米花町に愛を込めて
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※コナン視点
「今日はポアロで昼飯食うぞ坊主〜」
昼過ぎ、おっちゃんがそんなことを言い出した。
(ま、予想はできたけどな…)
今日は休日だが、蘭は友人の手伝いで高校に行っている。
男2人で料理を作るほどでもなく、俺とおっちゃんは下の喫茶店ポアロに向かった。
「あ、いらっしゃいませ毛利探偵、それに…コナンくん」
「お!安室じゃねえか!今日はお前が店番か!」
「こんにちは!」
俺とおっちゃんは流れるようにいつものテーブル席へ座った。
店内には俺たちと、もう一組…奥のテーブル席に男女が来ているようだ。
「じゃあ…ミックスサンドとコーヒー2ずつ!」
おっちゃんは安室さんに注文を伝えると、すぐさま競馬新聞を開き、リサーチに没頭し始める。
俺は奥のテーブルの男女がなんとなく気になり、聞き耳を立てることにした。
(常連…じゃないな…)
カップルだろうか…?いや、それにしては…
そんなことを思っていると、ひそひそと声が聞こえてきた。
「わーっ…!あの人が毛利探偵なんですね…本当にこの喫茶店に来てる姿を見られるなんて…!」
「え、えぇ…」
先程の安室さんの声が聞こえていたのだろう。
女性の方はおっちゃんに気づき、そのことを話しているようだ。
小声だが、その声音は弾んでいる。
しかし、男の方はそうではない。
こっちからだと背中しか見えないが、どうにも相槌がぎこちなかった。
「あっ、でも風見さんは会ったことあるんでしたよね?」
「ま、まあ…」
「なるほど、それもそうでした!…毛利さん、今話しかけて大丈夫ですかね…サイン貰いたくて…」
「!?…いっ…いや…できればやめていただきたい…!」
「えっ…?」
「っ…あの…ここで自分が会うのは気まずいというか…」
女性の方はサインを欲しているようだが、男の方はそれを制止しようとしている。
…男は会いたくないのか?
先程、おっちゃんと会ったことがあると言っていた。
まさか俺も知ってる人か…?
というか今、風見って…
「僕ちょっとトイレ!」
「おー」
競馬新聞に夢中で周りの声が聞こえていないであろうおっちゃんを席に残し、男の顔を確認しにいく。
「!!」
「あれっ…?」
すれ違いざまに振り向き、思わず俺は立ち止まった。
俺の顔を見たその人は、驚いた表情で固まっている。
この人…
安室さんの部下の…風見刑事…!
「あれ?どうしたのボク」
テーブルの前で不自然に止まった俺に、女性の方が心配そうに話しかけてきた。
「あっ、あの…おトイレ…」
「おトイレはえっと…あ、そこのドアだよ!」
「…あ、うん!ありがとうお姉さん!」
そう言って通り過ぎ、俺は形だけでもトイレに入って考えることにした。
なんであの人がここに…
安室さんと公安の情報を共有しに来たのか?だとしたら前の席の女性は…?
