鬼滅:竈門
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「ななし!」
学校を出ようと校門に向けて足を運んでいたところ、他校生の彼が腕をブンブン振りながらかけよってきた。
なんでいるのよ!!
今朝ごはんを食べながら「部活入ってないからフツーに家に帰るだけ」とこぼしたけども!!
「一緒に帰ろう!」
「(こわい!)ちっ違う学校なのによく入れたね!」
「この学校の人が親切だったからな! ななしを探していると尋ねたら、快く教えてくれたよ」
炭治郎の視線をたどると、おそらく入れたであろう女子生徒の姿を確認した。
数名でつるんでおり、わたしと炭治郎を交互に見てワクワク♪ドキドキ♪……としているようだ。
ここで何言っても「肯定の否定」と捉えられるんだろうな、もう言わん。
翌日も、放課後、炭治郎が迎えに来るようになった。
炭治郎ズ・友人とわたしは別の学校で、場所もそれなりに離れている。
それなのに、炭治郎は毎日、校門でわたしのことを待っている。
炭治郎はなんなんだろう、なんでそこまでわたしに執着するんだろう。
なんか好きとかそういうレベルじゃないと思うんだ、もう。
多分炭治郎の性格なら、好きになったらすぐ「好きだァァァァ」とか叫びそうだもの、学校の屋上から叫んできそうだもの。
「……それで、善逸が伊之助とあんパンを取り合って、最終的に外に飛び出しちゃったんだ」
「アハハ、オモシローイ」
全く聞いていないことが明らかにわかるコメントなのに、炭治郎はニコニコしながら次の話を始めた。
話の引き出し多いな、トーク力高いからそういう職業についたらそこそこ稼げるんじゃないかな。
*
そして数日たったころ、わたしと炭治郎は無言の闘いを繰り広げて(?)いた。
「今日は寒いな」
「そうだね」
夕方になるともう気温が下がってきた。
そこでわたしは気づいたのだ。
炭治郎の左手が、わたしの右手によく当たってくることを。
「……」
「……」
「……」
「……」
右側の彼をこっそり見上げると、緊張しているのがわかる。
最近の炭治郎は、自分からグイグイくることがなくなった。
以前の彼なら「手をつなぎたいっ!!」とか言って、頑固なので何が何でもしていただろう。
しかし気づいたときには、オラオラ炭治郎はすっかり影をひそめている。
今はモジモジ炭治郎だ。(名前はかわいい気がしないでもない)
「あの、炭治郎、最近どうかした?」
「え? 何がだ?」
「……いや、なんというか……炭治郎らしくないかな、なんて」
炭治郎はすぐ言わんとすることがわかったらしい。理解力高いな。
そのまま、遠慮がちに答えてくれた。
「ななしが戸惑っているようだから。俺、ななしを困らせたくないんだ」
え、そんなに顔に出てた?と焦るが、炭治郎は力なく笑って「俺わかるんだ」と言った。
「すごいね、エスパーだね」
「ああ、ななしのことなら特にわかるんだ!」
何それ、と思わず笑ってしまった。
急に自信満々に言い切るものだから、おかしかった。
その状態で炭治郎を見上げると、目を丸くして、それから唇をぐっとかみしめていた。
「ななし!! 俺、ななしの笑顔が好きだ!」
「えっ! あ、ありがとうございマース! ウレシーデース!」
突然のおほめの言葉で心臓がドキッと高鳴る。
それをおふざけで返したけれども、炭治郎はますます嬉しそうに笑った。
「やっぱりななしといると楽しいな! 幸せだ!」
「?! あ、あはは! どうしたの~急に! 元気になったじゃん!」
テンションが高くなる姿についていけず、笑っておく。
炭治郎はサプライズプレゼントをもらいでもしたのか、というくらいに幸せを叫んでいた。
そして「ごめん!」と突然謝った。
なんだ、今日の炭治郎は喜怒哀楽が激しいな。
「やっぱり我慢できない、したくない」
「え?」
「だから、ななしが嫌なら言ってくれ」
「え」
わたしの右手に熱がこもる。
炭治郎の左手が、包んだからだ。
男子と手をつないだことなんて、今まであっただろうか。
