神竜と、花園
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フィレネ王国の地。
復興を終えたフルルの村で、王族のアルフレッドとセリーヌ、そして警護としてクロエが出迎えてくれた。
「アルフレッド、セリーヌ…!此度は呼んでいただき感謝いたします」
「リュール、よく来てくれた!会いたかったよ」
「私もよ神竜様。ルイ、貴方も元気そうで何よりだわ」
「セリーヌ様、アルフレッド様、お久しゅうございます」
「あぁ…ルイが神竜様の隣でパートナーとして立っている姿を再び垣間見れるなんて…なんて素晴らしいのかしら」
クロエはペガサスの上でうっとりと両者を見つめた。
「クロエさん…貴女も相変わらずそうで何よりです」
「…例の件は聞いたよ。フィレネの地で神竜様に何かあってはならないからな。騎士たちを総動員して警護体制は万全にしてある」
「勿論ルイ、貴方も警護される側よ。ルイは神竜様のパートナー…フィレネの誇りなんだもの」
「いえ…僕なんかに人員を割くよりもどうかリュール様を固めてください」
ルイの言葉にクロエは珍しく渋面で答える。
「ダメよ。貴方も狙われている自覚を持ちなさい。組み合わせはどちらが欠けてもいけないの。貴方なら分かるでしょう?」
「そう言われると…致し方ありませんね」
ルイは渋々といった様子で引き下がった。
「ではそろそろ配置に。神竜様はこちらへどうぞ」
「分かりました。パンドロとゼルコバは、どうかルイの元で警備を」
「仰せのままに。神竜様」
「パートナーの「安全」は我々にお任せください」
・・・
式典の時刻、神竜や王族が来るということでフルルの大広場には他方からも人が集まり、未だかつてないほどの大衆となった。
リュールが民衆語りかける、少し離れた場所で、ルイ達が静かに見守っていた。
「むず痒いですね…見守られているというのは」
ふとルイがぼそりと呟く。
その言葉にパンドロとゼルコバは冷ややかな視線を送りながらも、それを言葉に出すことはしなかった。
「フィレネの兵…さらには貴方達までいらっしゃるのは心強いです。できればリュール様の方の警護にあたって欲しかったのですが…」
「本当に「そう」思っているのか…?」
怪訝な顔つきでゼルコバは問う。
「…すみません、正直思っていません」
「だよなー、ルイは神竜様の近くに自分以外の男がいるとキレるもんな」
「き、キレたりなんかしませんよ!ですが、状況が状況ですし…」
ヘラヘラと茶化すパンドロにルイはたじたじだ。
その様子を見ていたゼルコバは諭すように呟いた。
「おい…俺たちの「目的」を忘れたか。民衆に紛れた知る顔を割り出し、「マーク」するのが先決だ」
「おっといけね、そうだった。教会に来る信仰者の中に気になる奴がいるからな。盲信してるやつらならここにも来るかもしれねえし」
パンドロとゼルコバが民衆を見渡し始めた直後のことだった。
「異形兵が現れたぞーー!」
「な、何…異形兵!?」
叫びが響いた後、すぐさまに民衆に紛れ、現れる異形兵たちの姿があった。
異形兵は真っ直ぐに神竜リュールに向かって近づいてくる。
「くっ…てっきり「人間」の賊だと思ってたんだがな…!」
「まずい、僕たちもリュール様と応戦を…!」
異形兵たちの行く先に気を取られ、ルイが遅れて盾と槍を構えた時だった。
ルイの背後めがけて、死角から魔法が飛んできたのだ。
「なっ…!」
「ルイ、あぶねえっ!」
それにいち早く気づいたのはパンドロだった。
パンドロはルイを庇うと、上手く魔法をいなす。
「パンドロさん、大丈夫ですか!?」