…デートで上司の働く喫茶店来るか?フツー…
…コンコン
「…?」
「コナンくん、僕だよ」
「っ!?安室さん?」
ドアを開けると、そこには安室さんが立っていた。
「どうしたの?」
「実はキミに頼みたいことができたんだ」
「…もしかして風見刑事が来ていることと関係があるの?」
「気づいたようだね。でも事件ってわけじゃ無いさ。ホラ、毛利さんと風見って以前事務所で会ったことがあるだろう?」
「あぁ、あの犯人に仕立てあげようとした…」
「そう、だからここで2人が居合わせたら、毛利さんの方が騒ぎ立てちゃうかもしれなくてね…」
確かに、おっちゃんからの公安の印象は良く無い。
というか、むしろ頗る悪い。
「それに、相手に本名を知られているということは昔の知り合いか、偶然名前を知ってしまったか…何にせよ毛利さんが公安のことを口走ったらややこしくなるだろうし」
「なるほど…じゃあ、あの女性は一般人なんだ?」
「あぁ、人助けしたみたいだから気を遣ってあげなきゃな」
「…分かったよ。あの2人が出る時におっちゃんの気をひいておけばいいんだね?」
「ああ、助かるよ」
トイレを出て席に戻る。
道中で再度目があった風見刑事にアイコンタクトを送った。
それで風見さんは何か察してくれたみたいだ。
おっちゃんはまだ競馬新聞を見ている。
あとはあの2人が出るのを待つのみ。
「村雨さん、そろそろ…」
「あ…そうですよね!」
安室さんがタイミング良く2人の前に行く。
「そのまま出ていただいて構いませんよ。またのお越しをお待ちしております」
「えぇ、ありがとうございました!」
よし、今だ!
悪りぃなおっちゃん。
バシャン!
「うおっ!?おい!何水こぼしてんだコナン!?」
「うわわ〜っ!ごめんなさい!!」
今の隙に…
風見刑事にちらりと視線を送る。
「村雨さん、行きましょう」
「あ…はい!」
2人は早足で俺たちのテーブル脇をすり抜けて店を出た。
チリンチリンー
「ふぅ…」
騒いでいるおっちゃんを尻目に安堵する。
おっちゃんは風見刑事に気付かず済んだようだ。
「あぁ、大丈夫ですか、毛利さん」
安室さんがすぐに布巾をもってきてくれた。
そして、俺に対してウインクを送る。
…なんだか急に疲れてきちまったな…
・・・
「はぁぁ〜…」
店を出た途端、風見さんが深いため息を吐いた。
何やら安堵したみたいだ。
「すみません…」
「えっ!?どうして風見さんが謝るんですか?」
「いえ、その…折角毛利さんのサインを貰えるチャンスでしたのに、自分の都合で貴女まで顔を合わせないようにする羽目に…」
「あ、いえいえ!いいんです。元はといえば私が連れて来させちゃったようなものですから、私の方こそ…」
しかし、風見さんの表情からは罪悪感が拭えずにいる。
「毛利さんを一眼見られただけでも貴重ですし」
「いえ…でも…そうですね…サインが欲しいんですよね。毛利さんの」
「?…でも…」
思い詰めた表情だった風見さんが顔を上げ、私に向かって述べた。
「良かったら貰ってきましょうか?都合の良い時になってしまいますが、先ほどのようなタイミングでなければ顔を合わせることはできますよ」
「ほ、本当ですか!」
願ったり叶ったりだ。
「ご、ご迷惑でなければ…!」
「自分は大丈夫です。」
「凄く嬉しいです!また次もお会いできれば…!」
「そ、それでは連絡先を…」
風見裕也さん…
出会い方はてんやわんやしていたものだったが、改めて考えると強く、優しい人だと思った。
・・・
※風見視点
−後日−警察庁
「…で、俺に毛利小五郎のサインを貰ってきてほしいと…?」
「…はい」
「風見…」
色紙に粘りつくような視線を向け、降谷さんがはぁ、とため息を吐く。
「この前は人助けをしたと聞いたからサポートしたまでだ。私情に俺を巻き込んで貰っては困る」
「うぐ…ですよね…」
当然だが断られてしまった。
数秒の沈黙の後、降谷さんが口を開く。
「気になるのか?あの女性のことが」
「え!?あ…いや…まだそのような感じではありませんが…」
予想外の問いに思わず吃ってしまう。
「この間初めて会ったばかりです…話の流れでまた会う約束をしただけで…」
「別にそれでもいいんだが…懸念点が一つ」
「…くれぐれも忘れるなよ。お前の立場は、人に言ってはならない」
「…無論です」
降谷さんが右手をぶっきらぼうにさし出した。
「よこせ…色紙…」
「!!…ありがとうございます!」
