COLORS(種運命)
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――destiny20―― 残る命散る命
海面に叩きつけられたカオスが、かろうじて態勢を立て直し、離脱していく。
海中からアビスがインパルスに向かってビームランスを振るうと、インパルスはそれをかわし、レールガンを撃ち込む。
アビスは海中に潜行して攻撃を回避した。
インパルスはアビスに専念するあまり、フリーダムが自分を狙っていることに気付くのが遅れる。
フリーダムのビームが直撃する寸前、セイバーが飛び込み、シールドで遮った。そしてセイバーはそのままフリーダムに迫り、両者が激突する。
動きの止まるインパルスに好機と判断したアビスが海中から躍り出た。
アビスのシールドから発せられたビームがインパルスの背中のモジュールを打ち貫く。インパルスは誘爆するモジュールを切り離した。
そのまま海中に落ちる直前、アビスに向かってビームジャンベリンを投げつけた。
ジャンベリンが吸い寄せられるように命中する。機体が爆発し、水面に叩きつけられる。
「…………!!」
シオンは機体を急旋回させると、フットペダルを一気に踏み込む。
加速と同時に襲ってくる強烈なGに歯を食いしばり、アビスを追って水面に飛び込んだ。
◇ ◇ ◇
コックピットの裂け目から海水が入ってくる。
アウルは青い水の色に記憶を刺激された。
白いスカートをなびかせて海辺を舞う少女。
――ステラ?――
アウルの脳裏に金の髪の少女が甦る。
流れ込む海水が次第にコックピットを満たしていく。
ああ、自分はここで死ぬのだ。あの少女と同じように。
アウルは理解した。なぜ自分たちがステラのことを忘れていたのか。
所詮、自分たちはモビルスーツを動かすための部品の一つ。
ここで自分が死ねば、たった一人残ったスティングの記憶からも自分はいなくなる。すでにステラはいなくなった。
何もかも忘れ、たった一人戦う。それはとても悲しい。自分たちは何のために生まれてきたんだろう?
そういえば昔、同じようなことを言っていた人がいたような気がする。
「俺たちも怪我をすれば痛いし赤い血だって流れる。生きてる人間だ!」
そんな叫びに「お前らは部品だよ。あの機体の性能を100%引き出すための」と冷えた声が響いた。
「部品だっていうなら、体だけじゃなく心も改造してくれ……っ!」
まるで血の涙でも流しているような、あの人の叫び。
あれは誰だったのか――ただ自分は、いや、自分たちはその人のことがとても好きだった。
ああ、もう何も解らない。
何も考えられない。アウルの思考に霞がかかる。
意識を手放そうとしたその時、かろうじて生き残っていた通信機からノイズ交じりの声が途切れ途切れに聞こえてきた。
『ステ……ア……ル……ティ……グ……誰で……い……聞こえ……か?』
(うるさいな……でもなんだろう。懐かしい感じがする)
ぼんやりと瞼を開ける。黄金に輝く何かが自分に向かってくる。
霞がかった視界では、それが何なのか解らない。
ただ、さきほど聞こえてきた声が心地いいと感じただけだった。
「ステラ! アウル! スティング! 誰が乗ってるんだ! 誰でもいい……聞こえるか?! 返事をしてくれ!!」
沈みゆくアビスに向かって手を伸ばしながら、シオンは必死に叫んだ。
いくら叫ぼうとも一向に返事はない。
「くそっ、あと少し……っ」
唇を噛み締め、ペダルを踏む足に力を込める。やっとアマテラスの右腕がアビスを掴んだ。
亀裂した箇所から流入する海水を少しでも少なくなればと、アマテラスの左側の手を添えると最大速度で浮上し海上のアークエンジェルへを目指す。
海上ではカガリがオーブ軍に向けて戦闘を中止するよう呼びかけている。
だが、前回同様偽者としての決定が下されたカガリの言葉に従うものは一人としていなかった。
ムラサメ隊がミネルバに向けて特攻を開始する。それを阻止しようとしたカガリのストライク・ルージュがムラサメの前に躍り出た。