「あ、あぁ…これぐらいなら自分で癒せる。気にすんな」
パンドロは杖で自己回復を行い、立ち上がった。
「「下がれ」、ルイ!」
ゼルコバが素早く魔法の放たれた方角にナイフを飛ばす。
「ぐわぁ!」
近くの建物2階の窓から顔を出していた者が地に落ち、そこへすぐさまゼルコバが駆けつけ、犯人を締め上げた。
「「観念」するんだな」
「ぐうっ…」
「こちらにも敵とは…まさか異形兵は囮…!?」
「どうやら、本当の狙いはルイだったらしい」
直後到着した兵と共に、クロエが慌ててルイの元に駆け寄る。
「ルイ、大丈夫!?」
「えぇ、僕は無傷です…」
「身柄はこちらが拘束するわ。その者をこちらへ」
兵に連れられ、暗殺者とルイがすれ違うその一瞬、暗殺者が何かを呟いた。
「っ……」
それを聞いたルイは目を開き、その場に立ち尽くした。
「…おい、そいつをルイに近づけるな!」
ゼルコバの一声に慌てて周りの兵が引き離し、その場はことなきを得た。
・・・
負傷者の治癒も済み、ルイたちは安全な建物内に避難していた。
一室のドアの前でゼルコバが見張り、室内ではルイとパンドロが椅子に座り、リュールが訪れるのを待っていた。
「まさか神竜信徒と邪竜信徒が手を組むとはな…」
パンドロがつぶやくものの、ルイは無言のままだ。
「…ルイ…大丈夫か?顔色が悪いぞ」
「え、えぇ…少し気分が悪くて」
「賊に何を言われたんだ」
いつになく真剣な面持ちのパンドロに、ルイは一呼吸置いて述べた。
「…神竜様の家系に、ただの平民の血が混じるのが耐えられないと。そう吐き捨てられました」
そう言って、ルイは頭を抱えた。
「……」
流石のパンドロも無言になる。
「…考えたこともありませんでした。いや、考えないようにしていただけかもしれません」
「…なんだよ、そんなこと言うならリュール様だって、ルミエル様とは血が繋がってる訳じゃねーじゃんか」
「そうですよね…。そうなのはわかってるんですが…」
そのまましばらく押し黙っていたルイだったが、やがて重たい口を開いた。
「パートナーって…そういうことですよね…」
「…ま、まだそういう段階だったのかよ…まあ、ルイは自分のことだと奥手そうだもんな」
パンドロの呟きにルイは声を荒げた。
「リュール様にお手を触れることだってそうそう無いんですよ!僕がリュール様とそういうこと…出来ると思っているんですか!?」
「だああーっ!信仰対象なんだぞ!そういうことを想像させるなよ!」
「…おい、「騒がしい」ぞ貴様ら…「部屋の外」まで聞こえている」
業を煮やしたゼルコバが扉を開けて入ってきた。
「げっ、マジか…」
「神竜様が到着したそうだ。ルイ、大丈夫か?」
「…!はい、一刻も早く会いに行かなくては」
・・・
「ルイ…!あぁ、無事で何よりです…!」
ルイの姿を見たリュールは安心しきった様子で、彼の元に駆け寄る。
しかし、ルイはそれに応じないように半歩下がり距離を置いた。
「あの、リュール様…人前ですので」
「あ、あぁ…そう…ですね…」
「……」
「ひ、ひとまずは賊を捕らえることができて一安心ですね…」
ぎこちない2人のやり取りに、パンドロとゼルコバは心配そうに両者を見つめた。
合流したアルフレッドとセリーヌも、深刻そうな面持ちだ。
「リュール…君たちはどうか、聖地に戻って身体を休めてくれ」
「今回のことはとても許せることではないわ。神竜様、賊はこちらの方で厳しい処罰をいたします」
困惑した面持ちのアルフレッドとは裏腹に、セリーヌが険しい形相で気迫を放つ。
「…分かりました2人とも、後はフィレネにお任せいたします」
