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二人だけの誓約(D灰)
どこまでも広がる花畑に座りこみながら二人の男女は互いの未来を語り合っていた。
ポツポツとだが楽しそうにあがる話題。
肩をかすめる蝶の羽ばたき、風に揺れる花々の甘い香り、露を残した草のきらめき。
それは遠目から見れば何の変哲も無いありふれた恋人達の風景。
けれど、彼らにはとうてい普通の恋人にはなり得ない現実だけが肩にのしかかっていた。
いつもはその現実を真っ向に見据え対峙し、向かってくる火の粉を払い
こんな花畑の美しさを気にもとめる瞬間はなかったが、今日だけは……今だけは普通でいられるよう神に願った。
少女は年甲斐も無く足下の花をもてあそびながら、ふと少し調子外れの鼻歌を口ずさんだ。
隣の男は思わず探るように少女を見つめる。少女は少しだけ拗ねたがすぐ
「これはほら……結婚式の音楽だよ!!」
と自信たっぷりの勝ち気そうな笑みを照れたように浮かべた。
男は少しだけ驚くとすぐに綺麗な顔を崩し、まるで幼子のおねだりを
どう断っていいのか分からないような困った顔をした。
「結婚か……それは俺たちには難しいだろうな」
一見少女の夢を壊すような冷たい言葉も男なりの
『夢を見ているだけではこの残酷な世界に傷つけられてしまうよ』という彼女への警告じみていた。
それが分かっていたので少女もたいして傷ついたり驚くような素振りを見せずに
手でもてあそんでいた花に視線を落としてそうだよねと茶化すように笑った。
「分かってるよ。でも……結婚ってさ何も教会にいって
神父の前で永遠を誓い合うことだけじゃないと思うんだよね」
指輪もない、ましてや私達を祝福してくれるような神聖な場所もない。
私達が所属している教団は名ばかりの聖職者集団で……やってる事は人殺しをAKUMA殺しに変えただけの殺伐とした場所。
逃げることが出来ない世界の命運をかけた戦場。
戦って、戦って、戦って……自分達では抱えきれないほどの大きな世界を背負って疲弊して。
命だけじゃない。この人生をかけて勝ち取ろうとした世界は美しいと言えるだろうか。
きっと、アナタがいない世界なら私は滅びてもいいかも知れないとさえ思えてくる。
そんな残酷なこの世界に負けず劣らずに無慈悲な答えが浮かんだので少女は静かに苦笑した。
話し込みながら女らしい白く長いしなやかな指先で編んだシロツメクサの指輪ができあがった。
ダイアモンドの指輪よりもひどく不格好で、いつか誰かに教えてもらったきりのその指輪。
それはまるで輪廻の輪のように見えた。ぐるぐる回る。
同じような運命の輪、今日も刻まれていくこの世界の……人間の愚かな歴史達。
争い、悲しみが溢れ、AKUMAが造られる。そして今日もどこかでそれを破壊するエクソシストが産まれていく。
どちらかが0になるまで永遠と殺し合い続ける運命の輪が周り続ける。
完成したばかりのシロツメクサの指輪を対になるように、男の指に……そして少女自身も指に通した。
少し不格好なそれに似合わない程の美しい笑みを浮かべた少女に、男は息をのんだ。
彼女は少し照れてはにかみながら、男の名を呼ぶ。
「私と死んでくれますか?」
「……なんか怖ぇな。全然ロマンチックじゃねぇ」
「だって、いつまで生きられるか分かんないしさ……。でもいつかきっと死ぬことは確定事項なわけで。
なら一緒に死ぬその瞬間まで生きてて欲しいのよ。そして一緒にバーンって黄泉の世界に飛び込んじゃお?」
物騒なわりにどこか面白そうにクスクス笑う少女に男も一呼吸間を置いて頷いた。
「……ああ」
男が少女と同じようにシロツメクサの指輪に視線を落として薄く笑った。
「誓います。ともに死ぬことを……」
これは二人だけの誓約。とても小さなけれども二人にとっては神聖な愛の儀式だった。
★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★
【あとがき】
D灰連載主×神田をイメージして書いてみました。
教団って多分結婚とかさせてくれないんじゃないかなぁ?