ムラサメはストライク・ルージュの腕を掴み、後方へ放り投げる。
モビルアーマー状態に変形したムラサメがミネルバの甲板に突っ込んだ。
ザクとインパルスがそれを阻止しようとムラサメを撃ち落す。
セイバーもミネルバの危機を察知し、ムラサメを迎撃しようとビームライフルを構えるが、フリーダムが立ちふさがり、ライフルを撃ち落す。
迎撃し損ねたムラサメがミネルバの甲板に突っ込み、爆発した。
航行不能に近い損傷を受けたミネルバの動きが止まる。
最後の頼みとばかりに中央カタパルトからソードシルエットが射出されると、換装を終えたインパルスが長刀を携え、オーブ艦隊に向かって飛び掛った。
それを見たフリーダムが方向を転換し、ミネルバに向かおうとする。
それをセイバーが阻止した。
両機はビームサーベルを抜き、互いに切りかかった。
アークエンジェルに緊急着艦したアマテラスは力任せにアビスのコックピットを引き壊した。中に溜まっていた海水が一気に外へ流れ出る。
マードックが中に入り、アウルを引きずり出した。医療班を呼び、慎重にヘルメットを脱がせて脈と呼吸を確認する。
「大丈夫だ! 生きてるぞ!」
マードックが叫んだ。モニター越しにアウルの姿を確認したシオンは安堵の溜息をついた。
だが、次の瞬間、表情を改める。戦闘は未だ終ってはいないのだ。
「マードックさん……すまないがそいつのことを頼む!」
「解った」
常とは違う声色にマードックも真剣に頷いた。アウルの身体をストレッチャーに乗せ、医務室へと運ばせる。
シオンは方向転換して緊急発進した。
アークエンジェルを飛び立ったシオンが目にしたのは長刀を手にしたインパルスが次々とオーブ艦を切り裂いている姿だった。
モニターで周囲を確認する。
フリーダムが2本のビームソードを使いセイバーの頭部きり飛ばした。次いで両腕、両脚の四肢を破壊する。
完膚なきまでに叩き潰されたセイバーの残骸が落下し、海中へ沈んでいった。
バーニアを吹かしながらストライク・ルージュがタケミカズチの前進を止めようとする。
周囲を警戒していないストライク・ルージュにインパルスがビームライフルを向けた。
放たれたビームはストライク・ルージュを庇ったムラサメに吸い込まれた。
炎を上げて落ちていくムラサメ。
シオンはタケミカズチに向けて機体を飛ばした。カメラアイの隅に最大速度でタケミカズチから脱出する艦影を認めた。
「ユウナ!!」
シオンは憤怒に燃えた。
己の保身の為だけに権力を行使してカガリを偽者扱いし、策とも呼べぬ稚拙な愚考で心ある多くの将兵を死に追いやった。それだけでも殺しても殺し足りない。
それなのに戦局が劣勢となるなり、兵を見捨てて己だけにげるなどと――。
シオンは艦影に向けてビームライフルを向けた。
トリガーにかけた指に力を込めた――瞬間、タケミカズチから爆発が上がる。
シオンはハッとして艦影から注意を逸らした。ギリギリと歯を食いしばり、レバーを握る両手に力を込める。
ユウナの抹殺とタケミカズチの将兵たちの生命――それらを両天秤にかけたとき、取るべきものは決まっていた。
シオンはタケミカズチに向かって剣を振り上げるインパルスの脇にショルダータックルを見舞う。大きく後方に吹き飛ぶインパルス。
アマテラスはブリッジの正面に降下した。
「なにをしている! 早く退艦しろ!!」
<出来ません>
トダカはスピーカーにスイッチを入れ、はっきりと勧告を拒絶した。
<現在、本艦の総員は退艦し、タケミカズチには私以外の将兵はおりません。私はミネルバを落とせという命令を完遂すべく、ここに残りました。艦、将兵を失った責任も私にあります。ですから退艦するわけには参りません>
それだけでシオンは気付いた。
目の前にいる兵士はすべての責任を取ってここで果てるつもりなのだということを――。
「お前たちを見捨てた総司令官を守るために自らの生命を捨てるのか?!」
