フラダリさんとの旅
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ふぁ〜…」
カーテン越しに朝の日差しを受け、私は体を起こす。
「おはようございます」
フラダリさんはいつもの服に着替えて、コーヒーを飲んでいた。
…起きた気配に全く気づけなかった。
「…今何時ですか?」
「大丈夫ですよ。そんなに遅くありません。朝食が済んだら出発しましょうか」
「あ、はい…!」
私は元気よくベッドから降りた。
朝食を済ませ、私たちはシュートシティを出る。
慣れていない土地でまず目指したのは、ガラルの中心に位置する都市、ナックルシティだ。
中世の面影が残る歴史ある街並みは、ミアレシティを彷彿とさせた。
ガラル地方にはワイルドエリアという、広大な自然がそのまま残された場所がある。
ナックルシティはすぐ近くにそのワイルドエリアがあり、他の街へのアクセスも便利だ。
なのでこの街で丁度良い空き家を借り、しばらくはそこを拠点に、ガラル中を旅して回った。
ワイルドエリアでは様々な見知らぬ野生のポケモンたちがそこらを自由に闊歩している。
広さはミアレのワイルドゾーンとは雲泥の差で、正直感動の連続だった。
ある時にはトレーナーとバトルをしたり、ある時にはキャンプをして手持ちのポケモンたちとの交流を楽しむ。
フラダリさんのサポートは、私もできる限りのことは協力した。
…とはいっても私ができることはポケモンバトルくらいだ。
だが、ガラルのジム戦はかなり目立つ上、同時に良い宣伝にもなる。
表立って行動できないフラダリさんに変わって私は着々と勝ち星を稼いだ。
私はカロスからのトレーナーとして、次第に周知されていった。
連れているビビヨンはガラルには生息していない。
綺麗なむしタイプのポケモン故か、物珍しさからか、次第に少年少女のファンが増えてくれた。
そういった毎日がとても充実していて楽しかった。
常に新鮮なことだらけでーーー
あっという間に時間が過ぎていった。
・・・
ある日の夜、星が広がるガラルの空の下、私はランタンの明かりを灯しながら、テントの近くで焚き火に木をくべ、簡単なカレーを作る。
…カレーといえば、ガイを思い出すなぁ…。
今でもMZ団とは定期的にチャットでやり取りをしている。
相変わらずホテルZに泊まる人は滅多にいないらしいが、皆夢を目指しつつ仲良く切り盛りしているようだった。
私は…未だに皆にフラダリさんのことは言えてないけど…。
感傷に浸りながらも私は鍋の火を止めた。
「フラダリさん、もうすぐできますよ」
近くの川では、フラダリさんがギャラドスを泳がせている。
大きな体がゆるやかに波を立て、そのたびに水面に星の光がちらちらと反射した。
「ありがとうございます。久々に外で食べるご飯、楽しみですね」
フラダリさんが穏やかな微笑を浮かべたので、私も微笑み返す。
「皆、出て来て!」
私は手持ちのポケモンをモンスターボールから全て出した。
すると、ビビヨンが思いのほか軽やかに舞い上がって出て来た。
ふわり、と夜風に乗って飛んだビビヨンは、いそいそとフラダリさんの方へ近づいていった。
「……おや?」
フラダリさんが少し首をかしげる。
ビビヨンは、にこにこしながら彼の髪の上にとまり、じっと動かない。
「以前から思っていましたが、セイカさんのビビヨンは人懐こい子ですね」
少し困ったように笑いながらも、フラダリさんはそっと動かずに受け入れている。
私は焚き火越しにその光景を見つめながら、小さく息を吐いた。
「…普段はおくびょうな性格なんです。人の頭に止まるなんて、珍しいですよ」
言いながらも、胸の奥が少しあたたかくなった。
ビビヨンはやっぱりちゃんと覚えてるんだ、あのときのことを。
フラダリさんにはまだ、伝えていない。
…このビビヨンは、かつて彼に命を救われたコフキムシだ。
私ががまだ幼かったころ、傷ついたその小さな虫ポケモンを、真っ赤な髪の貴方が助けてくれて、初めてのポケモンとして捕まえさせてくれた。
きっとフラダリさんは覚えていないだろうけど。
火の粉が一瞬、夜空へ高く飛ぶ。
フラダリさんはしばらくビビヨンを周りに羽ばたかせながら、川辺でギャラドスの動きを見ながら静かに笑っていた。
その横顔に、焚き火の赤い光がゆらりと映えた。
一瞬だけど、昔のフラダリさんが脳裏を過った。
…この人がフラダリさんだなんて、誰が思うだろう。
