていたんですが
その返しを最近知ったので大人っぽい小粋な会話をさせたくて書きました。
こういう大人な会話でラリーが続きそうなの誰かなーと考えた結果
シャマルさんだったので出させて頂きましたが
夢主のお相手ではないです。残念。
今回のお話の夢主は成人済みで
ハッキリとした相手はいないけれど
今は恋人を作れないなと恋愛にたいしてガードが堅い時期ですね。
私の中のシャマルさん像が
女の子誰でも好きだし、それぞれに本気
決して遊びじゃなくて、意外と一人だと決めたら目移りはするかもだけど一人だけ愛しそうなイメージで
ただそれを自分でも知っていて、一人にしぼる気がなくてずっと独身でいるという勝手なイメージで書きました。
夢主を口説いていますが、半分本気で
もし夢主がOKなら男の言葉に二言はありません。
夢主も分かってて、途中でほかの女性とも関係を断ってねと茶化してます。
それが無理だと分かって言ってます。
告白は嬉しいけど、受けられない
だから彼が断わるしかない提案をしています。
もしも本気で告白してきたらこんな反応はしないです。
彼は自分の言葉に嘘はつかないだろうけど
今までもたくさんの女の子に似たようなこと言ってるでしょと一歩ひいてる感じですね。
ただ最後の月が綺麗ですねは
少し心が揺れました。
魅力的に成長した夢主にいいなと思ったシャマルも嘘ではないですし
シャマルにこんな風に愛の言葉をはかれて守られる人生もいいなと夢主が思ってしまったのも嘘じゃないです。
ただそれが現実的に考えて無理なのが分かっている。
一時の感情で流されるには大人になりすぎてしまった二人。
ただダメ元でのイタリア男 どんな場面でもおしていく。
「月が綺麗ですね」の返しに
ハッキリとNOを言わずに
「綺麗な月が見れてうれしい」はあなたの告白が嬉しい。
ただ「月は届かないから綺麗」と自分をあきらめるようにうながす夢主。
そこでもシャマルは悔し紛れに
「あの月に手が届くことを信じている」
と最後までダメ元で口説いてますね。
これはいつかあなたに告白が届くことを願っていますの裏返し。
だからこそ今はどうしようもない現実に二人は笑いました。
どうにかなればいいと思うけれど
現実的に考えてどうにかなっては困る
だから全部ジョークだと笑って流します。
立派な大人ですからね。
「やっばい、少し酔ったかも……」
月明かりのテラスにもたれながら、暑い息をはいた。
うちわのようにアルコールで火照る顔を煽ってみるけれど
あまり涼しくもないし、急に人目が気になって止めた。
誰も見てないと思うけれどと頭の中で言い訳してみるも
ふと目の端に入ったドレスの光沢に目がくらみ
何となくこのドレスに恥じないような淑女たらしく居ねばと
しゃんと背筋を正してみる。
そりゃあ、まぁ直前に言われたルッスーリアの
せっかく良いドレスを着てるのにという言葉が
よぎったからなのもあるが……。
「お嬢さん、ご一緒しても?」
背中越しに聞こえた男の声に
こんなタイミングで声をかけるのは
経験上ろくでもないなと思いつつも
愛想笑いで振り返る。
もちろん、笑った笑みの下に警戒はかかさない。
背に回した手に指輪に仕込んだ針を
いざという時に出せるように構えながら
相手の顔を見上げれば少子抜けた。
「なぁんだ、シャマルさんか」
少女の声に高そうな赤いワインが入ったグラスを持った男が
そりゃあないとばかりに肩をすくめた。
「ビックリさせたなら悪かった」
「ほんとですよ。ボスにも背後に立った男には
警戒するように言われてますし」
緊張したと止めてた呼吸に気づいて息をはいた。
「確かに、男は全員オオカミだぜお嬢ちゃん♪
だが、少なくとも俺はこんなトコでは乱暴する気はねぇから
物騒なもんしまいな」
意識的に後ろ手で構えていた武器に気づかれ
ハッと息をのんだが、すぐに恥ずかしくなってしおれるように縮こまり
赤い顔でしまいこんだ。
「流石 トライデント・シャマル」
普段はチャラチャラした女好きのイタリア人だと油断しがちだが
長年殺し屋をしてきた男の腕は本物だった。
細めた目は私が武器をしまうまで注意深く警戒した色を含んでいた。
「こんなところにお嬢ちゃん一人か?