フィレネ王国の王族たちと、パンドロ、ゼルコバに別れを告げ、リュールたちは静かにフルルを後にした。
復興を終えたフルルの村で、王族のアルフレッドとセリーヌ、そして警護としてクロエが出迎えてくれた。
「アルフレッド、セリーヌ…!此度は呼んでいただき感謝いたします」
「リュール、よく来てくれた!会いたかったよ」
「私もよ神竜様。ルイ、貴方も元気そうで何よりだわ」
「セリーヌ様、アルフレッド様、お久しゅうございます」
「あぁ…ルイが神竜様の隣でパートナーとして立っている姿を再び垣間見れるなんて…なんて素晴らしいのかしら」
クロエはペガサスの上でうっとりと両者を見つめた。
「クロエさん…貴女も相変わらずそうで何よりです」
「…例の件は聞いたよ。フィレネの地で神竜様に何かあってはならないからな。騎士たちを総動員して警護体制は万全にしてある」
「勿論ルイ、貴方も警護される側よ。ルイは神竜様のパートナー…フィレネの誇りなんだもの」
「いえ…僕なんかに人員を割くよりもどうかリュール様を固めてください」
ルイの言葉にクロエは珍しく渋面で答える。
「ダメよ。貴方も狙われている自覚を持ちなさい。組み合わせはどちらが欠けてもいけないの。貴方なら分かるでしょう?」
「そう言われると…致し方ありませんね」
ルイは渋々といった様子で引き下がった。
「ではそろそろ配置に。神竜様はこちらへどうぞ」
「分かりました。パンドロとゼルコバは、どうかルイの元で警備を」
「仰せのままに。神竜様」
「パートナーの「安全」は我々にお任せください」
・・・
式典の時刻、神竜や王族が来るということでフルルの大広場には他方からも人が集まり、未だかつてないほどの大衆となった。
リュールが民衆語りかける、少し離れた場所で、ルイ達が静かに見守っていた。
「むず痒いですね…見守られているというのは」
ふとルイがぼそりと呟く。
その言葉にパンドロとゼルコバは冷ややかな視線を送りながらも、それを言葉に出すことはしなかった。
「フィレネの兵…さらには貴方達までいらっしゃるのは心強いです。できればリュール様の方の警護にあたって欲しかったのですが…」
「本当に「そう」思っているのか…?」
怪訝な顔つきでゼルコバは問う。
「…すみません、正直思っていません」
「だよなー、ルイは神竜様の近くに自分以外の男がいるとキレるもんな」
「き、キレたりなんかしませんよ!ですが、状況が状況ですし…」
ヘラヘラと茶化すパンドロにルイはたじたじだ。
その様子を見ていたゼルコバは諭すように呟いた。
「おい…俺たちの「目的」を忘れたか。民衆に紛れた知る顔を割り出し、「マーク」するのが先決だ」
「おっといけね、そうだった。教会に来る信仰者の中に気になる奴がいるからな。盲信してるやつらならここにも来るかもしれねえし」
パンドロとゼルコバが民衆を見渡し始めた直後のことだった。
「異形兵が現れたぞーー!」
「な、何…異形兵!?」
叫びが響いた後、すぐさまに民衆に紛れ、現れる異形兵たちの姿があった。
異形兵は真っ直ぐに神竜リュールに向かって近づいてくる。
「くっ…てっきり「人間」の賊だと思ってたんだがな…!」
「まずい、僕たちもリュール様と応戦を…!」
異形兵たちの行く先に気を取られ、ルイが遅れて盾と槍を構えた時だった。
ルイの背後めがけて、死角から魔法が飛んできたのだ。
「なっ…!」
「ルイ、あぶねえっ!」
それにいち早く気づいたのはパンドロだった。
パンドロはルイを庇うと、上手く魔法をいなす。
「パンドロさん、大丈夫ですか!?」
「あ、あぁ…これぐらいなら自分で癒せる。気にすんな」
