とまそん日記
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新刊の棚を整理しているとすぐ近くを黒森が通るのが見えて呼び止める。
ここに来るとき廊下で拾ったんだけどと、ポケットから栞を取り出し手渡した。
普段からよく栞を無くすから、とうとう栞に名前を書くようになったんだ?とからかってみたが、「これは俺のじゃない」と返された。
「え?名前書いてあるけど??」
手元の栞をみる。ピンクの台紙に白いインクでレースの柄が描いてある。その下の方に小さく黒森と書いてある。
「名前があるとは言え、よくこれを俺の物と判断したな…」
黒森はあきれ顔でこちらを見た。
「いや~、すぐ栞無くすからもう栞ならなんでも使うようになったのかと思って☆」
私は悪びれもなく答えた。
「え、でも黒森のじゃないならなんで黒森の名前書いてあるの…?こわっ…」
「それって雑誌に載ってたおまじないじゃない?」
2人で不気味に思っていると、黒森の後ろからやって来た比田が栞を見て言う。
「クラスの女子が騒いでたっけな~」
比田の話をまとめると、好きな人の名前を書いた栞を使って本を一冊読み終われば両思いになれるらしい。
わりと女子の間では流行っているらしく、なんで知らないの~?遅れてるな~と比田にからかわれてしまった。
「ほ~。こんなおまじないしてでも両思いになりたいほど黒森を好いている人がいるんだね~」
気を取り直して、私が再度黒森をからかうと
「…複雑だな」
黒森はいつも以上に眉間に皺を寄せて厳しい顔をしていた。
「まぁ、取りあえず栞は図書室預かりってことにして申し送りしておくか」
カウンターに戻り図書委員の連絡ノートにピンクの栞を拾ったことを記入し、無くならないようにクリップで挟んでおいた。
自分以外の委員が当番のときにも対応してくれるだろう。
後日、図書ノートを開くと栞は見当たらず、返却しましたの文が追加されていた。
「栞の持ち主が現れたみたいだね」
誰に対してでもなく呟いた。
持ち主の顔を見たかったな~、でもきっとにやにやしちゃって失礼だろうな~と1人で葛藤していると
「栞って、黒森さんの名前が書かれてたやつですか?」
いつもは図書室の隅で本を読んでいる枝島くんが珍しく声をかけてきた。
「そうそう。どんな子が黒森のこと好きなんだろうね~」
何気なく枝島くんに話を振ると、
「…“おまじない”と“のろい”って同じ字を書くって知ってましたか?」
「へ?」
思いがけない枝島くんの言葉に間抜けな返事をしてしまった。
「“おまじない”も“のろい”も同じ“呪”って字を使うんですよ。つまりおまじないは簡易な呪いってことになるんですけど…、何かを呪ってまで手に入れたい感情ってなんなんでしょうね…」
決してふざけているわけじゃなく、いつもと変わらぬテンションで淡々と話す枝島くんをなんだか怖く感じた。
「人を呪わば穴二つ、相手はどんな対価を払ったのでしょうか」
「こ、怖いことは言わないんだよ!」
私は恐怖心を誤魔化すように枝島くんの頭をぐしゃぐしゃに撫でた。
「何するんですか!」
枝島くんは乱れた髪を整えながらブツブツ文句を言っていたが聞かないことにした。
もし、彼の言うとおりおまじないが呪いの簡易版だとしたら相手に大した不幸が無いことを願いつつ、いつか持ち主が黒森と一緒に歩いているところがみたいな~とぼんやり考えた。
ここに来るとき廊下で拾ったんだけどと、ポケットから栞を取り出し手渡した。
普段からよく栞を無くすから、とうとう栞に名前を書くようになったんだ?とからかってみたが、「これは俺のじゃない」と返された。
「え?名前書いてあるけど??」
手元の栞をみる。ピンクの台紙に白いインクでレースの柄が描いてある。その下の方に小さく黒森と書いてある。
「名前があるとは言え、よくこれを俺の物と判断したな…」
黒森はあきれ顔でこちらを見た。
「いや~、すぐ栞無くすからもう栞ならなんでも使うようになったのかと思って☆」
私は悪びれもなく答えた。
「え、でも黒森のじゃないならなんで黒森の名前書いてあるの…?こわっ…」
「それって雑誌に載ってたおまじないじゃない?」
2人で不気味に思っていると、黒森の後ろからやって来た比田が栞を見て言う。
「クラスの女子が騒いでたっけな~」
比田の話をまとめると、好きな人の名前を書いた栞を使って本を一冊読み終われば両思いになれるらしい。
わりと女子の間では流行っているらしく、なんで知らないの~?遅れてるな~と比田にからかわれてしまった。
「ほ~。こんなおまじないしてでも両思いになりたいほど黒森を好いている人がいるんだね~」
気を取り直して、私が再度黒森をからかうと
「…複雑だな」
黒森はいつも以上に眉間に皺を寄せて厳しい顔をしていた。
「まぁ、取りあえず栞は図書室預かりってことにして申し送りしておくか」
カウンターに戻り図書委員の連絡ノートにピンクの栞を拾ったことを記入し、無くならないようにクリップで挟んでおいた。
自分以外の委員が当番のときにも対応してくれるだろう。
後日、図書ノートを開くと栞は見当たらず、返却しましたの文が追加されていた。
「栞の持ち主が現れたみたいだね」
誰に対してでもなく呟いた。
持ち主の顔を見たかったな~、でもきっとにやにやしちゃって失礼だろうな~と1人で葛藤していると
「栞って、黒森さんの名前が書かれてたやつですか?」
いつもは図書室の隅で本を読んでいる枝島くんが珍しく声をかけてきた。
「そうそう。どんな子が黒森のこと好きなんだろうね~」
何気なく枝島くんに話を振ると、
「…“おまじない”と“のろい”って同じ字を書くって知ってましたか?」
「へ?」
思いがけない枝島くんの言葉に間抜けな返事をしてしまった。
「“おまじない”も“のろい”も同じ“呪”って字を使うんですよ。つまりおまじないは簡易な呪いってことになるんですけど…、何かを呪ってまで手に入れたい感情ってなんなんでしょうね…」
決してふざけているわけじゃなく、いつもと変わらぬテンションで淡々と話す枝島くんをなんだか怖く感じた。
「人を呪わば穴二つ、相手はどんな対価を払ったのでしょうか」
「こ、怖いことは言わないんだよ!」
私は恐怖心を誤魔化すように枝島くんの頭をぐしゃぐしゃに撫でた。
「何するんですか!」
枝島くんは乱れた髪を整えながらブツブツ文句を言っていたが聞かないことにした。
もし、彼の言うとおりおまじないが呪いの簡易版だとしたら相手に大した不幸が無いことを願いつつ、いつか持ち主が黒森と一緒に歩いているところがみたいな~とぼんやり考えた。