――他の男はどうした?」
こんなカワイ子ちゃんを放っておきやがってと
慣れた手つきで肩を抱き寄せ、囁く甘い言葉に
いつまでも照れていた少女はもういない。
流石にまだ涼しい顔で平然と言ってのける甘い言葉には
照れくさい気持ちもあるが、この数年で踏んだ場数も伊達じゃない。
こんな風にナンパな男のやり過ごし方ですら嫌でも身についている。
特に男社会のマフィアにおいては、女というだけである程度の
自衛のスキルは必要とされる。――それは会話においてもそう。
いちいち相手の言葉を鵜のみにし、恥ずかしがったり弱みを見せてはいけない。
私がこの世界に入った頃はまだ少女というより子供に近かったが
それでも、愛に翻弄される大人をたくさん見てきた。
騙し、騙され、裏切り、裏切られ……それは毎夜どこかで起こる惨事。
決して愛の罠に引っかからないように、トラップをかいくぐるスパイのように
今まで愛想笑いで警戒してきた。
肩に回った男の手をとり、月夜を背に無邪気な子供のふりで微笑んで見せる。
童顔でチビなのはこういう時、有利だなと思いながら
どうせあの子は何も知らないと嘲る大人を手玉にとる。
「ちょっと、酔い過ぎちゃって……あ、見て下さい!!
今日の月はとっても大きくて綺麗ですよ!!
よければシャマルさんもご一緒しませんか?」
まだ何も知らない少女のような笑みを浮かべて微笑めば
根は優しい男が困ったような仕方がないといった顔で頭をかいた。
「まぁ、俺は君を独り占めできるんだから良いけどよ」
シャマルの言葉にそれ、皆に言ってるでしょうと
茶化して笑えば、今夜は君にしか言ってないと慣れたように言われ
もうっと赤い顔を隠すように不貞腐れる。
しばらく月夜の下で談笑していたが、不意に真面目な顔でシャマルが
世界の守護者というのもあるがと苦言を呈した。
「それ以上にカワイ子ちゃんがこんな所に一人だと
俺みたいなオオカミからしちゃ恰好の餌食だぜ」
真面目な顔でガオーっと脅すその声に肩を揺らし笑う。
「シャマルさんはオオカミじゃないですよ。少なくとも今夜はね」
後ろから近づこうとした何人目かの男がシャマルの無言のけん制に
後ずさっていくのをチラッと横目で確認して向かい合う。
「私を守ってくれるカヴァリエーレ(騎士) ……じゃないですか」
自分で言ってて恥ずかしくなり少しはにかむと
男は思ってもみなかった言葉なのかキョトンとしたのち
一本とられたとばかりに豪快に笑った。
「ベッドの中でも騎士でいられるか自信はないが試してみるか?」
他の男だとセクハラになりそうだが、彼だとどうも小粋な愛のジョークに聞こえる。
それにこの手のセクハラにはルッスーリアが心配するよりも慣れている。
思い返せば本当に何も知らないうちが花だったなぁと思いつつも
今まで摘んだ花の一つになるならば遠慮すると笑った。
「シャマルさんが私のベッドも守ってくれるなら
私だって今夜から安心して寝れそうですけど
そうなると他の女性を守っちゃダメなんですよ?耐えられますか?