パンドロは杖で自己回復を行い、立ち上がった。
「「下がれ」、ルイ!」
ゼルコバが素早く魔法の放たれた方角にナイフを飛ばす。
「ぐわぁ!」
近くの建物2階の窓から顔を出していた者が地に落ち、そこへすぐさまゼルコバが駆けつけ、犯人を締め上げた。
「「観念」するんだな」
「ぐうっ…」
「こちらにも敵とは…まさか異形兵は囮…!?」
「どうやら、本当の狙いはルイだったらしい」
直後到着した兵と共に、クロエが慌ててルイの元に駆け寄る。
「ルイ、大丈夫!?」
「えぇ、僕は無傷です…」
「身柄はこちらが拘束するわ。その者をこちらへ」
兵に連れられ、暗殺者とルイがすれ違うその一瞬、暗殺者が何かを呟いた。
「っ……」
それを聞いたルイは目を開き、その場に立ち尽くした。
「…おい、そいつをルイに近づけるな!」
ゼルコバの一声に慌てて周りの兵が引き離し、その場はことなきを得た。
・・・
負傷者の治癒も済み、ルイたちは安全な建物内に避難していた。
一室のドアの前でゼルコバが見張り、室内ではルイとパンドロが椅子に座り、リュールが訪れるのを待っていた。
「まさか神竜信徒と邪竜信徒が手を組むとはな…」
パンドロがつぶやくものの、ルイは無言のままだ。
「…ルイ…大丈夫か?顔色が悪いぞ」
「え、えぇ…少し気分が悪くて」
「賊に何を言われたんだ」
いつになく真剣な面持ちのパンドロに、ルイは一呼吸置いて述べた。
「…神竜様の家系に、ただの平民の血が混じるのが耐えられないと。そう吐き捨てられました」
そう言って、ルイは頭を抱えた。
「……」
流石のパンドロも無言になる。
「…考えたこともありませんでした。いや、考えないようにしていただけかもしれません」
「…なんだよ、そんなこと言うならリュール様だって、ルミエル様とは血が繋がってる訳じゃねーじゃんか」
「そうですよね…。そうなのはわかってるんですが…」
そのまましばらく押し黙っていたルイだったが、やがて重たい口を開いた。
「パートナーって…そういうことですよね…」
「…ま、まだそういう段階だったのかよ…まあ、ルイは自分のことだと奥手そうだもんな」
パンドロの呟きにルイは声を荒げた。
「リュール様にお手を触れることだってそうそう無いんですよ!僕がリュール様とそういうこと…出来ると思っているんですか!?」
「だああーっ!信仰対象なんだぞ!そういうことを想像させるなよ!」
「…おい、「騒がしい」ぞ貴様ら…「部屋の外」まで聞こえている」
業を煮やしたゼルコバが扉を開けて入ってきた。
「げっ、マジか…」
「神竜様が到着したそうだ。ルイ、大丈夫か?」
「…!はい、一刻も早く会いに行かなくては」
・・・
「ルイ…!あぁ、無事で何よりです…!」
ルイの姿を見たリュールは安心しきった様子で、彼の元に駆け寄る。
しかし、ルイはそれに応じないように半歩下がり距離を置いた。
「あの、リュール様…人前ですので」
「あ、あぁ…そう…ですね…」
「……」
「ひ、ひとまずは賊を捕らえることができて一安心ですね…」
ぎこちない2人のやり取りに、パンドロとゼルコバは心配そうに両者を見つめた。
合流したアルフレッドとセリーヌも、深刻そうな面持ちだ。
「リュール…君たちはどうか、聖地に戻って身体を休めてくれ」
「今回のことはとても許せることではないわ。神竜様、賊はこちらの方で厳しい処罰をいたします」
困惑した面持ちのアルフレッドとは裏腹に、セリーヌが険しい形相で気迫を放つ。
「…分かりました2人とも、後はフィレネにお任せいたします」
フィレネ王国の王族たちと、パンドロ、ゼルコバに別れを告げ、リュールたちは静かにフルルを後にした。