ぽかん、とするわたしを、やさしい声が呼んだ。
「俺はななしの笑顔がずっと見たい」
「う、あ、はい……」
「でも、ななしが嫌がることは絶対にしない。約束する。だから、ずっと、そばにいさせてくれないか」
「約束……」
ふと、あの夢を思い出した。
そういえば炭治郎によく似ていたな、あの子。
――というかわたし、今プロポーズに近い言葉を聞きましたけど。
「あの、炭治郎サン……その言葉は、どういう意味、ですか?」
「ななしが好きだ」
うおわ、即答。
あまりにも潔すぎて、照れるとかはじらいという感情が伴ってこない。
わたし、炭治郎に告白されたんだ。
出会って(再会して?)1か月もたたない男の子に。
「俺は頑固だから、ななしが俺のことを見ていなくても、諦められない。ななしが振り向いてくれるまで、頑張るよ」
「……あ、ありがとう。……正直、自分で炭治郎のことをどう思っているのか、わからないけど、その気持ちはうれしいです。こんな返事でもいい?」
「勿論! 俺はななしといられるならそれだけで幸せだから」
なんという男の子だ。本当に申し訳ない気持ちになる。
自分の優柔不断さに嫌気がさす。でも中途半端な気持ちで返答するのも失礼だと思うのも事実だ。
くよくよするわたしを知ってか知らずか、つないだままの手を炭治郎がやさしく引っ張った。
「今日は帰ろう。ななしの体を冷やしたくない」
「うん……」
おかしい。
最初は、若干サイコパスを感じたけど、今の炭治郎は、なんというか紳士的で、内面は情熱的で、かっこいい。
もしかして、このまま炭治郎と付き合ったり……
「イッ……!」
突然、頭に激しい痛みが走った。
何の予兆もなく、いきなりだったことで一瞬ふらついてしまう。
「! どうした、ななし?!」
例えるなら、誰かに頭をグーパンチされた感じだ。
慌てる炭治郎をよそに、無意識にあたりを見回す。
もちろん、誰もいない。
わたしと炭治郎しかいない。
「あ、大丈夫……ごめん、何でもないから」
気づけば、痛みは消えていた。
寒さかな、なんだろう。
前世の痛み
つないだ手は、家の前に着いてもなかなか離れなかった
学校を出ようと校門に向けて足を運んでいたところ、他校生の彼が腕をブンブン振りながらかけよってきた。
なんでいるのよ!!
今朝ごはんを食べながら「部活入ってないからフツーに家に帰るだけ」とこぼしたけども!!
「一緒に帰ろう!」
「(こわい!)ちっ違う学校なのによく入れたね!」
「この学校の人が親切だったからな! ななしを探していると尋ねたら、快く教えてくれたよ」
炭治郎の視線をたどると、おそらく入れたであろう女子生徒の姿を確認した。
数名でつるんでおり、わたしと炭治郎を交互に見てワクワク♪ドキドキ♪……としているようだ。
ここで何言っても「肯定の否定」と捉えられるんだろうな、もう言わん。
翌日も、放課後、炭治郎が迎えに来るようになった。
炭治郎ズ・友人とわたしは別の学校で、場所もそれなりに離れている。
それなのに、炭治郎は毎日、校門でわたしのことを待っている。
炭治郎はなんなんだろう、なんでそこまでわたしに執着するんだろう。
なんか好きとかそういうレベルじゃないと思うんだ、もう。
多分炭治郎の性格なら、好きになったらすぐ「好きだァァァァ」とか叫びそうだもの、学校の屋上から叫んできそうだもの。
「……それで、善逸が伊之助とあんパンを取り合って、最終的に外に飛び出しちゃったんだ」
「アハハ、オモシローイ」
全く聞いていないことが明らかにわかるコメントなのに、炭治郎はニコニコしながら次の話を始めた。
話の引き出し多いな、トーク力高いからそういう職業についたらそこそこ稼げるんじゃないかな。
*
そして数日たったころ、わたしと炭治郎は無言の闘いを繰り広げて(?)いた。
「今日は寒いな」
「そうだね」
夕方になるともう気温が下がってきた。
そこでわたしは気づいたのだ。
炭治郎の左手が、わたしの右手によく当たってくることを。
「……」
「……」
「……」
「……」
右側の彼をこっそり見上げると、緊張しているのがわかる。