<ユウナ・ロマを守るためではありません。国を守るためです。あなたがカガリ様を連れてオーブを出られるとき、我々に向けて仰いましたね。決して我らを見捨てないと。必ず戻ってくると。今日、ここで無念に果てていった多くの将兵たちがあなたの言葉とカガリ様を信じて散っていきました。どうかオーブの理念をお守りください。ウズミ様の愛した古きよきオーブを……私はオーブが甦る姿を思い描きながら艦と運命を共にしましょう>
敵味方を問わずシオンとトダカの会話を聞いていたすべての将兵が複雑な表情をした。特にタケミカズチから退艦したものたちは一斉に敬礼する。
「ふざけるな!!」
シオンが叫ぶ。同時にアマテラスの右手をブリッジに突っ込ませた。
コックピットハッチを開き、トダカに向き合う。スピーカー越しではなく、直接声が届くようにヘルメットのゴーグルを上げた。
「国を守るために責任を取って死ぬだと!? 真に国を思うのなら、たとえ生き恥を晒そうとも生き延びろ! どれだけ奇麗事を言おうが貴方がしようとしているのは、ただの逃避だ! カガリはまだ幼い。代表として国を背負っていくには貴方のような志を持つ者が必要なんだ。オーブが甦る姿を思い浮かべる? そんなもの俺とカガリが見せてやる! 約束する。だからこれ以上、俺の目の前で守るべき民が死に逝くのは許さん! 退避だ!」
トダカに向かってアマテラスの手を開く。
「あなたという人は……命令とあれば従わないわけにはいきませんな……ここまで強引な御方だったとは思いませんでした」
トダカは軍帽を目深にかぶりなおした。アマテラスの手のひらに移動する。
シオンはトダカをコックピットの中へと引き入れた。
周囲からは2人の間でなにが行われていたのか確認できない。
態勢を立て直したインパルスが長刀を振りかざして向かってくるのを横目に、シオンはペダルを踏み込んでアマテラスを上昇させる。
トダカを乗せたアマテラスは悠々とタケミカズチを飛び去った。
目標を見失ったインパルスは怒りの矛先をタケミカズチに向けた。
ブリッジを真っ二つに切り裂かれた戦艦は炎に飲み込まれ深い海へと沈んでいった。
海面に叩きつけられたカオスが、かろうじて態勢を立て直し、離脱していく。
海中からアビスがインパルスに向かってビームランスを振るうと、インパルスはそれをかわし、レールガンを撃ち込む。
アビスは海中に潜行して攻撃を回避した。
インパルスはアビスに専念するあまり、フリーダムが自分を狙っていることに気付くのが遅れる。
フリーダムのビームが直撃する寸前、セイバーが飛び込み、シールドで遮った。そしてセイバーはそのままフリーダムに迫り、両者が激突する。
動きの止まるインパルスに好機と判断したアビスが海中から躍り出た。
アビスのシールドから発せられたビームがインパルスの背中のモジュールを打ち貫く。インパルスは誘爆するモジュールを切り離した。
そのまま海中に落ちる直前、アビスに向かってビームジャンベリンを投げつけた。
ジャンベリンが吸い寄せられるように命中する。機体が爆発し、水面に叩きつけられる。
「…………!!」
シオンは機体を急旋回させると、フットペダルを一気に踏み込む。
加速と同時に襲ってくる強烈なGに歯を食いしばり、アビスを追って水面に飛び込んだ。
◇ ◇ ◇
コックピットの裂け目から海水が入ってくる。
アウルは青い水の色に記憶を刺激された。
白いスカートをなびかせて海辺を舞う少女。
――ステラ?――
アウルの脳裏に金の髪の少女が甦る。
流れ込む海水が次第にコックピットを満たしていく。
ああ、自分はここで死ぬのだ。あの少女と同じように。
アウルは理解した。なぜ自分たちがステラのことを忘れていたのか。
所詮、自分たちはモビルスーツを動かすための部品の一つ。
ここで自分が死ねば、たった一人残ったスティングの記憶からも自分はいなくなる。すでにステラはいなくなった。
何もかも忘れ、たった一人戦う。それはとても悲しい。自分たちは何のために生まれてきたんだろう?