「……君を見つめている時以外は?」
それでもダメ?とおどけて肩をすくめる男に、月夜を背に
ダメと思いっきり笑って見せた。
「――綺麗だ」
ポツリとこぼれた男の言葉に、えっと素に帰りながら
ああと後ろの満月を振り返り、綺麗ですねと囁いた。
「ソースケ ナツメの好きな言葉だ」
ジャッポーネの言葉で合ってたよなと言われて
慌てて振り向く。
真剣な男の顔に、息をとめた。
ハッと思い出したように息をついて、確かにと頷けば
男は続けて流暢な日本語で月が綺麗ですねと切なそうに笑った。
こういう仕草にダメんずと分かりながらも落ちる女が後を絶たないんだろうなと
火照る頬とは裏腹にどこか冷めた頭の隅で思う。
「私も……シャマルさんと綺麗な月が見れて嬉しいです。
でも、私一つ気づいたことがあるんですよ。
きっと、シャマルさんも気づいていると思いますが……」
月は手が届かないから綺麗なんですと眉を下げて微笑めば
やられたとばかりに男も肩をすくめた。
「それでも俺は信じてるぜ、あの月に手が届く日がくることをな」
互いにこれ以上どうしようもない現実に笑った後
シャマルさんって思っていたよりもロマンチストなんですねと茶化せば
そっちこそいつまでも子供だと思ってたらそんな返しを
どこで身に着けたんだと聞いてきたので
秘密だと今日一番無邪気な顔で笑った。
----------------------
月が綺麗ですねがI love youの和訳という話は知っていたんですが
その返しを最近知ったので大人っぽい小粋な会話をさせたくて書きました。
こういう大人な会話でラリーが続きそうなの誰かなーと考えた結果
シャマルさんだったので出させて頂きましたが
夢主のお相手ではないです。残念。
今回のお話の夢主は成人済みで
ハッキリとした相手はいないけれど
今は恋人を作れないなと恋愛にたいしてガードが堅い時期ですね。
私の中のシャマルさん像が
女の子誰でも好きだし、それぞれに本気
決して遊びじゃなくて、意外と一人だと決めたら目移りはするかもだけど一人だけ愛しそうなイメージで
ただそれを自分でも知っていて、一人にしぼる気がなくてずっと独身でいるという勝手なイメージで書きました。
夢主を口説いていますが、半分本気で
もし夢主がOKなら男の言葉に二言はありません。
夢主も分かってて、途中でほかの女性とも関係を断ってねと茶化してます。
それが無理だと分かって言ってます。
告白は嬉しいけど、受けられない
だから彼が断わるしかない提案をしています。
もしも本気で告白してきたらこんな反応はしないです。
彼は自分の言葉に嘘はつかないだろうけど
今までもたくさんの女の子に似たようなこと言ってるでしょと一歩ひいてる感じですね。
ただ最後の月が綺麗ですねは
少し心が揺れました。
魅力的に成長した夢主にいいなと思ったシャマルも嘘ではないですし
シャマルにこんな風に愛の言葉をはかれて守られる人生もいいなと夢主が思ってしまったのも嘘じゃないです。
ただそれが現実的に考えて無理なのが分かっている。
一時の感情で流されるには大人になりすぎてしまった二人。
ただダメ元でのイタリア男 どんな場面でもおしていく。
「月が綺麗ですね」の返しに
ハッキリとNOを言わずに
「綺麗な月が見れてうれしい」はあなたの告白が嬉しい。
ただ「月は届かないから綺麗」と自分をあきらめるようにうながす夢主。
そこでもシャマルは悔し紛れに
「あの月に手が届くことを信じている」
と最後までダメ元で口説いてますね。
これはいつかあなたに告白が届くことを願っていますの裏返し。
だからこそ今はどうしようもない現実に二人は笑いました。
どうにかなればいいと思うけれど
現実的に考えてどうにかなっては困る
だから全部ジョークだと笑って流します。
立派な大人ですからね。
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