フラダリさんとの旅
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ZAロワイヤルや、プリズムタワーの暴走、異次元ミアレ……あらゆることが一段落した後のこと。
私はずっと、数少ない情報を頼りにある男性を探していた。
もしかしたらもうミアレを出ているかもしれない。それでも、諦めきれずに彷徨って…
「フラダリさん!…やっと見つけた!」
ミアレシティの一角。ひっそりとした裏通りで私は長い間探していた人物を見つけられた。
ジガルデを捕まえて以来、フラダリさんとは会えていなかった。
何かない限り2度と会わないかもしれないと言われ、待ってという言葉も背中で受け止めて去ってしまった、フラダリさん。
彼は恩人だが、元フレア団のボスなのは分かっている。
そのことについて調べれば調べるほど、今のフラダリさんの哀しげで儚げな佇まいに酷く心を抉られた。
3000年生きると言う呪いとも言える枷がついた男性に、別れ際にやりたいことはないのかと聞いたら、彼は美しい世界の実現を目指すと言ってくれた。
そこにかつての悪の組織の面影は無く、ただ純粋に心の底からそう思っているのだと理解できた。
私は気が気でなかった。
フラダリさんは記憶を失っているが、強い人だ。
おそらく、1人でも生きていけるだろう。
しかし、そんな美しい夢を持つなら、私も彼の手伝いをしたい。
そう思って、必死に情報を集め、私はやっとの思いでフラダリさんを見つけたんだ。
「ジガルデに認められたトレーナー…きみとまた相見えるとは思っていませんでした」
相変わらず虚な、しかし芯のある出立ち…どこか情熱を隠しきれていない。
「あの…!私の名前、セイカです…」
「…セイカさん。知っていますよ」
そう言ってふっと笑みをこぼした。
「さて、見つけた…ということは私を探していたということですか。今の私に何を望んでいるのでしょう」
「あ、あの…フラダリさん、以前言ってたやりたいことの話…私も協力したいなって思って…」
「…驚きました。きみがそう思っていたとは。ですが私は1人で…」
「あの!1人とポケモンとだけじゃ無くて…人と共ならもっと夢が近くなると思うんです」
私はフラダリさんにしっかりと伝わるよう、誠心誠意心を込めて、思っていることを伝えた。
「私はミアレに来て色んな経験をして、色んな人と出会い、別れて…フラダリさんと会いました」
そう、私は…彼だけは放って置けないでいるのだ。
どこか私の近くにいて欲しいと願う。
「ミアレシティのZAロワイヤルは確かに楽しいです。でも、世界にはもっと強い人がいる。だから、その…フラダリさん。もしミアレを出ることがあるなら…私も連れて行って欲しいんです…!」
それを聞いたフラダリさんは、右目を丸くした。
「…本気ですか?」
「はい。元々私は旅行者ですし…もっと色んな世界を見てみたいって思ったんです。フラダリさんは素性を隠したい筈…なら私が表立って目立てば、フラダリさんの手を煩わせずに済みます」
「…きみはこのミアレシティの救世主のような存在ですよ。それにMZ団のメンバーでもあります」
「…分かってます。MZ団の皆は私の最高の仲間です。でも、MZ団はミアレの平和を守るための団なので、ミアレ外には出られないんです。でも私はいつか冒険したいってずっと思っていて、私はフラダリさんのやりたいことに興味を持っているんです。それに…」
私は一呼吸置いて続けた。
「3000年もあるんです。そのちょっとぐらい、私と一緒に過ごしても…よ、良くない…ですか…?」
…やはり面と向かって言うのは小っ恥ずかしい。
俯き、黙って聞いていたフラダリさんがやれやれと言った様子で口を開いた。
「……分かりました。今のきみに何を言っても恐らく折れないでしょう。私は…数日後にミアレシティを発とうと思います。もしその日までに気が変わらないようであれば…待ち合わせましょう」
「…!はい!ありがとうございます!」
こうして私とフラダリさんはミアレシティを発つことにしたのだった。
私はフラダリさんと一緒だということは伏せ、広い世界を見てみたい、強い人と勝負したいという夢を叶えるためだと、お世話になった人達に挨拶して回った。
MZ団の皆は勿論、コルニさん、マチエールさん、モミジさん、DG4、ジャスティス会、ヌーヴォの2人…皆は酷く驚いていたが、私の夢を応援してくれた。
サビ組の人たちにはかなり惜しまれたが、最終的に時代劇でしか見たことのない火打石で厄除けして貰った。
でも、フラダリさんと一緒だなんて知ったら騒がれそうだ。特にカラスバさんに。