「今日はポアロで昼飯食うぞ坊主〜」
昼過ぎ、おっちゃんがそんなことを言い出した。
(ま、予想はできたけどな…)
今日は休日だが、蘭は友人の手伝いで高校に行っている。
男2人で料理を作るほどでもなく、俺とおっちゃんは下の喫茶店ポアロに向かった。
「あ、いらっしゃいませ毛利探偵、それに…コナンくん」
「お!安室じゃねえか!今日はお前が店番か!」
「こんにちは!」
俺とおっちゃんは流れるようにいつものテーブル席へ座った。
店内には俺たちと、もう一組…奥のテーブル席に男女が来ているようだ。
「じゃあ…ミックスサンドとコーヒー2ずつ!」
おっちゃんは安室さんに注文を伝えると、すぐさま競馬新聞を開き、リサーチに没頭し始める。
俺は奥のテーブルの男女がなんとなく気になり、聞き耳を立てることにした。
(常連…じゃないな…)
カップルだろうか…?いや、それにしては…
そんなことを思っていると、ひそひそと声が聞こえてきた。
「わーっ…!あの人が毛利探偵なんですね…本当にこの喫茶店に来てる姿を見られるなんて…!」
「え、えぇ…」
先程の安室さんの声が聞こえていたのだろう。
女性の方はおっちゃんに気づき、そのことを話しているようだ。
小声だが、その声音は弾んでいる。
しかし、男の方はそうではない。
こっちからだと背中しか見えないが、どうにも相槌がぎこちなかった。
「あっ、でも風見さんは会ったことあるんでしたよね?」
「ま、まあ…」
「なるほど、それもそうでした!…毛利さん、今話しかけて大丈夫ですかね…サイン貰いたくて…」
「!?…いっ…いや…できればやめていただきたい…!」
「えっ…?」
「っ…あの…ここで自分が会うのは気まずいというか…」
女性の方はサインを欲しているようだが、男の方はそれを制止しようとしている。
…男は会いたくないのか?
先程、おっちゃんと会ったことがあると言っていた。
まさか俺も知ってる人か…?
というか今、風見って…
「僕ちょっとトイレ!」
「おー」
競馬新聞に夢中で周りの声が聞こえていないであろうおっちゃんを席に残し、男の顔を確認しにいく。
「!!」
「あれっ…?」
すれ違いざまに振り向き、思わず俺は立ち止まった。
俺の顔を見たその人は、驚いた表情で固まっている。
この人…
安室さんの部下の…風見刑事…!
「あれ?どうしたのボク」
テーブルの前で不自然に止まった俺に、女性の方が心配そうに話しかけてきた。
「あっ、あの…おトイレ…」
「おトイレはえっと…あ、そこのドアだよ!」
「…あ、うん!ありがとうお姉さん!」
そう言って通り過ぎ、俺は形だけでもトイレに入って考えることにした。
なんであの人がここに…
安室さんと公安の情報を共有しに来たのか?だとしたら前の席の女性は…?
…デートで上司の働く喫茶店来るか?フツー…
…コンコン
「…?」
「コナンくん、僕だよ」
「っ!?安室さん?」
ドアを開けると、そこには安室さんが立っていた。
「どうしたの?」
「実はキミに頼みたいことができたんだ」
「…もしかして風見刑事が来ていることと関係があるの?」
「気づいたようだね。でも事件ってわけじゃ無いさ。ホラ、毛利さんと風見って以前事務所で会ったことがあるだろう?」
「あぁ、あの犯人に仕立てあげようとした…」
「そう、だからここで2人が居合わせたら、毛利さんの方が騒ぎ立てちゃうかもしれなくてね…」
確かに、おっちゃんからの公安の印象は良く無い。
というか、むしろ頗る悪い。
「それに、相手に本名を知られているということは昔の知り合いか、偶然名前を知ってしまったか…何にせよ毛利さんが公安のことを口走ったらややこしくなるだろうし」
「なるほど…じゃあ、あの女性は一般人なんだ?」
「あぁ、人助けしたみたいだから気を遣ってあげなきゃな」
「…分かったよ。あの2人が出る時におっちゃんの気をひいておけばいいんだね?」
「ああ、助かるよ」
トイレを出て席に戻る。
道中で再度目があった風見刑事にアイコンタクトを送った。
それで風見さんは何か察してくれたみたいだ。
おっちゃんはまだ競馬新聞を見ている。
あとはあの2人が出るのを待つのみ。
「村雨さん、そろそろ…」
「あ…そうですよね!」
安室さんがタイミング良く2人の前に行く。
「そのまま出ていただいて構いませんよ。またのお越しをお待ちしております」
「えぇ、ありがとうございました!」
よし、今だ!
