COLORS(種運命)
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――destiny12―― 見えない真実
――誰がラクスの暗殺を画策したのか。
ずっと胸に引っ掛かっている疑問。
そして、プラント評議会議長ギルバート・デュランダルの傍にいるもう1人のラクス・クライン。
デュランダルの真意を確かめたいという思いを断ち切れず、彼がディオキアに滞在するという情報を得て、シオンはこの地に降り立った。
事前に入手していた情報と、目的である建物の位置の確認をしながら街を移動していたシオンは、一旦休憩を取ろうとカフェへと立ち寄ることにした。
注文したドリンクをテイクアウトもできるカップで受け取り、考えを整理しようと、客の少ない少し奥まった席へと向かう。
腰を下ろしたソファの丁度良い柔らかさに、思わず長い息が漏れ出た。
携帯端末でニュースのチェックをしながら、口元へとカップを寄せる。
鼻孔をくすぐる茶葉の香りは、いつも側で微笑むラクスを容易に思い起こさせ、シオンは優しく目を細めた。
手にした端末に映し出されるのは、過日起こったユニウスセブンの落下による被害の様子。
それをきっかけにナチュラルはコーディネーターへの憎しみを募らせた。
そして地上のあちこちではナチュラル同士が争う現状。
そう、平和を願って戦ったあの日から、世界はまだ混迷の中にあった。
紅茶を一口喉へと流し込み、小さく息を吐きながらそのまま背もたれへと身体を預け、天井を仰ぎ見る。
――終わらない戦い。続く憎しみの連鎖。消えない悲しみ。皆が望む平和は、いったい、いつ訪れるのだろうか。
「保養施設、か」
呟いたシオンは、まぶたを閉じると、ザフト軍保養施設の図面を記憶の引き出しから引っ張り出す。
以前の立場なら、公式の外交ルートで会談を申し入れれば会うことはそう難しくはなかっただろうが、今はそんなことのできる立場にはない。
どうやってデュランダルとの面会を果たそうかと思い悩んでいたところに、ディオキアの保養施設の資料が入手できたのは数日前。
驚いたことに、保養施設ということもあるのか、セキュリティは軍施設のそれに比べれば、それほど堅固なものではなかった。
そう、特殊な訓練を受けている者の手にかかれば侵入は容易い。それを知ったシオンは悩むのをやめ、手っ取り早い方法を選択することに決めて今に至る。
そして、軽く息を吐くとドリンクカップを手にし、店を後にした。
店を出て少し歩くと、1人の少女とぶつかった。
衝撃でカップが床に落ちる。
少女が体制を崩し、尻もちをつきそうになるのを腰に手を回し、その身体を支えた。
「っと、すみません! 大丈夫ですか?」
慌てて声を掛けると少女が顔を上げた。
その顔を見たシオンの表情が一瞬こわばった。
自分を支えたまま動かない相手に、少女が首をかしげる。
「なに?」
「いや、ごめん。知っている人に似ていて、ちょっと驚いて……」
「似てる? ステラと?」
「サリアって名前で、本当に君にそっくりなんだ」
「……サリア?」
警戒心を隠そうともせず、ステラはシオンを見つめている。
たしかにこれでは単なるナンパだ。警戒されて当然だろう。
そこで、ステラなら当然反応するはずの『サリア』という名をわざと口にした。
だが、初めて聞いた名前だと言わんばかりのこの反応で、まったくの別人なのかという思いが一瞬過るが、他人の空似ではここまでサリアと容姿が似ているステラが存在するわけがない。
軍によって記憶操作がなされているのだという仮説にたどり着くのは難しくはなかった。
(俺達が逃げ出した、連合軍のあの組織に配置されているのなら、当然の扱いか)
全てを話し、このままステラを連れ去りたい衝動に駆られるが、万が一、見張りでも付いていたら面倒なことになる。
シオンは一つ呼吸をすると、自分を落ち着かせるように、ゆっくりとした口調で会話を続けた。
「昔……遠い昔、俺は君に会ったことがあるんだ。ステラは小さかったから覚えてないかも知れない。アウルやスティングとも一緒だった」
「ホント? アウルとスティングも? 誰?」
警戒していた顔が、アウルとスティングの名前が出たことで消える。
この場で暴れられなかったことに、ホッと胸を撫で下ろした。
「俺はシオン」
「シオン……」
「今でも覚えているよ。ロドニアのラボにいた頃のことも」
「ロドニア?」
「いや、いいんだ。昔のことだ。ところで他の2人はどうした?」
つい、口が滑って余計なことを言ってしまった。
サリアの名前に反応しないステラの様子から、ロドニアでのことも記憶にないことは明白だ。