ユカリさんは…ゾーンを展開されそうだから、申し訳ないけど挨拶はやめておこう…。
待ち合わせ当日、荷物を持ってミアレ駅に到着し、フラダリさんを探した。
駅の構内の隅で潜むかのようにフラダリさんがいた。
「お待たせしました!」
「いえ、私も今来たところです。…本当に良いのですか?」
「はい。あ、もしかして本当に来るとは思わなかった感じですか?」
「まあ…そうですね」
フラダリさんは依然としてアンニュイな表情だった。
私はフラダリさんを見上げる。
「きっと良い旅になると思います。…それに男女とは言え、フラダリさんは何だか安心感がありますし」
「…何故そう思うかは置いておくとしますか」
フラダリさんはそう言って私の荷物を持とうとした。
「い、いいです!自分の荷物は自分で運びます!これからは気を遣わなくて良いんですよ」
「きみはそういう人でしたね。ではお言葉に甘えて」
フラダリさんはそのまま歩き始めた。
「行き先ってどこかアテがあるんですか?」
「いえ、私はあまりカロス地方以外に出たことはない筈なので」
「なるほど…良いですよ!行き当たりばったりって大好きなんです」
「ですが、一応目的地は決めています。カロスとは因縁の地…そこで私達の印象を払拭しなければ、美しい世界はありません。行き先はガラル地方です」
「ガラル…!」
私は行ったことのない地方の名に、つい目を輝かせた。
ガラル地方。
カロス地方より北に位置する、海に囲まれた大きな島のような大陸の地方だ。
それゆえに独自の進化を遂げているポケモンも少なくはないらしい。
カロスとの時差も少なく、比較的に行きやすい。
「楽しみですか?それは良かった」
フラダリさんは優しく微笑んだ。
私もあまり詳しくはないが、ジム戦が特に盛んな地方だと聞く。
特異な土地柄もあり、ポケモンを巨大化できるダイマックスが至る所で可能らしい。
メガシンカとはまた違った戦術を編み出せそうだ。
私もポケモントレーナーとして挑戦してみようかな…。
どんなポケモンがいるんだろう。
どんなトレーナーがいるんだろう。
そんなことを目まぐるしく考えているうちにあっという間に道中は進み…
鉄道と飛行機に乗ること約数時間ほど、やっと私たちはガラルの地に足をつけた。
「ここがガラル…シュートシティ…!凄い…すでに見たことないポケモンがいっぱいいる!」
ガラルの最北に位置するシュートシティ。
伝統と近未来感が混ざった街並みが美しい、発展都市といった印象だった。
「はしゃぐのは良いですが…もう夜です。慣れない渡航で疲れてるでしょう。早速ホテルに向かいますよ」
「あ…は、はい!」
確かに、ZAロワイヤルとは違った疲労がある。
旅行はかなりの体力を消耗するものだ。
私はフラダリさんに迷惑にならないように後を追った。
しばらく歩いた後、フラダリさんが振り返る。
「…一応、私ときみとの関係は、父と娘ということにしておきます」
「え〜…私は恋人同士でも良いんですよ」
冗談混じりのトーンで言ってみたが、フラダリさんは軽く微笑んで首を横に振った。
「それはあまり賢い選択ではありません」
「分かりましたよ。冗談です」
フラダリさんはかなり硬派で誠実だ。
嬉しいけども、内心はちょっと落ち込んでしまった。
…まあ確かに、下手したら親くらい歳も離れているだろう。
車で移動し、そこそこの外観のホテルに着いた。
「着きましたよ。ここです」
「わあ…ホテルZとはまた違った雰囲気…!フラダリさん、勿論部屋は同じですよね?」
「いえ、別々です。金銭の心配はしなくて構いません」
「え、でも私たち、親子なんですよね…?それなら別々の方がおかしく無いですか?」
私は口角を上げてフラダリさんを睨む。
「それはそうですが……男女が同じ部屋というのは些か問題が…」
「怪しまれちゃいますよ」
フラダリさんが考え込む。
「…仕方ありませんね。きみがそう言うなら」
「やったー!フラダリさんと同じ部屋で眠れるー!」
「セイカさん…本当に無防備ですね」
「フラダリさんだからですよ」
私は得意げに笑った。
フラダリさんは一本取られたような様子でホテルのカウンターに向かい、チェックインを済ませる。
部屋に着いた後、洗面台で部屋着に着替え、荷物を置いてベッドに飛び込む。
ホテル暮らしには慣れていたと思っていたけど…やっぱり新鮮だ。
ふかふかで良い香りがする……。
今日は色々な発見と刺激があった。
薄れゆく意識の中、元悪の組織のリーダーが隣のベッドで寝ていても、私は安心感しか覚えない。
