とまそん日記
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最近お菓子作りにはまったので、もっと色々なお菓子を作ってみようと思い図書室にお菓子作りの本を借りに来た。
図書委員にお菓子の本について聞くと、テラス近くの本棚まで案内された。本棚には料理関係の本に混ざっていくつかのお菓子に関する本が並んでいる。
その中に求めているようなレシピの載っている本は少なかったが、その代わりにお菓子作りの歴史や、時代ごとに食べられてきたお菓子について、お菓子にまつわる物語など本の種類が多く、見ているだけで楽しい。
夢中で本を選んでいると、テラスから図書室には不似合いな甘い香りが漂ってきた。
甘い香りに釣られてそっとテラスを覗くと、図書委員と比田くんがテラスでお茶を飲んでいた。テーブルの上のお皿にはクッキーが載っている。大きいもの、小さいもの、丸い物や良くわからない形のものなど、形も大きさも不揃いだが2人は気にしていないようだ。2人がこちらに気づく前に私はその場を後にした。
家に帰って早速、借りてきた本のページを1枚ずつ捲りながら、図書室でのことを思い出していた。特にテラスでのお茶会、どんなクッキーでもおいしそうに食べる比田くんの表情は印象的だった。
(あれだけおいしそうに食べて貰えたら作った人は嬉しいだろうなぁ。)そんなことを考えながら、いつか比田くんに手作りのお菓子をおいしく食べて貰うことを目標に決めていた。
それから毎日、学校が終わったらまっすぐ家に帰りクッキーを焼いた。絞り出しクッキーや味の違うクッキー、様々なクッキーのレシピを探しては満足のいくものが出来上がるまで試行錯誤していく。
今まで食べるのは自分や家族だったからなんとなくで作っていた部分も、人にあげることを意識し見た目や食感、味にまで細かく気を配るようになるとお菓子作りが更に奥深く感じる。最近はデコレーションにも拘りはじめ、いつでも誰かに渡せるくらいには上達した。
それでもいざ本人に渡そうと思うと躊躇ってしまう。いきなり渡されても困るだろうし、相手に受け取って貰えないのではないかと考えるとどうしても足が竦んでしまう。
今日もまた渡せないだろうな、そんなことを考えていると以前借りた本の返却期限が今日だったことを思い出した。
「なんだか甘い香りがするね?」
放課後図書室に寄ると入口近くで不意に後ろから声をかけられた。振り返ってみると比田くんがすぐ近くにいた。
毎日クッキーを焼いていたからバニラエッセンスの香りが香水のようについてしまったのかもしれない。
恥ずかしくなってつい持っていた鞄で顔を隠してしまったが、(今がクッキーを渡すチャンスかもしれない。もしかするともう話すことも無いかもしれない。)そう思い勇気を出して鞄からクッキーの入った袋を取り出すと、比田くんへと差し出した。
「あの!クッキー焼いたんです!よかったら食べて下さい!!」
袋の口には青いリボンが結ばれている。
いきなりのことに驚いた表情で比田くんがクッキーの袋をまじまじと見つめている。
「手作り?もらっていいの?」
鞄を抱えてコクコクと頷くと、ありがとう。とお礼を言い比田くんはその場でリボンを解き星形のクッキーを口に運んだ。
「おいしい。アイシングまでしてあってお店のみたいだね。」
比田くんの感想に顔が綻んだ。それから1つ、2つとクッキーがテンポよく比田くんの口へと運ばれていく。一口食べる毎に幸せそうな顔をする比田くんを見ているとこっちまで嬉しい気持ちになった。
図書委員にお菓子の本について聞くと、テラス近くの本棚まで案内された。本棚には料理関係の本に混ざっていくつかのお菓子に関する本が並んでいる。
その中に求めているようなレシピの載っている本は少なかったが、その代わりにお菓子作りの歴史や、時代ごとに食べられてきたお菓子について、お菓子にまつわる物語など本の種類が多く、見ているだけで楽しい。
夢中で本を選んでいると、テラスから図書室には不似合いな甘い香りが漂ってきた。
甘い香りに釣られてそっとテラスを覗くと、図書委員と比田くんがテラスでお茶を飲んでいた。テーブルの上のお皿にはクッキーが載っている。大きいもの、小さいもの、丸い物や良くわからない形のものなど、形も大きさも不揃いだが2人は気にしていないようだ。2人がこちらに気づく前に私はその場を後にした。
家に帰って早速、借りてきた本のページを1枚ずつ捲りながら、図書室でのことを思い出していた。特にテラスでのお茶会、どんなクッキーでもおいしそうに食べる比田くんの表情は印象的だった。
(あれだけおいしそうに食べて貰えたら作った人は嬉しいだろうなぁ。)そんなことを考えながら、いつか比田くんに手作りのお菓子をおいしく食べて貰うことを目標に決めていた。
それから毎日、学校が終わったらまっすぐ家に帰りクッキーを焼いた。絞り出しクッキーや味の違うクッキー、様々なクッキーのレシピを探しては満足のいくものが出来上がるまで試行錯誤していく。
今まで食べるのは自分や家族だったからなんとなくで作っていた部分も、人にあげることを意識し見た目や食感、味にまで細かく気を配るようになるとお菓子作りが更に奥深く感じる。最近はデコレーションにも拘りはじめ、いつでも誰かに渡せるくらいには上達した。
それでもいざ本人に渡そうと思うと躊躇ってしまう。いきなり渡されても困るだろうし、相手に受け取って貰えないのではないかと考えるとどうしても足が竦んでしまう。
今日もまた渡せないだろうな、そんなことを考えていると以前借りた本の返却期限が今日だったことを思い出した。
「なんだか甘い香りがするね?」
放課後図書室に寄ると入口近くで不意に後ろから声をかけられた。振り返ってみると比田くんがすぐ近くにいた。
毎日クッキーを焼いていたからバニラエッセンスの香りが香水のようについてしまったのかもしれない。
恥ずかしくなってつい持っていた鞄で顔を隠してしまったが、(今がクッキーを渡すチャンスかもしれない。もしかするともう話すことも無いかもしれない。)そう思い勇気を出して鞄からクッキーの入った袋を取り出すと、比田くんへと差し出した。
「あの!クッキー焼いたんです!よかったら食べて下さい!!」
袋の口には青いリボンが結ばれている。
いきなりのことに驚いた表情で比田くんがクッキーの袋をまじまじと見つめている。
「手作り?もらっていいの?」
鞄を抱えてコクコクと頷くと、ありがとう。とお礼を言い比田くんはその場でリボンを解き星形のクッキーを口に運んだ。
「おいしい。アイシングまでしてあってお店のみたいだね。」
比田くんの感想に顔が綻んだ。それから1つ、2つとクッキーがテンポよく比田くんの口へと運ばれていく。一口食べる毎に幸せそうな顔をする比田くんを見ているとこっちまで嬉しい気持ちになった。