無理に思い出させることもない。
シオンは藪蛇になる前に話題を変えた。
「今日、ネオが、休み、くれたの。アウルとスティング、ジープで様子見るって」
「様子? ジープに乗ってどこかに行ったのか?」
コクリと頷くステラ。様子見という言葉から察するに、アウルとスティングはおそらくザフトの基地へ偵察に行ったのだろう。
そしてステラは置いてきぼりを食らったか、乗り損ねたようだった。
「そうか……そうだ! 2人が迎えにくるまで暇だろう? 何か食べないか? 甘いものは?」
「甘い、の?」
シオンはステラの手を引いて、すぐ近くの店に入った。
「とりあえず、どれでも気になるやつを頼めばいい」
「いっぱい!!」
眼前に広がるアイスの種類の多さに目をパチパチさせ、悩み抜いた末にストロベリーを指差した。
シオンは「遠慮しなくていい」と笑い、店員に「それに何かおすすめを足してダブルで」と注文し、自分はチョコミントを注文する。
店外のテラス席に座ると、ステラは瞳を輝かせてアイスクリームを口に運ぶ。
嬉しそうなその横顔を眺めていると、時折吹き抜ける潮風がふわふわとした金糸を揺らした。
もう二度と会えない、彼の人の面影が重なり、胸が苦しくなる。
おいしい、と呟くステラに「よかった」と笑顔を作ることしかできなかった。
不意に、ステラが手を止め遠くを見つめる。
「どうした?」
「行かなきゃ……」
「どこへ?」
「アウル……スティング……待ってる」
「そうか。じゃあお別れか」
「シオン、また会える?」
「そうだな、ステラがいい子にしていれば」
「わかった。約束」
目の前に差し出された小指。
一瞬、何のことかと面食らったシオンだったが、自らの右手を差し出せば、ステラは満足そうに小指を絡める。
店を離れていくステラの後ろ姿は、どこか嬉しそうで、その脚は今にもダンスのステップでも踏みそうだった。
ステラと別れ、街を出たシオンは本来の目的地であるザフトの保養施設へと向かった。
情報によると、デュランダル議長がラクス・クラインを引き連れてきているはずだった。
彼が滞在しているホテルのシステムにアクセスし、宿泊室を確認する。
シオンはいとも簡単にデュランダルの部屋への侵入を果たした。
あいにくと不在らしく、戻るのを待つことにする。
結局、デュランダルが部屋へと戻ってきたのは、深夜近くになってからだった。
――誰がラクスの暗殺を画策したのか。
ずっと胸に引っ掛かっている疑問。
そして、プラント評議会議長ギルバート・デュランダルの傍にいるもう1人のラクス・クライン。
デュランダルの真意を確かめたいという思いを断ち切れず、彼がディオキアに滞在するという情報を得て、シオンはこの地に降り立った。
事前に入手していた情報と、目的である建物の位置の確認をしながら街を移動していたシオンは、一旦休憩を取ろうとカフェへと立ち寄ることにした。
注文したドリンクをテイクアウトもできるカップで受け取り、考えを整理しようと、客の少ない少し奥まった席へと向かう。
腰を下ろしたソファの丁度良い柔らかさに、思わず長い息が漏れ出た。
携帯端末でニュースのチェックをしながら、口元へとカップを寄せる。
鼻孔をくすぐる茶葉の香りは、いつも側で微笑むラクスを容易に思い起こさせ、シオンは優しく目を細めた。
手にした端末に映し出されるのは、過日起こったユニウスセブンの落下による被害の様子。
それをきっかけにナチュラルはコーディネーターへの憎しみを募らせた。
そして地上のあちこちではナチュラル同士が争う現状。
そう、平和を願って戦ったあの日から、世界はまだ混迷の中にあった。
紅茶を一口喉へと流し込み、小さく息を吐きながらそのまま背もたれへと身体を預け、天井を仰ぎ見る。
――終わらない戦い。続く憎しみの連鎖。消えない悲しみ。皆が望む平和は、いったい、いつ訪れるのだろうか。
「保養施設、か」
呟いたシオンは、まぶたを閉じると、ザフト軍保養施設の図面を記憶の引き出しから引っ張り出す。
以前の立場なら、公式の外交ルートで会談を申し入れれば会うことはそう難しくはなかっただろうが、今はそんなことのできる立場にはない。
どうやってデュランダルとの面会を果たそうかと思い悩んでいたところに、ディオキアの保養施設の資料が入手できたのは数日前。
驚いたことに、保養施設ということもあるのか、セキュリティは軍施設のそれに比べれば、それほど堅固なものではなかった。
そう、特殊な訓練を受けている者の手にかかれば侵入は容易い。それを知ったシオンは悩むのをやめ、手っ取り早い方法を選択することに決めて今に至る。