これから私はこのガラル地方で、フラダリさんと行動を共にするんだ…。
そんなことを考えているうちに、いつの間にか眠ってしまったようだ。
私はずっと、数少ない情報を頼りにある男性を探していた。
もしかしたらもうミアレを出ているかもしれない。それでも、諦めきれずに彷徨って…
「フラダリさん!…やっと見つけた!」
ミアレシティの一角。ひっそりとした裏通りで私は長い間探していた人物を見つけられた。
ジガルデを捕まえて以来、フラダリさんとは会えていなかった。
何かない限り2度と会わないかもしれないと言われ、待ってという言葉も背中で受け止めて去ってしまった、フラダリさん。
彼は恩人だが、元フレア団のボスなのは分かっている。
そのことについて調べれば調べるほど、今のフラダリさんの哀しげで儚げな佇まいに酷く心を抉られた。
3000年生きると言う呪いとも言える枷がついた男性に、別れ際にやりたいことはないのかと聞いたら、彼は美しい世界の実現を目指すと言ってくれた。
そこにかつての悪の組織の面影は無く、ただ純粋に心の底からそう思っているのだと理解できた。
私は気が気でなかった。
フラダリさんは記憶を失っているが、強い人だ。
おそらく、1人でも生きていけるだろう。
しかし、そんな美しい夢を持つなら、私も彼の手伝いをしたい。
そう思って、必死に情報を集め、私はやっとの思いでフラダリさんを見つけたんだ。
「ジガルデに認められたトレーナー…きみとまた相見えるとは思っていませんでした」
相変わらず虚な、しかし芯のある出立ち…どこか情熱を隠しきれていない。
「あの…!私の名前、セイカです…」
「…セイカさん。知っていますよ」
そう言ってふっと笑みをこぼした。
「さて、見つけた…ということは私を探していたということですか。今の私に何を望んでいるのでしょう」
「あ、あの…フラダリさん、以前言ってたやりたいことの話…私も協力したいなって思って…」
「…驚きました。きみがそう思っていたとは。ですが私は1人で…」
「あの!1人とポケモンとだけじゃ無くて…人と共ならもっと夢が近くなると思うんです」
私はフラダリさんにしっかりと伝わるよう、誠心誠意心を込めて、思っていることを伝えた。
「私はミアレに来て色んな経験をして、色んな人と出会い、別れて…フラダリさんと会いました」
そう、私は…彼だけは放って置けないでいるのだ。
どこか私の近くにいて欲しいと願う。
「ミアレシティのZAロワイヤルは確かに楽しいです。でも、世界にはもっと強い人がいる。だから、その…フラダリさん。もしミアレを出ることがあるなら…私も連れて行って欲しいんです…!」
それを聞いたフラダリさんは、右目を丸くした。
「…本気ですか?」
「はい。元々私は旅行者ですし…もっと色んな世界を見てみたいって思ったんです。フラダリさんは素性を隠したい筈…なら私が表立って目立てば、フラダリさんの手を煩わせずに済みます」
「…きみはこのミアレシティの救世主のような存在ですよ。それにMZ団のメンバーでもあります」
「…分かってます。MZ団の皆は私の最高の仲間です。でも、MZ団はミアレの平和を守るための団なので、ミアレ外には出られないんです。でも私はいつか冒険したいってずっと思っていて、私はフラダリさんのやりたいことに興味を持っているんです。それに…」
私は一呼吸置いて続けた。
「3000年もあるんです。そのちょっとぐらい、私と一緒に過ごしても…よ、良くない…ですか…?」
…やはり面と向かって言うのは小っ恥ずかしい。
俯き、黙って聞いていたフラダリさんがやれやれと言った様子で口を開いた。
「……分かりました。今のきみに何を言っても恐らく折れないでしょう。私は…数日後にミアレシティを発とうと思います。もしその日までに気が変わらないようであれば…待ち合わせましょう」
「…!はい!ありがとうございます!」
こうして私とフラダリさんはミアレシティを発つことにしたのだった。
私はフラダリさんと一緒だということは伏せ、広い世界を見てみたい、強い人と勝負したいという夢を叶えるためだと、お世話になった人達に挨拶して回った。
MZ団の皆は勿論、コルニさん、マチエールさん、モミジさん、DG4、ジャスティス会、ヌーヴォの2人…皆は酷く驚いていたが、私の夢を応援してくれた。
サビ組の人たちにはかなり惜しまれたが、最終的に時代劇でしか見たことのない火打石で厄除けして貰った。
でも、フラダリさんと一緒だなんて知ったら騒がれそうだ。特にカラスバさんに。
ユカリさんは…ゾーンを展開されそうだから、申し訳ないけど挨拶はやめておこう…。
