COLORS(種運命)
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――destiny17―― 罪の在処
キラとカガリを見送ったシオンはラクスを連れ立って再び医務室へと向かった。
室内に入ると、静かにヘッドへと近づき、オレンジの髪の青年の様子を伺う。
半覚醒状態でぼんやりと視線をさまよわせていた青年は、傍らにある気配を感じ視線だけをそちらへと向けた。
自分を心配そうにのぞき込む、見覚えのある人物を目にし、青年の意識は一気に鮮明なものとなる。
「いっ! つ……っ」
慌てて起き上がろうと身体を起こした瞬間、全身を駆け抜ける痛みに、オレンジの髪の青年は顔を歪めベッドへと逆戻りした。
シオンは彼が警戒しないよう、柔らかな声色で言葉を紡ぐ。
「無茶をしない方がいい。解っているとは思うが、君は重傷を負っているんだ。覚えているか?」
「――そうだ、俺はガイアに……おまえが助けてくれたのか? ラクス嬢がいるって……どこなんだ、ここは? デオキアか? ジブラルタルか?」
「少し落ち着こう。俺の名はシオン。シオン・フィーリア。君は?」
「俺は特務隊、ハイネ・ヴェステンフルスだ。で? ここはどこなんだ?!」
ハイネは痛みに歯を食いしばりながら身体を起こすと懇願するようにシオンの腕を掴んだ。
そんな彼の気持ちを察したシオンは、枕の位置をずらし、ハイネの身体になるべる負担がかからない体勢になるようにすると、その問いに答えるべく口を開いた。
「デオキアでもジブラルタルでもない。ここは……アークエンジェルだ」
「アークエンジェル!?」
予想外の答えに驚いたハイネは、今にもシオンに掴みかからんばかりの勢いでまた身体を起こしたが、それをシオンが無言で押し返した。
ベッドへと身体を横たえ、少し冷静になって目の前の人物を観察すれば、確かに彼はザフトとは違う軍服を身に纏っている。
「ふざけるなよ! じゃあ、なんでここにラクス嬢がいるんだ! もしかしてお前ら……ラクス嬢を誘拐したのか?!」
「そんなわけないだろう。どこの世界に自分の大切な人を誘拐する馬鹿がいるんだ」
「……?!」
さらりと告げられた言葉にハイネは呆気に取られ、ラクスは赤くなった頬を隠すように両手で頬を覆った。
「デュランダル議長の傍にいるラクス・クラインは偽者だ。あの少女は本物のラクスの力を必要とした議長が本物を探し出すまでの代わりとして用意したダミーだよ」
「嘘だ!」
「嘘じゃない。俺はデオキアで議長本人の口から確認した。だいたいあの偽のラクスを見て不審に思わなかったのか? 明らかに別人だろう。本物のラクスはあんな歌い方はしないし、スタイルも全然違う」
「…………」
シオンが言い切った瞬間、室内の空気とラクスの雰囲気が微妙に変化したことに気付いたハイネは、
空気を変えるべく、言葉を慎重に選び会話を続ける。
「か、仮に! 俺らが見ていたラクス嬢が偽者だとして……じゃあ、なんで本物のラクス嬢はプラントに戻らずにお前らといるんだよ。議長が本物を探してるってのを聞いたんなら、彼女を議長のところへ連れて行くべきだろうが」
「それについても議長には説明してある。なぜここにラクスがいるのか? それは彼女が所属不明の特殊部隊に命を狙われたからだ」
ハイネが目を見張ってラクスを見る。ラクスは悲しそうに目を伏せた。
「この2年、俺たちは表舞台から姿を消し、オーブで静かに生活を送っていた。先日、そこに特殊部隊の襲撃があった。ターゲットはラクス。相手はコーディネイターだった……確実にラクスを殺したかったんだろうな。邸内への侵入が失敗するとモビルスーツを持ち出した。使用されたモビルスーツはアッシュ。ここまで言えば軍人の君なら解るだろう?」
「〝ザフト〟が偽者のラクス嬢の存在を公にさせないために、本物のラクス嬢の抹殺を図ったって言いたいのか?」
ハイネはシオンを睨みつけた。ザフトであるハイネには認めることの出来ない事実である。
「俺もその可能性を考えた。だからデオキアに行った。議長の真意を問うために。議長はあれが偽者であることを認めた上でラクス暗殺には無関係で早急に事実を明らかにすると約束してくれた。俺は……いや、俺たちは真実が明らかになるまでラクスをプラントに帰すつもりはない」