そして、軽く息を吐くとドリンクカップを手にし、店を後にした。
店を出て少し歩くと、1人の少女とぶつかった。
衝撃でカップが床に落ちる。
少女が体制を崩し、尻もちをつきそうになるのを腰に手を回し、その身体を支えた。
「っと、すみません! 大丈夫ですか?」
慌てて声を掛けると少女が顔を上げた。
その顔を見たシオンの表情が一瞬こわばった。
自分を支えたまま動かない相手に、少女が首をかしげる。
「なに?」
「いや、ごめん。知っている人に似ていて、ちょっと驚いて……」
「似てる? ステラと?」
「サリアって名前で、本当に君にそっくりなんだ」
「……サリア?」
警戒心を隠そうともせず、ステラはシオンを見つめている。
たしかにこれでは単なるナンパだ。警戒されて当然だろう。
そこで、ステラなら当然反応するはずの『サリア』という名をわざと口にした。
だが、初めて聞いた名前だと言わんばかりのこの反応で、まったくの別人なのかという思いが一瞬過るが、他人の空似ではここまでサリアと容姿が似ているステラが存在するわけがない。
軍によって記憶操作がなされているのだという仮説にたどり着くのは難しくはなかった。
(俺達が逃げ出した、連合軍のあの組織に配置されているのなら、当然の扱いか)
全てを話し、このままステラを連れ去りたい衝動に駆られるが、万が一、見張りでも付いていたら面倒なことになる。
シオンは一つ呼吸をすると、自分を落ち着かせるように、ゆっくりとした口調で会話を続けた。
「昔……遠い昔、俺は君に会ったことがあるんだ。ステラは小さかったから覚えてないかも知れない。アウルやスティングとも一緒だった」
「ホント? アウルとスティングも? 誰?」
警戒していた顔が、アウルとスティングの名前が出たことで消える。
この場で暴れられなかったことに、ホッと胸を撫で下ろした。
「俺はシオン」
「シオン……」
「今でも覚えているよ。ロドニアのラボにいた頃のことも」
「ロドニア?」
「いや、いいんだ。昔のことだ。ところで他の2人はどうした?」
つい、口が滑って余計なことを言ってしまった。
サリアの名前に反応しないステラの様子から、ロドニアでのことも記憶にないことは明白だ。
無理に思い出させることもない。
シオンは藪蛇になる前に話題を変えた。
「今日、ネオが、休み、くれたの。アウルとスティング、ジープで様子見るって」
「様子? ジープに乗ってどこかに行ったのか?」
コクリと頷くステラ。様子見という言葉から察するに、アウルとスティングはおそらくザフトの基地へ偵察に行ったのだろう。
そしてステラは置いてきぼりを食らったか、乗り損ねたようだった。
「そうか……そうだ! 2人が迎えにくるまで暇だろう? 何か食べないか? 甘いものは?」
「甘い、の?」
シオンはステラの手を引いて、すぐ近くの店に入った。
「とりあえず、どれでも気になるやつを頼めばいい」
「いっぱい!!」
眼前に広がるアイスの種類の多さに目をパチパチさせ、悩み抜いた末にストロベリーを指差した。
シオンは「遠慮しなくていい」と笑い、店員に「それに何かおすすめを足してダブルで」と注文し、自分はチョコミントを注文する。
店外のテラス席に座ると、ステラは瞳を輝かせてアイスクリームを口に運ぶ。
嬉しそうなその横顔を眺めていると、時折吹き抜ける潮風がふわふわとした金糸を揺らした。
もう二度と会えない、彼の人の面影が重なり、胸が苦しくなる。
おいしい、と呟くステラに「よかった」と笑顔を作ることしかできなかった。
不意に、ステラが手を止め遠くを見つめる。
「どうした?」
「行かなきゃ……」
「どこへ?」
「アウル……スティング……待ってる」
「そうか。じゃあお別れか」
「シオン、また会える?」
「そうだな、ステラがいい子にしていれば」
「わかった。約束」
目の前に差し出された小指。
一瞬、何のことかと面食らったシオンだったが、自らの右手を差し出せば、ステラは満足そうに小指を絡める。
店を離れていくステラの後ろ姿は、どこか嬉しそうで、その脚は今にもダンスのステップでも踏みそうだった。
ステラと別れ、街を出たシオンは本来の目的地であるザフトの保養施設へと向かった。
情報によると、デュランダル議長がラクス・クラインを引き連れてきているはずだった。
彼が滞在しているホテルのシステムにアクセスし、宿泊室を確認する。
シオンはいとも簡単にデュランダルの部屋への侵入を果たした。
あいにくと不在らしく、戻るのを待つことにする。
結局、デュランダルが部屋へと戻ってきたのは、深夜近くになってからだった。