神竜と、花園
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夜更け、ルイはどうしても寝付けず、愛する神竜の寝室に静かに赴いた。
本来ならば、自分は冴えない平民。
あの賊の言う通り神竜の隣にいるような立場ではない。
「僕にはリュール様のパートナーなんて、過ぎた立場なのかもしれません。それでも僕は…貴女の元を離れたくないと思っている…」
白い寝室の扉をゆっくりと開くと、リュールはいつもの様にその中央の寝具で寝ていた。
ルイはそんなリュールの寝顔を覗き込み、静かに呟く。
「僕は…どうすれば…」
どうしても彼女の顔を見なければこの胸騒ぎを抑えられなかった。
ふと、彼女の顔を見るととても険しい表情をしていることに気づく。
「ルイ…ルイ…」
「リュール様…?」
どうやらうなされているようだ。汗が尋常じゃない。
「リュール様…リュール様!」
「はっ!…はあっ…はあっ…!」
「大丈夫ですか!?とてもうなされていたので…」
「ルイ…!良かった…」
リュールは震える指で、ルイから貰った指輪を握りしめている。
「…いかがなされましたか」
「悪夢を見ました…ソラネルで皆と過ごしていた頃…ルイが、いなくなってしまう夢を」
「……」
「戦いで死んでしまって、もうそれからはどこを探しても貴方は見つからない…。母さんのときとはまた違う、とても辛くて、心が締め付けられる苦しみで…」
「…大丈夫ですよ。僕はここにいます」
「…でも…このままだと貴方もいつか、私より早くに亡くなってしまう。この間のだって、一歩間違えればあの時…!」
「リュール様…そんなことをお考えになられるのはおやめ下さい」
「でも…でも…!」
震えるリュールの手を、ルイが優しく包み込む。
「…僕はあの一件以来、貴女に相応しくないのではないかと悩んでいたんですよ」
ルイは目を開いて言葉を続ける。
「確かに僕は貴女より早く寿命を迎えることでしょう。でも、同じ時を過ごしたという事実が消えるわけではありません」
そこまで言うとルイは目を背ける。
「自分が離れていた方がリュール様もお幸せになられると…勝手に空想を膨らませ、リュール様が傷ついていることに気づいていなかった。僕は…結局自分のことしか見えていませんでした。パートナー失格です」
「ル…イ…そんなこと言わないで…私の隣は貴方じゃないと…」
「僕も…この期に及んでそう思っています…結局僕は、男ですので。リュール様…僕と…家族を作ってくれませんか」
「…勿論ですよ。来てください…ルイ」
ルイはリュールを優しく抱きしめ、額に口付けをする。
「ル…イ…」
「リュール様…震えて…」
「良いんです…嬉しいんです…ルイ…名前だけで…読んでください…」
「……リュール…」
「ふふ…ルイ…」
窓から漏れる月明かりが、二人を優しく照らしていた。
・・・
-翌日の朝-
「…おかしいですね。神竜様、今日は起きるのが遅くないですか?」
朝日の眩しい中、クランが疑問をフランに投げかける。
「ええ、普段ならルイさんに起こされてご朝食をおとりびなられている時間なはずなのに…」
「僕、ちょっと見てきますね!」
そういった矢先、ルイが顔を見せに来た。
「おはようございます」
「ルイさん!良かった…丁度心配していたんです」
「すみません。今朝は少し…その、寝坊してしまいましたので」
「ええっ!?ルイさんが!すっごい珍しい…」
「いやぁ、お恥ずかしい限りです…リュール様は後から参るそうですが」
「フラン、クラン、おはようございます。っいたた…」
「神竜様!おはようござっ…!?どこかお怪我を…!?」
「は、早く治癒を…!」
「あ…い、いえ…!大丈夫です!2人とも!」
焦った様子でリュールは2人を阻止する。ルイは困り顔で言葉に詰まっているようだ。
その時、フランは何かを察した。
「分かりました神竜様。ですが、大事な御身体、どうか御労りを…クラン、ちょっとこっちに…」
「ええっ!?ちょ…フラン!なんで…?治癒はフランじゃないと…」
混乱するクランに、フランは諭すようにひそひそ話を始めた。
「もうクラン!曲がりなりにも貴方は兄なんだから察しなさいよ!」
「ええ!?察するって何を…」
「ルイさんは寝不足、神竜様も同じでさらにお身体に負傷…ともすれば考えられることは一つ…」
「ゴクリ……」
固唾を飲んだクランに、フランは声を張り上げた。
「ズバリ…特訓よ!」
「特訓!?」
「そうよ!神竜様とルイさんは夜な夜な特訓をして、身体が鈍るのを防いでいるの!間違いないわ…」
「な、なるほど…それだったら、僕たちに気づかれたくないのは心配をかけないため…!」
「ええ、だからクラン…私たちが特訓に気づいた素振りはお二人には見せないようにしましょう…!」
「う、うん…!分かったよフラン…!」
「お待たせいたしました〜!」
戻ってきた守り人両名は、普段より一段と尊敬の眼差しを二人に送っていた。
「…な、何か大きな誤解を招いてしまったようですが…」
「ま、まあ…そういうことにしてくれるなら…良しといたしますか…」