待ち合わせ当日、荷物を持ってミアレ駅に到着し、フラダリさんを探した。
駅の構内の隅で潜むかのようにフラダリさんがいた。
「お待たせしました!」
「いえ、私も今来たところです。…本当に良いのですか?」
「はい。あ、もしかして本当に来るとは思わなかった感じですか?」
「まあ…そうですね」
フラダリさんは依然としてアンニュイな表情だった。
私はフラダリさんを見上げる。
「きっと良い旅になると思います。…それに男女とは言え、フラダリさんは何だか安心感がありますし」
「…何故そう思うかは置いておくとしますか」
フラダリさんはそう言って私の荷物を持とうとした。
「い、いいです!自分の荷物は自分で運びます!これからは気を遣わなくて良いんですよ」
「きみはそういう人でしたね。ではお言葉に甘えて」
フラダリさんはそのまま歩き始めた。
「行き先ってどこかアテがあるんですか?」
「いえ、私はあまりカロス地方以外に出たことはない筈なので」
「なるほど…良いですよ!行き当たりばったりって大好きなんです」
「ですが、一応目的地は決めています。カロスとは因縁の地…そこで私達の印象を払拭しなければ、美しい世界はありません。行き先はガラル地方です」
「ガラル…!」
私は行ったことのない地方の名に、つい目を輝かせた。
ガラル地方。
カロス地方より北に位置する、海に囲まれた大きな島のような大陸の地方だ。
それゆえに独自の進化を遂げているポケモンも少なくはないらしい。
カロスとの時差も少なく、比較的に行きやすい。
「楽しみですか?それは良かった」
フラダリさんは優しく微笑んだ。
私もあまり詳しくはないが、ジム戦が特に盛んな地方だと聞く。
特異な土地柄もあり、ポケモンを巨大化できるダイマックスが至る所で可能らしい。
メガシンカとはまた違った戦術を編み出せそうだ。
私もポケモントレーナーとして挑戦してみようかな…。
どんなポケモンがいるんだろう。
どんなトレーナーがいるんだろう。
そんなことを目まぐるしく考えているうちにあっという間に道中は進み…
鉄道と飛行機に乗ること約数時間ほど、やっと私たちはガラルの地に足をつけた。
「ここがガラル…シュートシティ…!凄い…すでに見たことないポケモンがいっぱいいる!」
ガラルの最北に位置するシュートシティ。
伝統と近未来感が混ざった街並みが美しい、発展都市といった印象だった。
「はしゃぐのは良いですが…もう夜です。慣れない渡航で疲れてるでしょう。早速ホテルに向かいますよ」
「あ…は、はい!」
確かに、ZAロワイヤルとは違った疲労がある。
旅行はかなりの体力を消耗するものだ。
私はフラダリさんに迷惑にならないように後を追った。
しばらく歩いた後、フラダリさんが振り返る。
「…一応、私ときみとの関係は、父と娘ということにしておきます」
「え〜…私は恋人同士でも良いんですよ」
冗談混じりのトーンで言ってみたが、フラダリさんは軽く微笑んで首を横に振った。
「それはあまり賢い選択ではありません」
「分かりましたよ。冗談です」
フラダリさんはかなり硬派で誠実だ。
嬉しいけども、内心はちょっと落ち込んでしまった。
…まあ確かに、下手したら親くらい歳も離れているだろう。
車で移動し、そこそこの外観のホテルに着いた。
「着きましたよ。ここです」
「わあ…ホテルZとはまた違った雰囲気…!フラダリさん、勿論部屋は同じですよね?」
「いえ、別々です。金銭の心配はしなくて構いません」
「え、でも私たち、親子なんですよね…?それなら別々の方がおかしく無いですか?」
私は口角を上げてフラダリさんを睨む。
「それはそうですが……男女が同じ部屋というのは些か問題が…」
「怪しまれちゃいますよ」
フラダリさんが考え込む。
「…仕方ありませんね。きみがそう言うなら」
「やったー!フラダリさんと同じ部屋で眠れるー!」
「セイカさん…本当に無防備ですね」
「フラダリさんだからですよ」
私は得意げに笑った。
フラダリさんは一本取られたような様子でホテルのカウンターに向かい、チェックインを済ませる。
部屋に着いた後、洗面台で部屋着に着替え、荷物を置いてベッドに飛び込む。
ホテル暮らしには慣れていたと思っていたけど…やっぱり新鮮だ。
ふかふかで良い香りがする……。
今日は色々な発見と刺激があった。
薄れゆく意識の中、元悪の組織のリーダーが隣のベッドで寝ていても、私は安心感しか覚えない。
これから私はこのガラル地方で、フラダリさんと行動を共にするんだ…。
そんなことを考えているうちに、いつの間にか眠ってしまったようだ。