最近の炭治郎は、自分からグイグイくることがなくなった。
以前の彼なら「手をつなぎたいっ!!」とか言って、頑固なので何が何でもしていただろう。
しかし気づいたときには、オラオラ炭治郎はすっかり影をひそめている。
今はモジモジ炭治郎だ。(名前はかわいい気がしないでもない)
「あの、炭治郎、最近どうかした?」
「え? 何がだ?」
「……いや、なんというか……炭治郎らしくないかな、なんて」
炭治郎はすぐ言わんとすることがわかったらしい。理解力高いな。
そのまま、遠慮がちに答えてくれた。
「ななしが戸惑っているようだから。俺、ななしを困らせたくないんだ」
え、そんなに顔に出てた?と焦るが、炭治郎は力なく笑って「俺わかるんだ」と言った。
「すごいね、エスパーだね」
「ああ、ななしのことなら特にわかるんだ!」
何それ、と思わず笑ってしまった。
急に自信満々に言い切るものだから、おかしかった。
その状態で炭治郎を見上げると、目を丸くして、それから唇をぐっとかみしめていた。
「ななし!! 俺、ななしの笑顔が好きだ!」
「えっ! あ、ありがとうございマース! ウレシーデース!」
突然のおほめの言葉で心臓がドキッと高鳴る。
それをおふざけで返したけれども、炭治郎はますます嬉しそうに笑った。
「やっぱりななしといると楽しいな! 幸せだ!」
「?! あ、あはは! どうしたの~急に! 元気になったじゃん!」
テンションが高くなる姿についていけず、笑っておく。
炭治郎はサプライズプレゼントをもらいでもしたのか、というくらいに幸せを叫んでいた。
そして「ごめん!」と突然謝った。
なんだ、今日の炭治郎は喜怒哀楽が激しいな。
「やっぱり我慢できない、したくない」
「え?」
「だから、ななしが嫌なら言ってくれ」
「え」
わたしの右手に熱がこもる。
炭治郎の左手が、包んだからだ。
男子と手をつないだことなんて、今まであっただろうか。
ぽかん、とするわたしを、やさしい声が呼んだ。
「俺はななしの笑顔がずっと見たい」
「う、あ、はい……」
「でも、ななしが嫌がることは絶対にしない。約束する。だから、ずっと、そばにいさせてくれないか」
「約束……」
ふと、あの夢を思い出した。
そういえば炭治郎によく似ていたな、あの子。
――というかわたし、今プロポーズに近い言葉を聞きましたけど。
「あの、炭治郎サン……その言葉は、どういう意味、ですか?」
「ななしが好きだ」
うおわ、即答。
あまりにも潔すぎて、照れるとかはじらいという感情が伴ってこない。
わたし、炭治郎に告白されたんだ。
出会って(再会して?)1か月もたたない男の子に。
「俺は頑固だから、ななしが俺のことを見ていなくても、諦められない。ななしが振り向いてくれるまで、頑張るよ」
「……あ、ありがとう。……正直、自分で炭治郎のことをどう思っているのか、わからないけど、その気持ちはうれしいです。こんな返事でもいい?」
「勿論! 俺はななしといられるならそれだけで幸せだから」
なんという男の子だ。本当に申し訳ない気持ちになる。
自分の優柔不断さに嫌気がさす。でも中途半端な気持ちで返答するのも失礼だと思うのも事実だ。
くよくよするわたしを知ってか知らずか、つないだままの手を炭治郎がやさしく引っ張った。
「今日は帰ろう。ななしの体を冷やしたくない」
「うん……」
おかしい。
最初は、若干サイコパスを感じたけど、今の炭治郎は、なんというか紳士的で、内面は情熱的で、かっこいい。
もしかして、このまま炭治郎と付き合ったり……
「イッ……!」
突然、頭に激しい痛みが走った。
何の予兆もなく、いきなりだったことで一瞬ふらついてしまう。
「! どうした、ななし?!」
例えるなら、誰かに頭をグーパンチされた感じだ。
慌てる炭治郎をよそに、無意識にあたりを見回す。
もちろん、誰もいない。
わたしと炭治郎しかいない。
「あ、大丈夫……ごめん、何でもないから」
気づけば、痛みは消えていた。
寒さかな、なんだろう。
前世の痛み
つないだ手は、家の前に着いてもなかなか離れなかった