今日はいつに無く終始和かな双子の前で、ルイとリュールはタジタジなのであった。
本来ならば、自分は冴えない平民。
あの賊の言う通り神竜の隣にいるような立場ではない。
「僕にはリュール様のパートナーなんて、過ぎた立場なのかもしれません。それでも僕は…貴女の元を離れたくないと思っている…」
白い寝室の扉をゆっくりと開くと、リュールはいつもの様にその中央の寝具で寝ていた。
ルイはそんなリュールの寝顔を覗き込み、静かに呟く。
「僕は…どうすれば…」
どうしても彼女の顔を見なければこの胸騒ぎを抑えられなかった。
ふと、彼女の顔を見るととても険しい表情をしていることに気づく。
「ルイ…ルイ…」
「リュール様…?」
どうやらうなされているようだ。汗が尋常じゃない。
「リュール様…リュール様!」
「はっ!…はあっ…はあっ…!」
「大丈夫ですか!?とてもうなされていたので…」
「ルイ…!良かった…」
リュールは震える指で、ルイから貰った指輪を握りしめている。
「…いかがなされましたか」
「悪夢を見ました…ソラネルで皆と過ごしていた頃…ルイが、いなくなってしまう夢を」
「……」
「戦いで死んでしまって、もうそれからはどこを探しても貴方は見つからない…。母さんのときとはまた違う、とても辛くて、心が締め付けられる苦しみで…」
「…大丈夫ですよ。僕はここにいます」
「…でも…このままだと貴方もいつか、私より早くに亡くなってしまう。この間のだって、一歩間違えればあの時…!」
「リュール様…そんなことをお考えになられるのはおやめ下さい」
「でも…でも…!」
震えるリュールの手を、ルイが優しく包み込む。
「…僕はあの一件以来、貴女に相応しくないのではないかと悩んでいたんですよ」
ルイは目を開いて言葉を続ける。
「確かに僕は貴女より早く寿命を迎えることでしょう。でも、同じ時を過ごしたという事実が消えるわけではありません」
そこまで言うとルイは目を背ける。
「自分が離れていた方がリュール様もお幸せになられると…勝手に空想を膨らませ、リュール様が傷ついていることに気づいていなかった。僕は…結局自分のことしか見えていませんでした。パートナー失格です」
「ル…イ…そんなこと言わないで…私の隣は貴方じゃないと…」
「僕も…この期に及んでそう思っています…結局僕は、男ですので。リュール様…僕と…家族を作ってくれませんか」
「…勿論ですよ。来てください…ルイ」
ルイはリュールを優しく抱きしめ、額に口付けをする。
「ル…イ…」
「リュール様…震えて…」
「良いんです…嬉しいんです…ルイ…名前だけで…読んでください…」
「……リュール…」
「ふふ…ルイ…」
窓から漏れる月明かりが、二人を優しく照らしていた。
・・・
-翌日の朝-
「…おかしいですね。神竜様、今日は起きるのが遅くないですか?」
朝日の眩しい中、クランが疑問をフランに投げかける。
「ええ、普段ならルイさんに起こされてご朝食をおとりびなられている時間なはずなのに…」
「僕、ちょっと見てきますね!」
そういった矢先、ルイが顔を見せに来た。
「おはようございます」
「ルイさん!良かった…丁度心配していたんです」
「すみません。今朝は少し…その、寝坊してしまいましたので」
「ええっ!?ルイさんが!すっごい珍しい…」
「いやぁ、お恥ずかしい限りです…リュール様は後から参るそうですが」
「フラン、クラン、おはようございます。っいたた…」
「神竜様!おはようござっ…!?どこかお怪我を…!?」
「は、早く治癒を…!」
「あ…い、いえ…!大丈夫です!2人とも!」
焦った様子でリュールは2人を阻止する。ルイは困り顔で言葉に詰まっているようだ。
その時、フランは何かを察した。
「分かりました神竜様。ですが、大事な御身体、どうか御労りを…クラン、ちょっとこっちに…」
「ええっ!?ちょ…フラン!なんで…?治癒はフランじゃないと…」
混乱するクランに、フランは諭すようにひそひそ話を始めた。
「もうクラン!曲がりなりにも貴方は兄なんだから察しなさいよ!」
「ええ!?察するって何を…」
「ルイさんは寝不足、神竜様も同じでさらにお身体に負傷…ともすれば考えられることは一つ…」
「ゴクリ……」
固唾を飲んだクランに、フランは声を張り上げた。
「ズバリ…特訓よ!」
「特訓!?」
「そうよ!神竜様とルイさんは夜な夜な特訓をして、身体が鈍るのを防いでいるの!間違いないわ…」
「な、なるほど…それだったら、僕たちに気づかれたくないのは心配をかけないため…!」
「ええ、だからクラン…私たちが特訓に気づいた素振りはお二人には見せないようにしましょう…!」
「う、うん…!分かったよフラン…!」
「お待たせいたしました〜!」
戻ってきた守り人両名は、普段より一段と尊敬の眼差しを二人に送っていた。
「…な、何か大きな誤解を招いてしまったようですが…」
「ま、まあ…そういうことにしてくれるなら…良しといたしますか…」
今日はいつに無く終始和かな双子の前で、ルイとリュールはタジタジなのであった。
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