そういえば昔、同じようなことを言っていた人がいたような気がする。
「俺たちも怪我をすれば痛いし赤い血だって流れる。生きてる人間だ!」
そんな叫びに「お前らは部品だよ。あの機体の性能を100%引き出すための」と冷えた声が響いた。
「部品だっていうなら、体だけじゃなく心も改造してくれ……っ!」
まるで血の涙でも流しているような、あの人の叫び。
あれは誰だったのか――ただ自分は、いや、自分たちはその人のことがとても好きだった。
ああ、もう何も解らない。
何も考えられない。アウルの思考に霞がかかる。
意識を手放そうとしたその時、かろうじて生き残っていた通信機からノイズ交じりの声が途切れ途切れに聞こえてきた。
『ステ……ア……ル……ティ……グ……誰で……い……聞こえ……か?』
(うるさいな……でもなんだろう。懐かしい感じがする)
ぼんやりと瞼を開ける。黄金に輝く何かが自分に向かってくる。
霞がかった視界では、それが何なのか解らない。
ただ、さきほど聞こえてきた声が心地いいと感じただけだった。
「ステラ! アウル! スティング! 誰が乗ってるんだ! 誰でもいい……聞こえるか?! 返事をしてくれ!!」
沈みゆくアビスに向かって手を伸ばしながら、シオンは必死に叫んだ。
いくら叫ぼうとも一向に返事はない。
「くそっ、あと少し……っ」
唇を噛み締め、ペダルを踏む足に力を込める。やっとアマテラスの右腕がアビスを掴んだ。
亀裂した箇所から流入する海水を少しでも少なくなればと、アマテラスの左側の手を添えると最大速度で浮上し海上のアークエンジェルへを目指す。
海上ではカガリがオーブ軍に向けて戦闘を中止するよう呼びかけている。
だが、前回同様偽者としての決定が下されたカガリの言葉に従うものは一人としていなかった。
ムラサメ隊がミネルバに向けて特攻を開始する。それを阻止しようとしたカガリのストライク・ルージュがムラサメの前に躍り出た。
ムラサメはストライク・ルージュの腕を掴み、後方へ放り投げる。
モビルアーマー状態に変形したムラサメがミネルバの甲板に突っ込んだ。
ザクとインパルスがそれを阻止しようとムラサメを撃ち落す。
セイバーもミネルバの危機を察知し、ムラサメを迎撃しようとビームライフルを構えるが、フリーダムが立ちふさがり、ライフルを撃ち落す。
迎撃し損ねたムラサメがミネルバの甲板に突っ込み、爆発した。
航行不能に近い損傷を受けたミネルバの動きが止まる。
最後の頼みとばかりに中央カタパルトからソードシルエットが射出されると、換装を終えたインパルスが長刀を携え、オーブ艦隊に向かって飛び掛った。
それを見たフリーダムが方向を転換し、ミネルバに向かおうとする。
それをセイバーが阻止した。
両機はビームサーベルを抜き、互いに切りかかった。
アークエンジェルに緊急着艦したアマテラスは力任せにアビスのコックピットを引き壊した。中に溜まっていた海水が一気に外へ流れ出る。
マードックが中に入り、アウルを引きずり出した。医療班を呼び、慎重にヘルメットを脱がせて脈と呼吸を確認する。
「大丈夫だ! 生きてるぞ!」
マードックが叫んだ。モニター越しにアウルの姿を確認したシオンは安堵の溜息をついた。
だが、次の瞬間、表情を改める。戦闘は未だ終ってはいないのだ。
「マードックさん……すまないがそいつのことを頼む!」
「解った」
常とは違う声色にマードックも真剣に頷いた。アウルの身体をストレッチャーに乗せ、医務室へと運ばせる。
シオンは方向転換して緊急発進した。
アークエンジェルを飛び立ったシオンが目にしたのは長刀を手にしたインパルスが次々とオーブ艦を切り裂いている姿だった。
モニターで周囲を確認する。
フリーダムが2本のビームソードを使いセイバーの頭部きり飛ばした。次いで両腕、両脚の四肢を破壊する。
完膚なきまでに叩き潰されたセイバーの残骸が落下し、海中へ沈んでいった。
バーニアを吹かしながらストライク・ルージュがタケミカズチの前進を止めようとする。
周囲を警戒していないストライク・ルージュにインパルスがビームライフルを向けた。
