Northern Lights(種無印)
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C.E.(コズミック・イラ)70年、2月14日。 後に〝血のバレンタイン〟と呼ばれる悲劇によって地球、プラント間の緊張は一気に本格的な武力衝突へと発展した。
両者の戦局は疲弊したまま、すでに11ヶ月という時を経過していた。
~C.E.70年、7月。 オーブ オノゴロ島~
行政府にあるウズミの私室に呼び出されたシオンは苦渋の表情を浮かべるウズミを見て表情を硬くした。
「例の噂は耳にしているか?」
「―――噂というとモルゲンレーテが極秘裏に連合のMSを建造しているという、例のアレですか?」
ウズミの云わんとしていることを理解したシオンはその美しい顔を盛大に歪めた。
「その噂が事実であるならばわが国の理念を脅かす由々しき事態だ。そこで―――そなたに頼みがあるのだ」
そこで一度言葉を切り、両手を後ろで組み、立ち上がって窓の外へと視線を移した。
それだけでシオンは理解した。
なぜ、この部屋だけでなく、このフロアー全体が人払いされているのかということを―――冷静に考えれば、この場にキサカがいないということ事態おかしいのだ。
シオンはウズミの口から出るであろう言葉を待った。
「―――そなたにはモルゲンレーテに潜入し、事の次第を詳細に報告して欲しい」
「……」
「できればもう二度とそなたを巻き込みたくはない。だか、そなたにしか頼めぬのだ。解って欲しい……再び世界に危機が迫っているのだ。闇の獅子が目覚めるときがきたのだ」
ウズミは握る拳に力を込めた。
(ウズミ様も苦しい、か。もう二度と危険な任務はしないとあいつに誓ったのにな……)
シオンは心の中でそっと溜息をついた。
やや俯き加減だった顔を上げたシオン。そこにはもはや先程の青年の表情はなく、鋭く眼光を光らせる一人の戦士がいた。
「了解しました。ヘリオポリスへ参ります」
腕をスッと上げ、敬礼と共に、与えられた任務を復唱する。
「頼む。表向きの身分はOSの設計者ということにしておく。明日には発てるように準備をしておいてくれ。そなたにオーブ連合首長国代表代理として全権を託す。それと……例の場所にはアレが保管してある。」
アレという単語にシオンの眉がピクリと上がる。
「もし、そなたが護るための力が必要と欲するならばアレの封印を解くがよい。アレらはオーブの護り。アカツキが盾ならばアレは矛。闇の獅子が真に望むのであればその求めに答えて再び目覚めよう」
「……ありがとうございます。ですが、闇の獅子の忠実なる配下が目覚める事態にならないように全力を尽くします」
シオンは頭を下げて退出した。
「……すまぬ、シオン。できるならもう二度とそなたには戦争に関わらせたくはなかった。だが、あの噂が真実であるならば世界は再び後戻りのできない混迷の時代へと戻るであろう。それだけは避けねばならぬ。それだけは……」
部屋を退出したシオンにウズミの謝罪の言葉は届かなかった。
行政府を後にしたシオンは墓地へと足を向けた。
墓地の奥深く、まるで他者の目を避けるようにその墓は存在した。
『サリア・ルーシェ』 C.E.54~C.E.69
「……サリア、俺、ヘリオポリスに行くことになった。しばらく逢いに来れない。ごめん、約束したのにな……『もう二度と危険な任務は受けない、戦争に関わるようなことはしない』って……」
シオンは顔を歪め、墓石の前に祈るように片膝をついた。
「でも……このまま戦争が続けばナチュラル、コーディネーターに関わらず、多くの生命が失われる。それだけは避けたいんだ。君を護れなかった時のような想いはしたくない。だから俺は行くよ。説教は帰ってきたら聞くから」
シオンは墓石に口づけを落とし、墓地を後にした。
両者の戦局は疲弊したまま、すでに11ヶ月という時を経過していた。
~C.E.70年、7月。 オーブ オノゴロ島~
行政府にあるウズミの私室に呼び出されたシオンは苦渋の表情を浮かべるウズミを見て表情を硬くした。
「例の噂は耳にしているか?」
「―――噂というとモルゲンレーテが極秘裏に連合のMSを建造しているという、例のアレですか?」
ウズミの云わんとしていることを理解したシオンはその美しい顔を盛大に歪めた。
「その噂が事実であるならばわが国の理念を脅かす由々しき事態だ。そこで―――そなたに頼みがあるのだ」
そこで一度言葉を切り、両手を後ろで組み、立ち上がって窓の外へと視線を移した。
それだけでシオンは理解した。
なぜ、この部屋だけでなく、このフロアー全体が人払いされているのかということを―――冷静に考えれば、この場にキサカがいないということ事態おかしいのだ。
シオンはウズミの口から出るであろう言葉を待った。
「―――そなたにはモルゲンレーテに潜入し、事の次第を詳細に報告して欲しい」
「……」
「できればもう二度とそなたを巻き込みたくはない。だか、そなたにしか頼めぬのだ。解って欲しい……再び世界に危機が迫っているのだ。闇の獅子が目覚めるときがきたのだ」
ウズミは握る拳に力を込めた。
(ウズミ様も苦しい、か。もう二度と危険な任務はしないとあいつに誓ったのにな……)
シオンは心の中でそっと溜息をついた。
やや俯き加減だった顔を上げたシオン。そこにはもはや先程の青年の表情はなく、鋭く眼光を光らせる一人の戦士がいた。
「了解しました。ヘリオポリスへ参ります」
腕をスッと上げ、敬礼と共に、与えられた任務を復唱する。
「頼む。表向きの身分はOSの設計者ということにしておく。明日には発てるように準備をしておいてくれ。そなたにオーブ連合首長国代表代理として全権を託す。それと……例の場所にはアレが保管してある。」
アレという単語にシオンの眉がピクリと上がる。
「もし、そなたが護るための力が必要と欲するならばアレの封印を解くがよい。アレらはオーブの護り。アカツキが盾ならばアレは矛。闇の獅子が真に望むのであればその求めに答えて再び目覚めよう」
「……ありがとうございます。ですが、闇の獅子の忠実なる配下が目覚める事態にならないように全力を尽くします」
シオンは頭を下げて退出した。
「……すまぬ、シオン。できるならもう二度とそなたには戦争に関わらせたくはなかった。だが、あの噂が真実であるならば世界は再び後戻りのできない混迷の時代へと戻るであろう。それだけは避けねばならぬ。それだけは……」
部屋を退出したシオンにウズミの謝罪の言葉は届かなかった。
行政府を後にしたシオンは墓地へと足を向けた。
墓地の奥深く、まるで他者の目を避けるようにその墓は存在した。
『サリア・ルーシェ』 C.E.54~C.E.69
「……サリア、俺、ヘリオポリスに行くことになった。しばらく逢いに来れない。ごめん、約束したのにな……『もう二度と危険な任務は受けない、戦争に関わるようなことはしない』って……」
シオンは顔を歪め、墓石の前に祈るように片膝をついた。
「でも……このまま戦争が続けばナチュラル、コーディネーターに関わらず、多くの生命が失われる。それだけは避けたいんだ。君を護れなかった時のような想いはしたくない。だから俺は行くよ。説教は帰ってきたら聞くから」
シオンは墓石に口づけを落とし、墓地を後にした。
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