あ、でも同じエクソシスト同士とか教団内とかなら(外に出さないし)OKだったりするのかな。
特に人体実験してた時なんかもエクソシストの身内から使ってたらしいし
エクソシスト同士の子どもだとエクソシスト産まれそうじゃねっていう思惑とかもありそうで嫌だな~。
そういう事なら駆け落ちとかもなんかおきそう。
どこまでも広がる花畑に座りこみながら二人の男女は互いの未来を語り合っていた。
ポツポツとだが楽しそうにあがる話題。
肩をかすめる蝶の羽ばたき、風に揺れる花々の甘い香り、露を残した草のきらめき。
それは遠目から見れば何の変哲も無いありふれた恋人達の風景。
けれど、彼らにはとうてい普通の恋人にはなり得ない現実だけが肩にのしかかっていた。
いつもはその現実を真っ向に見据え対峙し、向かってくる火の粉を払い
こんな花畑の美しさを気にもとめる瞬間はなかったが、今日だけは……今だけは普通でいられるよう神に願った。
少女は年甲斐も無く足下の花をもてあそびながら、ふと少し調子外れの鼻歌を口ずさんだ。
隣の男は思わず探るように少女を見つめる。少女は少しだけ拗ねたがすぐ
「これはほら……結婚式の音楽だよ!!」
と自信たっぷりの勝ち気そうな笑みを照れたように浮かべた。
男は少しだけ驚くとすぐに綺麗な顔を崩し、まるで幼子のおねだりを
どう断っていいのか分からないような困った顔をした。
「結婚か……それは俺たちには難しいだろうな」
一見少女の夢を壊すような冷たい言葉も男なりの
『夢を見ているだけではこの残酷な世界に傷つけられてしまうよ』という彼女への警告じみていた。
それが分かっていたので少女もたいして傷ついたり驚くような素振りを見せずに
手でもてあそんでいた花に視線を落としてそうだよねと茶化すように笑った。
「分かってるよ。でも……結婚ってさ何も教会にいって
神父の前で永遠を誓い合うことだけじゃないと思うんだよね」
指輪もない、ましてや私達を祝福してくれるような神聖な場所もない。
私達が所属している教団は名ばかりの聖職者集団で……やってる事は人殺しをAKUMA殺しに変えただけの殺伐とした場所。
逃げることが出来ない世界の命運をかけた戦場。
戦って、戦って、戦って……自分達では抱えきれないほどの大きな世界を背負って疲弊して。
命だけじゃない。この人生をかけて勝ち取ろうとした世界は美しいと言えるだろうか。
きっと、アナタがいない世界なら私は滅びてもいいかも知れないとさえ思えてくる。
そんな残酷なこの世界に負けず劣らずに無慈悲な答えが浮かんだので少女は静かに苦笑した。
話し込みながら女らしい白く長いしなやかな指先で編んだシロツメクサの指輪ができあがった。
ダイアモンドの指輪よりもひどく不格好で、いつか誰かに教えてもらったきりのその指輪。
それはまるで輪廻の輪のように見えた。ぐるぐる回る。
同じような運命の輪、今日も刻まれていくこの世界の……人間の愚かな歴史達。
争い、悲しみが溢れ、AKUMAが造られる。そして今日もどこかでそれを破壊するエクソシストが産まれていく。
どちらかが0になるまで永遠と殺し合い続ける運命の輪が周り続ける。
完成したばかりのシロツメクサの指輪を対になるように、男の指に……そして少女自身も指に通した。
少し不格好なそれに似合わない程の美しい笑みを浮かべた少女に、男は息をのんだ。
彼女は少し照れてはにかみながら、男の名を呼ぶ。
「私と死んでくれますか?」
「……なんか怖ぇな。全然ロマンチックじゃねぇ」
「だって、いつまで生きられるか分かんないしさ……。でもいつかきっと死ぬことは確定事項なわけで。
なら一緒に死ぬその瞬間まで生きてて欲しいのよ。そして一緒にバーンって黄泉の世界に飛び込んじゃお?」
物騒なわりにどこか面白そうにクスクス笑う少女に男も一呼吸間を置いて頷いた。
「……ああ」
男が少女と同じようにシロツメクサの指輪に視線を落として薄く笑った。
「誓います。ともに死ぬことを……」
これは二人だけの誓約。とても小さなけれども二人にとっては神聖な愛の儀式だった。
★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★
【あとがき】
D灰連載主×神田をイメージして書いてみました。
教団って多分結婚とかさせてくれないんじゃないかなぁ?
あ、でも同じエクソシスト同士とか教団内とかなら(外に出さないし)OKだったりするのかな。
特に人体実験してた時なんかもエクソシストの身内から使ってたらしいし
エクソシスト同士の子どもだとエクソシスト産まれそうじゃねっていう思惑とかもありそうで嫌だな~。
そういう事なら駆け落ちとかもなんかおきそう。