放たれたビームはストライク・ルージュを庇ったムラサメに吸い込まれた。
炎を上げて落ちていくムラサメ。
シオンはタケミカズチに向けて機体を飛ばした。カメラアイの隅に最大速度でタケミカズチから脱出する艦影を認めた。
「ユウナ!!」
シオンは憤怒に燃えた。
己の保身の為だけに権力を行使してカガリを偽者扱いし、策とも呼べぬ稚拙な愚考で心ある多くの将兵を死に追いやった。それだけでも殺しても殺し足りない。
それなのに戦局が劣勢となるなり、兵を見捨てて己だけにげるなどと――。
シオンは艦影に向けてビームライフルを向けた。
トリガーにかけた指に力を込めた――瞬間、タケミカズチから爆発が上がる。
シオンはハッとして艦影から注意を逸らした。ギリギリと歯を食いしばり、レバーを握る両手に力を込める。
ユウナの抹殺とタケミカズチの将兵たちの生命――それらを両天秤にかけたとき、取るべきものは決まっていた。
シオンはタケミカズチに向かって剣を振り上げるインパルスの脇にショルダータックルを見舞う。大きく後方に吹き飛ぶインパルス。
アマテラスはブリッジの正面に降下した。
「なにをしている! 早く退艦しろ!!」
<出来ません>
トダカはスピーカーにスイッチを入れ、はっきりと勧告を拒絶した。
<現在、本艦の総員は退艦し、タケミカズチには私以外の将兵はおりません。私はミネルバを落とせという命令を完遂すべく、ここに残りました。艦、将兵を失った責任も私にあります。ですから退艦するわけには参りません>
それだけでシオンは気付いた。
目の前にいる兵士はすべての責任を取ってここで果てるつもりなのだということを――。
「お前たちを見捨てた総司令官を守るために自らの生命を捨てるのか?!」
<ユウナ・ロマを守るためではありません。国を守るためです。あなたがカガリ様を連れてオーブを出られるとき、我々に向けて仰いましたね。決して我らを見捨てないと。必ず戻ってくると。今日、ここで無念に果てていった多くの将兵たちがあなたの言葉とカガリ様を信じて散っていきました。どうかオーブの理念をお守りください。ウズミ様の愛した古きよきオーブを……私はオーブが甦る姿を思い描きながら艦と運命を共にしましょう>
敵味方を問わずシオンとトダカの会話を聞いていたすべての将兵が複雑な表情をした。特にタケミカズチから退艦したものたちは一斉に敬礼する。
「ふざけるな!!」
シオンが叫ぶ。同時にアマテラスの右手をブリッジに突っ込ませた。
コックピットハッチを開き、トダカに向き合う。スピーカー越しではなく、直接声が届くようにヘルメットのゴーグルを上げた。
「国を守るために責任を取って死ぬだと!? 真に国を思うのなら、たとえ生き恥を晒そうとも生き延びろ! どれだけ奇麗事を言おうが貴方がしようとしているのは、ただの逃避だ! カガリはまだ幼い。代表として国を背負っていくには貴方のような志を持つ者が必要なんだ。オーブが甦る姿を思い浮かべる? そんなもの俺とカガリが見せてやる! 約束する。だからこれ以上、俺の目の前で守るべき民が死に逝くのは許さん! 退避だ!」
トダカに向かってアマテラスの手を開く。
「あなたという人は……命令とあれば従わないわけにはいきませんな……ここまで強引な御方だったとは思いませんでした」
トダカは軍帽を目深にかぶりなおした。アマテラスの手のひらに移動する。
シオンはトダカをコックピットの中へと引き入れた。
周囲からは2人の間でなにが行われていたのか確認できない。
態勢を立て直したインパルスが長刀を振りかざして向かってくるのを横目に、シオンはペダルを踏み込んでアマテラスを上昇させる。
トダカを乗せたアマテラスは悠々とタケミカズチを飛び去った。
目標を見失ったインパルスは怒りの矛先をタケミカズチに向けた。
ブリッジを真っ二つに切り裂かれた戦艦は炎に飲み込まれ深い海へと沈んでいった。
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