シオンはキッパリと言い切った。ハイネはシオンとラクスを交互に見つめた。
確かに、目の前にいるラクス・クラインは議長の傍にいるラクス・クラインとは違い、自分が知っている昔のラクス・クラインと変わらぬ雰囲気を纏う少女だ。
差異があるとすれば、この少女はシオンと名乗る男を愛おしそうに見つめている点だろう。
それに先程の男の言葉「大切な人」発言――ラクス・クラインはアスラン・ザラの婚約者であったはずだ。
国家反逆罪に問われたときにその話は破棄されたと聞くが、少なくともあの――議長の傍にいるラクス・クラインは婚約者として振舞っていた。
2人のラクス・クライン。
どちらが本物なのか――軍人である以上、議長のラクス・クラインが本物とするべきだが、当の議長が偽者だと認めているという話が本当ならば目の前に立つこの少女が本物なのだろう。
それでも今の自分には迷いがありすぎて判断を下せなかった。
「とりあえず話はここまでにしよう。これ以上は身体に障るだろうし」
「了解。それで? 俺は捕虜なわけ?」
「捕虜? おかしなことを言うな。俺たちはザフトを敵に回したつもりはない。議長は俺にとって大切な存在だしな。俺個人の心情は一応、今のところザフト寄りの中立のつもりだから安心していい。危害は加えないし、捕虜として投獄もしない。というより、牢獄は潰したらしいから、ないしな」
「はぁっ!?」
すっとんきょうな声を上げる。
敵の捕虜を入れておく牢獄がないとはどういうことだ。戦艦として欠陥品ではないか。この艦はどうなっているんだ……ハイネは頭を抱えつつも、必要以上に警戒している自分が馬鹿らしくなってきた。
「そういうことだ。じゃあ、ゆっくり休んでくれ」
「また参りますわね」
柔らかな笑みを浮かべたラクスは、すぐにシオンの後を追うよう医務室を後にする。
耳に残るその声は、間違いなくザフトの歌姫と称されたラクス・クラインだ。
「……参ったぜ。コイツは」
ハイネは大きなため息をつくと、苦笑してベッドに横になったのだった。
キラとカガリを見送ったシオンはラクスを連れ立って再び医務室へと向かった。
室内に入ると、静かにヘッドへと近づき、オレンジの髪の青年の様子を伺う。
半覚醒状態でぼんやりと視線をさまよわせていた青年は、傍らにある気配を感じ視線だけをそちらへと向けた。
自分を心配そうにのぞき込む、見覚えのある人物を目にし、青年の意識は一気に鮮明なものとなる。
「いっ! つ……っ」
慌てて起き上がろうと身体を起こした瞬間、全身を駆け抜ける痛みに、オレンジの髪の青年は顔を歪めベッドへと逆戻りした。
シオンは彼が警戒しないよう、柔らかな声色で言葉を紡ぐ。
「無茶をしない方がいい。解っているとは思うが、君は重傷を負っているんだ。覚えているか?」
「――そうだ、俺はガイアに……おまえが助けてくれたのか? ラクス嬢がいるって……どこなんだ、ここは? デオキアか? ジブラルタルか?」
「少し落ち着こう。俺の名はシオン。シオン・フィーリア。君は?」
「俺は特務隊、ハイネ・ヴェステンフルスだ。で? ここはどこなんだ?!」
ハイネは痛みに歯を食いしばりながら身体を起こすと懇願するようにシオンの腕を掴んだ。
そんな彼の気持ちを察したシオンは、枕の位置をずらし、ハイネの身体になるべる負担がかからない体勢になるようにすると、その問いに答えるべく口を開いた。
「デオキアでもジブラルタルでもない。ここは……アークエンジェルだ」
「アークエンジェル!?」
予想外の答えに驚いたハイネは、今にもシオンに掴みかからんばかりの勢いでまた身体を起こしたが、それをシオンが無言で押し返した。
ベッドへと身体を横たえ、少し冷静になって目の前の人物を観察すれば、確かに彼はザフトとは違う軍服を身に纏っている。
「ふざけるなよ! じゃあ、なんでここにラクス嬢がいるんだ! もしかしてお前ら……ラクス嬢を誘拐したのか?!」
「そんなわけないだろう。どこの世界に自分の大切な人を誘拐する馬鹿がいるんだ」
「……?!」