ほんの少しだけ誇らしい気持ちでその光景を見つめていた。
カーテン越しに朝の日差しを受け、私は体を起こす。
「おはようございます」
フラダリさんはいつもの服に着替えて、コーヒーを飲んでいた。
…起きた気配に全く気づけなかった。
「…今何時ですか?」
「大丈夫ですよ。そんなに遅くありません。朝食が済んだら出発しましょうか」
「あ、はい…!」
私は元気よくベッドから降りた。
朝食を済ませ、私たちはシュートシティを出る。
慣れていない土地でまず目指したのは、ガラルの中心に位置する都市、ナックルシティだ。
中世の面影が残る歴史ある街並みは、ミアレシティを彷彿とさせた。
ガラル地方にはワイルドエリアという、広大な自然がそのまま残された場所がある。
ナックルシティはすぐ近くにそのワイルドエリアがあり、他の街へのアクセスも便利だ。
なのでこの街で丁度良い空き家を借り、しばらくはそこを拠点に、ガラル中を旅して回った。
ワイルドエリアでは様々な見知らぬ野生のポケモンたちがそこらを自由に闊歩している。
広さはミアレのワイルドゾーンとは雲泥の差で、正直感動の連続だった。
ある時にはトレーナーとバトルをしたり、ある時にはキャンプをして手持ちのポケモンたちとの交流を楽しむ。
フラダリさんのサポートは、私もできる限りのことは協力した。
…とはいっても私ができることはポケモンバトルくらいだ。
だが、ガラルのジム戦はかなり目立つ上、同時に良い宣伝にもなる。
表立って行動できないフラダリさんに変わって私は着々と勝ち星を稼いだ。
私はカロスからのトレーナーとして、次第に周知されていった。
連れているビビヨンはガラルには生息していない。
綺麗なむしタイプのポケモン故か、物珍しさからか、次第に少年少女のファンが増えてくれた。
そういった毎日がとても充実していて楽しかった。
常に新鮮なことだらけでーーー
あっという間に時間が過ぎていった。
・・・
ある日の夜、星が広がるガラルの空の下、私はランタンの明かりを灯しながら、テントの近くで焚き火に木をくべ、簡単なカレーを作る。
…カレーといえば、ガイを思い出すなぁ…。
今でもMZ団とは定期的にチャットでやり取りをしている。
相変わらずホテルZに泊まる人は滅多にいないらしいが、皆夢を目指しつつ仲良く切り盛りしているようだった。
私は…未だに皆にフラダリさんのことは言えてないけど…。
感傷に浸りながらも私は鍋の火を止めた。
「フラダリさん、もうすぐできますよ」
近くの川では、フラダリさんがギャラドスを泳がせている。
大きな体がゆるやかに波を立て、そのたびに水面に星の光がちらちらと反射した。
「ありがとうございます。久々に外で食べるご飯、楽しみですね」
フラダリさんが穏やかな微笑を浮かべたので、私も微笑み返す。
「皆、出て来て!」
私は手持ちのポケモンをモンスターボールから全て出した。
すると、ビビヨンが思いのほか軽やかに舞い上がって出て来た。
ふわり、と夜風に乗って飛んだビビヨンは、いそいそとフラダリさんの方へ近づいていった。
「……おや?」
フラダリさんが少し首をかしげる。
ビビヨンは、にこにこしながら彼の髪の上にとまり、じっと動かない。
「以前から思っていましたが、セイカさんのビビヨンは人懐こい子ですね」
少し困ったように笑いながらも、フラダリさんはそっと動かずに受け入れている。
私は焚き火越しにその光景を見つめながら、小さく息を吐いた。
「…普段はおくびょうな性格なんです。人の頭に止まるなんて、珍しいですよ」
言いながらも、胸の奥が少しあたたかくなった。
ビビヨンはやっぱりちゃんと覚えてるんだ、あのときのことを。
フラダリさんにはまだ、伝えていない。
…このビビヨンは、かつて彼に命を救われたコフキムシだ。
私ががまだ幼かったころ、傷ついたその小さな虫ポケモンを、真っ赤な髪の貴方が助けてくれて、初めてのポケモンとして捕まえさせてくれた。
きっとフラダリさんは覚えていないだろうけど。
火の粉が一瞬、夜空へ高く飛ぶ。
フラダリさんはしばらくビビヨンを周りに羽ばたかせながら、川辺でギャラドスの動きを見ながら静かに笑っていた。
その横顔に、焚き火の赤い光がゆらりと映えた。
一瞬だけど、昔のフラダリさんが脳裏を過った。
…この人がフラダリさんだなんて、誰が思うだろう。
ほんの少しだけ誇らしい気持ちでその光景を見つめていた。