悪りぃなおっちゃん。
バシャン!
「うおっ!?おい!何水こぼしてんだコナン!?」
「うわわ〜っ!ごめんなさい!!」
今の隙に…
風見刑事にちらりと視線を送る。
「村雨さん、行きましょう」
「あ…はい!」
2人は早足で俺たちのテーブル脇をすり抜けて店を出た。
チリンチリンー
「ふぅ…」
騒いでいるおっちゃんを尻目に安堵する。
おっちゃんは風見刑事に気付かず済んだようだ。
「あぁ、大丈夫ですか、毛利さん」
安室さんがすぐに布巾をもってきてくれた。
そして、俺に対してウインクを送る。
…なんだか急に疲れてきちまったな…
・・・
「はぁぁ〜…」
店を出た途端、風見さんが深いため息を吐いた。
何やら安堵したみたいだ。
「すみません…」
「えっ!?どうして風見さんが謝るんですか?」
「いえ、その…折角毛利さんのサインを貰えるチャンスでしたのに、自分の都合で貴女まで顔を合わせないようにする羽目に…」
「あ、いえいえ!いいんです。元はといえば私が連れて来させちゃったようなものですから、私の方こそ…」
しかし、風見さんの表情からは罪悪感が拭えずにいる。
「毛利さんを一眼見られただけでも貴重ですし」
「いえ…でも…そうですね…サインが欲しいんですよね。毛利さんの」
「?…でも…」
思い詰めた表情だった風見さんが顔を上げ、私に向かって述べた。
「良かったら貰ってきましょうか?都合の良い時になってしまいますが、先ほどのようなタイミングでなければ顔を合わせることはできますよ」
「ほ、本当ですか!」
願ったり叶ったりだ。
「ご、ご迷惑でなければ…!」
「自分は大丈夫です。」
「凄く嬉しいです!また次もお会いできれば…!」
「そ、それでは連絡先を…」
風見裕也さん…
出会い方はてんやわんやしていたものだったが、改めて考えると強く、優しい人だと思った。
・・・
※風見視点
−後日−警察庁
「…で、俺に毛利小五郎のサインを貰ってきてほしいと…?」
「…はい」
「風見…」
色紙に粘りつくような視線を向け、降谷さんがはぁ、とため息を吐く。
「この前は人助けをしたと聞いたからサポートしたまでだ。私情に俺を巻き込んで貰っては困る」
「うぐ…ですよね…」
当然だが断られてしまった。
数秒の沈黙の後、降谷さんが口を開く。
「気になるのか?あの女性のことが」
「え!?あ…いや…まだそのような感じではありませんが…」
予想外の問いに思わず吃ってしまう。
「この間初めて会ったばかりです…話の流れでまた会う約束をしただけで…」
「別にそれでもいいんだが…懸念点が一つ」
「…くれぐれも忘れるなよ。お前の立場は、人に言ってはならない」
「…無論です」
降谷さんが右手をぶっきらぼうにさし出した。
「よこせ…色紙…」
「!!…ありがとうございます!」
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