さらりと告げられた言葉にハイネは呆気に取られ、ラクスは赤くなった頬を隠すように両手で頬を覆った。
「デュランダル議長の傍にいるラクス・クラインは偽者だ。あの少女は本物のラクスの力を必要とした議長が本物を探し出すまでの代わりとして用意したダミーだよ」
「嘘だ!」
「嘘じゃない。俺はデオキアで議長本人の口から確認した。だいたいあの偽のラクスを見て不審に思わなかったのか? 明らかに別人だろう。本物のラクスはあんな歌い方はしないし、スタイルも全然違う」
「…………」
シオンが言い切った瞬間、室内の空気とラクスの雰囲気が微妙に変化したことに気付いたハイネは、
空気を変えるべく、言葉を慎重に選び会話を続ける。
「か、仮に! 俺らが見ていたラクス嬢が偽者だとして……じゃあ、なんで本物のラクス嬢はプラントに戻らずにお前らといるんだよ。議長が本物を探してるってのを聞いたんなら、彼女を議長のところへ連れて行くべきだろうが」
「それについても議長には説明してある。なぜここにラクスがいるのか? それは彼女が所属不明の特殊部隊に命を狙われたからだ」
ハイネが目を見張ってラクスを見る。ラクスは悲しそうに目を伏せた。
「この2年、俺たちは表舞台から姿を消し、オーブで静かに生活を送っていた。先日、そこに特殊部隊の襲撃があった。ターゲットはラクス。相手はコーディネイターだった……確実にラクスを殺したかったんだろうな。邸内への侵入が失敗するとモビルスーツを持ち出した。使用されたモビルスーツはアッシュ。ここまで言えば軍人の君なら解るだろう?」
「〝ザフト〟が偽者のラクス嬢の存在を公にさせないために、本物のラクス嬢の抹殺を図ったって言いたいのか?」
ハイネはシオンを睨みつけた。ザフトであるハイネには認めることの出来ない事実である。
「俺もその可能性を考えた。だからデオキアに行った。議長の真意を問うために。議長はあれが偽者であることを認めた上でラクス暗殺には無関係で早急に事実を明らかにすると約束してくれた。俺は……いや、俺たちは真実が明らかになるまでラクスをプラントに帰すつもりはない」
シオンはキッパリと言い切った。ハイネはシオンとラクスを交互に見つめた。
確かに、目の前にいるラクス・クラインは議長の傍にいるラクス・クラインとは違い、自分が知っている昔のラクス・クラインと変わらぬ雰囲気を纏う少女だ。
差異があるとすれば、この少女はシオンと名乗る男を愛おしそうに見つめている点だろう。
それに先程の男の言葉「大切な人」発言――ラクス・クラインはアスラン・ザラの婚約者であったはずだ。
国家反逆罪に問われたときにその話は破棄されたと聞くが、少なくともあの――議長の傍にいるラクス・クラインは婚約者として振舞っていた。
2人のラクス・クライン。
どちらが本物なのか――軍人である以上、議長のラクス・クラインが本物とするべきだが、当の議長が偽者だと認めているという話が本当ならば目の前に立つこの少女が本物なのだろう。
それでも今の自分には迷いがありすぎて判断を下せなかった。
「とりあえず話はここまでにしよう。これ以上は身体に障るだろうし」
「了解。それで? 俺は捕虜なわけ?」
「捕虜? おかしなことを言うな。俺たちはザフトを敵に回したつもりはない。議長は俺にとって大切な存在だしな。俺個人の心情は一応、今のところザフト寄りの中立のつもりだから安心していい。危害は加えないし、捕虜として投獄もしない。というより、牢獄は潰したらしいから、ないしな」
「はぁっ!?」
すっとんきょうな声を上げる。
敵の捕虜を入れておく牢獄がないとはどういうことだ。戦艦として欠陥品ではないか。この艦はどうなっているんだ……ハイネは頭を抱えつつも、必要以上に警戒している自分が馬鹿らしくなってきた。
「そういうことだ。じゃあ、ゆっくり休んでくれ」
「また参りますわね」
柔らかな笑みを浮かべたラクスは、すぐにシオンの後を追うよう医務室を後にする。
耳に残るその声は、間違いなくザフトの歌姫と称されたラクス・クラインだ。
「……参ったぜ。コイツは」
ハイネは大きなため息をつくと、苦笑してベッドに横になったのだった。