もしもゲーチスが良い人だったら
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数ヶ月後のプラズマ団城。
今日もまた、ゲーチスとトウコの言い合いが廊下にまで響いていた。
「トウコ!あれほどバトルは控えろと言ったでしょう!毎度心配する身にもなりなさい!」
「もう!心配性だよゲーチスは!わたしよりポケモンバトル弱いのに!」
「そういう問題では!ないのです!」
その場に居合わせたNは額に手を当て、深いため息を落とした。
いつも通りのやり取り。
呆れながらも、これはこれで平和なのだと理解していた。
本気で怒っているわけではない。
最終的には仲直りするのが様式美であり日課なのだ。
「ふたりとも、喧嘩するならせめてポケモンバトルでやってよ」
「それではワタクシが勝てないではないですか!」
言い返しながらも、ゲーチスの眉間は深く寄っていた。彼の苛立ちは、単なる心配からくるそれとは違い──どこか焦りと苛立ちを混ぜた、不器用すぎる感情の暴走だった。
「全く……このところ毎週のようにバトルサブウェイに通い詰めとは……あの、ええと……ウチマワリだかソトマワリだかの双子と何かあるのでは!?」
「ノボリさんとクダリさんだよ!想像を絶する覚え方やめてよね!わたしはスリルのあるバトルをしないとストレス溜まっちゃうし……あの人たちは強いから挑んでるだけ!」
「とうさん、トウコの送迎はボクも付いて行ってるし、本当にバトルが好きなだけで変な意図はないよ」
Nも冷静に援護する。
しかしゲーチスは引き下がらず、声を荒げた。
「バトル好きも今は大概になさい!アナタの身体にはワタクシの──」
──そのとき。
バン!
勢いよく、部屋の大扉が開いた。
と同時にカツン、と床を踏む靴音。
Nも、ゲーチスも、トウコも反射的にそちらを向く。
そこには、トウコと同じくらいの年頃の少女が立っていた。
緩やかにウェーブのかかった薄緑の長髪が印象に残る。
だが、顔つきはどう見ても……トウコに似ていた。
そして謎の少女の隣には……セレビィが浮いている。
「セレビィ!?わたしの手持ちにもいるのに……!?」
トウコが驚きの声を漏らす。
少女はニコリと微笑むと周囲を見回し、Nを見て明るく声を張り上げる。
「あ、ナチュラルお兄様もいる! わー、みんなまだ若いなあ」
その呼び方にNは一瞬だけ硬直し、次の瞬間には全てを理解したように目を見開いた。
「……同じ、セレビィ……そうか……!」
少女の姿と、セレビィから聞こえる言葉──すべての要素が一つにつながってしまった。
「流石お兄様。察しがいいね! そう、わたしがセレビィを過去のお母様に贈ったのです!」
少女はハキハキとした声で話す。
「ん……?だとしたら待ってくれ……!何故キミも同じセレビィを……未来でトウコから譲り受けたとしても……クッ……タマゴが先かバシャーモが先か……」
目を閉じてブツブツと思考を巡らしたNを余所目に、肝心のゲーチスとトウコはまるで理解が追いついていない。
「誰ですかアナタ。どうやってここに……他の団員はどうしたというのです!」
「あはは……団員さんには申し訳ないけど、ポケモンバトルで突破してきちゃった」
「……相当な実力者……ならばワタクシが相手を」
「待ってゲーチス、わたしが相手するよ」
バトルモードの顔つきに変貌したトウコを見て、少女は慌てて手を上げ、困ったように首を傾げる。
「あわわ、昔のお母様もバトルの時の顔怖い……! そっか…お母様もお父様もまだ分からないか。じゃあ、自己紹介するね!」
セレビィが嬉しそうに鳴き、少女は胸を張る。
「わたしはそこにいる英雄とハルモニアの血を継ぐ者、名は──」
END
今日もまた、ゲーチスとトウコの言い合いが廊下にまで響いていた。
「トウコ!あれほどバトルは控えろと言ったでしょう!毎度心配する身にもなりなさい!」
「もう!心配性だよゲーチスは!わたしよりポケモンバトル弱いのに!」
「そういう問題では!ないのです!」
その場に居合わせたNは額に手を当て、深いため息を落とした。
いつも通りのやり取り。
呆れながらも、これはこれで平和なのだと理解していた。
本気で怒っているわけではない。
最終的には仲直りするのが様式美であり日課なのだ。
「ふたりとも、喧嘩するならせめてポケモンバトルでやってよ」
「それではワタクシが勝てないではないですか!」
言い返しながらも、ゲーチスの眉間は深く寄っていた。彼の苛立ちは、単なる心配からくるそれとは違い──どこか焦りと苛立ちを混ぜた、不器用すぎる感情の暴走だった。
「全く……このところ毎週のようにバトルサブウェイに通い詰めとは……あの、ええと……ウチマワリだかソトマワリだかの双子と何かあるのでは!?」
「ノボリさんとクダリさんだよ!想像を絶する覚え方やめてよね!わたしはスリルのあるバトルをしないとストレス溜まっちゃうし……あの人たちは強いから挑んでるだけ!」
「とうさん、トウコの送迎はボクも付いて行ってるし、本当にバトルが好きなだけで変な意図はないよ」
Nも冷静に援護する。
しかしゲーチスは引き下がらず、声を荒げた。
「バトル好きも今は大概になさい!アナタの身体にはワタクシの──」
──そのとき。
バン!
勢いよく、部屋の大扉が開いた。
と同時にカツン、と床を踏む靴音。
Nも、ゲーチスも、トウコも反射的にそちらを向く。
そこには、トウコと同じくらいの年頃の少女が立っていた。
緩やかにウェーブのかかった薄緑の長髪が印象に残る。
だが、顔つきはどう見ても……トウコに似ていた。
そして謎の少女の隣には……セレビィが浮いている。
「セレビィ!?わたしの手持ちにもいるのに……!?」
トウコが驚きの声を漏らす。
少女はニコリと微笑むと周囲を見回し、Nを見て明るく声を張り上げる。
「あ、ナチュラルお兄様もいる! わー、みんなまだ若いなあ」
その呼び方にNは一瞬だけ硬直し、次の瞬間には全てを理解したように目を見開いた。
「……同じ、セレビィ……そうか……!」
少女の姿と、セレビィから聞こえる言葉──すべての要素が一つにつながってしまった。
「流石お兄様。察しがいいね! そう、わたしがセレビィを過去のお母様に贈ったのです!」
少女はハキハキとした声で話す。
「ん……?だとしたら待ってくれ……!何故キミも同じセレビィを……未来でトウコから譲り受けたとしても……クッ……タマゴが先かバシャーモが先か……」
目を閉じてブツブツと思考を巡らしたNを余所目に、肝心のゲーチスとトウコはまるで理解が追いついていない。
「誰ですかアナタ。どうやってここに……他の団員はどうしたというのです!」
「あはは……団員さんには申し訳ないけど、ポケモンバトルで突破してきちゃった」
「……相当な実力者……ならばワタクシが相手を」
「待ってゲーチス、わたしが相手するよ」
バトルモードの顔つきに変貌したトウコを見て、少女は慌てて手を上げ、困ったように首を傾げる。
「あわわ、昔のお母様もバトルの時の顔怖い……! そっか…お母様もお父様もまだ分からないか。じゃあ、自己紹介するね!」
セレビィが嬉しそうに鳴き、少女は胸を張る。
「わたしはそこにいる英雄とハルモニアの血を継ぐ者、名は──」
END
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